2025.11.19
最終更新日
2025.11.18
リノベーションのヒント

店舗リノベーションを成功させるポイントは?費用や事例も紹介

店舗内観

こんにちは!クジラ株式会社の菅原です!

Writer
菅原沙絵
デザイナー WORKS
2017年に新卒入社以来、住宅だけではなく店舗や宿泊施設のデザインも担当してきた。
お客様の理想を正確に捉え、ヒアリングを中心にデザインしていくことを得意としているデザイナー。
CREATOR’s STORY|菅原 沙絵

店舗リノベーションとは、既存のお店を改修して、新たな価値を創造する工事のことです。単に内装を新しくするだけでなく、お店のコンセプトやターゲット層に合わせて、空間全体の機能性やデザイン性を向上させます。

成功させるためには、魅力的なデザイン性はもちろんのこと、集客や業務効率に繋がる機能性を考慮した設計が重要です。費用を抑えながらも理想のお店を実現するために、事前にしっかりと計画を立てることが成功への鍵となります。

目次

店舗リノベーションで得られる3つのメリット

本町のリノベーションカフェ OURLOG COFFEE
店舗リノベーションには、主に3つのメリットがあります。1つ目は、外観や内装を魅力的にすることで、新規顧客の獲得や既存顧客のリピート率向上に繋がり、集客力アップが期待できることです。競合店との差別化を図り、お店のブランドイメージを強化することも可能です。

2つ目に、効率的な動線設計や最新設備の導入によって、スタッフの作業効率が向上し、より質の高いサービス提供に繋がります。これにより、従業員の満足度も高まり、定着率の向上にも寄与するでしょう。

3つ目は、新築で店舗を構えるよりも初期費用を抑えられる場合がある点です。既存の建物を活用し、解体工事の範囲を最小限に抑えることで、工事期間の短縮や人件費の削減にも繋がるため、コストを抑えた開業や改装が実現しやすくなります。

集客力アップにつながる魅力的な外観・内装を実現できる

店舗リノベーションによって外観や内装を魅力的に一新することで、新規顧客の獲得やリピート率向上に繋がり、集客力アップが期待できます。お店のコンセプトやブランドイメージが一目で伝わるデザインは、通行人の目を引き、来店を促す重要な要素です。

また、競合店との差別化を図り、お店のブランドイメージを強化することも可能です。店舗の雰囲気と提供する商品やサービスに一貫性を持たせることで、顧客はより快適な体験ができ、それが購買意欲の向上にも繋がります。

スタッフの作業効率が向上する動線設計が可能になる

店舗のレイアウトや設備の配置を最適化することで、スタッフの移動距離が短縮され、作業に必要な時間や手間を削減できます。例えば、厨房とホール間の配膳ルートや、バックヤードと売り場の補充ルートを効率的に設計することで、無駄な動きをなくし、よりスムーズな業務遂行を可能にするのです。

これにより、お客様へのサービス提供も迅速になり、顧客満足度向上にも繋がります。また、従業員の負担軽減にも貢献し、働きやすい環境を整備することで、離職率の低下や採用活動におけるメリットも期待できるでしょう。

新築よりもコストを抑えて開業・改装できる場合がある

店舗リノベーションは、新築で店舗を構えるよりも初期費用を抑えられる場合があります。既存の建物を活用し、大規模な解体工事の範囲を最小限に抑えることで、工事期間の短縮や人件費の削減に繋がります。

これにより、新築よりもコストを抑えた開業や改装が実現しやすくなるのです。また、既存の建物の魅力を活かしたデザインを取り入れることで、費用を抑えつつも個性的な店舗を創り出すことも可能になります。

【業種別】店舗リノベーションにかかる費用の目安

本町のリノベーションカフェ OURLOG COFFEE
店舗リノベーションにかかる費用は、業種や店舗の規模、デザイン、設備内容などによって大きく異なります。一般的に、坪単価で費用目安が示されており、スケルトン物件と居抜き物件のどちらを選ぶかによっても変動します。スケルトン物件は内装が全くない状態のため、自由にデザインできますが、その分費用は高くなる傾向です。一方、居抜き物件は既存の設備や内装を活かせるため、費用を抑えられる可能性があります。

例えば、スケルトンから全面改装する場合の坪単価は30万円~80万円程度が目安です。居抜きで部分改装する際は、坪単価10万円~40万円程度が相場とされています。また、専門的な設備が必要な業種ほど費用が高くなる傾向にあります。ここでは、業種別の費用相場を詳しく見ていきましょう。

飲食店の費用相場と内訳

飲食店の店舗リノベーションでは、厨房設備や排気・給排水設備など、業種特有の工事が必要となるため、比較的費用が高くなる傾向があります。リノベーション費用は、坪単価で30万円から80万円が相場です。内訳としては、設計費や内装工事費のほか、厨房機器の購入費、空調や電気設備、給排水設備の工事費などが挙げられます。

特に厨房設備は業務内容によって大きく変動するため、事前に具体的なメニューや提供スタイルを明確にしておくことが重要です。また、顧客が快適に過ごせる空間づくりも重要で、テーブルや椅子の配置、照明計画なども費用に含まれます。

美容室・サロンの費用相場と内訳

美容室やサロンの店舗リノベーションは、顧客がリラックスできる空間づくりが重要となるため、内装デザインや照明計画、設備選びに工夫が必要です。費用相場は、坪単価で30万円から60万円程度が目安とされています。内訳としては、シャンプー台やスタイリングチェア、鏡などの美容設備費、給排水工事、電気工事、内装工事費などが含まれます。

特に、顧客が長時間過ごす場所であるため、座り心地の良い椅子や、落ち着いた色合いの壁紙、間接照明などを取り入れることで、顧客満足度を高める工夫が求められます。また、待合室やカウンセリングスペースの設置も考慮する必要があるでしょう。

アパレル・物販店の費用相場と内訳

アパレル・物販店の店舗リノベーションでは、商品の陳列方法や顧客の動線を意識した空間づくりが重要です。費用相場は坪単価20万円から50万円程度で、内訳には、陳列棚やレジカウンターなどの什器費用、照明計画、試着室の設置費用、内装工事費などが含まれます。顧客が商品を手に取りやすく、店内を回遊しやすいレイアウトを検討することで、売上向上に繋がるでしょう。

また、ブランドイメージを伝えるためのコンセプトに基づいたデザインや、商品の魅力を引き出す照明計画も費用に影響します。

店舗リノベーションの費用を賢く抑える3つのコツ

本町のリノベーションカフェ OURLOG COFFEE
店舗リノベーションの費用は、工夫次第で賢く抑えることができます。
まず、既存の設備や内装を最大限に活用することで、解体費用や新規購入費用を削減し、工事期間も短縮できるため、コストダウンに繋がります。
次に、国や自治体が提供している補助金・助成金制度をリサーチすることも有効です。これらの制度は、特定の条件を満たすことで費用の一部をカバーしてくれるため、大幅なコスト削減が期待できます。

最後に、複数の業者から相見積もりを取って比較検討することが重要です。これにより、適正な価格を見極め、費用対効果の高いリノベーションを実現できます。

既存の設備や内装を最大限に活用する

店舗リノベーションの費用を抑えるには、既存の設備や内装をいかに有効活用するかが重要です。具体的には、まだ使えるものはそのまま残したり、デザインの一部として元あるものを活かしたりすることで、解体費用や新規購入費用を削減できます。工事期間も短縮されるため、人件費などの間接的なコストも抑えることが可能です。

例えば、壁の構造体や配管などを露出させたインダストリアルデザインを取り入れることで、費用を抑えつつも魅力的な空間を演出できます。

国や自治体の補助金・助成金制度をリサーチする

店舗リノベーションには、国や自治体が提供する多様な補助金・助成金制度が活用できます。これらの制度は、特定の条件を満たすことでリノベーション費用の一部をカバーしてくれるため、大幅なコスト削減につながる可能性があります。国の代表的な制度としては、「事業再構築補助金」や「小規模事業者持続化補助金」、「業務改善助成金」などがあり、それぞれ新分野進出や販路開拓、賃上げを目的とした取り組みが対象となります。

また、自治体独自の補助金や助成金も存在するため、所在地の情報を確認することが重要です。これらの制度を活用することで、初期投資の負担を軽減し、より理想に近い店舗リノベーションを実現できるでしょう。申請には事前の計画書作成や書類準備が必要となるため、専門家への相談もおすすめです。

複数の業者から相見積もりを取って比較検討する

店舗リノベーションを検討する際には、必ず複数の業者から相見積もりを取り、提案内容や費用を比較検討することが重要です。これにより、それぞれの業者の強みや弱みを把握し、適正な価格を見極めることができます。安さだけで業者を選ぶのではなく、デザイン力、施工実績、担当者の対応なども総合的に評価し、自身の理想とする店舗を実現してくれる信頼できるパートナーを見つけることが成功への鍵となります。

また、相見積もりを取ることで、自身の要望を明確化し、業者との具体的な交渉材料とすることも可能です。

失敗しないために知っておきたい店舗リノベーションの注意点

リノベーション 店舗
店舗リノベーションを成功させるためには、事前にいくつかの注意点を把握しておくことが大切です。まず、予算をオーバーしないように、詳細な資金計画を立て、予備費も考慮に入れておく必要があります。次に、消防法や建築基準法といった関連法規を遵守することも非常に重要です。特に店舗は、不特定多数の人が利用するため、一般の住宅よりも厳しい基準が適用される場合があります。これらを怠ると、工事のやり直しや営業停止命令など、大きなトラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。

予算オーバーを防ぐための詳細な資金計画を立てる

店舗リノベーションでは、初期費用だけでなく、工事中の予期せぬ出費や、事業開始後の運営費用も考慮した詳細な資金計画が不可欠です。予算を明確にすることで、費用の全体像を把握し、優先順位をつけながら必要な設備投資やデザイン要素を選定できます。

また、予備費として全体予算の10%〜20%程度を見込んでおくことで、万が一の追加工事や資材の高騰にも柔軟に対応でき、予算オーバーのリスクを軽減できます。実現したい店舗のイメージと予算のバランスを考えながら、現実的な資金計画を立てましょう。

消防法や建築基準法など関連法規を遵守する

店舗リノベーションでは、消防法や建築基準法をはじめとする関連法規を遵守することが非常に重要です。特に店舗は不特定多数の人が利用するため、一般の住宅よりも厳しい基準が適用されるケースが多く、これらの法規に違反すると、工事のやり直しや営業停止命令といった大きなトラブルに発展する可能性があります。

例えば、非常口の設置や消化設備の義務、内装材の防火性能などが厳しく定められています。また、耐震性やバリアフリーに関する規定も確認が必要です。工事を始める前に、必ず専門家や行政機関に相談し、適切な設計と施工を行うようにしましょう。

理想の店舗を実現するリノベーション会社の選び方


店舗リノベーションを成功させるためには、信頼できる会社選びが不可欠です。まず、これまでの実績や得意分野を確認し、自身の希望する業種での設計・施工経験が豊富であるかを重点的にチェックしましょう。例えば、飲食店を経営するなら飲食店の、美容室を経営するなら美容室の設計・施工経験が豊富な会社を選ぶと良いでしょう。その業種特有のニーズや規制、デザインのトレンドを熟知しているため、より実用性とデザイン性を兼ね備えた提案が期待できます。

また、大阪で飲食店のリノベーションを検討しているのであれば、大阪府内の飲食店実績が多い会社に相談すると、地域の特性を踏まえた提案が期待できます。会社のウェブサイトやSNSで過去の事例を確認し、自身のイメージと合致するかを見極めることが大切です。

デザインの提案力やコンセプトの理解度をチェックする

リノベーション会社を選ぶ際には、単に要望を聞き入れるだけでなく、お店のコンセプトを深く理解し、それを具体的なデザインに落とし込む提案力があるかどうかが重要です。

理想とする店舗イメージを正確に伝え、それに対して専門的な視点からどのようなアイデアや解決策を提示してくれるかを見極めましょう。デザイン性の高さはもちろんのこと、顧客の動線やスタッフの作業効率を考慮した機能的なデザインを提案できるかどうかも、成功の鍵となります。コミュニケーションを通じて、担当者の理解度や発想力を確認し、信頼できるパートナーを選びましょう。

見積もりの内訳が明確で分かりやすいか見極める

リノベーションの見積もりは、ただ金額が提示されているだけでなく、その内訳が明確で分かりやすいかを確認することが大切です。どの工事にどれくらいの費用がかかるのか、材料費や人件費が細かく記載されているかなど、詳細までしっかりチェックしましょう。不明瞭な点や疑問があれば、遠慮なく担当者に質問し、納得できるまで説明を求めることが重要です。

複数の業者から見積もりを取ることで、それぞれの提示内容を比較検討し、適正な価格であるかを見極める判断材料にもなります。

工事中の休業期間と売上への影響をシミュレーションしておく

店舗リノベーションでは、工事期間中の休業が売上に大きな影響を与える可能性があります。そのため、事前に綿密なシミュレーションを行い、休業期間中の売上減少額を正確に把握しておくことが重要です。

具体的には、過去の売上データや季節変動などを考慮し、リノベーション期間が事業に与える影響を予測します。このシミュレーション結果に基づき、資金計画を調整したり、一時的な収入源を確保したりするなど、具体的な対策を講じることが、経営を安定させる上で不可欠です。

参考になる!店舗リノベーションの成功事例

店舗リノベーションを検討されている方にとって、具体的な成功事例は非常に参考になりますよね。ここでは、KUJIRAが実際に店舗リノベーションを手がけた事例をいくつかご紹介いたします。これらの事例は、ただ見た目を新しくするだけでなく、お店のコンセプトやターゲット層、そして業務効率を深く考慮したリノベーションがいかに重要であるかを物語っています。完成イメージや工事方法などをぜひ参考にしてみてください。

訪れる人の時間を記録に – OURLOG COFFEE ROASTERS【大阪市中央区】

本町のリノベーションカフェ OURLOG COFFEE
「OURLOG COFFEE」はスペシャルティコーヒーと自家製のパン・スイーツを専門とするカフェ。
桃谷店・中崎町店に続き、3号店として本町店をOPEN。
OURLOGの“LOG=記録”という言葉を基に、過度に装飾を加えるのではなく余白を設計することで、『訪れる人の時間がそのまま記録になる場』を目指しました。

店の中央にそびえる木製の柱什器は、空間の主役でありながら、場を分け、つなぐ存在。
空間を緩やかに仕切りつつ、スピーカーや収納棚が組み込まれ、店舗・カウンター・動線・視線の中心軸を形成しています。

そしてその周りを人がめぐり、光がめぐり、音がめぐることによって、“記録の軸”としても機能するように。
この空間には、訪れる人の時間がゆっくりと静かに記録されていきます。

フランス製の黄色いポストが目印 街のパン屋さん【大阪市淀川区】


『365日、クロワッサンLetterで』がコンセプト。
大切な人へ手紙を送るように、日々の生活で些細な幸せを届ける。
格式がありながらも地域に愛されるベーカリーになることを目指した。

まちに溶け込む赤い扉、ネオポップな中華料理店【大阪市北区】

店舗外観
南森町駅から徒歩5分、天神橋筋商店街から一本路地に入った静かな立地にある中華料理店。
仕事帰りのサラリーマンやママ友の集まり、観光客など、さまざまな人がふらっと訪れることを想定し、親しみやすくニュートラルな雰囲気を目指してデザインした。

まとめ

店舗リノベーションを成功させるためには、計画段階からいくつかのポイントを押さえることが重要です。まず、コンセプトを明確にし、ターゲット顧客に響く魅力的な外観・内装を追求することで、集客力アップが期待できます。従業員の作業効率を高める動線設計も、リノベーションの大きなメリットの一つです。また、新築に比べてコストを抑えられる場合がある点も魅力です。

費用面では、業種や店舗の規模によって坪単価が異なり、飲食店は厨房設備の費用が高くなりがちですが、アパレルや物販店は比較的費用を抑えやすい傾向にあります。費用を賢く抑えるためには、既存の設備や内装を最大限に活用すること、国や自治体の補助金・助成金制度をリサーチすること、そして複数の業者から相見積もりを取って比較検討することが有効です。

リノベーションを進める上では、予算オーバーを防ぐための詳細な資金計画や、消防法・建築基準法などの関連法規の遵守が不可欠です。また、工事中の休業期間が売上に与える影響も考慮し、シミュレーションを行うことが大切です。理想の店舗を実現するためには、希望する業種での実績が豊富な業者を選び、デザインの提案力やコンセプトの理解度、見積もりの明確さなどを総合的に判断しましょう。

多くの成功事例を参考にしながら、ご自身の店舗に最適なリノベーション計画を立て、魅力あふれる空間を創り上げてください。

WRITERこの記事を書いた人

デザイナー

菅原 沙絵SAE SUGAHARA

設計 / 大阪府大阪市出身 / 普段からデザインを意識的に見て、自分ならどうするのか考えるようにしてます / インテリア雑貨が好きでナチュラル・シンプルなものを集めることにはまっています

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