2025.02.07
最終更新日
2025.02.25
リノベーションのヒント

おしゃれな部屋になる壁紙の色は?内装による効果も紹介

リノベーション アクセントクロス 寝室
Writer
髙橋桃子
デザイナー WORKS
2016年に入社したスタッフの中で最もクジラ歴の長いメンバー。住宅のみならずオフィスリノベーションも得意としている。趣味は美味しいものを食べること。
CREATOR’s STORY|髙橋 桃子

部屋の空間の中でも広い面積を占める壁紙の色を変えると、雰囲気が大きく変わります。「今のインテリアに少し飽きてしまった」「もっと部屋をおしゃれにしたい」という場合は、壁紙の色を変えるのは、とても効果的です。壁紙の色を変える場合は、色が人に与える心理的効果にも注目してみましょう。

好きなインテリアテイストやデザインの観点で好きな色を選びつつも、色の持つ効果を考慮しつつその部屋でどう過ごしたいかに合った色の壁紙をチョイスすることで、より心地よく過ごす部屋を完成させることができるでしょう。

壁紙の色が心理に与える影響とは?


科学的にも明らかにされているという、色の心理効果。壁紙は面積が広いぶん、色の効果が大きく現れやすいです。壁紙によく使われる色が持つ心理的な効果を知ることで、その部屋での過ごし方をより充実させることにもつながります。まずは以下に、色の持つ効果を簡単にまとめました。

・白の壁紙……飽きずに長く使え、清潔感のある上品な空間。「白」といっても、混じり気のない「真っ白」、黄みがかった白、ベージュに近い白、グレーに近い白……。さまざまな色味があります。

・グレーの壁紙……スタイリッシュでモダンな印象を演出。白と黒の割合がどれくらいであるかによっても雰囲気は変わります。

・ベージュの壁紙……やわらかい雰囲気を醸して落ち着く空間にしつつおしゃれに。数あるカラーのなかでも最もリラックス効果が高いカラーと言えるでしょう。

・黒の壁紙……重厚でかっこよく、存在感のある印象を与える黒。体に余計な刺激を与えずに頭を冴えさせる効果もある反面、「収縮色」であるために空間を狭く見せてしまう場合もあります。

・赤の壁紙……やる気や活力を生み出してくれるカラー。交感神経を優位にして興奮状態へと導き、体感温度が上がるとも言われています。

・青の壁紙……涼しげでさわやかな青色は、気持ちを落ち着かせ清潔感を演出します。青でも緑がかった青緑系のターコイズやミントグリーンだと、よりおしゃれさを演出します。

・グリーンの壁紙……自然をイメージさせるグリーンは、安心感を与える効果があります。明るめの緑は、空間を開放的にします。明るく光を反射してくれるだけでなく、さりげない個性がプラスされます。暗めの深い緑は、まるで森林のようで、深いリラックスを呼んでくれるでしょう。鮮やかな緑はより個性的に。

・黄色やオレンジの壁紙……黄色やオレンジは、明るく元気な印象を作り上げます。どちらとも強い色味のある色なので、広い面積に使う場合は薄めの色を選ぶといいでしょう。オレンジは「コミュニケーションカラー」とも呼ばれ、会話をはずませる効果も。

・紫色の壁紙……気品のある紫色は部屋の雰囲気を個性的にワンランクアップさせてくれます。と同時に心を落ち着け、ストレスや不安感をやわらげる効果も。

ざっとの特徴を掴んだところで、以下ではもう少し掘り下げて、具体的に一つひとつの色を見ていきましょう。

白の壁紙で生まれる清潔感と上品さ

飽きずに長く使えることが重視される日本の住居の壁紙は、基本的に白であることが多いです。白の壁紙は、さまざまなテイストのインテリアにも合わせやすく、空間の統一感も出しやすいというメリットがあります。また、膨張色であるために空間に広がりを与え、光を反射して部屋を明るく見せてくれるという効果もあります。

「白」といっても、混じり気のない「真っ白」、黄みがかった白、ベージュに近い白、グレーに近い白……。さまざまな色味があります。スワッチなど小さな面積で見比べたときは一見そこまで差がない色でも、面積の広い壁に貼ると随分印象が違うことがあります。

混じり気のない「真っ白」は明るさがある反面、まぶし過ぎて気持ちが落ち着かないということも。シャープなインテリアにしたい場合は効果的ですが、リラックスしたい空間を演出したい場合は黄みがかった白、ベージュに近い白、グレーに近い白などのほうがおすすめです。いずれにしても、白の壁紙は、清潔感のある上品な空間を作ってくれます。

グレーの壁紙で感じるモダンで洗練された印象

グレーの壁紙は、スタイリッシュでモダンな印象を演出します。白と黒の割合がどれくらいであるかによっても雰囲気は変わります。黒の割合が多いほど光を遮断するため、色の効果としては頭を冴えさせる効果があります。

グレーの壁紙はまわりの色を引き立ててくれ、洗練された雰囲気に。さまざまなインテリアにすんなりと馴染むため、クールな印象に空間をまとめたいときは黒やブルーなどの寒色系のグレー、温かい印象に空間をまとめたいときはオレンジなどの暖色系のグレー……と、どんな雰囲気に仕上げたいかに合わせてトーンを選ぶと、おしゃれに空間を彩ってくれることでしょう。

グレーのなかでもベージュが混ざった「グレージュ」という色は、やわらかさのある穏やかな空間を作り上げてくれます。

ベージュの壁紙で作るリラックス空間

ナチュラル感のあるベージュの壁紙の部屋は、やわらかい雰囲気を醸し出します。数あるカラーの中でも、最もリラックス効果が高いカラーと言えるでしょう。ベージュ自体が主張せずに馴染むカラーなので個性ある色や柄とのコンビネーションもしやすく、家具と組み合わせやすい色。インテリアによっていろいろな雰囲気にコントロールすることができるので壁の色としては汎用性が高く、インテリアコーディネートが苦手という人でも、使いやすいカラーです。

ベージュと一言で言ってもさまざまな色味がありニュアンスの幅が大きいため、目指したいインテリアがある場合はそれをベースにしつつテイストに合うベージュと組み合わせると、より洗練された印象に仕上げることができます。

黒の壁紙がもたらす高級感と存在感

高級感や上質感のある黒の壁紙。重厚でかっこよく、存在感のある色です。光を反射せずに遮断するため、体に余計な刺激を与えずに頭を冴えさせる効果もあります。膨張色である白とは反対に、黒は実際の面積よりも引き締まって見える「収縮色」なので、空間を狭く見せてしまいます。全体に黒を使えると重い印象になりすぎる場合があります。

そういった場合は、四面が白の壁紙の部屋の一面を黒にし、アクセントにするのも効果的です。後退色である黒を白の壁紙の差し色にすることで、さらに、空間を広く見せられる効果があります。

赤の壁紙が叶えるエネルギッシュな雰囲気

エネルギッシュな赤。想像通りやる気や活力を生み出してくれるカラーなので、赤い壁紙の部屋にいると自然と元気が出てくるでしょう。体への影響としては、交感神経を優位にして興奮状態へと導くため、時間が早く過ぎていくように感じたり、体感温度が上がったように感じたりすることも

空間を引き締める効果があり、たとえばキッチンの一面などに採用すると、よりエネルギッシュさを引き出します。ただし、赤の壁の面積が広すぎると興奮状態が長時間続くことにもつながり、脳や体が疲れやすくなったりも。住人同士の揉め事を引き起こすフックとなる可能性もある場合があるので、どこに取り入れるかをよく検討したほうがいいでしょう。

青の壁紙で演出する落ち着きと知性

涼しげでさわやかな青色。気持ちを落ち着かせる、清潔感がある色です。濃淡によって与える印象が変わり、明るい水色はさわやかさをあわせ持ったおしゃれな印象に。濃くなるにつれてより落ち着いた空間となります。濃すぎる青の場合は多くの面積に使うと圧迫感が出やすいので、差し色だけにするなど、バランスを見るといいでしょう。

差し色で濃いめの青色を使うと、都会っぽさのある印象に。青でも緑がかった青緑系のターコイズやミントグリーンの場合は、よりおしゃれさを演出してくれます。

グリーンの壁紙が家族の団らんを促す効果

安心感を与える効果があるグリーン。言わずもがな、自然をイメージさせる色です。リラックス空間を作り出すために観葉植物を置いたりしますが、面積の大きい壁面に取り入れることでより馴染み、まるで森林に包まれているかのような雰囲気を作り出し、洗練された空間を作り上げます。

同じ緑でも、明るさによって随分印象が変わってきます。明るめの緑は、空間を開放的にするだけでなく、さりげない個性がプラスされます。暗めの深い緑はまるで森林のようで、深いリラックスを呼んでくれるでしょう。鮮やかな緑はより個性的に。空間全体に使うよりは一面の壁に使うなど、差し色的に使うのがいいでしょう。

黄色やオレンジで生まれる明るく元気な空間

明るく元気な印象を作り上げるのが、黄色やオレンジです。黄色は、幸せや希望などをイメージさせるカラー。北向きの部屋など光の当たりにくい部屋に黄色を採用することで、部屋が明るく効果があります。強い色味のある色なので、広い面積に使う場合は薄めの黄色のほうが飽きずに長く愛用することができます。

オレンジは「コミュニケーションカラー」とも呼ばれ、会話を弾ませてくれる効果もあります。そのため、一家団らんの空間に向いている色だといえます。くすんだオレンジはアースカラーとの相性も抜群で、おしゃれな雰囲気に。一方で鮮やかなオレンジは、ポップでポジティブな印象を作り上げてくれます。

紫色の壁紙で実現する個性的で静かな空間

アート的要素の強い、紫色の壁紙。気品のある紫色は上品で、部屋の雰囲気をワンランクアップさせてくれます。神社仏閣などでもよく起用される色であるという歴史的背景もあり、紫は高い社会的地位と富を象徴する色です。紫は、赤と青が混ざり合った色でもあり、その二面性がどことなく神秘的でインスピレーションを得やすい色ともいわれています。

明るめの紫は華やかで軽快な印象を作り、暗めの紫は重厚感が出てアンティーク家具などにも馴染みます。いずれにしても、自然界にあまりない色である紫を採用することで、一気に個性的な空間を作ることができます。それと同時に心を落ち着けストレスや不安感をやわらげる効果もあります。自律神経のバランスを整えて精神的な安らぎをもたらしてくれます。

壁紙選びに役立つ色別の効果と活用法

中古マンションのリノベーション事例
色の効果について一通り知ったら、効率的に採用することによってより送りたいライフスタイルに近づけることができます。壁紙に色を入れるときは場所別に色の効果を活用するといいでしょう。

ここで注意したい点が2つ。まず1つ目は、色には「面積効果」というものがあります。これは、同じ色でも面積が大きくなるほど明るく鮮やかに見える特性があります。スワッチなどの色見本で見るよりも、壁紙として採用した場合は、より明るく鮮やかに見えます。色を選ぶときはできるだけ大きな面積のサンプルで確認できるといいですね。小さくてもA4くらい大きさのサンプルで確認できると、実際のイメージがつきやすいでしょう。

2つ目は、「何色にするか」と同じくらい「どんな色味(トーン)にするか」を考えることです。同じ色でも、トーンが違うだけで印象が全く違ったものになります。ソファなど置きたい大きめの家具が既に決まっている場合は、コーディネートしたときにトーンの雰囲気が合うかどうかは考えたほうがいいでしょう。

トーンだけでなく、濃淡による効果も気にしておきましょう。白の要素が多い明るいトーンはさわやかで清潔なイメージに、黒の要素が多い暗いトーンは重厚感のあるイメージになりやすいです。そして暗い色を使うと圧迫感が出やすいため、使う場合の面積や特に大きい家具の色とのバランスを考えましょう。

差し色を活用して部屋を引き締めるテクニック

色の効果を利用した上で壁に差し色をすることで、部屋を引き締めるテクニックがあります。これが、差し色のテクニックです。「アクセントカラー」とも言われます。基本的には薄い色や馴染みやすい色の一面だけに、鮮やかで主張の強い色を取り入れるのがルールです。差し色には、全体の雰囲気をはっきりとシャープに見せる引き締めの効果もあります。

リビングにおすすめな内装の色選び

家族が集まるスペースであるリビングにおすすめな色は、リラックス効果の高い色がおすすめです。白系を選ぶ場合は、混じり気のない真っ白よりは少しくすんだオフホワイトのほうが落ち着き効果があるでしょう。ベージュやグレーもおすすめ。グレーの場合は黒の割合が多くなると少し暗くなりすぎる場合があるので、白の割合が多いものを。ベージュみのかかった「グレージュ」もおすすめです。

少し色味を差し込みたい場合は、アースカラーなど元々自然界にある色がおすすめ。アースカラーとは、ブラウン・テラコッタ・カーキなど。視界からの刺激が強くない色なので、リラックスしたいリビングにぴったりです。

海や空などの自然を連想させるブルーや、森林を連想させるグリーンもおすすめ。その場合、あまり濃い色味だと部屋全体が暗くなってしまう可能性もあるため、薄めのブルーやグリーンを選ぶとよいでしょう。

オレンジは「コミュニケーションカラー」とも呼ばれるように、会話を弾ませてくれる効果もあるので一家団らんの空間に向いている色だといえますが、もしかしたら色味が強いため、少し飽きてしまうかもしれません。

天井の色が空間全体に与える効果

壁の色を決めるときは、天井の色にも注目することを忘れずに。天井は、壁と同じぐらい部屋の中で大きな面積を占める部分です。そのため、壁の色と天井の色のコンビーネーションは、部屋の雰囲気を作りだす大きな要素となります。組み合わせによっては、おしゃれで個性的な空間を作り出すこともできます。

床には家具やものを置きますが、天井はそれがないために、じゅうぶんに色を楽しむことができます。日本の住宅では白い壁と同様にインテリアの邪魔をしない白を採用することが多く見受けられますが、そこにあえてこだわって色を入れることで、個性的な空間を作りだすことができます。天井に色を入れる場合は、壁や床、大きい家具の色とマッチするかも確認しながら選ぶのがポイントです。

天井の色を画面上でシミュレーションできるサービスなどもあります。

テレビ周りの壁紙で作るバランスの取れた家の印象

家族で過ごすリビングでのリラックスタイムは、テレビを見ることも多いでしょう。テレビ周りの壁紙だけを好きな色にして、効果的にインテリアに組み込むのもおすすめです。個性的で鮮やかな色や、柄の壁紙クロスを採用するのもいいでしょう。飽きがきてしまう場合も考えて、採用する面積などを検討しましょう。

ソファや家具と調和する壁紙の色の選び方

壁の色を考えるときには、ソファやベッドなど、大きめの家具の色とのバランスを考えることを忘れないようにしましょう。例えば、白やオフホワイトなどシンプルな色の壁には、ダークカラーのソファを置くことで引き締まった印象になります。その逆で、紫や黒など、濃い色や個性的な色の壁には、シンプルなデザインのソファが馴染みます。

壁紙の色を変える前に知っておきたいポイント

店舗付住宅 リノベーション ポイント
壁紙の色を変える前に、知っておきたいそのほかのポイントについて見てきましょう。壁紙を選ぶ際は色の効果のほかに、周囲の床・天井・大きめの家具とのコーディネートを考えると後悔しない色選びをすることができます。
また、どんなデザインや色にするかという観点だけでなく、壁紙を選ぶ際は機能性にも着目してみましょう。最近では、調湿性、汚れや傷の防止機能、消臭効果などさまざまな機能を持つ壁紙が出ています

色選びや塗り替えをする際に注意すべきポイントを以下に紹介します。

住宅内装の色選びで注意すべきポイント

リノベーションで壁の色を変える場合、必要最低限の知識として理解しておきたいのが「配色の基本」です。インテリアの色使いの基本的なルールは、色数をおさえることと、同系色でまとめて差し色を入れることです。1つの部屋に使う色は3色までにおさえると、過ごしやすい空間に。4色以上になると、ごちゃごちゃした印象になり落ち着かない場合があります。

どんな部屋にしたいかテイストやコンセプトを決めておくと、どんな色味を使いたいかのイメージがつきやすくなります。頭で考えているだけではイメージが膨らまない場合も多いので、壁に色を使っている実際のリノベーション事例を数多く見て、自分の好む雰囲気がどんなものであるかを見極めるといいでしょう。

塗り替えを行う前に知っておくべき基礎知識

壁の色を変える場合は、「塗り替え」と「壁紙クロスを張り替える」かの2つの方法があります。

まず塗り替えの場合は、それに必要な塗料や道具を入手する必要があります。最近ではホームセンターやオンラインショップなどで手に入りやすいため、DIYで壁の塗り替えを行うという人も増えてきています。丁寧に行うことで、手作りの趣を楽しめるので人気です。

ただし、DIYに慣れていない人が塗装をすると、下地処理を十分に行っていなかったり、乾燥させていない状態で重ね塗りをしてしまったりと、失敗の原因にもなるので注意が必要です。塗り替えのメリットは、カラーバリエーションが豊富であること。たとえば白1色をとっても、かなり色が豊富。選べる楽しさがあります。

「壁紙クロスを張り替える」という選択肢もあります。日本の住宅ではよく採用されている壁紙クロスのメリットは、低コストであることと短時間で仕上げられることです。最近では壁紙クロスのバリエーションも豊富にそろえている会社もあるので、チェックしてみましょう。

まとめ

玄関 アクセントクロス
色が人の心理に与える影響力を詳しく知り、より過ごしたい空間づくりを。インテリアデザイン的な観点はもちろん、その部屋でどう過ごしたいかによって壁の色を決めてみると、より充実した生活を送ることにつながります。それでも迷ってしまう場合は、風水の考え方を取り入れてみるのも1つです。風水的には、キッチン・寝室・玄関は、家の間取りの中で影響を受けやすいと言われています。いろいろな観点から、自分にぴったりくる壁紙の色を選ぶのは、とても楽しいですよね。

WRITERこの記事を書いた人

デザイナー

高橋 桃子MOMOKO TAKAHASHI

設計 / 和歌山県和歌山市出身 / 実際の現場だけではなく、資料など全ての細部にまでこだわるようにしています。 / 海辺のお家を購入後に自分好みにリノベをして、猫とのんびり住むのが将来の夢の1つです

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