2025.12.15
最終更新日
2025.12.15
リノベーションのヒント

リフォーム・リノベーションの値引き交渉のコツ|失敗しない言い方や注意点を解説

リノベーション 値引き

こんにちは!クジラ株式会社の三輪です!

Writer
三輪海斗
ディレクターWORKS
2018年に新卒入社後、住宅・店舗・オフィスなど幅広く担当。住宅ローンの工面など難しい状況でもお客様に寄り添ってサポート。

リノベーションの費用は決して安いものではなく、少しでも抑えたいと考えるのは自然なこと。値引き交渉は可能ですが、成功させるにはコツと注意点を理解しておく必要があります。やみくもな要求は、かえって施工会社との関係を損ない、工事の質にも影響を与えかねません。

この記事では、私たち施工会社の視点も交えながら、失敗しないための準備や具体的な伝え方、交渉以外で費用を抑える方法までを解説します。

リノベーションの値引き交渉は可能?費用相場も解説

リノベーション お金
結論から言うと、リノベーションにおける値引き交渉は可能です。
しかし、家電量販店のような大幅な値引きを期待するのは現実的ではありません。

リノベーション費用は材料費や人件費、経費などで構成されており、値引きできる余地は限られています。
一般的に、値引き率の目安は工事費用の総額から数パーセント程度、多くても5%前後と考えるのが妥当です。それ以上の値引きは、どこかの工程を削ったり、材料の質を落としたりしなければ難しいのが実情。

値引き交渉に臨む際は、こうした費用の内訳を念頭に置き、現実的な範囲で相談することが成功への第一歩となります。

交渉を成功させるために!リノベーションの値引き前に準備すべきこと

値引き交渉 準備
リノベーションの値引き交渉を有利に進めるには、事前の準備が欠かせません。
具体的な根拠や比較材料がないまま、ただ「安くしてほしい」とお願いしても、施工会社を困らせてしまうだけです。

まずは希望する工事の適正価格を把握し、複数の会社から見積もりを取ることが重要。そして、自分たちの中でリノベーションの優先順位を明確にしておくことが大切です。

リノベーション費用の適正価格を把握しておく

まず、ご自身が希望するリノベーションにどれくらいの費用がかかるのか、相場を把握しておくことが重要です。会社のウェブサイトに掲載されている施工事例や費用シミュレーションなどを参考に、大まかな価格感を掴んでおきましょう。

例えば、トイレリフォームのような部分的な工事であれば数十万円から、間取り変更を含むマンションリフォーム全体となると300万円以上になることも珍しくありません。

工事内容や使用する建材、物件の状況によって費用は大きく変動するため、自分たちの計画に近い事例を探すのが有効です。この相場観が、提示された見積もり額が妥当かどうかを判断する基準となり、具体的な交渉の土台を築きます。

複数の会社から見積もりを取って比較材料にする

適正価格をより正確に把握し、交渉の材料を得るためには、複数の会社から見積もりを取る「相見積もり」が不可欠です。最低でも2〜3社に同じ条件で依頼し、提出された見積書を詳細に比較検討します。
このとき、総額の安さだけで判断してはいけません。

工事項目、使用する建材の品番やグレード、諸経費の内訳、アフターサービスの内容まで細かくチェックすることが肝心です。各社の見積もりを並べて比較することで、項目ごとの価格差が明確になり、「この項目は他社より高めですが、理由は何ですか」といった具体的な質問ができるようになり、説得力のある交渉につながります。

譲れない箇所と妥協できる箇所の優先順位を決める

リノベーションで実現したい要望をすべて予算内で叶えるのは、現実的に難しいケースが多くあります。
そこで、事前に家族間で話し合い、「デザイン性や機能性など、絶対に譲れない箇所」と「予算次第ではグレードを下げても良い妥協できる箇所」を明確に分けておくことが大切です。

例えば、キッチンは最新の食洗機や高機能コンロを導入したいが、内装の壁紙は標準グレードで構わない、といった具合です。

この優先順位がはっきりしていると、予算オーバーした場合にどの部分を削るか、あるいは仕様を変更するかという相談がスムーズに進みます。

特に中古物件のリノベーションでは、構造補強や断熱など目に見えない部分への投資も重要になるため、優先順位付けは欠かせません。

【実践編】リノベーション会社に響く値引き交渉のコツと伝え方

値引き交渉について
入念な準備が整ったら、いよいよ交渉の実践です。
ここでのポイントは、施工会社を敵対視するのではなく、良い家づくりを共に行うパートナーとして接すること。高圧的な態度は避け、協力して予算内に収める方法を探したいという姿勢で臨むことが、円滑なコミュニケーションと良い結果につながります。

伝え方一つで相手の心証は大きく変わるため、言葉選びにも配慮が必要です。この章では、私たち施工会社側の立場からも納得しやすい、具体的な交渉のコツと伝え方を紹介します。

高圧的な態度ではなく丁寧にお願いする姿勢を見せる

値引き交渉の場面では、強い態度に出れば有利になると考える方もいるかもしれませんが、それは逆効果です。「これくらい引いてもらわないと困る」といった高圧的な物言いは、担当者の心証を損ね、その後の打ち合わせや工事全体の雰囲気を悪くする原因になりかねません。

施工会社も人との関わりを大切にしており、信頼関係を築けるお客様のために、より良い提案をしたいと考えるものです。「予算が少し厳しくて。何とかご協力いただけると嬉しいです」というように、あくまで丁寧にお願いする姿勢が重要。お互いを尊重する「和」の心を持つことが、結果的に担当者の協力的な姿勢を引き出し、円満な交渉へと導きます。

「予算内で実現できる方法」を相談する形で提案を求める

単に「とにかく安くしてください」と要求するのではなく、「総額〇〇万円という予算内で、このリノベーションを実現するにはどのような方法がありますか」と相談する形での交渉が効果的です。
このように投げかけることで、施工会社側は単なる値引きではなく、プロの視点からコストダウンのための代替案を考えやすくなります。

例えば、希望の機能は満たしつつも、より価格の安いメーカーの設備を提案したり、仕上げ材の種類を変更したり、工事の工程を工夫したりと、様々な角度からの提案が期待できます。漠然とした要求ではなく、具体的なゴール(予算)を共有し、一緒に解決策を探る姿勢を示すことが、前向きな回答を引き出す鍵となります。

他社の見積もりを引き合いに出して価格の妥当性を問う

相見積もりを取っている場合、他社の金額を交渉材料にするのは有効な手段の一つです。ただし、その伝え方には注意が必要。
「A社はもっと安かったから、同じ額まで値下げしてほしい」というストレートな要求は、相手に不快感を与えかねません。

そうではなく、「他社ではこの工事項目がこの金額だったのですが、御社の見積もりとの差は、どのような仕様や工法の違いによるものでしょうか」と、価格の根拠や妥当性を尋ねる形が望ましいです。
これにより、単なる価格競争ではなく、品質やサービスの違いについて建設的な対話ができます。多くの会社が見積もり無料で対応しているので、この比較検討は必ず行いましょう。

設備や建材のグレードダウンで費用調整を依頼する

費用を調整する上で最も現実的かつ効果的な方法が、キッチンやユニットバスといった設備、あるいは床材や壁紙などの建材のグレードを見直すことです。例えば、浴室リフォームを検討する際、最上位モデルのユニットバスから標準的な機能を持つモデルに変更するだけで、費用を大幅に削減できる場合があります。

すべての箇所で最高級のものを採用するのではなく、事前に決めた優先順位に基づき、「この部分のグレードを一つ下げた場合、どのくらい費用が変わりますか」と具体的に相談してみましょう。こだわりたい部分にはコストをかけ、そうでない部分の費用を抑えるというメリハリをつけることで、予算内で満足度の高い空間づくりが可能になります。

工事を依頼する時期を調整できるか相談する

リフォーム・リノベーション業界には、繁忙期と閑散期が存在します。一般的に、引越しシーズンや年度末にあたる2月〜3月や、年末にかけては工事が集中しやすくなります。

逆に、梅雨の時期や真夏は比較的工事が少ない傾向にあります。もし工事の時期に融通が利くのであれば、「もし御社のスケジュールが空いている時期に工事をお願いする場合、価格面でご協力いただくことは可能ですか」と相談してみるのも一つの手です。

会社側としても、職人や設備の稼働率を上げたいという事情があるため、閑散期であれば柔軟に対応してくれる可能性があります。ただし、これはあくまで可能性の一つであり、全ての会社で通用するわけではない点は理解しておきましょう。

ここに注意!リノベーションの値引き交渉で失敗しないためのポイント

値引き交渉 ポイント
値引き交渉は費用を抑える有効な手段ですが、進め方を誤ると大きな失敗につながるリスクも伴います。過度な値引き要求は、工事の品質低下を招いたり、施工会社との信頼関係を損ねたりする原因となります。また、保証内容や保証期間に影響が及ぶ可能性もゼロではありません。

安さを追求するあまり、リノベーション本来の目的である「快適で満足のいく住まいを手に入れること」を見失わないように、交渉の際に注意すべきポイントをしっかりと押さえておきましょう。

値引き自体を交渉のゴールにしない

値引き交渉において最も陥りやすい失敗が、値引き額の大きさを追求するあまり、本来の目的を見失ってしまうことです。交渉のゴールは、あくまで「予算内で満足度の高いリノベーションを実現すること」であり、値引きはそのための手段に過ぎません。

「お得感」を求めるあまり、必要な工事内容を削ったり、希望していた建材を諦めたりしては本末転倒です。最終的に完成した住まいに不満が残るのであれば、たとえ数百万円安くなったとしても、そのリノベーションは成功とは言えません。常に全体のバランスを考え、自分たちが本当に求めているものは何かを忘れないようにすることが重要です。

無理な値引き要求は工事の質の低下につながる可能性を理解する

リノベーションの見積もりには、材料費や職人の人件費のほか、現場管理費や会社の運営に必要な経費、そして適正な利益が含まれています。無理な値引きを要求するということは、これらのいずれかを削ることを意味します。

特に、会社の利益率を大幅に下回るような要求は、目に見えない部分でのコストカットにつながる危険性が高いです。

大幅な値引きを安易に提示する業者には警戒する

交渉の初期段階で、こちらから何も言っていないにもかかわらず「今決めてくれるなら〇〇万円引きます」といった大幅な値引きを安易に提示してくる業者には、慎重な姿勢で臨むべきです。
その背景には、そもそも値引き分をあらかじめ上乗せした高額な見積もりを提示している可能性が考えられます。

また、契約を取りたい一心で安請け合いし、工事が始まってから「これは追加工事です」と何かと理由をつけて費用を請求してくる悪質なケースも存在します。

誠実な会社ほど、最初から適正な価格で見積もりを作成しているため、理由のない大幅な値引きは行わないものです。魅力的な提案に聞こえても、一度立ち止まってその理由を考える冷静さが必要です。

契約直前のタイミングでの交渉は避ける

価格に関する交渉は必ず契約を結ぶ前の見積もり提示検討段階で済ませておくのが鉄則です。プランの内容や金額に双方が合意し、いざ契約書にサインをするという段になってから、さらなる値引きや割引を求めるのはマナー違反と言えます。

施工会社側は契約に向けて資材の発注準備や職人のスケジュール調整などを進めている場合が多く、このタイミングでの変更要求は大きな混乱を招き、築き上げてきた信頼関係を一瞬で壊しかねません。
お互いに気持ちよくプロジェクトを進めるためにも、金額面での合意は契約前に完了させ、契約後はその内容に沿って進めるというルールを守りましょう。

交渉以外でリノベーション費用を抑える賢い方法

リノベーション 補助金
リノベーション費用を抑える方法は、値引き交渉だけではありません。国や自治体が用意している制度を賢く活用したり、自分たちでできる作業に取り組んだりすることで、総額を効果的に圧縮することが可能です。

交渉が苦手な方や、交渉で思うような結果が得られなかった場合でも、これらの方法を知っておくことで、予算内で理想の住まいを実現できる可能性が広がります。
ここでは、交渉以外で費用を抑えるための具体的なアプローチをいくつか紹介します。

国や自治体が実施する補助金・助成金制度を活用する

リノベーションの内容によっては、国や地方自治体が実施している補助金・助成金制度を利用できる場合があります。

特に、省エネルギー性能の向上(断熱改修、高効率給湯器の設置など)、耐震性の強化、バリアフリー化といった社会的な要請の高い工事が対象となることが多いです。

これらの制度は、年度ごとに予算や要件、申請期間が定められているため、計画段階での情報収集が欠かせません。利用できれば数十万から百万円以上の補助が受けられるケースもあり、費用負担を大きく軽減できます。
まずは施工を依頼する会社に相談したり、お住まいの自治体のホームページを確認したりすることから始めましょう。

住宅ローン減税が適用されるか確認する

住宅ローンを利用してリノベーションを行う場合、一定の要件を満たせば「住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)」が適用される可能性があります。
これは、年末時点でのローン残高の一定割合が、所得税(および一部住民税)から控除される制度です。

増改築や大規模な修繕、省エネ改修、バリアフリー改修などが対象となり、最大で10年間(制度により期間は異なる)にわたって税金の還付が受けられます。適用には、工事費用の額や居住用家屋の床面積など、細かい条件が定められているため、事前に税務署のウェブサイトやリノベーション会社に確認し、自分たちの工事が対象となるかを把握しておくことが重要です。

DIYできる部分は自分たちで行いコストを削減する

DIY 塩ビタイル
専門的な技術や資格が不要な作業の一部を自分たちで行う「施主施工(DIY)」も、コストを削減する有効な手段です。

例えば、内装の壁紙貼りや塗装、簡単な棚の造作、既存設備の撤去作業などが考えられます。これらの作業にかかる人件費を節約できるだけでなく、自分たちの手で住まいづくりに参加することで、完成後の愛着も一層深まります。

ただし、どこまでをDIYで行うかは、必ず事前に施工会社と相談し、許可を得る必要があります。電気工事や配管工事など専門資格が必要な作業や、建物の構造に関わる部分はプロに任せるのが絶対条件。安全面と仕上がりの品質を考慮し、無理のない範囲で取り組むことが大切です。

値引き交渉は信頼関係を大切に

値引き交渉 まとめ
リノベーションの値引き交渉は、成功すれば費用を抑える有効な手段となります。
しかし、成功の鍵は、ただ安さを求めるのではなく、事前の情報収集や優先順位付けといった入念な準備と、施工会社との信頼関係を損なわない丁寧な伝え方にあります。

無理な要求は工事の質の低下を招くリスクがあることを理解し、仕様変更や代替案の提案を求めるなど、建設的な話し合いを心がけることが重要です。

また、補助金制度の活用やDIYなど、交渉以外の方法も組み合わせることで、予算内で満足度の高いリノベーションを実現しましょう。

WRITERこの記事を書いた人

ディレクター

三輪 海斗KAITO MIWA

ディレクター / 大阪府高槻市出身 / 三輪に頼んで良かったと言ってもらえるように頑張ります / 休日はよく古着屋巡りや、家具屋さんに行きます!

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