リノベーションの期間と工事の流れについて解説
Writer 西山竜平 施工管理WORKS 新築の施工管理を経験したのちにクジラにジョイン。一級施工管理技士の資格も取得。社内外から絶大な信頼を得る、クジラが誇る男前。 |
リノベーションを計画する際、だいたいどれくらいの期間がかかるかというのは検討材料の大きな一つとなります。全体的にフルリノベーションする場合と部分的にリフォームする場合でも、工期は大きく異なります。今回の記事では、フルリノベーションをする際の準備期間や工事の流れ、部分リフォーム別の工事期間について紹介します。現在の住まいをどのようにリノベーション/リフォームすれば理想の住まいに近づけるかのヒントとして、ぜひご活用ください。
目次
リノベーションにかかる期間の目安
リノベーションにかかる期間は、大きく設計期間と工事期間に分けられます。特に住まいを全体的にリノベーションするフルリノベーションの場合は、実際に工事に移る前のプランニングなどの準備期間が必要となってきます。フルリノベーションの設計期間の目安は1~2ヵ月、工事期間の目安は2~3ヶ月程度です。
ただし、これはあくまでも目安。プランニングがなかなか進まない場合や資材の発注に時間を要する場合などは、設計期間と工事期間を合わせて半年以上、リノベーション期間として要することもあります。
フルリノベと部分リフォームの違い
「リノベーション」と似ている言葉に、「リフォーム」があります。リノベーションは「リノベ」などとも略され、最近よく聞かれるリノベーション。現在の建物にプラスしてさらなる価値や機能を加えるのがリノベーションであることに対し、リフォームとは劣化している部分の修理修繕のことです。
建物の価値をよりグレードアップさせるために住まいを全体的にリノベーションするのが、「フルリノベーション=フルリノベ」(「スケルトンリノベーション」などとも呼ばれます)。壊れている部分を部分的にリフォームするのが「部分リフォーム」。現在の住まいの状態によってどちらが適切かを見極めて、どのように進めるかを判断するといいでしょう。
マンションと戸建ての工期の違い
フルリノベの工事期間は広さや構造によっても違いがありますが、目安としてマンションの場合は2〜3ヵ月、戸建ての場合は3〜4ヵ月程度と思っておくといいでしょう。マンションの場合、リノベーションできるのは専有部のみとなるため、一般的には戸建てよりも工期が短く済みます。
もちろん、これらはあくまで目安。見積もりを取る際に、リノベーション会社に正式な工期を確認することが必要です。
フルリノベーションの工程
フルリノベーションの場合、何段階かの工程を経てから実際の着工に移ります。工程の流れをあらかじめ把握しておけば、いつからリノベーション計画に着手すればよいかのイメージがつきやすくなります。
・相談
リノベーションを計画する際、まずはリノベーション会社に相談するところからはじまります。理想の住まいへとリノベーションするためには、数多くあるリノベーション会社のどこにお願いするかはとても重要なポイントです。よく検討した上で決定し、希望する住まいのイメージや予算などを相談しましょう。
またリノベーションが長期にわたる場合は、仮住まい先探しも初めておいたほうがいいでしょう。
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・現地調査
リノベーション会社の担当者が実際に物件に立ち会い、現地調査が行われます。間取りや水回りの現状を把握することで、どの程度のリノベーション変更が可能かをここで判断します。
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・プランニング・見積もり
現地調査の結果や相談内容をもとに、リノベーションプランを計画します。リノベーションにかかる費用についてはこの段階で見積もりしてもらいます。プランニング自体に費用が発生するかどうかも、ここできちんと確認しておくといいでしょう。間取り、資材、設備についての仕様もこの段階で決定していきます。
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・契約
リノベーションプランが確定したら、リノベーション会社と工事請負契約を結びます。マンションの場合は、管理会社にも承認を受ける必要があります。並行して、仮住まい先への引越し手続きなども済ませておきましょう。
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・着工
現地調査を行い1~2ヵ月かけてリノベーションプランを完成させたら、いよいよ着工です。大規模なリノベーション工事となる場合は、近隣へのあいさつを忘れずにしておきましょう。
解体工事から完成までの流れ
フルリノベーションをする場合、まずは解体作業から。キッチンや洗面台、トイレ、ユニットバスなどの水回り設備を撤去し、不必要な間仕切り、天井、床などの建物を解体し、いわゆる建物を「スケルトン」の状態にします。
ただし場合によってはすべてを取り壊すことなく、使える部分は生かしつつ進めるのがリノベーションにおける解体作業の特徴です。そのため、慎重かつ丁寧に作業が進められます。
工期に影響を与える要素
マンションリノベーションの場合は、マンション管理側の許可を得る必要があることや、工事できる曜日や時間帯が限定されることも多いため、思いのほか完了までに時間が要することがあります。
戸建てリノベーションの場合は、建物の躯体に手を加えることも多く解体の必要なども出てくるため、大がかりな工事になる場合が多いです。解体したときの構造状態によっては追加の工事が必要となることもあり、その場合は、さらに時間がかかります。外壁や屋根部分をリフォームする場合は、天候にも大きく左右されます。雨の多い梅雨時期や台風が多い季節などは、工事が長期化しがちです。
部分リフォーム別の工事期間
部分リフォームの場合は、どこを施工するかによりかかる工期が変わってきます。諸条件にもよりますが、施工場所ごとにかかる期間の目安を見ていきましょう。
施工場所 | 工事期間(目安) |
リビング | 1日〜1週間 |
キッチン | 1~3日 |
浴室やトイレ | 1~3日 |
床材の張り替え | 2~1週間 |
天井の張り替え | 4〜10日 |
上記の期間はあくまで目安であり、場所移動や配管工事を伴う場合はさらに工事期間が伸びるケースもあります。
リビングのリフォーム
リビングのリフォームは、壁紙や天井、フローリングの張り替えがメインとなります。施工する面積によりますが、壁紙や天井の張り替えは1~2日、フローリングの張り替えは2~3日と、比較的短い時間で済みます。施工する部屋が多くなれば、その分時間がかかります。
床暖房交換の場合は3~4日、壁面収納の設置は1~3日、隣室と仕切っている壁を撤去する場合は3~7日程度が目安。これらを全て行う大がかりなリノベーションをする場合は、3~4週間の工事期間を見ておくといいでしょう。
キッチンの交換
キッチンの交換は、位置を変更するかどうかにより工期が変わってきます。位置は変えずにキッチン自体だけを交換する場合は、2〜4日ぐらいで工事は完了します。壁や床の補修や給排水管工事を行った場合でも、1週間程度見ておけばリノベーションは完成します。
長く工期がかかるのは、キッチンの位置変更をする場合です。配管や電気配線の工事、キッチンがあった部分の内装工事が必要となり、2週間程度が必要となります。間仕切り壁の撤去や設置を伴う場合は、4週間程度かかる場合もあります。
浴室やトイレのリフォーム
浴室のリフォームでは、新しいユニットバスへの交換工事の場合は4日程度かかります。既存のユニットバスを解体し、新しいユニットバスやドアを設置し、水道の配管工事や電気工事を行います。在来浴室からユニットバスへの変更は、浴室の壁の補修などの基礎工事が必要になり、1週間ほどかかります。
洗面台の交換は、1日程度。壁紙や床材を張り替えるなど、洗面所全体をリノベーションする場合には、3日~1週間程度見ておくといいでしょう。
トイレの交換工事は、通常1日で完了します。和式トイレから洋式トイレに変える場合は、2~3日程度の工事期間が必要です。さらに温水洗浄便座を設置すべくコンセントの配線が必要となる場合は、3日〜1週間は要します。
リノベーション前の準備期間と見積
先述したようにフルリノベーションの場合は、着工前の準備期間をカウントしておく必要があります。フルリノベーションの設計期間の目安は、1~2ヵ月。工事が進んでから「思ったものと違う」と後悔することがないように、フルリノベーション前にはリノベーション会社との十分な打ち合わせが必要です。
ヒアリングした要望や現地調査の結果をもとに、リノベーションプランの作成が行われます。この際に、リノベーション会社から見積もりが提示されます。プランニング自体が見積もりに入っているかどうかについても、ここできちんと確認しておく必要があるでしょう。
プランニングと見積もりのポイント
リノベーションのプランニングが進むと、見積もりが提示されます。その際にチェックしておきたいポイントについて見ていきましょう。
見積もりの有効期限について
見積もりには、有効期限が設定されています。資材の価格変動やキャンペーンの適用などにより、金額が変動することがあるためです。記載されていない場合は、見積もり金額がいつまで有効かはきちんと確認しておきましょう。
とはいえ、「今すぐ契約すればこの金額で対応します」と急かすリフォーム業者には、注意が必要です。リノベーションにかかる費用は、決して安いものではありません。焦らずじっくり考え、納得のいく内容で契約を結びましょう。
明細が記載されているか
見積書には、「一式」などという表現で工事内容がまとめて記載されているケースがあります。数量や単価などの詳細が記載されていない場合は、どのような工事を行うのか内訳を明確にしてもらうのがポイントです。確認した際に詳しい内容をきちんと提示してくれるリノベーション会社は、安心できます。後に何かのトラブルになることのないよう、見積書の内容は詳細まできちんと理解しておきましょう。
アフターサービスは充実しているか
見積もり金額が単純に安いということだけではなく、工事中のトラブルや引き渡し後のアフターサービスに対してどこまで対応してもらえるかについても、確認しておきましょう。例えば引き渡し後は、点検を行うタイミングや不具合についての対応についてなど、アフターサービスが充実している会社を選ぶのがポイントです。
いざ住み始めると、引き渡し時にはわからなかったことに気づくことがあります。大きなトラブルはもちろん、小さなトラブルでも相談しやすいリフォーム業者であるといいでしょう。
担当者との相性
プランニングを進めるなかで、はじめのうちはとくになるべく対面での会話をしながらの打ち合わせを心がけましょう。どうしても予定が合わない場合はリモート打ち合わせや電話での打ち合わせでも進められますが、対面のほうが微妙なニュアンスが伝わったりします。
適切なコミュニケーションを密に取ることでいかに担当者とのいい関係性を築けるかも、理想のリノベーションに近づける一歩です。これは意外な盲点ではありますが、とても重要な部分です。
工事中の仮住まいについて
リノベーション中はそこに住み続けることはなかなか難しくなります。仮住まいが決まらなければ、工事も始められません。設計の打ち合わせを始めるのと同じタイミングで、仮住まい探しにも取り掛かりましょう。
仮住まいが必要な場合とその対策
現在住んでいる住宅をフルリノベーションする場合は、工事中に住むことは難しいでしょう。そのため、工事期間に住む仮住まいを確保しなくてはなりません。フルリノベではなく、部分的なリフォームの場合でも、特に水まわりの工事などでは生活に支障が出て、音や人の出入りがあり生活する上でのストレスになります。その場合は、仮住まいを検討しましょう。
ついリノベーションやリフォームにかかる費用ばかりを計算してしまいがちですが、仮住まいにかかる費用もきちんと予算に組み込んでおきましょう。仮住まいの選択肢としては、一般的な賃貸住宅のほか、ウィークリーマンション・マンスリーマンションやホテルなどが考えられます。仮住まいの賃貸を専門にしている業者もあるので、リフォーム業者に相談してみるのもいいでしょう。
リノベーションの完成を早めるポイント
繁忙期や長期休暇は職人の手が足りず、工期が延長しやすくなります。また台風シーズンも工事がストップすることが多いので、避けた方が無難です。スムーズにリノベーションを進めるためにはどの時期がいいかを、リノベーション会社に相談しましょう。
スケジュール管理と業者選び
数多くのリノベーション会社がありますが、リノベーションを検討することになったら早めにリノベーション会社のリサーチをスタートできると安心です。当然ながら会社によっては進め方や予算が異なりますし、得意とする分野も変わってきます。いかに早く自分の希望のリノベーションを叶えてくれるリノベーション会社と出合えるかが、リノベーションを成功させる大きなカギとなります。
望むリノベーションを納得のいく価格でやってくれる会社を、根気よく探しましょう。ネット検索と並行しながら、実際にリフォーム会社に足を運んで説明を聞きにいって見積もりをするなどすると、より具体的にイメージがしやすくなります。
また、リノベーション会社にはいつまでにリノベーションを終わらせたいかの希望は必ず伝えるようにしましょう。いつまでにプランを確定させるのか、いつまでに契約をするか、余裕を持ったスケジューリングをしながら進めるといいでしょう。
まとめ
特にフルリノベーションを考える場合は、ある程度の期間がかかります。工事期間だけでなく、リノベーション会社探しや仮住まい探しなどの事前の準備や、理想のリノベーションを実現させるプランニングの設計期間にも、多くの時間がかかることを覚えておきましょう。
建て替えよりも費用をおさえつつ、現在の住まいをより暮らしやすいものにブラッシュアップしてくれるのがフルリノベーション。毎日過ごす住まいがさらに暮らしやすくなるなんて、夢が広がりますよね。KUJIRAでは、フルリノベーションの実績が豊富にあります。まずは、独自のワンストップリノベーション実績のあるKUJIRAに、ぜひお気軽にお問い合わせください。お客様と伴走し、理想のリノベーションを叶えます。