アッシュ材とは?経年変化などの特徴やメリット・デメリットを紹介

こんにちは!クジラ株式会社の髙橋です!
![]() | Writer 髙橋桃子 デザイナー WORKS 2016年に入社したスタッフの中で最もクジラ歴の長いメンバー。住宅のみならずオフィスリノベーションも得意としている。趣味は美味しいものを食べること。 CREATOR’s STORY|髙橋 桃子 |
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木の温もりを大切にした家づくりを検討しているなら、素材選びはとても重要です。木材には多くの種類があり、それぞれ色味や木目の表情が異なるため、どの材を選ぶかで住まいの雰囲気が大きく変わります。
今回は、そんな木材の中でも美しい木目と高い耐久性、そして比較的手頃な価格帯で人気の「アッシュ材」に注目。アッシュ材は家具やフローリング、建築材として幅広く使われており、質感の良さから多くの住宅で採用されています。この記事では、アッシュ材の特徴や経年変化による風合いの変化、具体的な用途、さらにはメリット・デメリットについて詳しく解説します。
目次
アッシュ材とは
アッシュ材は、北半球の温帯地域に広く分布するトネリコ属の広葉樹から採れる木材で、日本の「タモ材」とも非常に似ているのが特徴です。
アッシュ材の魅力は、力強く美しい木目にあります。ナチュラルでありながら存在感のある木目は、そのまま活かして家具やフローリングに使われることが多くあります。
さらにアッシュ材は、強度が高く適度な弾力性も持ち合わせているため、野球のバットやギターなどの楽器の素材としても広く利用されています。こうした優れた特性から、世界の四大銘木の一つにも数えられることも。
なお、一般的に「アッシュ材」と呼ばれるのは、明るい白っぽい色合いの「ホワイトアッシュ」が多いですが、種類によっては褐色がかったものや黒っぽい色味のものもあり、それぞれ異なる表情を楽しめるのもその魅力の一つです。
アッシュ材の種類
アッシュ材にはいくつか種類があります。よく知られているのは、アメリカ原産のアメリカトネリコとよばれる樹木を原料とした、「ホワイトアッシュ」と「ブラックアッシュ」です。湿地帯に生育するため「スワンプ(沼地)」の名がついた「スワンプアッシュ」という種目もあります。アメリカ原産のものだけでなく、ヨーロッパ原産のヨーロピアンアッシュや、ロシア産のタモもアッシュ材のひとつに数えられます。
また、おもに北海道を中心に産出される国産のタモも、アッシュ材のひとつに分類されることがあります。
ホワイトアッシュ
ホワイトアッシュは、北米を原産とするモクセイ科の広葉樹の木材です。その名の通り、辺材は白っぽい色合いをしていますが、心材はやや褐色を帯びています。硬くて強度が高く、耐久性に優れているのが特徴です。加工しやすいため、無垢材として家具やフローリング、内装材などに幅広く使われている木材です。明るい色とくっきりと美しい木目をもつため、北欧風やモダンなインテリアにもよく馴染みます。
見た目だけでなく、曲げや衝撃に強いという耐久性の高さもウリ。野球のバットやボートのオールといったスポーツ用品などにも使われます。ホワイトアッシュは、アッシュ材の中でも最も広く流通している種類の一つで、多様なシーンで使いやすい木材といえるでしょう。
スワンプアッシュ
スワンプアッシュは、北米の湿地帯に生育するアッシュの一種です。軽量であることから「ライトアッシュ」とも呼ばれます。比較的柔らかく加工しやすい木材で、1950年代に有名なギターメーカーがエレキギターのボディ材として採用したことでも知られています。スワンプアッシュで作られたギターは明るくクリアで豊かな音色が特徴で、高音域から低音域までバランスが良く、特に中高音域の抜けが良く、その音質の良さから多くのミュージシャンに支持されています。
ブラックアッシュ
ブラックアッシュは、北米を原産とするモクセイ科の広葉樹の木材です。ホワイトアッシュと比較するとより柔らかく弾力性があり、編み物や軽量な家具に適しています。辺材は淡黄色、心材は褐色で、ホワイトアッシュより暗めの落ち着いた色調。自然な木の風合いや色合いを楽しめます。独特で美しい木目があり、装飾的な価値も高く、家具やインテリアに用いられることが多いです。
ブラックアッシュは、柔らかさと独特の木目を活かした軽量家具や装飾品にぴったりの木材と言えます。
アッシュ材の特徴
さまざまな種類があるアッシュ材ですが、どんな特徴を持つ木材なのでしょうか。大きな特徴として、「経年変化が少ない」「ハッキリとした木目をもつ」「強度が強い」などの特徴があります。以下に、アッシュ材の特徴について詳しく見ていきましょう。
アッシュ材は経年変化が少ない
アッシュ材は、経年変化が比較的少なく、長く使用しても色合いの変化が穏やかなのが特徴です。使用するうちにわずかに黄色味を帯びることはありますが、劇的な変色や大きな歪みが起こりにくいため、年月が経っても最初の雰囲気を大きく損なうことなく、美しい状態を保ちやすい素材です。
この特徴は、購入時のデザインや雰囲気を長く楽しみたい方にとって大きなメリットとなります。
特に家具として使う場合、日差しの当たるリビングなどの空間でも、紫外線による変色がある程度抑えられるため安心です。
ただし、全く経年変化がないわけではなく、湿度や温度の変化による影響は受けます。適切な手入れを行うことで、さらに長持ちさせることが可能です。
ハッキリとした木目をもつ
アッシュ材の大きな特徴のひとつに、はっきりとした美しい木目があります。ナチュラルでありながらモダンな空間にもよく馴染むため、家具やフローリングなど幅広い用途で利用されています。
特に板目(いため)でカットすると、木目がより強調され、ダイナミックで個性的な表情を楽しめます。
一方で、柾目(まさめ)にカットすると、穏やかで落ち着いた木目が楽しめるのも魅力です。
アッシュ材は無垢材として使われるほか、その美しい木目を生かして家具の表面に貼る突板(つきいた)としても多く用いられています。
辺材は白っぽい色合いで、心材は灰褐色から薄黄色を帯びており、和室・洋室どちらの空間にも自然に馴染みます。他の木材と比べても個性的な木目が特徴的で、空間に温かみと存在感をもたらします。明るい色合いは、清潔感のある雰囲気を演出するのにぴったりの素材です。
アッシュ材の強度は強い
アッシュ材は、耐衝撃性と耐久性に優れた「堅さ」が特徴です。適度な堅さに加え、ほどよい弾力性も兼ね備えているため、スポーツ用品の材料としても広く使われています。
代表例としては野球のバットが有名ですが、テニスラケットやスキー板、ボート用のオールなどにも採用されており、大きな衝撃にも耐えられる強度の高さがうかがえます。
また、密度が高く硬いため変形しにくく、日常的な使用でできる傷やへこみにも強いのが特徴です。この丈夫さを活かして、ダイニングテーブルや椅子のフレームなど、耐久性が求められる家具にもよく使われています
アッシュ材のメリット
アッシュ材の大きなメリットは、強度と耐久性に優れている点です。野球のバットやテニスラケットなどのスポーツ用品にも使われていることから、その衝撃への強さがうかがえます。家具やフローリング、内装材など、家のリノベーションに取り入れる際にも、この耐久性は大きな強みとなります。
日々の暮らしの中で、フローリングやダイニングテーブル、椅子などの家具にはどうしても負荷がかかりますが、アッシュ材なら傷やへこみがつきにくく、長く美しい状態を保てます。無垢材として使えば、アッシュ材特有の力強い木目や風合いを活かした空間づくりが可能です。
さらに、アッシュ材は経年変化が比較的少ない木材としても知られています。年月とともにわずかに黄色味を帯びる程度で、大幅な変色や歪みが起こりにくいため、購入時の雰囲気を長く楽しめるのも魅力です。
アッシュ材のデメリット
アッシュ材は強度が高く頑丈である一方、その硬さゆえに加工が難しいというデメリットがあります。細かな彫刻や装飾を施す家具には向いておらず、シンプルなデザインに仕上がることが多いのが特徴です。デザインの多様性を重視する場合は、この点を考慮する必要があります。
また、特にホワイトアッシュでは、心材部分の色が白くないことがあります。心材は茶色や灰色を帯びている場合があり、外側の白い辺材との間で色の差が目立つことがあります。家具やフローリングに使う際に均一な色合いを求める場合は、色差がある場合があるので、注意が必要です。
さらに、アッシュ材は種類によっては供給が不安定であることもデメリットとして挙げられます。特に高品質なものや特定の種類を希望する場合は、入手が難しいとされています。
アッシュ材の手入れ方法
アッシュ材の普段のお手入れは、柔らかい布でホコリを優しく払い、乾拭きするだけで十分です。もし飲み物などをこぼしてしまった場合は、すぐに乾いた布で拭き取り、水分が木に残らないように注意しましょう。濡れた雑巾を使うと木材が水分を吸収し、表面がざらつく原因になることがあるため避けてください。
オイル塗装のアッシュ材は、木にオイルが浸透しているため、木本来の質感や手触りを楽しめます。オイルにはある程度の撥水性がありますが、水や熱、アルコールには弱いので注意が必要です。日常の手入れは乾拭きが基本です。
ウレタン塗装のアッシュ材は、表面に塗膜があるため、傷や汚れに強いのが特徴です。普段は乾拭きか、固く絞った布での水拭きが可能です。汚れがひどい場合は、薄めた中性洗剤で拭き、その後に水拭き、乾拭きを行いましょう。
アッシュ材の主な用途
アッシュ材は、その美しい木目と高い強度から、さまざまな用途で広く活用されています。特に無垢材としての利用が多く、住宅ではフローリングや階段材として人気です。明るい色合いとくっきりとした木目が空間を明るく演出し、耐久性にも優れているため、長く使える床材として選ばれています。
家具材としても重宝されており、ダイニングテーブルや椅子、キャビネットなど、さまざまなデザインの家具に用いられています。シンプルなデザインでもアッシュ材の美しい木目が際立ち、空間に温かみを与えてくれるのが魅力です。
さらに、耐衝撃性の高さから、野球のバットや楽器の素材としても使われています。アッシュ材は建築材から日常的に使う製品まで、幅広い分野で重宝されている木材といえるでしょう。
アッシュ材を突板として使う
アッシュ材は突板としても多く使用されています。突板とは、薄くスライスした木材を基材に貼り付けたもので、無垢材に比べてコストを抑えながらも、アッシュ材特有の美しい木目を楽しむことができます。突板は軽量で加工がしやすいため、多様なデザインの家具や建材に活用されており、耐久性も備えていることから幅広い用途に適しています。
家具やフローリングで使う
美しい木目が特徴のアッシュ材は、家具ではダイニングテーブルや椅子のフレーム、テレビボードなどに多く使われています。
また、床材としても人気が高く、フローリングに用いることで、はっきりとした木目が空間に自然で明るい雰囲気をもたらします。耐久性に優れて傷つきにくいため、長く使える点も大きなメリットです。
アッシュ材とタモ材の違い
アッシュ材とタモ材は、どちらもモクセイ科トネリコ属に分類される近い品種ですが、いくつかの違いがあります。木目の特徴としては、アッシュ材は比較的粗く、丸みを帯びた板目が特徴的です。
一方、タモ材は目が詰まっており、板目にした際には山形やタケノコのような独特の模様が現れることがあります。色味についても異なり、一般的にアッシュ材は白っぽいクリーム色に近いのに対し、タモ材はやや赤みがかった褐色を帯びています。
さらに、産地も異なり、タモ材は主に日本産、アッシュ材はヨーロッパや北米原産が多いです。
アッシュ材とオーク材の違い
アッシュ材とオーク材はどちらも広葉樹で、家具などに広く使われる人気の木材です。見た目が似ているため混同されやすいですが、それぞれ異なる特徴を持っています。
アッシュ材は、はっきりとした力強い木目が特徴で、色は白っぽいものが多いです。強度が高く、弾力性にも優れているため、野球のバットなどスポーツ用品にも使われるほどです。
一方、オーク材はアッシュ材よりもさらに硬くて重厚感があります。木目はアッシュ材ほど主張せず、特に柾目には「虎斑(とらふ)」と呼ばれる特徴的な模様が現れることがあります。耐久性や耐水性にも優れているため、フローリングや家具に適した木材です。
アッシュ材は経年変化が比較的穏やかですが、オーク材は経年変化によって色味が深く濃くなる傾向があります。
アッシュ材の価格帯
アッシュ材は、他の輸入木材と比較すると比較的手頃な価格帯で流通していることが多いです。特に、一般的に広く使われているホワイトアッシュは、コストパフォーマンスに優れており、家具やフローリングなど幅広い用途で人気があります。
ただし、アッシュ材の価格は種類や品質、加工の仕方によって変動します。
例えば、希少なブラックアッシュやスワンプアッシュ、また高品質な無垢材の場合は、価格がやや高めになることもあります。近年では、アッシュ材の需要増加や原料の供給減少により、将来的に価格が上昇する可能性も指摘されています。
まとめ
はっきりとした美しい木目と、硬さと適度な弾力性を併せ持つアッシュ材は、価格帯も他の輸入木材と比べて比較的安価で人気の高い木材です。野球のバットにも使われるほど強度が高く、家具やフローリングなどさまざまな用途で活用されています。
一方で、硬さゆえに加工が難しく、彫刻のような細かな装飾を施す家具には向かないというデメリットも。
とはいえ、経年変化が少なく使い始めてからの色合いの変化が穏やかで、長く美しい状態を保てるのが大きな特徴です。ナチュラルでシンプルな雰囲気によく馴染み、北欧スタイルのインテリアにもぴったりの木材であるアッシュ材は、リノベーションの際も汎用性高く活用することができます。