2025.11.27
最終更新日
2025.11.27
リノベーションのヒント

【アスベスト被害とは】中古マンションのリノベーション・リフォームの際に注意

躯体とは

こんにちは!クジラ株式会社の藤本です!

Writer
藤本恭好
デザイナーWORKS
何事もバランスが大事! を念頭に相談者さまの頭の中を整理するデザイン提案を心がけています。誰かに喜んでいただく事がまわりの人・地域・社会へ伝播することを信じています。

「アスベスト」という言葉を聞いたことはありますか? アスベストとは、かつては“奇跡の鉱物”と呼ばれ、建材などに広く使われていました。しかし、その微細な繊維を吸い込むことで肺がんや悪性中皮腫などを引き起こすことがわかり、現在は使用が禁止されています。

特に2006年以前に建てられた中古マンションでは、リフォームや解体時にアスベストが飛散する危険があるため、事前の調査がとても重要です。リノベーション・リフォームを検討している場合、どんなポイントに注意すればいいのでしょうか。この記事で見ていきましょう。

アスベスト(石綿)とは?人体に及ぼす健康被害と危険性

リノベーション できない場合
アスベスト(石綿)は天然に存在する鉱物繊維で、耐熱性、断熱性、保温性、耐久性などに優れているため、かつては建築材料や工業製品に広く利用されていました。しかし、その繊維が非常に細かく空気中に浮遊しやすいため、吸い込むことで人体に深刻な健康被害をもたらすことが明らかになりました。

アスベストを吸い込むと、肺の組織に長期間留まり、肺の線維化やがん化を引き起こすことがあります。 代表的な病気としては、肺の組織が硬くなる「石綿肺」、肺に発生する悪性腫瘍の「肺がん」、そして胸膜や腹膜などに発生する「悪性中皮腫」などが挙げられます。これらの病気は、アスベストを吸い込んでから15年から50年という長い潜伏期間を経て発症することが特徴です。アスベストによる健康被害は、吸い込む量や期間が多いほどリスクが高まるとされています。

築年数の古い建物、特に2006年以前に建てられた建物には、アスベストが使用されている可能性が高いことに注意が必要です。

アスベストが使用されている可能性が高いマンションの築年数の目安

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アスベストは過去に多くの建築資材として使用されていましたが、健康被害が明らかになったため、段階的に法律による規制が強化され、2006年9月1日に事実上の全面使用禁止となりました。そのため、2006年以降に建てられたマンションにはアスベストが使用されている心配はありません。

しかし、2006年以前に建てられたマンションではアスベストが使用されている可能性があります。特に1975年以前に建てられた物件は吹付けアスベストが使用されている可能性が高く、1975年から1995年の間では吹付けロックウールとして使用されている場合があります。

築年数だけでアスベストの有無を完全に判断することは難しいですが、築年数が古いマンションほど注意が必要です。

リノベーション前に必須!アスベスト事前調査の義務化について解説

マンションのスケルトンリノベーション
アスベストの事前調査は、建築物の解体・改修工事を行う際に法律で義務付けられています。これは労働安全衛生法や大気汚染防止法に基づくもので、違反した場合には罰則が科される可能性があります。

マンションのリノベーションにおいても、アスベストが含まれている可能性がある建物では、必ず調査を実施しなければなりません。特に2006年8月31日以前に着工された建物にはアスベスト含有建材が使われている可能性が高く、注意が必要です。

調査の対象となる工事は、解体部分の床面積が80m²以上の解体工事、または請負金額が税込100万円以上の改修工事です。この調査は、書面調査と目視調査の両方で行う必要があります。また、調査結果は工事開始前に発注者へ説明し、記録を作成して3年間保存する義務があります。さらに、2023年10月1日からは、事前調査や分析調査を実施できる人が「特定建築物石綿含有建材調査者」などの要件を満たす資格者に限定されています。

アスベスト調査から除去工事までの具体的な流れ

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アスベスト調査から除去工事までの流れはどのようになっているのでしょうか。具体的な流れを知っておくことで、リフォーム・リノベーションの計画が立てやすくなります。以下に詳しく見ていきましょう。

STEP1:専門業者によるアスベスト含有調査の方法

リノベーションを検討している建物のアスベスト含有調査は、専門知識を持つ業者に依頼することが重要です。建物の改修や解体工事を行う場合、事前にアスベストの使用状況を調査し、発注者へ書面で説明することが義務付けられています。調査は、まず設計図書や竣工図面といった書面でアスベストが使用されているかを確認する「書面調査」から開始されます。

次に、書面調査で判断できない場合やアスベスト含有の可能性がある場合には、「現地・目視調査」が行われ、実際に建材を確認します。ヒアリングや目視で建材の劣化状態や周辺の状況を確認し、必要に応じて建材のサンプルを採取して分析を行います。

その後、アスベスト含有の疑いがある建材から試料を採取し、専門機関で分析する「分析調査」へと進みます。分析調査では、アスベストの有無を調べる定性分析や、含有率を測定する定量分析が実施されます。これらの調査は、厚生労働大臣が定める講習を受けた専門家が行うことが義務付けられていますので、信頼できる専門業者を選びましょう。

アスベストが検出された場合は、除去工事が必要となり、関係法令に基づき官公署や自治体に届け出を行います。

STEP2:アスベストが検出された場合の除去・封じ込め工事

アスベストが検出された場合、除去・封じ込め・囲い込みのいずれかの方法で対策工事をおこないます。除去工法は、アスベスト含有建材を全て取り除くため、最も確実で安全な方法です。飛散性の高いアスベストの処理には必須とされています。

一方、封じ込め工法はアスベストに処理剤を浸透させて飛散しないように固める方法で、囲い込み工法はアスベストを板材で覆い隠す方法です。これらは除去工法と比較して費用や工期を抑えられますが、アスベスト自体は建物内に残るため、定期的な点検が必要となり、解体時には再度除去作業が必要になる点に注意が必要です。

アスベスト除去工事は、飛散防止剤の噴霧、湿潤化、慎重な撤去作業、清掃、袋詰め、搬出といった手順で進められます。まずアスベストや粉じんの飛散を防ぐために、足場と養生シートを設置します。その後、水や飛散防止剤を散布し、アスベストを湿潤化させてから慎重に除去します。

特に壁などの内装材や外壁塗膜にアスベストが含まれている場合は、飛散を最小限に抑えつつ、丁寧な除去作業が求められます。具体的な工事の流れとしては、除去したアスベスト含有建材は、破れない袋で二重に梱包するか、堅ろうな容器に密封して適切に処分します。

除去後は、現場の清掃やシートの撤去を行い、除去したアスベストは特別管理産業廃棄物として専門業者に引き渡されます。

アスベストの調査・除去にかかる費用の相場

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アスベスト調査の費用相場は、調査の種類によって異なり、1調査あたり2万円から5万円が目安です。ただし、追加調査の有無や建物の規模によって費用は大きく変動します。例えば、部屋の一部など小規模な調査であれば約10万円ですが、一戸建てやマンション全体のような中規模の調査では20万円から50万円ほどかかる場合があります。これは、書面調査・目視調査・分析調査の費用が含まれた金額です。

規模が小さい場合でも、建物の構造が複雑であれば費用が高くなることがあります。アスベスト調査費用は基本的に建物の所有者が負担しますが、建物の規模が大きくなるほど調査面積や検体数が増えるため、高額になる傾向があります。

除去費用は、アスベストの種類や建物の状況、建材の種類によって変動します。アスベストの危険度レベルが高いほど、除去費用も高くなる傾向があります。除去作業には専門的な技術と厳重な安全管理が求められるため、一般的な解体工事よりも高額になることが一般的です。

費用負担を軽減する補助金制度の活用方法

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アスベストの調査や除去にかかる費用は高額になることが多いため、国や地方公共団体が設ける補助金制度の活用を検討しましょう。

自治体によっては、アスベスト調査や除去工事に関する補助金制度を設けている場合があります。国による補助金制度「住宅・建築物アスベスト改修事業」もあります。対象は吹付けアスベストやアスベスト含有吹付けロックウールが施工されている建物で、調査費用は原則として1棟あたり上限25万円、除去費用は地方公共団体の補助額の1/2以内(かつ全体の1/3以内)とされています。

ただし、補助制度の有無や補助金額、条件は地方公共団体によって異なるため、お住まいの自治体への事前確認が必要です。補助金の申請は、調査や除去工事を開始する前に行う必要があります。交付決定通知を受け取ってから業者と契約し、工事を進めることが重要です。工事完了後には報告書の提出も求められるため、期限内に適切に手続きを進めましょう。

施主(発注者)がリノベーション前に知っておくべき義務と注意点

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施主(発注者)がリノベーションを行う際、アスベスト含有建材が使用されている物件では、専門業者によるアスベストの事前調査が義務付けられています。調査によってアスベストの有無が判明した場合、適切な除去や封じ込め工事を実施することが求められます。これらの対応は施主の義務であり、怠ると法的な罰則が科せられる可能性があります。

また、調査費用や除去費用は施主負担となるため、事前に費用の目安や補助金制度の有無を確認し、予算計画に含めることが重要です。施主は、これらの義務と費用負担、さらにアスベスト除去に伴う工事期間の延長を考慮した上で、リノベーション計画を進める必要があります。

アスベスト対応を見越したリノベーションのスケジュール計画

リノベーションとリフォームの違い
リノベーションでアスベストへの対応が必要な場合、通常の工事よりもスケジュールが長くなることを考慮し、余裕を持った計画が大切です。アスベストの事前調査は2023年10月1日以降、有資格者による実施が義務付けられており、書面調査と現地調査、必要に応じて分析調査が行われます。事前調査には通常2週間から4週間程度かかり、建物の規模や建材の種類、検体数によって期間が変動します。

また、アスベストが検出された場合は、除去・封じ込め・囲い込みといった適切な処理が必要となり、これにも別途期間を要します。処理方法によっては、除去費用も変動します。調査結果の報告は工事着工前に行う義務があるため、リノベーション全体の工程を逆算して、早めにアスベスト調査を依頼することが重要です。

まとめ

リノベーションでアスベストへの対応が必要な場合、通常の工事よりもスケジュールが長くなることを考慮し、余裕を持った計画が大切です。アスベストの事前調査は2023年10月1日以降、有資格者による実施が義務付けられており、書面調査と現地調査、必要に応じて分析調査が行われます。事前調査には通常2週間から4週間程度かかり、建物の規模や建材の種類、検体数によって期間が変動します。

また、アスベストが検出された場合は、除去・封じ込め・囲い込みといった適切な処理が必要となり、これにも別途期間を要します。処理方法によっては、除去費用も変動します。調査結果の報告は工事着工前に行う義務があるため、リノベーション全体の工程を逆算して、早めにアスベスト調査を依頼することが重要です。

2006年以前に建てられた建物のリフォーム・リノベーションを検討する場合は、アスベストのことを頭に入れておき、まずは施工会社に計画段階で相談をするといいでしょう。

WRITERこの記事を書いた人

デザイナー

藤本 恭好TAKAYOSHI FUJIMOTO

デザイナー/大阪府豊中市出身/何事もバランスが大事! を念頭に相談者さまの頭の中を整理するデザイン提案を心がけています/
音楽・映画・食・サッカー・笑いをこよなく愛し 誰かに喜んでいただく事がまわりの人・地域・社会へ伝播することを信じています

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