2021.11.21.Sun リノベーションのヒント

決める前に知っておきたい!リノベーションのデメリットは?

マンションのリノベーション事例

中古物件の購入を検討していると「リノベーション」という言葉をよく見かけますよね。
この数年で中古物件をリノベーションするというスタイルは増えてきています。

新築物件を探していても希望の間取りがなかったり、立地条件が良くなかったりする場合に中古物件をリノベーションするという選択肢を考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、中古物件をリノベーションして住むのに問題はないのか?といろいろネットで検索しても、リノベーションのメリットばかりが並んでいて不安は拭えません。

ここではリノベーションを検討している人が知っておきたいリノベーションのデメリットを紹介していきます。

リノベーションのデメリット

そもそもリノベーションとは何を指すのでしょうか。
リノベーションとは、元の物件により高い付加価値をつけたり、性能を新築時より高めるために行う工事のことです。

リノベーションとは

家族の人数に合わせて間取りを変更したり、家事動線のために水回りの位置を変更するのもリノベーションになります。また新築当時にはなかった家の耐震性や断熱性を高めることも、新築時より家の性能を向上させるという点でリノベーションの範囲になります。

一見するとリノベーションは自分好みのインテリア・デザインの家に低価格で住める、メリットだらけのように思えます。インターネットでリノベーションについて検索してみてもマイナスな情報よりリノベーションの良い点について書かれたものが圧倒的に多く見られます。

しかし、リノベーションを検討しているのであれば、デメリットについても知ったうえで進めていきたいですよね。
リノベーションを検討する際の大切なタイミングごとに見てみましょう。

不動産を購入する際に知っておきたいデメリット

リノベーションを前提とする物件選びは、専門知識の無い人にとっては非常に大変な作業となります。
何件、何十件と内覧を重ねて「やっと見つかった!」と安堵したときこそ要注意です。

将来売却の計画が立てづらい

「リノベーションした物件は高値で売却できる」などの情報もよく目にします。
しかし、これは断言できますが、立地など物件の条件によります。

日本では現在、首都圏などの人口が密集している一部の地域を除いて「購入した時より高く売れる物件(不動産)」というのは珍しいものです。

今まさにリノベーションを検討しているみなさんならどうでしょう?
他人が住んでいた物件を購入するのに、例えば同じマンション内ならどちらの部屋を選びますか?

マンション購入の質問

将来ご自身の住まいを買ってくれるかもしれない人は、みなさんと同じように「リノベーションで自分の好きな住まいにしたい!」と考えている確率が高いわけです。

リノベーションしたからといって将来希望の金額で売却できるかは、期待できないかもしれません。

不動産仲介業者の行う“調査”

物件を購入する際、不動産売買契約というものを交わします。
そしてその契約書には「雨漏りは無いか?」「自治会は?」「管理費などのランニングコストは?」などの不動産仲介業者が調査した、物件のあらゆる情報が記載されています。

しかしここで注意しておきたいのが、不動産仲介業者が調査するのは購入予定の物件について「今までの」情報が中心であり、みなさんが思い描いている理想のリノベーションについての建築的な調査は含まれないということです。

「ガスキッチンをIHに変えることはできる?」「この柱は解体できる?」「浴室のサイズは大きくできる?」などの疑問については、不動産仲介業者の調査の範疇ではありません。

不動産を購入する際にデメリットを回避するには

将来の売却について

不動産仲介業者に「同条件の不動産の過去の売却事例を見せてください」とお願いすると過去の売却情報を見せてくれます。
最低でも過去5年分は全て目を通した上で、不動産仲介業者のプロ目線のアドバイスも聞きつつ、自分自身の考えと照らし合わせて考えるといいでしょう。

プロの意見を鵜呑みにするだけでなく、プロから提供された情報をしっかり自分でも吟味することが大切です。

転職などの予定があって、将来の売却を考慮して物件購入を考えている方は、中古マンションをフルリノベーションするのではなく、築浅の物件を購入して部分的な小規模リノベーションをする方が良い場合もあります。

購入前にリノベーション業者と

物件購入をする前に、リノベーション業者と一緒に候補になる物件を見ておくのは必須です。希望する間取りがある場合には内覧時点で間取り変更が可能かどうかを確認しておくことができます。

例えば水回りの変更を希望する場合、リノベーションの知識が無いとどの程度の変更が可能なのか想像もつきません。

トイレなどの排水管はスムーズに排水が流れるように勾配(角度)をつける必要があります。マンション全体に通っている共用の排水管に合流する位置は変えられないので、そこまでに勾配をつけることを考えると、あまり遠い位置に水回りを設置した場合、床を高くして勾配をつけなくてはなりません。

配管勾配の図

また、共用の排水管に合流するまでに排水管を何度もカーブするような設計は排水管が詰まる原因にもなりやすいので、慎重に考えなくてはいけません。

こういった知識を持っている業者と事前に内覧しておくことで、自分たちの希望する間取りが実現可能な物件を選ぶことができるのです。

リノベーション業者と契約する際に知っておきたいデメリット

リノベーションする物件が決まった(すでに決まっている)としても、どんなリノベーションをプランするか注意が必要です。

工事開始後に見積もり金額が変わる可能性がある

壁を取り壊してみると壁内部が老朽化していたり、補強を必要とする状態だった場合、工事前の見積もりから費用が変わることがあります。
つまり、工事前に予測できなかったことが起きた場合にリノベーションの費用が上がるということです。

リノベーション業者でも予測しづらい(できない)部分は、“工事前には隠れているところ”となります。

・床下
・配管関係
・電気関係
・柱
・躯体

隠れているところを解体工事で露わにしたところ、「予測していた寸法と違った」「想像以上に老朽化していた」ということがあります。
これらのような追加で発生してくる費用はプランニングの段階でどれだけ相談していても、実際の工事が始まってみないと分からないことがあります。

できる工事内容に限りがある

リノベーションは好きな間取りに変更ができますが、耐久性などの理由で壊せない柱や壁があります。購入前にしっかり確認しておかないと、購入後に間取り変更ができず後悔してしまうことになります。

特にマンションでは管理規約を守る必要があるので戸建てに比べて制限がかかりやすい印象です。

水回りの変更はマンション全体の共用の排水管位置が決まっているため、あまりに大幅な変更は難しいです。
またほとんどのマンションで使用できる床材について、管理規約に規定が記載されているのでここもしっかり把握しておきたいですね。

さらに玄関ドア、窓、バルコニーや外壁などは、マンションの共用部分にあたるので、基本的に工事ができません。

中古マンションは外観が新築に比べてどうしても見劣りしてしまいます。外観にもこだわりがある人には中古マンションのリノベーションは向かないかもしれません。

一方で戸建てならマンション管理規約などがないため自由にできるイメージがあると思います。
しかし、戸建ての方が壁や柱の取り壊しは耐震や耐久性に大きく関わるため、間取りの変更に関しては建築士の専門的な知識が必要となります。

元々の内装とのギャップがある

フルリノベーションであれば、建物内部は解体してしまうので家の中でギャップを感じることはありませんが、部分的なリノベーションの場合、新しい部分と既存の古い部分のギャップが目立ってしまいます。

例えばクロスの張り替えのみをした場合、巾木や部屋の建具(ドア)が古いままなので仕上がった後に見栄えが気になってしまうということもあるでしょう。

さらにマンションの場合には建物外観とのギャップを感じることもあります。
繰り返しになりますが、リノベーションでは玄関ドアや窓、バルコニー、外壁を工事できないため、外観とのギャップを解消することはできません。

窓から見える景色

「室内から見える玄関ドア(室内側)や窓については古さを妥協した」というリノベーション経験者の声もよく聞きます。

リノベーション業者と契約する際にデメリットを回避するには

工事開始後に起こりうる追加費用まで見積もりをもらう

リノベーション業者でも予測しづらい(できない)部分をについて、あらかじめ「万が一の追加金額」も明らかにしておきましょう。

・床下
・配管関係
・電気関係
・柱
・躯体

前述した“工事前には隠れているところ”について予測できる追加金額を教えてもらえるようにリノベーション業者に全て教えてもらうことが大切です。

工事するか未定の部分についての見積もり算出を嫌がるリノベーション業者もいますが、リノベーションとは大金を支払う一生に一度の買い物。遠慮せずにお願いしましょう。

リノベーションできない箇所を明らかにする

どんな間取りがいいか、どんなデザインの家にするかをリノベーション業者と打ち合わせに入る前に、「この物件では何が“できないのか”」をしっかり把握しましょう。

・マンションの管理規約
・排水管関係
・壊すことができない柱、梁、壁

思わずワクワクするようなリノベーションプランを早く見たい気持ちもあるでしょうが、何事も初めが肝心。
物件購入前のタイミングでも言えることですが、しっかりと“できないこと”を把握することが大切です。

CGパースなどで事前確認

住まいは、デザインのバランスが重要です。
特に、部分的なリノベーションの場合には、リノベーションする箇所としない箇所のギャップを埋めるために全体的なデザインを考えていく必要があります。

しかし、自分たちがリノベーションする箇所のデザインにばかりフォーカスしてしまい、結果的に仕上がって初めてギャップに気づくという失敗もあるようです。
リノベーションプランを全て確定する前に、リノベーション業者にCGパースを作成してもらい、建材の実物(サンプル)と照らし合わせてチェックしましょう。

リノベーションのCGパース

クロスの色や照明、細かなところまで再現してみて、全体のデザインが自分たちの希望する住まいになっているか、しっかりチェックすることが大切です。

【おまけ】入居までに時間がかかるので注意!

リノベーションをするとなると、工事期間に入居することはできません。
リノベーション工事は1ヶ月から3ヶ月ほどかかることもあり、物件購入をしてから実際に入居できるまでに時間がかかります。

リノベーションの流れ

賃貸契約の更新時期や子どもの学校(入学・新学期)などに合わせて引っ越す予定で、すぐに新しい物件に引っ越さなければならない場合には入居までに時間をかけられないかもしれません。
入居予定が分からずあたふたした、引っ越しを急がなければならず思い通りの工事ができなかった、なんてことにならないために入居時期についてもリノベーション業者にしっかりと伝えて相談を進めましょう。

おわりに

今回はリノベーションのデメリットとその対処法を紹介してきました。

デメリットはあるものの、中古物件をリノベーションするのは費用の面でも、理想の住まいづくりの面でもたくさんのメリットがあります。しっかりと情報を吟味した上で「リノベーションしよう!」と決めた後も、事前にデメリットを知っておくことでリノベーション業者とよりスムーズなプランニングを進めることが可能です。どうしても回避したいトラブルも事前に相談しておくことが大切です。

「新築か?中古か?」と悩んでいる方も、ぜひリノベーションのメリットに加えてデメリットまで理解して判断されるのが良いでしょう。

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WRITERこの記事を書いた人

代表取締役 / プロデューサー

矢野 浩一KOICHI YANO

代表取締役(プロデューサー) / 宮崎県出身 / お客様の“不安”を”安心”に転換できるプロデュース / お客様と一緒にチームを作るのがクジラ流です。とことんこだわりたいお客様から、「どうしていいかわからない」というお客様までクジラスタッフを上手くご利用ください。

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