建築士にリノベーションを依頼するポイントは?メリット・デメリットも解説
こんにちは!クジラ株式会社の柳川です!
Writer 柳川映子 デザイナーWORKS 大学院で建築を学び、二級建築士の有資格者でもあるので、ロジカルな設計を組み立てていくのが得意なデザイナー。 |
リノベーションを成功に導くカギともなるのが「どこに依頼するか」です。リノベーションを依頼する先としてまず思いつくのは、大手ハウスメーカーのリフォーム会社やリフォーム専門業者、工務店などがありますが、さらなる候補として、建築家や設計事務所も一つの選択肢です。それぞれに得意不得意としている部分があり、メリット・デメリットがあります。そこで今回の記事では、建築士にリノベーションを依頼する際のポイントや、メリット・デメリットを詳しく解説します。
目次
まずは建築士・建築家とは?その役割を理解しよう
「建築士」と「建築家」は同義であると思っている人が多いかと思いますが、実は両者には決定的な違いがあります。まず建築家とは、国家資格をもっている・もっていないにかかわらず、自らで名乗ることができます。リノベーションのプランニングには資格が不要です。そのため資格を保有していなくても家づくりに携わっていれば、「建築家」と名乗ることができるのです。
一方で建築士とは、「建築士法」に定められた資格を保有した上で、建物の設計・工事監理を行う建築のプロフェッショナルです。一級建築士、二級建築士、木造建築士など、国家資格を取得している人だけが名乗ることができるものです。一級建築士は国土交通大臣、二級建築士・木造建築士は都道府県知事の免許(国家資格を持っている)を受けています。
建築士や建築家にも住宅設計が得意だったり、工場やマンション設計が得意だったりと、カテゴライズされている場合が多いです。工務店やリノベーション会社にも建築士資格保有者はたくさんいますが、今回の記事では、個人建築士に設計のみを別途依頼するケースを考えてみましょう。
リノベーションの大まかな流れと建築士の関わり方
建築士は、実際のところリノベーションにどう関わってくるのでしょうか。まずは、リノベーションをする際の大まかな流れを見ていきましょう。
現地調査…リノベーションをする物件を実際に下見します(自宅をリノベーションする場合はこの工程はなくてOK)
プランニング・見積り…具体的にどのようにリノベーションするかを打ち合わせ・相談し、それに合わせて見積もりを出してもらいます。この工程が、リノベーション成功のカギを握っているといっても過言ではありません。何度もやりとりすることが予想されますが、この工程では、納得がいくまでじっくりと話し合いましょう。
工事開始…ある程度リノベーションの内容と予算が決定した後、契約。その後、実際の工事がスタートします
竣工検査…工事が完了した後に、リノベーションをした箇所のもろもろを最終チェックします。
入居・引っ越し
リノベーションにおいて、資格をもった建築士にしか対応ができない場合があります。その代表例が、戸建てにおける増築や改築の場合です。大幅な間取り変更や主要構造部の変更が伴う場合は、建築士にしか対応できない内容となります。また、リノベーションにおいて耐震診断や補強工事が必要な場合があります。補助金を利用する場合なども、建築士への相談が必要になります。逆にマンションでのリノベーションなどで主要構造部に関わらない工事などは、必ずしも建築士に依頼する必要はない場合もあります。
リノベーション依頼時に建築士とどう関わるべきか
リノベーション施工会社などに依頼する場合は、直接建築士にオーダーしなくても進めることはできますが、建築士に依頼する場合はどのような部分で関わっていくのがいいのでしょうか。希望するリノベーション内容で、建築士に依頼した方がよいかどうか、判断するのはなかなか難しいものです。以下の場合は、建築士と直接やりとりするメリットがあります。
・大幅な間取り変更や設置変更がある場合
前述した通り、大幅な間取り変更や主要構造部の変更などは、建築士にしか対応できません。建築に関するさまざまな専門知識を持っている建築士に相談するべきでしょう。ハウスメーカーや施工会社から建築士への発注がされる場合は建築士と直接会話をすることがあまりないため、希望が伝わりづらい場合があります。建築士に直接発注すれば、要望がダイレクトに伝わりやすいでしょう。
・譲れないこだわり条件がある場合
それほど大掛かりではないリノベーションの場合でも、こだわりのデザインや設計などの具体的なイメージがある場合は、建築士へ依頼するといいでしょう。直接コミュニケーションが取れることで、結果的に満足のいく仕上がりとなります。
建築士に依頼するメリット
ダイレクトに建築士に依頼するメリットとは、どういった部分にあるのでしょうか。以下に詳しく見ていきましょう。
おしゃれなデザイン性と独自の間取り
建築士に依頼する最大のメリットは、高いデザイン性です。家づくりに強い想いがある建築士は、それぞれ得意とするコンセプトを持っています。好みのテイストがあり家づくりにこだわりたいという上でリノベーションに踏み切るのなら、それを実現してくれる好みの建築士を探してみるのもいいでしょう。ライフスタイルや趣味嗜好にマッチした新しいアイデアを提案してくれるはずです。
またハウスメーカーや施工会社の場合は付き合いのあるメーカーでの素材を仕入れる場合などが多いですが、建築士はそういったメーカーとの縛りがありません。好きな素材を選んで自由度が高いデザイン性のあるリノベーションを実現することができます。「こんなふうにしたい」という具体的なイメージがある場合は、ダイレクトに建築士に相談するとイメージが形になりやすいです。
施工品質が高く、ミスを防ぎやすい
建築士が入ると、工事監理という工程を踏むことができます。工事管理とは、建築士法で決められている工程で、「工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること」です。これは、リノベーション工事のクオリティを左右する大切な業務です。建築士が工事監理者となり、設計書に沿って工事が行われているかを確認し、建物の欠陥発生を防ぎます。
リノベーション施工会社においてももちろん品質チェックの機能はありますが、建築士のチェックが入るとよりクオリティの高い施工を実施することができます。設計だけでなく、工事の部分でも管理ができる建築士が入ると、リノベーション中の施工ミスなどを事前に防ぐことができます。またあってはならないことですが、手抜き工事を防いでくれる抑止力にもなります。
建築士に依頼するデメリット
デザイン性の高さ、間取りの自由度など建築士に依頼するメリットはたくさんありますが、デメリットについてもきちんと理解しておきましょう。その上で直接建築士に依頼するかどうかを検討するといいでしょう。
自分に合う建築士を見つけるのは難しい
いざ建築士に依頼しようと思ってリサーチしてみると、たくさんの建築士がいます。建築士を探してくれるマッチングサービスを利用したり、過去の設計事例や住まいの地域から探す方法も。最近では、SNSから探すなどの方法もあります。いずれにしても、膨大な建築士から自分の好みや考え方に合致した人を見つけるのは、なかなか骨の折れる作業と言えるでしょう。好みに合った人を見つけても、スケジュールや予算が必ずしも合うとは限りません。かといって、スケジュールや予算の面だけで選んでしまうと、自分の好みや考えに合わないことも。それでは、せっかくのリノベーションが満足いかない結果に終わってしまう可能性もあります。そのために、何名かの建築士とイメージを話し合った上で最終的に決定する必要があり、ある程度の時間と工数がかかるでしょう。
地方での選択肢が限られる
建築士紹介サイトなどでは、住んでいる地域から建築士を探すことができたりもします。とはいえ、実績を多くもつ建築士は、住宅需要が集中する東京や大阪などの大都市に多く、地方だと選択肢が少ないこともデメリットの一つとして挙げられます。遠くの建築士に依頼することもできなくはないですが、打ち合わせの予定が組みにくかったり移動時間と経費がかかったりもします。近くの建築士が少ないと、好みに合った人を見つけにくいです。
設計料が比較的高い
ハウスメーカーやリノベーション専門会社では設計料と施工料が一緒になっていることも多いですが、建築士に依頼する場合はその金額が別途かかってくるため、全体コストは当然上がります。建築士にリノベーションの設計を依頼する場合、設計料の相場は工事費用の10〜15%です。例えばリノベーション費用が2,000万円かかるとき、設計料は約200万円ぐらいはかかる計算となります。
こだわりすぎると予算がオーバーしやすい
予算を気にしすぎて独創性のないリノベーションにするのでは、建築士に依頼するメリットがあまりありません。せっかく建築士に頼むなら、間取りやデザインの自由度は大きく持っておきたいものです。そういった意味でも、こだわればこだわるほど予算がオーバーしやすいのもデメリットと言えるでしょう。ただ建築士によっては、デザイン性を追求しつつも、コストパフォーマンスを意識した提案をしてくれる人も増えています。
施工期間が長くなるケースがある
人気の建築士に依頼する場合は、すぐの対応が難しい場合も多いため、リノベーションプランに余裕がないと難しい場合が多いでしょう。また、なんとか依頼にたどり着けたとしても、建築士・施工会社をそれぞれ探して契約することになるため、リノベーション会社にまとめて頼むより時間が多くかかります。依頼から完成までの流れが複雑になり、実際に暮らし始めるまでの期間が長くなるのも建築士リノベーションのデメリットと言えます。
実績次第で提案力・技能にバラつきがある
一言で建築士といっても、リノベーションの実績や提案力は人によって異なります。さらに建築士として携わっていても、住宅ではなく公共施設や商業施設などのジャンルの実績が多い人である場合だと住宅への対応が慣れていない場合があります。戸建てかマンションかによっても大きく差がでます。リノベーションに携わる際は、新築や大規模建築とは違う技術やアイデアが必要になるため、専門性の高い建築士を見極める目が求められます。
建築士を選ぶ際のポイント
建築士にリノベーションを依頼するメリットとデメリットを理解した上で、やっぱり建築士に依頼したいという場合も多いかと思います。どのようなポイントをおさえるとよい建築士と出会うことができるのでしょうか。以下に一つずつポイントを見ていきましょう。
自分の好みとコンセプトがマッチしているか
建築士を選ぶ上で一番に重視するのは、好みのテイストの部分です。建築士にはそれぞれ得意のテイストがあるため、それが自分の好みと一致するかどうかは一番大切なポイントであるとも言えます。例えば、和モダン風のテイストを取り入れたい場合も、洋風のテイストが得意な建築士の場合は意見が合わない場合があります。具体的にオーダーすることである程度は希望に沿った提案をしてもらうことができますが、好みのテイストが似ているほうがいろいろな提案もしてもらいやすいです。建築士としてもリノベーションは一つの作品でもあるため、いいものを作り上げるために意見が食い違ってしまうことも。
プランニングがスタートしてからギャップを感じてしまったということがないように、依頼する前に建築士の実績をよく確認しておいた上で、こちらの希望をイメージ画像などをもとにわかりやすく伝えることが必要です。
暮らしやすさを提案できるか
家とは見た目のデザイン性も大切ですが、毎日暮らす場所ですから、収納や動線などにもきちんと目を向けてくれる建築士を選ぶようにしましょう。デザインに特化しすぎて暮らしにくいということでは本末転倒です。実際の生活を送る上で生活のしやすさを向上させる提案をしてくれる、親身に相談しやすい建築士を選ぶといいでしょう。
相談しやすい雰囲気があるか
最終的には、人としての相性がとても大切になります。こちらの要望を本当の意味で理解してくれ、打ち合わせを繰り返し重ねるため、相談しやすい雰囲気も必要です。すてきな設計をしてくれるものの、相性があまり合わず相談しづらいという人だと何かあったときにトラブルに発展してしまうことも考えられます。打ち合わせしやすい雰囲気だと話が膨らんで、どんどんアイデアが出てきて良いプランを作れることが多いです。まずは実際に話を聞いてみて「この人に頼みたい」「楽しく会話できる」と思えるような建築士を選んでみてください。最近ではリモート打ち合わせなども可能ですが、やはり最初は対面で会い、その人の雰囲気などを肌で感じることをおすすめします。
リノベ会社でのリノベーションも選択肢に
リフォーム・リノベーション会社に所属するプランナーや設計士も、広い意味では建築家の一種と言えます。KUJIRAにも一級・二級建築士をはじめとして、さまざまな資格を持つ専門家が在籍しています。リノベーション会社は複数スタッフのチームで家づくりを進め、これまでの事例数も多いため、希望に沿ったプランをご提案することができます。独自のワンストップリノベーションを行うKUJIRAでは、建築士に依頼したようなデザイン性の高いリノベーションを実現するのも夢ではありません。建築士に依頼してみたいけど、いろいろとデメリット面を考えると少し考えてしまうという人は、ぜひKUJIRAにご相談ください。
おしゃれなリノベーション事例集
ここではKUJIRAで手がけた施工事例をご紹介。実例をたくさん見るほどイメージがどんどん膨らんでくるものです。たくさんの事例を見て、自分の好きなテイストを見つけてみましょう。
マンションリノベの施工事例
ガレージハウスのような荒々しく力強い雰囲気にエジソン電球から眩しくも優しい光がリビングを心地よく包む。
時には友人を招いてオープンキッチンのカウンター越しに料理を作りながら、お酒を片手に話が弾む。
日々、現代的な環境に囲まれる中で、ラフに心が休まる居場所を目指した。
▶︎費用:1160万円(税別)
▶︎面積:約70.0㎡
▶︎工期:約110日
▶︎内容:フルリノベーション
戸建てリノベの施工事例
大型犬のワンちゃんを家族に迎えて。人も犬も、みんなが快適に過ごせるようなポイントが詰まったリノベーション!
便利がいっぱいの玄関土間や、モールテックスがかっこいいフルオーダーキッチン、タイル1枚の配置までこだわった洗面台…
好きを散りばめたカフェのようなお家で、ワンちゃんとの穏やかな暮らしが始まりました。
▶︎費用:1,950万円(税別)
▶︎面積:約57.8㎡
▶︎工期:約90日
▶︎内容:フルリノベーション
まとめ
おしゃれで斬新なデザインの家やこだわりの間取りを実現したい方は、ぜひ建築士さんへのリノベーション依頼を考えたいものです。この記事を参考にしてそのメリット・デメリットを把握しつつ、自分の好みに合う建築士を探してみましょう。
自分たちではわからない部分もたくさんあるリノベーション、これから長い時間を過ごす快適な住まいづくりの為にも、正しい判断とともに進めてくれる人に依頼したいもの。まずはリノベーションのプランをしっかり立てて、その上で建築士の必要の有無を判断しましょう。