2025.09.17
最終更新日
2025.09.22
リノベーションのヒント

リフォーム・リノベーションで廊下をなくす!マンションや戸建ての間取り変更について解説

こんにちは!クジラ株式会社の片山です!

Writer
片山飛翔
デザイナーWORKS
バランスの取れた色彩感覚と暮らしやすさを考えた動線計画で、女性からも人気のあるデザイナー。休日は料理とキャンプをするのが定番です。
CREATOR’s STORY|片山 飛翔

住まいの間取りを考える際、廊下は部屋と部屋をつなぐ通路として設計されますが、そのスペースを他の目的に活用したいと考える人も少なくありません。リフォームやリノベーションによって廊下をなくし、リビングや他の部屋と一体化させることで、より開放的で機能的な住空間を実現できます。

この記事では、廊下をなくすリフォームのメリット・デメリットから、マンションや戸建てにおける費用相場、後悔しないためのポイント、そして具体的な成功事例まで、間取り変更を成功させるための情報を網羅的に解説します。

目次

廊下をなくすリノベーションで得られるメリット

メリット デメリット
廊下をなくすリフォームは、単に床面積を有効活用するだけでなく、暮らしそのものに多くの利点をもたらします。これまで通路としてしか機能しなかった空間を居住スペースに取り込むことで、住まい全体に開放感が生まれ、生活動線が劇的に改善されます。また、家族間のコミュニケーションが自然と増えるなど、ライフスタイルにも良い変化が期待できるでしょう。ここでは、廊下をなくすリノベーションによって得られる具体的なメリットを4つの視点から紹介します。

居住スペースが広がり開放的な空間が手に入る

廊下をなくすリフォームの最も大きなメリットは、居住スペースを物理的に拡張できる点です。廊下として使われていた面積をリビングやダイニングに取り込むことで、LDK全体が広々とした一体感のある空間に生まれ変わります。壁がなくなることで視線が遠くまで抜けるようになり、実際の面積以上に開放感を得られます。

また、これまで廊下によって遮られていた窓からの光が部屋の奥まで届きやすくなり、住まい全体が明るくなる効果も期待できるでしょう。風通しも改善され、快適な生活環境が手に入ります。

家事や生活の動線がシンプルになり暮らしやすくなる

廊下をなくして部屋を一体化させることで、家の中の移動がスムーズになり、家事や生活の動線が効率化されます。例えば、キッチンからダイニング、リビング、そして洗面所へと続く動線が分断されず、短い距離で移動できるようになるため、料理や洗濯といった日常の家事負担が軽減されます。各部屋へのアクセスがリビングから直接可能になることで、目的の場所へ行くためにわざわざ廊下を迂回する必要がなくなります。

このような動線の最適化は、日々の暮らしにおける小さなストレスを解消し、より快適で暮らしやすい住まいを実現するリフォームです。

家族が顔を合わせる機会が増えコミュニケーションが円滑になる

廊下をなくし、リビングダイニングを中心とした間取りにリフォームすると、家族が自然と顔を合わせる機会が増加します。個室へ行く際に必ず共有スペースであるリビングを通る設計にすれば、家族がそれぞれ別のことをしていても、お互いの気配を感じながら過ごせます。

子どもが帰宅した様子や、家族の表情をうかがいやすくなるため、日々のコミュニケーションが円滑になる効果が期待できます。家族が自然とリビングに集まり、会話が生まれるような温かい空間づくりに貢献するリフォームといえます。

壁や建具が減ることでリノベーション費用を抑えられる

廊下をなくすリフォームでは、廊下と部屋を隔てていた壁やドアといった建具が不要になります。これにより、壁の造作費用や建具の材料費、設置費用などを削減できる可能性があります。壁の撤去費用や構造補強が必要な場合は別途コストがかかりますが、削減できた分の予算を内装材のグレードアップや、他のリフォーム箇所に充当することも可能です。

全体のコストバランスを考えた際に、廊下をなくす選択が費用対効果の高い投資となる場合も少なくありません。計画段階でリフォーム会社と費用について詳細に相談することが重要です。

廊下をなくす前に知っておきたいデメリットと解決策

害虫対策 メリットデメリット
廊下をなくすリフォームには多くのメリットがある一方で、計画段階で考慮すべきデメリットも存在します。空間が一体化することで生じるプライバシーの問題や、音・ニオイの広がり、冷暖房効率の低下などがその代表例です。しかし、これらのデメリットは事前に対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。ここでは、起こりうる問題点と、それらを解決するための具体的な方法について解説し、後悔のないリフォーム計画をサポートします。

各部屋のプライバシーを確保しにくくなる

廊下をなくしてリビングから直接各個室へ出入りする間取りにすると、部屋の独立性が低下し、プライバシーの確保が難しくなる場合があります。家族の生活リズムが異なる場合や、来客時に個室への出入りがリビングから見えてしまうことに抵抗を感じるかもしれません。

この問題への対策として、個室のドアの位置をリビングから直接見えにくい場所に配置する、あるいは通路部分に格子やデザインウォールを設けて緩やかに視線を遮るといった方法が有効です。また、引き戸を採用すれば、開閉に必要なスペースが少なく、空間を柔軟に仕切れます。

生活音や料理のニオイが家全体に広がりやすい

壁やドアといった仕切りが少なくなるため、LDKで発生するテレビの音や話し声、調理中の音やニオイが家全体に伝わりやすくなります。特に、就寝中の家族がいる寝室や、集中したい書斎などへ影響が出やすい点は注意が必要です。対策としては、キッチンの換気計画を重視し、排気能力の高いレンジフードを設置することが挙げられます。

また、寝室や書斎のドアを遮音性の高いものに変更したり、壁に吸音材や防音材を使用したりすることも効果的です。間取りの工夫として、音やニオイが気になる部屋をLDKから少し離れた位置に配置することも検討します。

空間が広がることで冷暖房の効率が下がる可能性がある

廊下をなくしてLDKなどの大空間をつくると、部屋全体を適温にするまでに時間がかかり、冷暖房の効率が低下して光熱費が上昇する可能性があります。特に吹き抜けを設ける場合、暖かい空気が上部に溜まり、冬場に足元が寒く感じられることもあります。

この問題に対応するためには、リノベーションを機に、住まい全体の断熱性能を見直すことが最も効果的です。壁や天井に断熱材を追加したり、窓を断熱性の高い複層ガラスや樹脂サッシに交換したりすることで、冷暖房効率は大幅に改善されます。シーリングファンや床暖房の導入も有効な対策です。

来客時に玄関から生活空間が見えやすくなる

玄関から廊下を経ずに直接リビングにつながる間取りは、開放感がある一方で、玄関ドアを開けた瞬間に生活空間が訪問者の目に触れやすくなるという側面も持ちます。急な来客や配達の際に、散らかった部屋を見られてしまうことを避けたい場合もあるでしょう。

このデメリットを解消するためには、玄関とリビングの間に視線を遮る工夫を取り入れることが有効です。例えば、L字型のアプローチを設けたり、格子状のパーテーションやデザイン性の高い間仕切り壁を設置したりする方法があります。玄関スペースを広めに取り、そこに収納などを配置してワンクッション置くのも良いでしょう。

廊下をなくすリノベーションにかかる費用相場

リノベーション 固定資産税
廊下をなくすリノベーションの費用は、建物の種類(マンションか戸建てか)、構造、そして工事の規模によって大きく変動します。単に壁を撤去して内装を仕上げるだけの小規模なものから、キッチンや水回りの移動を伴う大規模なものまで様々です。予算を立てるためには、まず自宅の状況と、どこまでのリノベーションを望むのかを明確にする必要があります。ここでは、マンションと戸建てそれぞれのケースにおける費用相場と、工事規模別の目安について解説します。

マンションの場合

マンションで廊下をなくすリノベーション費用は、おおよそ50万円から300万円が目安となります。費用を大きく左右するのは、撤去したい壁が建物の構造を支える「耐力壁」か、単なる間仕切りである「非耐力壁」かという点です。

非耐力壁の撤去とそれに伴う内装補修であれば、50万円から100万円程度で収まることもあります。しかし、耐力壁は基本的に撤去できないため、この壁をどう扱うかによって計画が大きく変わります。また、床材の全面張り替えや電気配線の変更、周辺の内装工事が広範囲に及ぶ場合は、費用が200万円を超えることもあります。

戸建ての場合

戸建ての廊下をなくすリノベーション費用は、100万円から500万円以上と、マンションに比べて費用範囲が広くなる傾向があります。これは、戸建てのほうが間取り変更の自由度が高い一方で、構造補強や階段の移設といった大規模な工事が必要になるケースがあるためです。

在来軸組工法の場合は比較的自由に壁を撤去できますが、柱や梁の補強が必要になることがあります。ツーバイフォー工法では壁で建物を支えているため、撤去できる壁に制限が多く、専門的な判断が不可欠です。階段の位置を変更するとなると、300万円以上の費用がかかることも珍しくありません。

間取り変更の規模別にみる費用の目安

廊下をなくすリノベーション費用は、工事の規模によって大きく異なります。まず、廊下の壁を撤去し、床や壁紙などを部分的に補修する程度であれば、50万〜150万円程度が目安です。次に、廊下をなくしてLDKを拡張し、キッチンの位置も移動するなど水回り設備工事が伴う場合は、200万〜500万円以上かかることが一般的です。

さらに、家全体の間取りを見直すフルリノベーションの一環として廊下をなくす場合は、建物の規模や内装の仕様によりますが、500万円を超える大規模な工事となるでしょう。これらはあくまで目安であり、正確な費用はリノベーション会社からの見積もりで確認する必要があります。

廊下をなくすリノベーションで後悔しないためのポイント

害虫対策 ポイント
廊下をなくすリフォームは、住まいの可能性を大きく広げる一方で、計画を誤ると「こんなはずではなかった」という後悔につながる可能性も秘めています。開放感を優先するあまりプライバシーが損なわれたり、見た目ばかりに気を取られて生活動線が悪化したりするケースも少なくありません。

そうした失敗を避けるためには、デザイン性だけでなく、家族のライフスタイルや建物の制約など、多角的な視点から計画を練り上げることが不可欠です。ここでは、成功に導くための重要なポイントを解説します。

家族の生活スタイルや将来設計に合わせた動線を考える

廊下をなくすリフォーム計画では、現在の家族の暮らしだけでなく、将来のライフステージの変化まで見据えることが重要です。例えば、子どもが小さいうちは目が届きやすいオープンな間取りが便利ですが、成長して思春期になればプライバシーを尊重できる空間が必要になります。朝の忙しい時間帯に家族の動線が交錯して混雑しないか、洗濯物を干してから収納するまでの家事動線はスムーズかなど、具体的な生活シーンをシミュレーションしてみるべきです。

将来の家族構成の変化にも対応できるような、可変性のある間取りを検討することも後悔を避けるための賢明なリフォーム計画といえます。

マンションの場合は構造上の制約や管理規約を事前に確認する

マンションで廊下をなくすリノベーションを行う際は、まず建物の構造を確認することが絶対条件です。壁で建物を支える壁式構造のマンションでは、室内の壁が構造体(耐力壁)となっていることが多く、基本的に撤去はできません。また、柱と梁で支えるラーメン構造であっても、撤去できない壁が存在する場合があります。これらは図面だけでは判断が難しいため、専門家による現地調査が不可欠です。

さらに、マンションの管理規約でリフォームの範囲や使用できる建材、工事可能な曜日・時間帯などが定められているため、計画の初期段階で管理組合への確認を必ず行いましょう。

戸建ての場合は階段の位置を慎重に検討する

戸建てで1階の廊下をなくしてLDKを広げるリフォームを計画する場合、階段の位置が間取り全体の使い勝手を左右する重要な要素となります。リビング内に階段を設置する「リビング階段」は、家族の気配を感じやすく人気のスタイルですが、2階の音が1階に伝わりやすい、冬場に2階からの冷気が降りてきて寒いといったデメリットも考慮しなければなりません。

階段の移動は構造にも関わる大掛かりな工事となり、費用も高額になります。既存の階段の位置を活かしつつ、どのように動線を確保し、快適な空間を設計するかが、リフォームの専門家の腕の見せ所でもあります。

間取り変更の実績が豊富なリノベーション会社に相談する

廊下をなくすような間取り変更を伴うリフォームは、デザイン力はもちろん、建物の構造に関する深い知識と豊富な経験が求められます。そのため、依頼する会社選びはプロジェクトの成否を分ける非常に重要なステップです。リフォーム会社のウェブサイトなどで、過去に手がけた間取り変更、特に廊下をなくしたリノベーションの施工事例を確認し、実績が豊富かどうかを判断しましょう。

複数の会社に相談して提案や見積もりを比較検討し、こちらの要望を的確に理解し、専門的な視点から最適なプランを提案してくれる信頼できるパートナーを見つけることが大切です。

【間取り図で見る】廊下をなくしたリノベーションの成功事例

これまでに廊下をなくすことのメリットや注意点を解説してきましたが、実際のイメージを掴むには成功事例を見るのが一番です。リノベーションによって、既存の間取りがどのように生まれ変わるのか、ビフォーアフターの間取り図を比較することで、その効果を具体的に理解できます。

ここでは、マンションと戸建てのそれぞれで、廊下をなくすことで暮らしやすさと快適性を手に入れたリノベーションの事例を3つご紹介します。ご自身の住まいづくりのヒントとして参考にしてください。

事例1:マンション


通常は、玄関からリビングを行き来するだけの廊下に洗面台を設けました。廊下に洗面台を置くことで、脱衣所では実現できなかった広々とした洗面台にすることができました。お気に入りのタイルや鏡を選ぶことで、来客が会った時にも自慢したくなる洗面台にすることができます。

事例2:戸建て

中古戸建のリノベーション施工事例
元々1階の部屋が細かく分かれていましたが、壁を取払い部屋を繋げて大きなLDKにリノベーションしました。それにより、廊下が不要になり、より広いLDKにすることができました。

事例3:戸建て


間取り変更をプランする際に、移動でしか使用しない廊下をできるだけ減らす工夫をすることで、限られた面積でも最大限に有効活用することができます。こちらでの事例では動線を工夫することにより、廊下だったスペースにWICをシューズクロークを作ることができました。

構造上廊下をなくせない場合のアイデア

本棚を利用したリノベーション事例
リノベーションを計画しても、マンションの管理規約や建物の構造上の制約から、廊下を完全になくすことが難しいケースもあります。しかし、廊下を撤去できなくても、アイデア次第でその空間を単なる通路以上の価値ある場所に変えることは可能です。廊下を「通路」としてだけ捉えるのではなく、「多目的なスペース」として再定義することで、住まいの機能性や楽しさを向上させるリフォームが実現できます。ここでは、廊下を活かすための具体的なアイデアを紹介します。

壁面に本棚や飾り棚を設置して収納兼ディスプレイスペースにする

廊下の壁は、アイデア次第で魅力的な収納やディスプレイスペースに生まれ変わります。壁一面に天井までの本棚を造作すれば、まるで図書館のような「ライブラリースペース」となり、家族の蔵書を美しく収納できます。また、奥行きの浅い飾り棚を設置して、お気に入りのアートや家族の写真、旅の思い出の品々を飾れば、家の中の「ギャラリー」として楽しめます。

ダウンライトや間接照明などを組み合わせることで、空間に陰影が生まれ、通路を歩く時間も特別なものに感じられるでしょう。このようなリフォームは、家の個性を表現する素晴らしい方法です。

廊下の一部をワークスペースや書斎として活用する

廊下の幅に余裕がある場合や、突き当たりが行き止まりになっているスペースは、コンパクトなワークスペースや書斎として活用するリフォームが考えられます。壁面にカウンターデスクを造作し、電源コンセントやLAN配線を整備すれば、ノートパソコンでの作業や読書に集中できる空間が生まれます。

リビングやダイニングから少し離れているため、家族の生活音を気にせずオンライン会議などに参加しやすいというメリットもあります。個室を一つ増やすほどではないけれど、少しだけ籠れるスペースが欲しいというニーズに応える、賢い空間活用のアイデアです。

まとめ

リフォームによる廊下のない間取りは、空間の有効活用や動線の改善、家族のコミュニケーション促進など、現代のライフスタイルに合った多くの利点をもたらします。一方で、プライバシーの確保や冷暖房効率、構造上の制約といった課題もあり、これらを解決する計画性がリフォームの成功には不可欠です。マンションか戸建てかによって費用相場や注意点も異なるため、まずは自宅の状況を正確に把握することが第一歩となります。廊下をなくすリノベーションは、暮らしを大きく変える可能性を秘めています。実績豊富な専門家と相談しながら、家族にとって最適な住まいの形を見つけ出してください。

WRITERこの記事を書いた人

デザイナー

片山 飛翔TSUBASA KATAYAMA

設計 / 兵庫県三田市出身 / お客様の空想をより良い形で体現する事を常に意識しています / 料理が得意です。お客様とプライベートでも遊べる仲になる事が夢です

リノベーションの相談・各種ご予約はこちら