鉄筋コンクリートもリノベーションできる!概算費用やポイントを徹底解説
こんにちは!クジラ株式会社の柳川です!
Writer 柳川映子 デザイナーWORKS 大学院で建築を学び、二級建築士の有資格者でもあるので、ロジカルな設計を組み立てていくのが得意なデザイナー。 |
鉄筋コンクリート造の住宅をリノベーションする場合、木造住宅と比べてその自由度はどれぐらいなのでしょうか。鉄筋コンクリート造は鉄筋とコンクリートが組み合わさった丈夫な構造。それだけに、解体などもかなり大がかりになり、費用もそれなりかかるのでは?と思う人も多いでしょう。実際のところ鉄筋コンクリート造の住宅は、比較的リノベーションしやすい構造となっています。ただしその種類によっては、リノベーションが可能な範囲が変わってきます。
そこで今回の記事では、鉄筋コンクリート造の住宅をリノベーションする場合の概要と、予算感、施工事例などについてご紹介します。
目次
鉄筋コンクリート造の住宅リノベーションの基礎知識
建物の寿命は100年以上
鉄筋コンクリート造は木造や鉄骨造(S造)と比べて、とても高い耐久性・耐震性・防水性を持っています。鉄筋コンクリート造の耐用年数は、戸建てマンションに関わらず法定により47年と定められています。しかし、実際の耐用年数はそれ以上。建物の構造やメンテナンスの状況などによって耐久年数の幅は出るものの、適切なメンテナンスを行えばその寿命は100年を超えるとも言われ、日本の建築物の中で最も長い耐用年数を誇ります。
構造によるリフォームの違い
鉄筋コンクリート造の住宅はリノベーションしやすい構造となっていますが、その構造の種類により、自由度が異なります。構造の種類は大きく分けて2種類あり、大幅に間取り変更が可能な構造(ラーメン構造)と、大幅な間取り変更に制限がある場合(壁式構造)があります。
ラーメン構造の特徴とリノベーションのメリット
ラーメン構造とは、柱と梁がしっかりと接合し一体化したフレームで建物を支えている構造です。「ラーメン」とは、ドイツ語で「枠、フレーム」を意味する言葉。垂直方向に建つ「柱」と水平方向にかけられる「梁」で構成されているためそれ以外の骨組みがほとんどなく、柱と柱の間隔を広く取られています。そのため、間取りを変更する場合の制約も少なく、壁や窓を好きな位置に設置することができるのです。
壁式構造の特徴とリノベーションの注意点
壁式構造とは、ラーメン構造のように柱と梁ではなく、床・天井・壁で建物を支えている構造です。壁そのもので建物を支えているため、壁を撤去することができません。ラーメン構造よりも地震に強く防音性が高いというメリットがあり、柱や梁でなく面で構造するため凹凸のない空間を作ることができますが、大幅な間取りの変更は難しく、リノベーションの自由度は低くなります。ただ、柱をもたない構造なので、既存の壁を生かすリノベーションであれば、柱の場所を気にせずにリノベーションをすることができます。
鉄筋コンクリート造の住宅リノベーションで解決できる問題
鉄筋コンクリート造の住宅は丈夫で耐久性が高いなど多くのメリットがありますが、デメリットもないわけではありません。リノベーションをする際には、鉄筋コンクリート造にありがちなデメリットに着目し、それを改善・解消するような対策を練ると、より暮らしやすさがアップします。ここでは、リノベーションの際に着目したい、鉄筋コンクリート造の改善ポイントを見ていきましょう。
下記では、
・快適な室温を保つリフォーム方法
・湿気問題を改善するリフォーム
・旧基準住宅の耐震性能強化リフォーム
・建て替えと比較したコストメリット
について、詳しく紹介していきます。
快適な室温を保つリフォーム方法
コンクリートは木よりも熱伝導率が高く、外部気温の影響を受けやすいという性質があります。そのため鉄筋コンクリート造の住宅は「冬は寒く、夏は暑い」という問題点があります。せっかくリノベーションをするなら、この機会に断熱工事をする、「冬は寒く、夏は暑い」問題が解決でき、快適な暮らしへとつながります。
断熱には、外断熱と内断熱があります。外断熱は機密性が高いのがメリットですが、費用と工期がかかるため、リノベーションの際は内断熱で行う方が一般的です。また、内断熱は外断熱とは違い、柱の間に断熱材を設置するので外壁が厚くなることはありません。構造体のデザイン性を損なうことなく、断熱工事をすることが可能です。
湿気問題を改善するリフォーム
鉄筋コンクリート造の住宅は、気密性の高い工法です。そのため湿気がこもりやすく、結露やカビが発生しやすくなってしまいます。結露とは、壁や窓の表面温度と室内温度や湿度の差から生まれるため、これも断熱工事を行うことで改善することができます。
また、外気の影響を受けやすい窓を断熱性能があるものに変えることで冷気をおさえることができ、結露の解消につながります。ほかに、湿気対策で有効なのは、家全体の通風(空気の流れ)を良くすることです。リノベーションによって通風のよい間取りにしたり、窓や換気口・給気口を設けて24時間換気にするのもいいでしょう。コンクリートには水分を吸収する性質があるため、防水処理をしっかり行うことも大切です。
旧基準住宅の耐震性能強化リフォーム
日本では、1981年に建物の耐震基準が大幅に変更されました。旧耐震基準は「震度5程度の地震でほとんど建物が損傷しない」を基準としていましたが、新耐震基準は、旧耐震基準に加え「震度6強から震度7程度の地震でも建物が倒壊しない」ことを基準としています。
鉄筋コンクリート造の住宅は木造住宅に比べると寿命が長く頑丈であるため、内装のリノベーションのみを続けながら建て直し自体をせずにそのまま残っているものも多くあります。1981年以前の建物は、旧耐震基準で建てられています。築年数が古い鉄筋コンクリート造の住宅をリノベーションする際は、まずは専門家による耐震チェックを受ける必要があります。その上で、必要な耐震補強工事を実施しておくことが安全につながります。
建て替えと比較したコストメリット
鉄筋コンクリート造りの住宅は非常に頑丈な構造をしているため、解体にかかる費用が高額になることが予想されます。また、木造住宅に比べて、部材そのものが高額であることもコストがかかる理由の一つです。せっかく頑丈な構造躯体をもつのですから、それを生かしてリノベーションをすることで、建て替えの約1/2〜1/3の費用でリノベーションをすることができるでしょう。鉄筋コンクリート造の住宅が持つ耐火性・耐震性・遮音性などの優れた機能はそのままに、浮いた費用で断熱工事などを強化したり内装をグレードアップすることで、費用をおさえながら新築同様の住宅を手に入れられます。
鉄筋コンクリート造の住宅リノベーションでの注意点
鉄筋コンクリート造の住宅をリノベーションするにあたり、注意しておきたいポイントについて見ていきましょう。築年数が経ちすぎている場合など、場合によってはリノベーションが適さないケースもあります。注意点を把握しておくということは、リノベーションを成功させるにあたりとても大切なことになります。
下記では、
・築年数が古い場合は注意が必要
・耐震補強・耐震診断
・配管・配線や古い設備の刷新
・断熱性・気密性への配慮
について、詳しく紹介していきます。
築年数が古い場合は注意が必要
鉄筋コンクリート造の住宅は頑丈なため、築50年以上経過しているといったような築年数が古い物件であることも多くあるでしょう。コンクリートは劣化が目立ちにくいため、内側の鉄筋が錆びづいてしまっているといったような、外側からはわからない劣化が多く見受けられます。そういったことがないように、事前にしっかり調査を行い、どんな補強工事が必要かを知っておくことが大切です。築50年以上といった築年数がかなり経過している鉄筋コンクリート造の住宅の場合は、劣化や住宅性能を確認した上で、リノベーションか建て替えにするかを比較・検討しましょう。
耐震補強・耐震診断
先述もしたように、築年数が経過している鉄筋コンクリート造の住宅の場合は、旧耐震基準であった1981年以前に建てられていることがあります。耐震補強を検討する際は、まずリノベーション施工会社で専門家による耐震診断を受け、必要な耐震補強工事をする必要があります。
配管・配線や古い設備の刷新
鉄筋コンクリート造の住宅のリノベーションをする際は、間取りの変更や内装などの家の外側部分にのみ目がいきがちですが、配線・配管の工事やそのほかの古い設備を一緒に刷新してしまうと、長い目で見たときに効率のよいリノベーションができます。
チェックすべき設備は、配管・電気配線、窓・サッシ、屋根、外壁、床や壁、その他の設備などが大きくは挙げられます。設備を最新のものにするということは当然そのぶんコストがかかりますが、後々になって対処するよりも、大がかりなリノベーション工事をする際に一緒に行ってしまうほうが効率がいいでしょう。電気配線の交換も行うことで、コンセントの数を増やしたり、より使いやすい位置に変更することも可能です。
また、使用されている素材にもよりますが、配管は耐用年数が20年〜30年程度であることが多いです。劣化した状態のまま使い続けると、水漏れや漏電につながってしまうことも。配管の状態は、中の状態をファイバースコープで確認してもらうこともできます。施工を依頼するリノベーション会社に相談してみましょう。
断熱性・気密性への配慮
鉄筋コンクリート造の住宅は、先述したように熱伝導率が高く、外の気温に影響を受けやすい構造体です。また、ただでさえ築年数が古い建物は断熱性や気密性が低いことが多くあります。そのため、断熱性・気密性を高める工事で、暮らしやすさをグレードアップすることにも着目しておきましょう。断熱性・気密性を高めることで適温で暮らすことができるだけでなく、結露対策にもつながり、カビやダニを防ぐことで結果、建物の劣化を防ぐという目的もあります。
鉄筋コンクリート造の住宅リノベーションの概算費用
鉄筋コンクリート造りの住宅は非常に頑丈な構造をしているため、解体にかかる費用が高額になることが予想されます。また、木造住宅に比べて、部材そのものが高額であることもコストがかかる理由の一つです。家の広さや工事範囲にもよりますが、鉄筋コンクリート住宅のリノベーション費用としては、1000万円以上というコストがかかると思っておいたほうがよいでしょう。
作業工程
鉄筋コンクリート造の住宅をリノベーションする際は、解体工事・耐震や断熱にかかる補強工事・各種設備の工事・外壁や屋根の工事・給排水の工事・電気配線工事などがあります。1000万円以上というコストがかかるだけあり、工事はかなり大がかりになります。とはいえ、建て替えをするよりは大幅に安いコストで済みます。新築を建てる場合の大規模な解体工事が不要なため、建て替えの約1/2〜1/3の費用でリノベーションをすることができるでしょう。
概算費用
コンクリート造りを解体する費用は、一坪あたり6〜8万円です。一坪あたり3〜4万円という木造と比較すると、約2倍のコストがかかります。 もし40坪の鉄筋コンクリート住宅を壊すのであれば、240万円〜320万円もの解体費用を支払うことになります。
ただし、鉄筋コンクリート住宅は耐久性に優れているため、解体せずに内部のリノベーションで住み続けられる場合も多いです。耐震などの観点から解体が必要なのかそうでないのかは、築年数や地盤などその構造体が持つ条件によります。まずは専門家に診断を行ってもらい、その結果により最適なリノベーションを行っていきましょう。
鉄筋コンクリート造の住宅リノベーションの会社選びのポイント
鉄筋コンクリート住宅は木造等ほかの構造とは異なる特徴を持っています。リフォーム・リノベーションの会社は数多くありますが、鉄筋コンクリート住宅のリノベーションを依頼する施工会社を選ぶ場合は、特に慎重に。リノベーション会社を選ぶ際にチェックしておきたい以下の3点について詳しく説明していきましょう。
下記では、
・鉄筋コンクリートのリノベーション実績がある
・リノベーションイメージと会社の強みが合致している
・アフターサービスや保証内容がある
について、詳しく紹介していきます。
それ以外にも、
・要望をきちんとヒアリングした上でたくさんのプランを提案してくれる
・口コミや評価が多い
・一般的な費用相場に比べて安すぎたり高すぎたりしない
といったこともチェックポイントとなるので、おさえておくといいでしょう。
鉄筋コンクリートのリノベーション実績がある
鉄筋コンクリート造の住宅のリノベーションの際は、それにまつわる実績を多くもち、それにかかる事態を把握している会社を選びましょう。とくに間取り変更や増築など、新築同様の大規模リフォームの場合は、構造計算や耐震診断などをスムーズに遂行する必要があります。鉄筋コンクリート住宅では、構造によって壊せる壁の場所が異なります。構造は住宅の安全性に関わる重要な部分なので、慎重に選びたいものです。
リノベーション会社によっては、コンクリート造について専門知識が少ない会社もあります。そういった会社に依頼すると、工事の段取りが悪く余計な工期がかかったり、追加費用が発生したり、補強をすべきところを見落としそのまま工事を進めてしまったり……ということが発生してしまうことも。施工会社の過去の事例は、ホームページなどでも確認できます。リノベーションを依頼する際は、鉄筋コンクリートのリノベーションに慣れており、施工事例が豊富な会社への依頼がおすすめです。
リノベーションイメージと会社の強みが合致している
リノベーションする際は、「こうしたい」というイメージをより具体的にもっておくことが必要です。そのイメージに沿って、それを得意とする会社選びがリノベーション成功のカギとなります。まずはこちらの要望をきちんとヒアリングしてくれた上で、たくさんのプランを提案してくれるリノベーション施工会社を選びましょう。
依頼したい会社の強みが自身の希望とあっているかどうかも、会社選びの際には重要なポイントの1つです。施工会社はどこも同じノベーションを行っているように見えても、それぞれ得意分野や特徴が存在します。例えば、トイレやお風呂などの部分的なリフォームが得意なのか(事例が多いのか)、それとも、スケルトンなどの大規模なリノベーション事例が得意なのか(事例が多いのか)などです。例えば、水回りなどの部分的リフォームをメインで行っている会社に、大規模なリノベーションを依頼してしまうと、施工事例が少ないだけに仕上がりに不満を覚えることになってしまうかもしれません。
各リノベーション施工会社によって実績や得意分野が異なるので、まずはホームページなどで確認しましょう。ホームページを見た雰囲気でいいなと思ったら、ホームページには掲載されていない事例がある場合なども多いので、直接アポイントをとって過去事例などについて詳しく話を聞いてみるといいでしょう。「どの写真を見てもよくわからない」と感じた場合は、複数社の事例を見比べてみるといいでしょう。自分の好みに合いそうな感じがわかってくるはずです。
アフターサービスや保証内容がある
リノベーション会社では、工事が終わった後のトラブルに対する保証やアフターサービスを用意しているケースがほとんどですが、その内容は会社によって違うことも多くあります。リノベーション会社を選ぶ際には、工事内容だけでなく、アフターサービスや保証内容の充実度も確認しておくといいでしょう。アフターサービスの具体的な内容としては、定期点検の頻度、水漏れなどの不慮の事態が起きたときの修理対応をどのように行ってくれるか、設備に不具合が発生した場合のサポートはどれくらいしてくれるか、などです。ただし、「アフターサービスや保証内容がある」ということだけで安心するのは、少し危険。「保証期間」「責任者の所在・連絡先」「保証の範囲」などを中心に、その内容がどんなものかについてをきちんとチェックしておくと、間違いありません。ホームページ等には詳しく記載されていないケースもあるため、対面して担当者に直接確認することをおすすめします。
鉄筋コンクリート造の住宅リノベーション事例
KUJIRAでは、鉄筋コンクリート造の住宅のリノベーション実績が数多くあります。リノベーションによって見違えるほど暮らしやすさが向上したという事例を、ここでは紹介していきましょう。
アメリカンヴィンテージがテーマのリノベーション
ガレージハウスのような荒々しく力強い雰囲気にエジソン電球から眩しくも優しい光がリビングを心地よく包む。
時には友人を招いてオープンキッチンのカウンター越しに料理を作りながら、お酒を片手に話が弾む。
日々、現代的な環境に囲まれる中で、ラフに心が休まる居場所を目指した。
▶︎費用:1,160万円(税別)
▶︎面積:約70.0㎡
▶︎築年数:築19年
自分のスキを詰め込んだリノベーション
“単身女性のマンションリノベーション”
生活を整えるために”自分の「良い」”を可視化し、
わくわくする生活導線になるよう設計させて頂きました。
▶︎費用:1,166万円(税別)
▶︎面積:約66.3㎡
▶︎築年数:築46年
まとめ
木造住宅と比べ頑丈で、耐用年数が長いコンクリート造りの住宅。耐用年数は法定により47年と定められていますが、適切なメンテナンスを行えばその寿命は100年を超えるとも言われています。その頑丈さゆえに、リノベーションすることが難しいイメージもありますが、むしろその逆。リノベーションにより、長い間快適に住むことができます。コンクリート造りの住宅のメリット・デメリットを把握しつつリフォームなどで各設備を補強しつつ最適なリノベーションを施し、より長く快適に暮らせる家づくりを目指しましょう。鉄筋コンクリート造の住宅のリノベーションに興味があるという場合は、まずはぜひ、お気軽に我々にご相談ください。