「今日眠い人?」子どもたちの“秘密会議”から生まれた、職員さんへのサプライズ靴箱

目次
KUJILIKEって?
「KUJILIKE」は、“DIY”を通して“子どもたちの機会格差”を減らす、クジラ株式会社独自の活動。
児童養護施設で暮らす子どもや障害のある子どもは、環境によって出会い・挑戦・成功体験が限られやすいという課題があります。
私たちは各施設を訪問し、子どもたちと一緒に「つくる」プロセスを設計。空間が整うことで日々の快適さが上がり、同時に“自分の手で変えられる”感覚を育んでいきます。
大切にしているのは、失敗してもやり直せる安全な挑戦の場を用意し、「自分にもできる」「未来を選べる」という自己効力感につなげること。
今回は、その活動のご報告です。
玄関の靴が教えてくれた、小さな困りごと
施設の玄関には、子どもたちと職員さんの靴が並びます。
しかし、その靴をきれいに整理するための場所がありませんでした。
誰の靴がどこにあるのか分かりづらく、子どもたちと職員さんの靴も同じ場所に並んでしまう状態。忙しい朝には、靴を探す小さなストレスも生まれていました。
玄関は、その場所に暮らす人が必ず通る場所です。
だからこそ、毎日少しずつ積み重なる「ちょっとした不便」は、生活の心地よさにも影響します。

以前、子どもたちの靴箱をDIYで作ったことがありました。
そこで今回は、日々子どもたちを支えている職員さんのための靴箱を作ることに。
ただ整理するだけではない、もう一つの目的を込めて。
子どもたちの“秘密のリモート会議”
今回の靴箱づくりには、ある作戦がありました。
それは、職員さんには内緒のサプライズ計画です。
事前に子どもたちと「秘密のリモート会議」を開催。
職員さんに気づかれないように、どんな靴箱にしたら喜んでもらえるか、アイデアを出し合いました。
そこで生まれたのが、靴箱に取り付ける“言葉の仕掛け”。
プラ板に書くフレーズを子どもたちと一緒に考えました。
「どんな靴箱なら喜んでくれるかな?」
「靴入れる場所にさ、なんか言葉書いてあったら面白くない?」
その一言で、会議の空気が一気に動きました。
「それいい!」
「じゃあ先生によって違う言葉にしようよ」
アイデアが次々と飛び出します。
そのとき、別の子がふっと言いました。
「“今日眠い人”とかどう?」
一瞬静かになったあと、
画面の向こうから笑い声が上がります。
「それ絶対〇〇先生じゃん!」
「朝めっちゃ眠そうなときあるよね!」
誰のことを思い浮かべているのか、
みんなすぐに分かっている様子でした。
その他にも案がどんどん飛び出し、あっという間にメモ用紙がいっぱいになりました。
今日夢見た人、お腹空いている人、肩凝っている人・・・
靴を入れる場所によって言葉が変わる、ユーモアのある靴箱になる予感がしていました。
子どもたちが職員さんに思わず話しかけたくなるような、会話が生まれる仕掛け。
靴箱を作ったあとの日常まで想像しながら、今回のDIYの設計は進んでいきました。

「職員さん、喜んでくれるかな?」
DIY当日、子どもたちはただ作業をするだけではありませんでした。
「この言葉、絶対おもしろいよ」
「〇〇先生ここに入れるかな?」
そんな会話が自然と生まれていきます。
日頃お世話になっている職員さんの顔を思い浮かべながら、
「どうしたら楽しんでもらえるか」を考えて作業を進める子どもたち。
完成まで職員さんには秘密。
だからこそ、子どもたちの表情にはワクワクがあふれていました。
モノづくりは、ただモノを作ることではありません。
誰かのことを想像し、相手のために工夫する時間そのものが、かけがえのない経験になります。
この靴箱づくりには、そんな瞬間がたくさん詰まっていました。

靴箱が生んだ、サプライズと会話
靴箱が完成したあと、いよいよサプライズの瞬間です。
職員さんに新しい靴箱を見てもらうと、そこにはユーモアのある言葉が並んでいました。
思わず笑いながら靴を入れる職員さん。
「え、なにこれ…“今日眠い人”?!」
その瞬間、
周りにいた子どもたちが声を上げます。
「ほら!やっぱり!」
「先生そこだよ!」
その様子を見て、子どもたちも嬉しそうに話しかけます。
靴箱は、ただ靴を整理するための家具ではありません。
そこには子どもたちの「ありがとう」と、「話しかけるきっかけ」が詰まっています。
玄関で生まれる何気ない会話。
その小さなコミュニケーションが、日常を少しずつ温かくしていきます。

最後に
今回のDIYで子どもたちが作ったのは、靴箱だけではありませんでした。
職員さんへの感謝の気持ち。
誰かのために考える時間。
そして、人と人をつなぐ会話のきっかけ。
それらすべてが、この靴箱には詰まっています。
KUJILIKEはこれからも、子どもたちが新しい経験に出会い、
自分の手で未来をつくるきっかけとなる場を届けていきます。

