ウォークスルークローゼットとは?失敗せず機能的に使える間取り実例も!
ドタバタと身支度をする朝、忘れ物をしてクローゼットに取りに行ったものの、なかなか見つからない……。
もう少し、スマートに暮らせないものか。
こんな悩みを持つ人にぜひおすすめしたいのが、「ウォークスルークローゼット」。
ウォークスルークローゼットは出入り口が2ヵ所あり、通り抜けができるタイプのクローゼット。回遊性が高まることでより暮らしやすい生活動線の確保につながり、リノベーションの際に導入するという人が増えています。
メリットデメリットは?今の間取りへの影響は?設置に失敗しないために注意すべきことは?今回はそんなウォークスルークローゼットについて、じっくりと見ていきましょう。
目次
ウォークスルークローゼットとは
収納が一つになって便利。使い勝手抜群
「ウォークスルークローゼット」とは、簡単に言うと「通り抜けできる」クローゼットのこと。型によりますが、廊下の両サイドに収納があると考えるとイメージしやすいかもしれません。
出入り口が2ヵ所あるため、部屋から部屋へと移動する動線上に作ることで効率的に身支度が済ませられるのも魅力。
設置スペースにもよりますがある程度の広さを確保できるので、よく使うアイテムなどを一つの場所に集約して収納することも可能です。
また、物件の間取り図上では、英語表記の頭文字をとって、「WTC」と表記されています。
ウォークインクローゼットとの違い
収納を示す似た用語として「ウォークインクローゼット」がありますが、違いはどんなところでしょうか。
その違いは名の通り、「スルー=通り抜けできる」と「イン=入ることができる」の部分。
ウォークスルークローゼットとウォークインクローゼットは、人が入ることができる広いスペースの収納ということは共通していますが、一番の違いは「通り抜けできるかできないか」です。
ウォークスルークローゼットには出入り口が2ヵ所ありますが、ウォークインクローゼットには出入り口が1ヵ所しかないため通り抜けはできずません。
そのため、動線などを考えると室内での設置場所などが大きく異なってきます。
配置パターン(レイアウト)の種類は大きく4つ
ウォークスルークローゼットの配置パターンの種類は、大きく分けて「I型」「Ⅱ型」「L型」「U型」の4パターンがあります。
I型:省スペースな収納
「I型」は、通り抜ける通路の片側に収納があるタイプ。廊下の壁側の片方だけに収納できるスペースがあると考えると、イメージしやすいかもしれません。片側だけの収納なので幅が割と狭い空間でも設置でき、日本の狭小住宅においては採用されやすいパターンであると言えるでしょう。片側だけで収納力としてはそこまで高くないため、多くの衣類を収納するのは難しいかもしれませんが、身支度の際によく取り出すものなどをすっきりと収納しておくのには、とても便利です。
Ⅱ型:両壁に収納できる
「Ⅱ型」は、通り抜ける通路の左右両側に収納があるタイプ。廊下の両側に靴やドレスを収納して身支度の際に選んでいる様子などは、海外ドラマなどでもよく見られる憧れのシチュエーションだったりしますよね。両側に収納を設けるということは、設置する場所にそれなりの広さ(幅)が必要となります。
L型:玄関などに多い
「L型」は、壁が2面あるコーナーに設置されるタイプ。ちょうどLの文字のような型の収納です。住宅においてデッドスペースとなってしまっているL字型のコーナー、ありませんか?もしあるのなら、これを有効活用しない手はありません。部屋に対して収納が開放されている見映えであるため、整理整頓をより意識したり、お気に入りの洋服を全面にかけたりと、「見せる収納」を心がけることが大切。2面あるため、収納物の分類がしやすいのも魅力です。外出の際の動線を考えて、コートや外出の際に忘れがちなものを収納しておくなど、玄関近くに設置する例も多く見られます。
U型:たくさん収納できる
「U型」は、壁が3面あるコーナーに設置されるタイプ。ちょうどUの文字が折れ曲がるような作りの収納です。扉のないウォークインクローゼットが通路に沿って凹型に掘られていると考えるとイメージしやすいでしょう。厳密に言うと通り抜けはできないため生活動線上に作るのはやや困難ではありますが、壁3面分の収納ができるため収納の仕分けもしやすく、収納スペースもたくさん確保できます。
ウォークスルークローゼットのメリット
通路として動線を確保できる
「動線」と「収納」を両立できるというのが、ウォークスルークローゼットの最大の魅力です。
「通路に収納がある」生活を一度経験してみると、想像するよりもはるかに便利なことがわかります。家族のライフスタルに合わせて、よく通る場所にそのときに必要なものを収納しておくことで、暮らしやすさが格段に上がります。
例えば、リビングから浴室に行く動線上にウォークスルークローゼットを配置し、タオルや着替えを収納しておけば、部屋の往来が必要なくスムーズ。部屋の中を行ったり来たりするといった無駄な動きが格段に減るでしょう。身支度や家事の時短にも直接的に作用します。
どこにどんな形でウォークスルークローゼットを設置するかは、その家の間取りや家族のライフスタイルによっても異なるので、そのあたりをふまえつつ、暮らしやすさをイメージしながら設置するといいでしょう。
おしゃれな雰囲気に。インテリアとしても
型にもよりますが基本的には開放的な空間であり、「見せる収納」となるウォークインクローゼット。
例えば通路の両面を収納にするⅡ型の場合は、片面を棚にして小物類を設置し、片面は棚の形状にせずハンガーパイプだけを設置してずらりと洋服をかければ、まるでおしゃれなセレクトショップの内装のような雰囲気に。
インテリアにもなり、家全体の洗練度が上がるでしょう。リノベーションの際に導入を検討する人が多い理由は、おしゃれに見えつつ収納ができる機能性の高さにあります。
また、クローゼットというと目隠し的につい衣類や荷物をうず高く積み上げてしまいがちですが、通路でもあるウォークスルークローゼットであれば自然と整理整頓を心がけられるようになり、結果、家全体がすっきり。収納の仕方も雑然と置いてしまうと台無しなので、壁紙をかわいい色にしたり、おしゃれな収納ケースを置いたりと工夫する人も多いようです。ディスプレイする感覚で、収納自体を楽しむことができます。
収納スペースをまとめられて便利
通常の収納は部屋の奥側の壁にあることが多いですが、一方でウォークスルークローゼットは通路の延長線上、つまりは生活動線上にあるため、周辺でよく使うアイテムなどをそこに一貫して置いておくことができます。
基本的には生活でよく使用する日用品を置いておくスペースなので、「あれどこにしまったっけ?」となることが少なくなり、使うものをすっと取り出せるというメリットが。「タンスの肥やし」とも、おさらばです。
例えば日用品のストックとして利用する場合は、何がどれくらいストックされているかを把握しやすい状態に。洋服を収納する場合も、家族の手持ちのアイテムが一目瞭然。広さによっては家族全員の着替えをまとめて収納して、使いやすくしているという例も。
一か所に色々な物を収納することができるので使うときに探す手間が省け、バタバタとした身支度時でもコーディネートを組みやすいという利点も。どこに何を収納しているかを把握しやすいのも、いいところです。
風通しがいい
ウォークスルークローゼットは出入り口が2ヵ所あり扉を設置しないため、通風がよくなります。意外と忘れられがちですが、いい家の条件として重要なポイントの一つに「通風の良さ」があります。
収納している衣類や小物を湿気から守り、キレイな状態でキープすることが可能です。
ただし、洗面所や浴室、キッチンのような水回りの近くに設置する場合は湿気が溜まりやすくなるため、調湿材や湿気・カビ取り剤を積極的に取り入れてケアをする必要があるでしょう。
風通しはもちろん、設置する場所によっては採光が入りやすくなるというメリットも。さらに、ウォークスルークローゼット内に窓を取り付けるというアイデアもあります。自然光が入るクローゼットなんて、考えただけでも素敵ですよね。
ウォークスルークローゼットのデメリット
設置スペースの確保が難しい
新築でウォークスルークローゼットを採用する場合はまだしも、リノベーションで現状の間取りに追加でつける場合は、設置する場所の制限も出てきます。どの型を選ぶかにもよりますが、収納スペースのほかに移動スペースを確保する必要が。すでにある空間をある程度つぶすことにはなってしまうので、現状の部屋が少し狭くなってしまったと感じるのは致し方ないでしょう。
クローゼットとして十分なスペースを確保するためには、いい配置がなかなかない間取りの場合も。と同時にライフスタイルに沿った部屋全体の動線も意識する必要があるため、配置場所の確保が難しくもあります。
収納スペースが狭くなる
ウォークスルークローゼットには、収納スペースだけでなく通り抜けスペースも必要です。生活動線を意識するあまり収納できるスペースが狭くなってしまうのでは、本末転倒です。
また、出入り口が2ヵ所あるということは、収納として活かせる壁面を一つつぶすいうことでもあります。そのために、当然ウォークインクローゼットよりも収納に使えるスペースは少なくなってしまいます。収納する荷物が多いという人は、より検討が必要でしょう。裏を返せば、断捨離には向いています。ウォークスルークローゼットの導入は、「必要なものを必要なだけ持つ」というミニマルライフへの近道ともいえます。
また注意したいのは、引き出し付きの収納を導入する場合。引き出しを手前に引いたときに、通路の妨げになってしまわないかを検討する必要があります。
何を収納するかにもよりますが、奥行きがあまりにもなさすぎるとかえって収納しているものが飛び出してきて、見た目がすっきりとは程遠い……なんて事態にもなりかねません。
設置に失敗しないための注意点
マンションでもOK?今の間取りを変えない設置方法
間取りがある程度がっちり決まっているマンションの場合、ウォークインクローゼットの配置は可能なのでしょうか。間取り自体を変えてリノベーションすることは可能でも、設置したい場所に建物全体を支える構造体があると穴が開けられないなど、間取り変更に制限がある場合も多いのがマンション。動線的に設置したい位置に、ウォークスルークローゼットを設けられないこともあります。無理矢理作ったとしても逆に不便になったり景観を損ねてしまう場合もあるため、リノベーション業者によく相談してみるといいでしょう。
通路の幅を確保できるか
ウォークスルークローゼットの最大のメリットである「通り抜けできる」ことは、通路の幅がそれなりに確保できてこそ。
人が通り抜けしやすい通路幅は、一般的な廊下と同様の80㎝前後。その上に収納スペースも確保することを考えると、何を収納するかやレイアウトにもよりますが、I型なら1.2m以上、II型であれば1.8m以上を目安にすると良いでしょう。
収納を確保したいがために通路幅を狭くするという場合もありますが、それでは本末転倒。洋服や荷物におしつぶされた場所を通りつつの生活は、決していいものとは言えません。
「床から天井までの壁面収納」「ハンガーラック収納」「飾り棚収納」など、どんな収納スタイルにするかもサイズの確保の際に一緒に検討しておきたいものです。どこに設置するか、何を収納するかをイメージしながら、より具体的にシミュレーションすることが大切です。
生活動線を具体的にイメージする
ウォークインクローゼットを設置できる場所や、通路の幅を確保できるスペースなどを考えると、どこに設置できるかが物理的に決まってきてしまう場合も多いウォークスルークローゼット。
可能な場所に設置したとして、家族のライフスタイル的に果たして設置する意味がある場所なのか?を十分に検討する必要があります。
ウォークスルークローゼットの一番の目的は、収納の効率化と生活動線の向上にあります。
例えば朝の身支度をベースに考えて設置したとしても、夜のライフスタイルに変わったときに不便はないか?一日の時間軸をすべて考慮に入れた上で生活動線を検証し、本当にその位置でいいのか?具体的に検討することが大切です。
物事にはメリットデメリットが必ず存在するため、メリットがデメリットを格段に上回ると確信できるまで、何度もシミュレーションを重ねることが、後悔しないポイントです。せっかく設置したのにも関わらず、実際導入してみるとかえって余計な動きが増えて不便で使いにくかった……や、思いのほか収納できるものが少なかった……というのでは、もったいありません。家族のライフスタイルに合致しているか、生活動線的にじゃまになったりはしないか、何を収納するか、どれくらいの量を収納するか……と、いろいろな側面で具体的にシミュレーションすることが、成功のカギです。
どの部屋に配置する?設置スペース実例
レイアウトの例として、玄関とリビングの間や、寝室と玄関の間など、2部屋をまたぐスペースに配置するのがおすすめです。
玄関とリビングをつなぐ
玄関と直接つながるウォークスルークローゼットがあると、コートをすぐに脱ぎ着できる場所があるので便利。特に、花粉症に悩みがある方は部屋に花粉を持ち込まずに済むのでおすすめです。また、使用頻度の低いアウトドア用品の収納にも効率の良い位置です。
▼クローゼットや洗面など動線効率を考えたマンションのリノベーション事例はこちら!
寝室と玄関をつなぐ
寝室と直接のつながるウォークスルークローゼットは、時間のない朝の身支度を効率的に。
玄関の近くに入口を設けることで、帰宅後すぐに着替えたい人にも便利です。
玄関から見える部分なので、収納の中を目隠しできるようカーテンを設置しました。
▼見せる・見せない収納にこだわったマンションのリノベーション事例はこちら!
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