垢抜けた空気は、土台から生まれる【KUJIRAメソッド②】

こんにちは、クジラ株式会社の三橋です。
今回は、「塗り壁とアーチ、照明計画」が生み出す“雰囲気のある住まい”についてご紹介します。
目次
塗り壁とアーチ、照明計画が導いた、雰囲気のある住まい
写真だけでは伝えきれない、けれど実際にその場に足を踏み入れたときに、思わず心を掴まれるような空間があります。今回ご紹介するメソッドは、まさにそんな「見えない垢抜け感」に満ちている住まいからです。
見えない空気をつくる「土台」の力
空間の印象を決めるのは、インテリアや家具だけではありません。青いタイル、ガラスブロック、ブラケット照明といった視線を惹きつけるアイコンが並ぶ一方で、それ以上に大切なのは“土台”です。
今回のリノベーションでは、LDKの壁と天井、そして玄関のアーチ壁に“塗り壁”を採用しました。最近では塗り壁調の壁紙も多く出ていますが、本物の塗り壁が持つ空気感や質感はやはり別格。凹凸が光を受けて生まれる陰影が、一つひとつ呼吸するように空間を生き生きと見せていました。
特に注目したいのはアーチとの相性です。柔らかな曲線が天井から壁へと自然につながるラインには、量産型のマンションにはない“仕立ての良さ”が宿ります。塗り壁の範囲やアーチの曲率に妥協せず、工事だからこそ生み出せる「圧倒的な下地の完成度」を追求した成果でした。
映えさせないから、映える。空間と調和する照明
この“土台の美しさ”を際立たせているのが、照明計画です。 今回は、間接照明とブラケット照明をメインに構成しました。日中は大きな窓からの自然光が十分に明るさを確保してくれるため、あえてダウンライトやシーリングライトは設けていません。
夜になると、アーチでカーブした壁面に照明の陰影がやさしく浮かび上がり、空間に奥行きを与えてくれます。壁材の凹凸が光に照らされ、“素材の存在感”が際立つ瞬間です。主役はあくまで塗り壁とアーチ。その魅力を引き出すのが控えめなライティングです。
施主様がこだわって選ばれたブラケット照明も、シンプルな空間にちょうどよいアクセントを添えつつ、決して主張しすぎることなく全体に馴染んでいました。
「ホテルみたい」ではなく、「ここだけの雰囲気」
カフェやホテルで「なんだかいい」と感じる空気には、必ず“設え”の力があります。今回の空間も、派手な演出ではなく、丁寧に積み上げられた設計と素材によって、特別な雰囲気をまとう住まいになりました。
映えを狙わなくても自然と視線がとまる。その秘密は、目立たない“土台”にあるのです。