「暮らしの“解像度”を上げるのは、照明計画だ。」【KUJIRAメソッド8】

こんにちは、クジラ株式会社の三輪です。
![]() | Writer 三輪海斗 ディレクターWORKS 2018年に新卒入社後、住宅・店舗・オフィスなど幅広く担当。住宅ローンの工面など難しい状況でもお客様に寄り添ってサポート。 |
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同じ物件の中で、もうひとつどうしても触れておきたいテーマがあります。それが、「照明計画」です。
間取り、素材、収納——家づくりの要素はいろいろありますが、僕自身は「最後の決め手になるのは照明計画だ」と思っています。
そしてここは、プロとして一番価値を発揮できる場所でもあります。
目次
施主さんにあった「照明が大事」という感度
今回のKさんご夫妻は、もともと照明計画の大切さをよくご存じでした。おそらくネットやSNSなどでかなり情報収集をされていて、初回の打ち合わせから、
・ダウンライトをただ等間隔に並べるのはイヤ
・間接照明やスポットで“雰囲気をつくる”ことに興味がある
・夜の居心地をちゃんと考えたい
といった温度感を、はっきりと共有してくださっていました。
「明るければいい」ではなく、「どんな光で、どう過ごしたいか」まで考えている施主さん。その感度の高さが、この家の仕上がりをグッと引き上げています。
追加オーダーがほとんどなかった「照明提案」
照明計画を進める中で印象的だったのは、こちらからの提案に対して、追加のご要望がほとんどなかったことです。
キッチン:スポットライトと間接照明を組み合わせた“家バル”モード

リビング:光源を直接見せすぎない、やわらかい灯り中心の構成

廊下・WIC:必要なところだけをピンポイントで照らす計画

背面壁:塗装仕上げを活かす当て方で、テクスチャーが浮かび上がるように

こうした案をお見せしたとき、Kさんはとても喜んでくださって、「ここはこう変えたい」というよりも、「それ、いいですね。ぜひそれで!」というリアクションが多かったんです。
たくさん要望を出していただくのも良いのですが、今回のように「大枠の方向性を共有したうえで、細部はプロに任せてもらう」ケースは、設計者としても腕のふるいがいがあります。
照明計画は“生活のシーン”を一緒に想像する作業
照明計画がむずかしいのは、「図面では伝わりにくい」という点です。
・どのくらいの明るさで
・どこに影が落ちて
・どこにだけ、わざと光を当てないのか
これは、パースや写真だけではなかなかイメージしづらい部分でもあります。だからこそ、僕が意識しているのは、「生活のシーンごとに光を設計する」という考え方です。
・仕事終わりに一人でキッチンに立つときの光
・友人を招いて“家バル”になる夜の光
・子どもがソファでごろごろしながらテレビを見るときの光
眠る前、家族それぞれが自分の場所で過ごすときの光
こうしたシーンをひとつずつ思い浮かべながら、「この場面では、どの照明だけを点けるか」まで想像して配置していきます。
スイッチの分け方や回路の組み方も含めて、実は照明計画って「暮らしの台本づくり」に近い仕事なんです。
プロの価値を発揮する見せ場
照明については、ネットやSNSで情報を集めれば、「おしゃれな照明器具」は簡単に見つかります。
でも、
・天井のどこにつけるのか
・何個までに抑えるのか
・どこにあえて付けないか
・どの光だけで成立させる夜をつくるか
といった「引き算」と「組み合わせ」は、やはりプロの経験や“第三者の目”がものを言う領域です。
家づくりの中で、もっとも“設計者の個性”と“住まい手の暮らし”が交わる場所が、この照明計画だと思っています。
照明計画は、図面の端っこにある「●」や「×」の記号で終わるものではありません。家で過ごす時間の温度や、そこで交わされる会話のトーン、一日の終わりにふっと力が抜ける瞬間までを左右する、大事な設計要素です。
だからこそ、僕たちはここを「プロとして価値を発揮できる場」と位置づけています。
暮らしの解像度を一段引き上げるための、目に見えにくいけれど大切なメソッド。それが、KUJIRAの考える「照明計画」です。





