“暮らし”を語るのは当たり前「それを“会社”でやっているのが斬新だった」
フリーランスの個人事業主として、これまで店舗の設計施工に携わってきました。図面を細部まで描き切るタイプというより、スケッチや参考写真からイメージを組み立てていくほうが得意です。CADオペレーターと連携しながら、コンセプトボードや事例を集め、お客さんに伝わる形へまとめていく。仕事の入口は紹介が中心で、押しの強い営業ではなく、人が人を呼ぶ流れの中で案件を重ねてきました。

50歳を前にして、違和感もありました。経験と小手先で、案件がなんとかなってしまう感じが出てきたんです。理由も後付けで作れるし、フォローもうまくなる。けれど、それが自分の中でしっくりこなかった。もう一度取っ払って、ヒリヒリした状態で、本気で働きたいと思ったんです。
個人でやっていると、「伝える」「チームでつくる」が起こりにくい。孤独というほどではないけれど、学び直すなら組織のほうがいい。AI時代の流れも冷静に見ていて、センスと人柄だけで仕事を取ってきた中途半端なタイプは淘汰されるはずだ、という感覚もありました。だからこそ、どこかに所属して学び直そうと考えたんです。

クジラを選んだのは、「暮らし」を掲げているからではありません。「暮らし」を語る会社はこの業界では珍しくない。私が斬新だと感じたのは、それを“会社ベース”でやっているところでした。施工管理、設計、営業と職能は違っても、結局そこに向かわないといいものにはならない。その感覚が、社内にちゃんと共有されている。あわせて、営業のトップが社長で、信頼を得る所作や言葉選び、温度感の操作が、実務として高いレベルで体現されている。そこに、会社の推進力を感じます。
入口は施工管理ですが、自分を「施工管理だけ」とは捉えていません。カテゴリで自分を決めたくないんです。ディレクションでもPMでも、必要ならやれると思っている。机に向かって覚えるより、現場に出て体に染み込ませるほうが、私には合っています。仕事と日常を切り分けるのも、正直あまり得意ではありません。建築やデザインは、生活と密接につながっている。だからこそ、その感覚を言葉にして、チームで扱える形にしていくのが、これからの課題だと思っています。
最近いちばん変わったのは、朝です。通勤が長くなって朝が早くなったぶん、部屋の感じや光の入り方を、日々体で感じるようになりました。朝を取り込める空間っていいよね、と勝手に考えるようになって。暮らしの時間帯が変わると、家の見え方も変わるんです。その感覚を、自分の中だけで終わらせず、クジラのチームと共有できる形にしていきたい。それが、いま取り組みたいことです。