2025.06.30
最終更新日
2025.07.03
リノベーションのヒント

リノベーション・リフォームで人気のミッドセンチュリーとは?

リノベーション ミッドセンチュリー

こんにちは!クジラ株式会社デザイナーの片山です。

Writer
片山飛翔
デザイナーWORKS
バランスの取れた色彩感覚と暮らしやすさを考えた動線計画で、女性からも人気のあるデザイナー。休日は料理とキャンプをするのが定番です。
CREATOR’s STORY|片山 飛翔

近年、リノベーションやリフォームの分野で「ミッドセンチュリー」テイストのデザインが注目を集めています。よく耳にする言葉ではあるものの、実際にどのような特徴を持つスタイルなのか、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。ミッドセンチュリーとは、1940年代から1960年代にかけてアメリカで流行した家具・インテリアデザインのスタイルです。

シンプルで機能的でありながら、ユニークで個性的な雰囲気を持っているのが特徴。ライフスタイルに自然に馴染みながらも、印象的で洗練された空間を演出できる点が、ミッドセンチュリーデザインの魅力です。住まいに上手に取り入れれば、洗練されたおしゃれな空間を実現することができます。

本記事では、ミッドセンチュリーの特徴や歴史、リフォームに取り入れるためのアイデアや色使いのポイントについて見ていきましょう。

ミッドセンチュリーの特徴

マンションリノベーション
ミッドセンチュリーデザインの大きな特徴は、無駄をそぎ落とした合理的なフォルムと、曲線を活かした有機的な美しさが共存していること。シンプルでありながら温かみがあり、住空間にも自然と馴染むモダンなデザインテイストです。

また、プライウッド(成型積層合板)やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)といった、当時の最新素材が積極的に取り入れられたことも大きな特徴のひとつ。20世紀半ばまで、家具は直線的なデザインが主流でしたが、これらの素材の登場によって、自由度の高いフォルムの家具が次々に誕生。曲線を活かした近未来的なデザインは、戦後の活気を象徴するアメリカでたちまち人気となりました。

ミッドセンチュリーの家具は、見た目のユニークさや革新性はもちろん、使いやすさやフィット感といった機能性にも優れています。余計な装飾を削ぎ落とし、素材そのものの魅力やフォルムの美しさを引き立てるデザインは、現代の暮らしにも取り入れやすく、今なお多くの人々に愛され続けています。

さらに、ミッドセンチュリーテイストを象徴するのが、鮮やかな色使いです。戦後の解放感や希望を映すような、ポップなカラーが空間のアクセントに。ポップアートやミニマルアートが流行した背景もあり、明るく華やかな色合いの家具やインテリアは、当時の人々に新鮮な印象を与え、広く支持されました。

ミッドセンチュリーの歴史的な背景

「ミッドセンチュリー」を語る上で欠かせないのが、誕生にいたるまでの歴史的背景です。第二次世界大戦後、戦勝国となったアメリカは、他国と比べて戦争による国内被害が少なく、製造業をはじめとする産業の復興もスムーズに進みました。
その結果、製造技術が飛躍的に進化し、新たな素材や加工技術が登場。これが、1940年代から1960年代にかけて生まれた「ミッドセンチュリー」というデザインスタイルの土台となりました。

戦争から帰還した兵士たちは家庭を持ち、郊外に住宅を建て、アメリカ社会は急速に「家庭重視」のライフスタイルへと変化していきます。この動きに伴い、大量の家具が必要とされる時代が到来しました。

従来の家具は、職人の手による伝統的な製法で作られており、生産効率は高くありませんでした。しかし、技術革新によって、シンプルでありながら機能的、かつ美しいデザインの家具を量産することが可能に。こうして誕生したミッドセンチュリーデザインの家具は、当時の人々のニーズに合致し、爆発的な人気を集めていったのです。

ミッドセンチュリーならではのデザイン性

ミッドセンチュリーデザインの最大の魅力は、シンプルでありながら、遊び心のあるフォルムにあります。特にこの時代には、成形合板(プライウッド)やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)といった新素材が登場し、それまで困難だった曲線的で有機的なデザインを実現できるようになりました。

例えば、イームズ夫妻による「シェルチェア」は、身体にぴったりフィットする曲線をもった名作として知られています。また、ジョージ・ネルソンによる「マシュマロソファ」のようなユニークな形状も、ミッドセンチュリー時代を象徴する家具として知られています。

また、機能性の高さもミッドセンチュリーの特徴のひとつ。収納付きの家具や、コンパクトながら使い勝手のいいプロダクトなど、見た目だけでなく実用性にも優れたデザインが多く見られます。

さらに、ミッドセンチュリーならではの個性を際立たせているのが色使いです。落ち着いたグレイッシュな中間色をベースに、マスタードイエロー、アボカドグリーン、バーントオレンジ、ティールブルーなどのビビッドなアクセントカラーを効かせることで、シンプルな空間にリズムや楽しさを与えています。
これらのカラーは、クッションやラグ、アートポスターといった小物使いにもぴったりで、現代の暮らしにも自然に馴染みます。

このように、自由なフォルム・実用性・色彩がバランスよく組み合わさることで、ミッドセンチュリーデザインは今なお多くの人に愛され続けているのです。

北欧デザインとの比較

リノベーション 北欧系
「シンプルで機能的である」という共通点を持つミッドセンチュリーデザインと北欧デザインですが、その魅力や目指す世界観には明確な違いがあります。

ミッドセンチュリーは、流線形や幾何学的なフォルム、大胆な色使いが印象的。プラスチックや成形合板などの新素材を駆使し、どこか未来的でアート性の高い空間をつくり出します。洗練された印象を好む人にはぴったりのスタイルです。

一方で、北欧デザインは、同じく20世紀半ばにスカンディナビア諸国で発展したデザインテイストです。長く厳しい冬を快適に過ごすために、自然素材を活かした温もりのあるデザインが多く、居心地の良さや実用性が重視されています。木のぬくもりや柔らかな色調が、リラックスした空間を演出してくれます。

ミッドセンチュリーがモダンで都会的なライフスタイルにフィットするのに対し、北欧デザインは自然体で穏やかな暮らしに寄り添うスタイル。リノベーションを考える際は、どちらの雰囲気が自分のライフスタイルに合うかを想像してみると、理想の住まいがより具体的に見えてくるはずです。

ミッドセンチュリーを取り入れるためのリフォームアイデア

ミッドセンチュリー リフォームアイディア
ミッドセンチュリーデザインをリノベーションやリフォームに取り入れることで、空間をおしゃれで個性的に生まれ変わらせることができます。

まずは、カラー選び。ミッドセンチュリーらしくするためには、カラフルな色とモノトーンをバランス良く使い分けることが重要です。次に、素材と家具の選び方。ミッドセンチュリーデザインの特徴である曲線的なフォルムや新素材を取り入れた家具が効果的です。

床材には、落ち着いた色合いのフローリング、例えばオークやチーク材などがおすすめです。無垢材を使用すると、経年変化も楽しめます。壁に石材やウッドパネルを取り入れるのも良いでしょう。

部屋全体の壁に鮮やかな色を使うと圧迫感が出ることがあるため、一面の壁だけに色やデザインを取り入れるアクセントウォールを活用するのも効果的です。

色使いのポイント

ミッドセンチュリー風 家具
ミッドセンチュリーデザインをリノベーションやリフォームに取り入れると、住まいがぐっとおしゃれに、そして個性的に生まれ変わります。どこか懐かしく、それでいてモダンな空間は、今の暮らしにも自然にフィットしてくれます。

ミッドセンチュリーらしさを演出するために重要なのは、色使い。落ち着いた中間色をベースにしつつ、マスタードイエローやオレンジなどのビビッドなカラーをアクセントとして効かせるのがポイントです。これらの色は、木材やモノトーンの背景と組み合わせることで、互いを引き立て合い、洗練された印象になります。色を大胆に使いすぎると圧迫感が出てしまうため、壁の一面だけにカラーを取り入れるアクセントウォールのような工夫もおすすめです。

ミッドセンチュリー風の部屋にするには、レトロフューチャーなインテリアを部分的に取り入れるのもポイントです。レトロフューチャーとは、20世紀半ば、宇宙への憧れが強まった時代に誕生した近未来的なデザインのこと。ユニークな曲線やポップなカラーが特徴的で、当時の人が思い描いた未来を感じさせます。家具やインテリア小物、壁紙などで、部分的に取り入れてみるだけでも、ミットセンチュリーの雰囲気が増すでしょう。

素材と家具の選び方

ミッドセンチュリー風 家具
また、ミッドセンチュリーの部屋作りでは、素材選びが重要なポイントとなります。この時代の家具には、従来の天然木材に加え、第二次世界大戦中の技術革新から生まれたFRPやプライウッド、アルミニウムなどの新素材が多く使われています。これらの素材によって、従来の直線的な家具では表現できなかった、滑らかな曲線や立体的なフォルムが実現されました。例えば、天然木の温もりと、金属やプラスチックの無機質な質感を組み合わせることで、空間に絶妙なコントラストと奥行きが生まれ、洗練された印象になります。

ミッドセンチュリー家具の定番ともいえるのが、こうした素材を使ったローテーブルやシェルチェア。高さを抑えた家具が多いのも、このスタイルの特徴です。

また、イームズ夫妻やジョージ・ネルソンなど、ミッドセンチュリーデザインを代表するプロダクトは、現在でも高い人気を誇っています。ヴィンテージ品には独特の味わいがありますが、手頃な価格のリプロダクト品も多く出回っており、気軽に取り入れられるのも魅力です。ライフスタイルや予算に合わせて、うまく使い分けてみましょう。

アクセントウォールを活かす方法

アクセントクロス リノベーション
リビングや寝室など、空間に個性をプラスしたい場所には「アクセントウォール」を取り入れてみましょう。壁の一面だけに色や柄、素材を加えることで、空間にリズムや立体感、そしてミッドセンチュリーらしい遊び心が生まれます。

ビビッドカラーでポップな印象に

ミッドセンチュリーらしいマスタードイエローやバーントオレンジ、ティールなどの鮮やかな色をアクセントとして使えば、空間が一気に華やかに。ただし、強い色は部屋全体に使うと圧迫感が出ることも。一面だけに取り入れるのがバランス良く仕上げるコツです。

木目やタイルで素材感をプラス

ヘリンボーンの床
木の温もりを取り入れたい場合は、木目調の壁材やヘリンボーン柄のパネルを使うのがおすすめ。デザイン性とナチュラルさを兼ね備えた印象になります。また、レトロなモザイクタイルやサブウェイタイルも、ミッドセンチュリーらしさを演出できる人気素材です。

アートや鏡でスタイルアップ

アートを飾った壁
アクセントウォールには、ミッドセンチュリー期を思わせるポスターやアート作品、デザイン性の高い鏡を飾ってみてください。空間の完成度がぐっと高まります。

家具との相性も意識

ビビッドな家具を引き立てたいときには、グレー系のアクセントウォールが効果的。空間に落ち着きを加えつつ、色鮮やかなアイテムをより魅力的に見せてくれます。

まとめ

リノベーションやリフォームを考えているなら、ぜひ検討したい、1940〜1960年代のアメリカで生まれた「ミッドセンチュリー」スタイル。シンプルでありながら個性的、そして遊び心のある空間を実現できます。

ミッドセンチュリーとは、技術革新が進んだ第二次世界大戦後のアメリカで支持された、機能性と合理性を追求したシンプルなデザインの家具や建築のスタイル。直線だけでなく、曲線を活かした有機的なフォルムが特徴的で、プライウッド(成型積層合板)やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)などの新素材を取り入れたことで、従来の製造方法では実現できなかったデザインも可能になりました。

ミッドセンチュリースタイルを実現するには、鮮やかなアクセントカラーや大胆な柄の壁紙を「アクセントウォール」として取り入れたり、照明器具や家具にミッドセンチュリーらしいアイコニックなデザインを取り入れたりすることがポイント。活気に満ちたモダンな空間をつくることができます。

叶えたいイメージを膨らませるために、実際のリノベーション事例をチェックしたり、専門業者に相談するのがおすすめです。理想の暮らしに近づくためのアイデアや、空間を広く見せる工夫、心地よさを生むレイアウトのヒントが得られるでしょう。

WRITERこの記事を書いた人

デザイナー

片山 飛翔TSUBASA KATAYAMA

設計 / 兵庫県三田市出身 / お客様の空想をより良い形で体現する事を常に意識しています / 料理が得意です。お客様とプライベートでも遊べる仲になる事が夢です

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