リビングのリノベーション費用や工事内容を徹底解説!ポイントや事例も紹介
Writer 松尾翔 デザイナー WORKS 大学院中退後は設計デザイン事務所で修行を積み、2018年にクジラにジョイン。住宅から店舗まで幅広く設計案件を担当。「SEKAI HOTEL」のデザイン統括も担当している。 CREATOR’s STORY|松尾 翔 |
リビングは家族が集まり、くつろぎや団らんの時間を過ごす大切な空間です。近年では、リビングにワークスペースを設けたり、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)を一体化するなど、多様なリノベーションのニーズが高まっています。リビングのリノベーションを考える際には、費用や工事内容、準備が重要なポイント。この記事では、リビングリノベーションの工事内容や費用相場、さらには準備において気を付けるべき点を解説します。
目次
リビングリノベーションの工事内容・工期と費用相場
リビングのリノベーションには、壁紙の張り替えや床材の変更、さらには間取りの変更など、さまざまな工事が含まれます。それぞれの工事内容によって工期や費用が大きく変わるため、事前に計画を立てることが大切です。
壁紙/クロスの張り替え
リビングの印象を一新する方法として、壁紙やクロスの張り替えが最も手軽なリノベーションの一つです。
例えば、白やベージュ系の明るい色に変更することで、空間が広く感じられるでしょう。逆に、アクセントとして一部の壁に柄物や濃い色を採用することで、メリハリのあるおしゃれな空間を作り出すことができます。
費用相場は、20帖の広さで壁紙を全面的に張り替える場合、30万円前後が目安です。選ぶ素材やデザインによって価格は変動しますが、比較的リーズナブルにリビングの雰囲気を変えることができるでしょう。
工期は2〜3日程度で完了することが多く、他のリノベーションに比べて短期間で済むのも魅力の一つです。
フローリングの張り替え
リビングのフローリングを張り替えることで、空間全体の質感や雰囲気が大きく変わります。特に、無垢材のフローリングは人気があり、使い込むほどに味わいが増すため、自然素材ならではの温もりを感じられるでしょう。最近では、床暖房に対応した無垢材も増えており、快適さを向上させるリノベーションが可能です。
費用は素材によって異なりますが、20帖のリビングでフローリングを全面張り替える場合、50~100万円程度が相場です。無垢材や高級フローリング材を選ぶと、さらに高額になることがあります。工期は約1週間程度で、選んだ材料や工法によって前後するでしょう。
間取り変更(間仕切り設置・撤去)
昔の家では、キッチン、ダイニング、リビング、和室などが細かく区切られていることが多く、現在のライフスタイルには合わないケースが見られます。そのため、LDKを一体化するリノベーションが人気です。これにより、開放感のある広々とした空間が生まれ、家族が一緒に過ごしやすいリビングを実現できます。
また、リビングの一角にワークスペースや趣味のスペースを作るために、間仕切りを設置するケースも増えています。リビングの中に自分だけの空間ができることで、集中して作業ができるでしょう。
間取りの変更は、建物の構造や規模によって費用が大きく異なります。壁の撤去や新しい間仕切りの設置だけの場合は50~100万円程度で済むこともありますが、大がかりな工事になると、さらにコストがかかるでしょう。
工期は通常1~2週間ほどで、壁の取り壊しや新しい仕切りの設置などが含まれます。
床暖房の設置
床暖房をリビングに導入することで、寒い季節でも足元から温かさを感じられる快適な空間が作れます。特に、無垢材の床と組み合わせることで、自然な温もりと高い断熱性を両立させたリビングが実現します。
床暖房の設置費用は、床材の種類やリビングの広さによって異なりますが、一般的には20帖のリビングで100~200万円程度が目安です。床暖房は工期が長めで、通常1~2週間を要するため、他の工事と合わせてスケジュールを調整することが重要です。
和室をリビングに
和室をリビングにリノベーションするケースもよく見られます。和室は、日本の伝統的な空間でありながら、現代のライフスタイルには合わないことが多いです。そのため、和室をリビングに改装することで、家全体の使い勝手が向上します。
最近のトレンドとしては、和の要素を残しつつ、モダンなリビングにリノベーションすることも人気です。例えば、小上がりの畳スペースをリビングの一角に設けることで、リラックスできる和の雰囲気を維持しながら、現代的な空間に仕上げることができます。
和室からリビングへのリノベーションは、畳の撤去や床の張り替え、壁の変更などが必要となるため、費用は50~150万円程度が相場です。工期は1~2週間が一般的ですが、和の要素をどれだけ残すかによって異なるでしょう。
リビングリノベーションの準備
リビングのリノベーションを成功させるためには、しっかりとした準備が必要です。特に、予算の設定や理想の暮らしのイメージを明確にすることが大切です。以下では、リノベーション前に考慮すべき準備のポイントを詳しく解説します。
予算設定
リビングのリノベーションにかかる費用は、工事の内容や規模によって大きく異なります。予算を設定する際には、どの部分にどれだけの費用をかけるかをしっかりと考えることが重要です。例えば、壁紙の張り替えだけにするのか、床や窓、収納まで手を加えるのかによって、総額が大きく変わるでしょう。
また、リノベーションでは、予期せぬ追加費用が発生することも少なくありません。そのため、予算には少し余裕を持たせ、想定外の出費にも対応できるようにしておくことが大切です。
一般的には、リビングのリノベーション費用として100~300万円が目安となりますが、間取りの変更や高級な素材を使う場合は、さらに高額になる可能性もあります。
理想の暮らしのイメージ
リビングのリノベーションを考える際には、まず理想の暮らし方をイメージすることが大切です。家族での団らんを重視するのか、ワークスペースを設けたいのか、それとも開放感のある広い空間を求めるのか、具体的なイメージを持つことが成功のカギです。
例えば、LDKを一体化して広々とした空間を作りたい場合や、リビングに小上がりの畳スペースを設けて和の要素を取り入れるなど、リノベーションの目的によって工事内容が変わってきます。
理想の暮らし方に合わせて、リノベーションの計画を立てることで、家族全員が満足できる空間を作り上げることができるでしょう。
構造・図面の確認
リビングのリノベーションを進める際、家の構造や図面の確認は重要です。特に間取り変更や床暖房の設置など、構造に影響を与える工事を計画する場合、事前に家の構造を把握しておく必要があります。
例えば、間仕切りを取り払う際に柱が構造体の場合、それを取り除けないことがあります。この場合、デザインに活かす工夫が求められるでしょう。また、配管や配線の位置も確認しておくことで、工事中のトラブルを防ぐことができます。
窓の位置やサイズを変更する場合は、耐震性への影響も考慮し、適切な方法で計画を進めましょう。専門家と相談しながら、構造的なリスクを避けた計画を立てることが大切です。
リノベーションで実現できるおしゃれなリビング作りのポイント
リビングは家族が集い、くつろぐ中心的な場所です。リノベーションによって、おしゃれで快適な空間を実現するためには、テイストやカラーリング、空間の使い方などいくつかの要素をバランスよく取り入れることが重要です。
ここでは、リノベーションのポイントを具体的に解説します。これらのポイントを押さえることで、自分らしい居心地のよいリビングが完成するでしょう。
テイスト
リビングのリノベーションを成功させるためには、全体のテイストを最初に決めておくことが重要です。北欧風、インダストリアル、ナチュラル、ヴィンテージなど、様々なスタイルから選べますね。北欧風のテイストであれば、白を基調としたシンプルな空間に木の温もりを取り入れるのが特徴です。インダストリアルスタイルでは、コンクリートの壁や金属素材を使うと無骨でクールな印象を与えます。
テイストを統一することで、空間全体にまとまりが生まれ、落ち着きのある雰囲気を演出できます。家族の好みに合わせたスタイルを選ぶと、より愛着のある空間になるでしょう。
カラーリング
リビングの雰囲気を大きく左右するのが、カラーリングです。壁や床、家具の色が調和していることで、一貫性のある空間を作り出せます。白やグレーなどのニュートラルカラーを基調にすることで、どんなインテリアとも馴染みやすくなりますね。
アクセントカラーを取り入れるのもおすすめです。クッションやラグ、カーテンなどの小物で青や緑などの色味を加えると、シンプルな空間にも華やかさが生まれます。カラーリングのバランスを意識し、明るすぎない落ち着いた配色を選ぶと長く愛されるデザインになるでしょう。
空間づくりと収納
リビングを広々と感じさせるためには、空間づくりが重要です。仕切りをなくし、隣の部屋とのつながりを意識することで、開放感のある空間が生まれます。最近では、和室やキッチンとリビングを一体化するリノベーションも人気。
また、造作家具を取り入れると収納力が高まり、空間をスッキリさせることができます。壁面収納やテレビボードを設置することで、見せたいものと隠したいものを使い分けられますね。無駄のない収納計画は、日々の生活を快適にする重要な要素です。
照明
照明の選び方で、リビングの印象は大きく変わります。天井のシーリングライトだけでなく、間接照明やフロアランプを組み合わせることで、空間に奥行きが生まれます。リビングの用途に合わせて明るさを調整できるよう、調光機能のある照明を選ぶと便利でしょう。
暖色系の照明を取り入れると、温かみのあるリラックスできる雰囲気が生まれます。一方で、読書などの作業をするエリアには白色系のライトを配置するなど、エリアごとに使い分けると良いですね。照明計画は、空間全体の印象を左右する大切なポイントです。
家具
家具選びもリビングの印象を大きく左右する要素です。大きなソファやローテーブルなど、部屋の中心となる家具を決め、それに合うサイドテーブルやチェアを選ぶとバランスがとれます。無垢材やファブリックを使った家具を選ぶと、温もりのある空間を演出できるでしょう。
また、家具の配置も重要ですね。大きな家具を壁際に寄せすぎず、部屋の中央に配置することで空間に余裕を持たせることができます。可動式の家具を取り入れると、季節や用途に合わせて模様替えがしやすくなるでしょう。
素材で雰囲気づくり
リビングの素材選びも、空間の印象を左右します。床材には無垢材やフローリング、カーペットなどさまざまな選択肢がありますが、それぞれ異なる雰囲気を生み出します。無垢材のフローリングは自然な温もりを感じさせ、冬でも足元が冷たくなりにくいでしょう。
また、壁材に漆喰やタイルを使うと、個性的な雰囲気を作り出すことができますね。リビング全体のテイストと調和する素材を選ぶことが、長く愛される空間づくりの秘訣です。素材をうまく活用することで、他にはないオリジナリティを演出できます。
生活動線
リビングは家族が日常的に使用する場所なので、生活動線を意識した設計が求められます。ソファからテレビへの視線が遮られないよう家具を配置する、キッチンとのアクセスをスムーズにするなど、ストレスのない動線を確保しましょう。
また、子どもやペットがいる家庭では、安全面も考慮した動線づくりが必要です。家具の角を避ける、コード類を目立たないようにまとめるなど、細かな配慮が空間の快適さを高めます。動線の工夫によって、家族全員が過ごしやすい空間を作れるでしょう。
快適な室温管理
リビングは家族が長時間過ごす場所なので、快適な温度管理が求められます。断熱リフォームを行い、窓を二重サッシにすることで冷暖房効率が向上しますね。また、床暖房を取り入れると冬でも足元から暖かさを感じられるでしょう。
エアコンだけに頼らず、シーリングファンや通気性を考慮した設計を取り入れると、一年中快適な空間を保てます。
温度管理をしっかり行うことで、家族全員が快適に過ごせるリビングが完成しますね。リノベーションの際には、断熱や通気性も意識した設計が大切です。
以上が、リビングのリノベーションで押さえておきたいポイントです。テイストやカラーリング、照明計画から生活動線まで、バランスよく整えることで、自分らしいおしゃれなリビングを実現できるでしょう。計画的にリノベーションを進め、快適な暮らしを楽しんでください。
リビングに最適な壁紙デザインと選び方
壁紙(クロス)はリビングの印象を大きく左右する重要な要素です。リフォームやリノベーションを検討する際、どのようなデザインの壁紙を選ぶかによって、空間の雰囲気が大きく変わります。ここでは、人気の壁紙デザインや選び方のポイントを解説します。自分の理想に合った壁紙を選ぶことで、リビングをさらに居心地の良い空間に仕上げられるでしょう。
人気の壁紙デザイン
現在、リビングに人気の壁紙デザインは、ナチュラルなものからアクセントの強いものまで多岐にわたります。特に次のようなデザインがよく選ばれていますね。
木目調デザイン
温かみのある雰囲気を演出できるため、北欧スタイルやナチュラルテイストのリビングによく合います。木目の濃淡や模様のバリエーションも豊富なので、自分の好みに合わせて選びましょう。
レンガやコンクリート風デザイン
インダストリアルな雰囲気を楽しみたい方におすすめです。無骨なデザインですが、家具の組み合わせ次第でモダンな印象にもなります。
花柄・ボタニカル柄
女性に人気の高いデザインで、エレガントな空間や癒しのある空間を演出します。リビング全体に使うのではなく、アクセントクロスとして一面だけ取り入れると、空間に奥行きが生まれるでしょう。
無地クロス
シンプルなリビングを求める方には無地の壁紙が人気です。特に白やベージュ、ライトグレーといった落ち着いた色合いが好まれます。無地のクロスは、他のインテリアとの調和がとりやすいのも魅力です。
幾何学模様やストライプ
シックでスタイリッシュな印象を与えるデザインです。スタイリッシュな家具との相性が良く、都会的な雰囲気のリビングに仕上がりますね。
壁紙の選び方とポイント
壁紙(クロス)を選ぶ際は、見た目のデザインだけでなく、素材や機能性にも注目することが大切です。次のポイントを押さえて選ぶと、満足のいくリビングづくりができるでしょう。
耐久性とメンテナンス性
リビングは家族が長時間過ごす場所なので、汚れが付きにくく、掃除がしやすいクロスを選ぶことが重要です。汚れ防止加工や防水性のある壁紙を使うと、日々のお手入れも楽になりますね。
機能性クロスの活用
近年は、防臭や抗菌、防カビ効果のあるクロスも登場しています。ペットや小さな子どもがいる家庭では、こうした機能性クロスを活用すると安心です。
アクセントクロスの使い方
一面だけ色や柄の異なる壁紙を使う「アクセントクロス」を取り入れると、空間にメリハリが生まれます。家具や照明との相性を考えながら、一部に個性的なデザインを加えるのも良いですね。
光の反射や吸収を考慮
壁紙の素材によって光の反射率が異なります。光を多く取り込むリビングには、明るい色合いで光を反射するクロスが向いていますが、逆に落ち着いた雰囲気にしたい場合は光を吸収する素材を使うと良いでしょう。
2階にリビングをリノベーションする際のメリット・デメリット
近年、リビングを2階にリノベーションするケースが増えています。一戸建て住宅の間取りを大胆に変更することで、暮らしの快適さを向上させる効果が期待できますが、メリットとデメリットをしっかり理解した上で検討することが大切でしょう。
メリット
プライバシーの確保
2階にリビングを設けることで、通行人の視線を気にせずくつろげる空間が確保できます。道路に面した1階よりも静かで落ち着いた雰囲気を楽しめるでしょう。
眺望を楽しめる
2階にリビングを設けると、窓からの景色を楽しめる可能性が高まります。特に自然や街並みを望むことができる立地であれば、開放的な空間が演出できますね。
日当たりの向上
一般的に2階の方が日当たりが良い場合が多いため、明るいリビングを実現できます。太陽光をうまく取り入れることで、冬場も暖かく過ごせるでしょう。
防犯性の向上
1階にリビングがあると、窓からの侵入が心配な場合もありますが、2階ならそのリスクを軽減できます。安心して家族が集える空間になるでしょう。
デメリット
生活動線の不便さ
2階にリビングがあると、1階との行き来が頻繁になり、家事動線が複雑になることがあります。特に食材や荷物を運ぶ際は少し不便に感じるかもしれませんね。
高齢者や子どもへの負担
階段の昇り降りが多くなるため、高齢者や小さな子どもには負担がかかる可能性があります。バリアフリー対策も考慮する必要があるでしょう。
リノベーション費用の増加
2階へのリビング移設には大掛かりな工事が必要となるため、費用が高くなりがちです。水回りの配管工事などが発生するケースも多いため、計画的な予算管理が重要です。
リビングのリノベーション事例
個性的なマテリアルが織りなす豊かなLDK
短冊状のオークフローリング、適度なムラのあるピンクベージュの漆喰壁、大理石モザイクの小上がり階段など、リビングから見える素材や形にこだわり個性的に仕上げました。
ひとつひとつの素材が個性的でありながら、トーンを合わせ、間接照明をうまく使うことで居心地のいいリビングに仕上げました。
▶︎費用:890万円(税別)
▶︎面積:約38.6㎡
▶︎築年数:築24年
畳や格子を取り入れた和モダンなリビング
格子天井や小上がりの天井を取り入れることで、和モダンなリビングに仕上げました。
ベージュ、白、グレーなどのアースカラーを基調とすることで、シンプルでありながらも温かみのある、居心地の良い空間になりました。
▶︎費用:1000万円(税別)
▶︎面積:約62㎡
▶︎築年数:築34年
自分のライフスタイルにあった計画を
リビングのリノベーションでは、壁紙選びや間取りの工夫が空間全体の雰囲気を左右します。人気の壁紙デザインや機能性クロスを取り入れることで、おしゃれで快適なリビングが実現できるでしょう。
また、2階にリビングを設けるリノベーションは、プライバシーや日当たりの向上といったメリットがある一方で、生活動線の不便さや費用面のデメリットもあるため、慎重な検討が必要です。自分のライフスタイルに合ったリビングを計画し、家族全員が快適に過ごせる空間を目指しましょう。