2025.06.26
最終更新日
2025.06.26
CREATOR's STORY

「隠れたところほど“化粧”やと思う」 ──大工・川端さん、40歳の現場主義

リノベーション 職人

現場に入ると、川端将悟さんの動きは、周囲の音を聞きながら静かに始まる。空間の寸法を目で測り、前日の作業の続きを自然とつかむ。「現場の空気に、自分のリズムを合わせる」──彼の仕事は、道具を持つ前から始まっている。

大阪市天王寺区勝山。“源(ソース)”と名付けられた新しい店舗工事が進むビルの1階で、
40歳の若き棟梁は、木口(こば)のささくれを指で撫でながら寸法を読み、完成までの最適解を常に検討する。
リノベーション 職人

18歳、夏休みバイトの延長で「大工になる」

大工の世界に入ったのは高校3年の夏休み。先輩に誘われて現場バイトを体験し、
そのまま就職先も決めてしまった。

「ノコ1本で目の前が変わるんが楽しくて。‘かっこええな’って、それだけで入ったんです」

以来22年。京都の親方に弟子入りし、関西一円の現場を渡り歩いた。プレカット全盛でも、現場刻みの技術は身体で覚えてきた派だ。
リノベーション 職人

変化がない仕事は「飽きる」

標準建材と既製品だけで組む “流れ作業のリフォーム” が主流になる中、川端さんは「毎回同じ枠では飽きるかも」と危惧していた。そんな時に出会ったのがクジラだった。

・既製品の枠を使わずにラワンで特注建具を用いる
・クロス仕上げではなく壁全面を塗装で仕上げる

「こだわり強いなぁ、でもその分おもろい」と感じたと振り返る。

そして、東京・中野への出張――。軽トラで数時間、往復8回。印象的な現場を尋ねると、真っ先に挙がったのが東京・中野のリノベ案件だ。道具を満載した軽トラで 大阪―東京を8往復。「尻が割れるかと思った」と笑いながらも、完成した空間が評判と聞くたびに達成感が蘇るという。
リノベーション 職人

「全部が化粧やと思え」――若い2人へのDNA

川端さんのチームには 28歳と21歳、2人の見習い社員がいる。

・ビスピッチを乱さない
・ボードの隙間を「誰も見ないから」と妥協しない
・木端の処理を徹底する

「隠れるとこでも ‘化粧’ やと思え、って言うてるんです。汚い仕事でスピードだけ速い大工は、これから残らへん」

技術より先に姿勢を教えるのが自分の使命だと語る。住む人が主役。だから“もの言う大工”でいたい。

設計図はあくまでスタートライン。現場に入って見えてくる「暮らしの動線」は、ときに図面の意図とぶつかる。

「気になるとこは言います。住む人が違和感あるなら、‘これ変えませんか’ って提案するようにしてます」

たとえば扉の位置。収納の奥行き。使い手の手癖や生活のクセを想像し、現場でしか見えない最適を探し続ける。
リノベーション 職人

50歳の自分を想像してほしいと聞くと、川端さんは少しだけ考えてから、こう答えた。

「目が見えてたら、まだ現場に立ってると思います。若い子が独立して ‘親方、飲み行きましょ’ って誘ってくれたら、それが一番うれしいかな。自分のDNAが散らばって、また面白い現場を呼んでくる。そんな未来やったら最高ですね」

WRITERこの記事を書いた人

クジラ 編集部

中崎町にあるリノベーション会社です。不動産探し、住宅ローンのお手伝い、設計デザイン、施工、インテリアコーディネートまでワンストップでお手伝いさせていただきます。お客様に最適な暮らし方のご提案をさせていただきます。

リノベーションの相談・各種ご予約はこちら