【団地リノベーション】賃貸でもできる?団地リノベで失敗しないコツや事例も紹介!
より自分らしく快適に暮らせる!と、最近人気のリノベーション。そんなリノベ界の中でも注目されているのが「団地リノベーション」です。現在団地に住んでいて古さや使い勝手を解消したい……という人はもちろん、これから家購入を考えているという人にとっても、団地リノベーションには、おすすめできるポイントがたくさんあります。
とはいえ、賃貸契約でもリノベーションできるの?古すぎない?と、気になるギモンもたくさん。そこで今回の記事では、団地リノベーションを検討するにあたり、おさえておきたいことについてご紹介します。
目次
団地リノベにあたり知っておきたい「団地とは」
団地とは、大規模な敷地内に計画的に建設された複数の集合住宅のこと。都道府県や市町村が運営する「公営住宅」や都市再生機構(UR都市機構)という独立行政法人が管理している「UR賃貸住宅」、地方自治体が出資して設立した地方在住供給公社が運営する「公社住宅」などがそれにあたります。
集合住宅といえばマンションを思い浮かべる人も多いかと思いますが、団地とは、マンションのように建物そのものの特徴で区別される名称ではなく、同一敷地内に建てられている共同住宅の建物群のことを指します。マンション何が違うの?といえば、広い区画の中に複数の住宅が建てられているところなどが挙げられます。
団地のそもそものはじまりは、昭和30〜50年代の高度経済成長期に都市部に人口が集中し、その住宅不足を解消するために都市開発がされたこと。そのため築年数が古い物件が多くはありますが、適切にメンテナンスされている建物も多くあり、リノベーションをすることで住む人の暮らしに合わせた間取りやデザインを実現できる!と、近年また注目されはじめているのです。
たくさんある!団地リノベーションのメリットや魅力
とにかく家賃が安いからフルリノベも夢じゃない!
建物の価値は、築年数が25年を越えると底値になるといわれています。団地は戦後の高度経済成長期のタイミングで建てられたものが多く、となると、築年数は40年以上。そのため、同様の広さのマンションと比べると、価格がとても安くすむ傾向にあります。
物件探しからリノベーションを考えている人にとっては、物件自体のコストを抑えられるのは、かなりの高ポイント! フルリノベーションも視野に入れられ、住宅設備のアップグレードにも予算をあてられます。住みやすいようにリノベーションした後には、さらに使いやすく快適に暮らすべく、こだわりのインテリアをセレクトすることも夢ではありません。そういった意味でも、購入金額を安価におさえられる「団地リノベーション」が、注目を集めているのです。
まずは賃貸で暮らすという場合も、通常の賃貸物件に比べるととてもおトク。「公営住宅」や「公社住宅」に関しては、基本的に礼金・仲介手数料・更新料がかかりません。物件や世帯収入にもよりますが、公営住宅の家賃は月1万円前後という場合も。公社住宅の家賃は約3万円〜と、初期費用も家賃も低予算で抑えることができます。
敷地内は緑がいっぱい。ファミリーやひとり暮らしも
団地の大きな特徴は、敷地内に緑が充実していること。都会暮らしをしているとなかなか緑に近く触れられる機会は少ないですが、団地暮らしなら、身近な生活圏内で緑に触れることができるのです。
団地の敷地内に緑地や専用の公園がある場所も多く、子育てファミリーであればこういったスペースで同じ団地に住む他住民とのコミュニケーションをとることもできます。車通りなどもないため、小さな子どもを安心して遊ばせられるのも魅力。間取りによっては、ふたり暮らしの夫婦やひとり暮らしにぴったりの物件もあります。
さらに団地は、陽当たりや通風も考えられて建設されている南向きの物件が多いという特徴もあるります。日当たりがよく明るい開放的な空間を、自分の好きなようにリノベーションできるなんて、最高! このように団地には、さまざまなライフスタイルの人が、リフレッシュしながら暮らすことのできる環境が整っています。
世帯数が多いため周辺環境が便利な立地にある
戸数規模は1000戸以上と、一般のマンションに比べ世帯数がグンと多いのも団地の特徴です。そのため周辺環境が便利な場所に立地している場合が多く、近くに幼稚園や学校、病院、スーパー、ドラッグストア、ジムがあったりと、近隣でだいたいのことは済ませられる利便性の高い立地が魅力です。それでいて価格が手ごろとなったら、これはうれしい! 子育てファミリーにとっては、とても適した環境と言えます。
世帯数が多いとはいえ、ぎゅうぎゅうに建物が建てられているということはないのでご心配なく。広い土地に対して、適切な戸数で建てられています。周辺住民の目が行き届きやすくて、治安的にも安心。団地内ではさまざまなコミュニティがあり、適度な距離感で同じ団地住民とのふれあいができるのもメリットと言えます。子育てファミリーはもちろん、夫婦でのふたり暮らしやひとり暮らしなど、世代を超えてさまざまなライフスタイルの方と交流することができて、いろいろな気づきもありそう。
地震に強い!鉄筋コンクリート造りで構造が頑丈
団地は、引っ張り力に強い「鉄筋」と圧縮力に強い「コンクリート」を組み合わせて作られる、頑丈な「鉄筋コンクリート造り」です。内部は、「壁式構造」が多く取り入れられています。壁式構造とは、柱や梁ではなく耐久性のある耐力壁を使うことで建物の荷重を支える構造のこと。マンションなどでよく見られる「ラーメン構造」(柱と梁で長方形を構成して組み立てられる構造)に比べて地震に強いため、築年数の古さにもかかわらず震災の際などでも影響を受けにくいと言われています。
柱や梁ではなく、コンクリートでしっかりと作られた壁で建物を支えているため、室内が凹凸のないスッキリとした空間になり、家具の配置がしやすいというメリットも。耐震性や防音性に優れているのも、住みやすさのポイントとして挙げられます。
上記が一般的な団地の建築構造ですが、もちろんそれぞれの建物によって違います。気になる物件がある場合は、建築構造について不動産会社やリノベーション会社に確認しましょう。構造によっては、対応できないリフォームのパターンがあったりもします。リフォームを進めるときに注意したいことは、後ほどの段落でご紹介します。
どこか温かみのあるヴィンテージ感も魅力
団地は、昭和30〜50年代に多く建設されています。古さが気になるという声の一方で、温かみのあるヴィンテージ感としての魅力も。気になる部分はリノベーションで解決しつつ、古きよき部分を残しながらリフォームが進められるので、自分らしい味のある雰囲気に仕上げることができるのも、団地リノベーションが人気の理由です。
団地リノベーションの失敗を防ぐためのデメリットと注意点
賃貸で団地に住む場合もリノベできる?
気になるのは、賃貸として団地に住む場合でもリフォームしていいの?ということ。そんなニーズに応え、最近では若い世代の流入を増やす目的で、原状回復義務を免除した上でのリフォームを許可しているという団地も登場してきているようです。気になる物件があったら、その団地の管理規約を確認してみましょう。また、そういった対象の物件があるかどうかを、自治体に問い合わせてみるのもいいかもしれません。UR賃貸住宅では、すでにリフォームされた団地を扱ったりもしています。
分譲として団地を購入する場合は、もちろんどんなリノベーションをしてもOK。ただし、構造上の問題で対応していないリフォームのパターンがあることも多いので、理想の間取りを具体的に描いておいて、それが叶うかどうかを判断材料にしつつ、物件選びをするとよいでしょう。
購入時のチェックポイントは「間取り」「設備」「インフラ」
間取り
団地リノベーションの失敗を防ぐために、第一に確認しておきたいのは間取りについて。
物件の間取りと、自分が思い描いているリノベーション後の間取りを比較し、それが実現可能かどうかを事前に必ずチェックしておかなければなりません。建物の工法や構造によっては、自由に間取りを変更できない……というデメリットも。
例えば団地に多い「壁式構造」の場合は、室内にあるコンクリートの耐力壁が建物全体を支えており、これはリフォームでは撤去することができないもの。例えば2部屋の壁をぶち抜いて広い1部屋に……と想像している場合は、これが叶わないケースもあります。さらにコンクリートに直接壁紙を貼っている場合は、天井を高くするのが難しい場合があります。
また、水回りも注意深く確認しておきたいところ。築30年以上の場合は、直下階の天井裏に排水管が通っていることも少なくありません。その場合は、水回りの位置を変えることも難しくなります。浴室自体がコンクリートで囲まれていたり、キッチンの排水勾配がとれない場合も、水回りの位置替えが難しくなります。
設備
設備も十分に確認したいところです。古い物件では壁に断熱材が入っていないことも多いため、断熱材を入れることで部屋が狭くなったり天井が低くなってしまう可能性もあります。
また、団地はエレベーターが付いていない物件がほとんどです。1階の場合はまだしも、5階ともなるとエレベーターなしでは引越しが大変(ちなみに住んでからも大変です。運動にはなりますが……)。そこを了承した場合でも、階段のない物件は引越し費用が高くつくことも多いのが落とし穴。階段が狭いと、大型の家具や家電が搬入できないこともあります。
インフラ
インフラも重要なチェックポイント。古い物件のため、水道やガスに不便を感じるという例も少なくありません。これらを新しく更新するには、管理会社からの許可が必要。水道やガスの劣化状態が激しい場合は、管理会社と相談をしましょう。
浴室がコンクリートで囲まれている壁式構造の建物では、追い焚き配管の敷設が難しいことも多いので、ここは注意深く確認したいポイントです。
電気についても同様。最近の住まいは40〜60Aの電気容量が主流ですが、古い団地だと30Aほどの契約になっていることもあります。そうなるとブレーカーがすぐに落ちてしまうため、生活上支障をきたす場合も。ガスについても同様です。電気やガスの容量制限は、事前に問い合わせておきましょう。
共用部はリノベできない!古さを許容できるか
当然ですが、団地の共有スペースはリノベーションすることができません。
毎日仕事から疲れて帰ってきたときにくぐるエントランスが古びれていて、なんだか余計と気持ちが落ち込んでしまった……。そんなことが、ないともいえません。そういったことが自分の許容範囲であるかどうか、いろいろな生活パターンをシミュレーションしてみることが大切です。廊下やベランダ、エレベーターについても同様。ベランダに関しては、窓ガラスの交換もできない場合があります。
せっかく家の内側を自分仕様にフルリノベーションしたとしても、こうしたことがきっかけで「自分のお城」を好きじゃなくなってしまった……というのでは、もったいなさすぎます。物件の内側だけでなく、共有部も隅々までチェックして、築年数の古さやそれによる劣化が自分にとって許容かどうかイメージトレーニングを。もちろん築年数が古くても、共有設備が新しくリフォームされた物件も多くあります。そこも視野に入れて、物件探しをしましょう。
ご近所さんとの適度な交流や騒音は大丈夫?
団地には、さまざまなライフスタイルの人が生活をしています。中には積極的なコミュニケーションを求める人も。そういった交流を望む場合はもちろんいいですが、少し面倒だな……と思う場合があることも事実です。そのあたりをよく考えて、団地での生活を検討してみましょう。気になる物件があったら実際に足を運び、どんな人が住んでいるかなどを実際に見てみるのもいいでしょう。
また、騒音の悩みについてもよく挙げられます。とくに、直下に住む人には生活音がどれくらい響くか……といったことは、事前に管理会社などに聞いてみるのがベター。リフォームにより防音工事ができる場合もあるので、相談してみてもいいでしょう。団地には小さな子どもが住む家庭が多いため、自分は生活音に気をつけていたとしても、周りの住民のライフスタイルによっては生活音に悩まされる……という場合もあるかもしれません。そればかりは仕方がないと割り切ってしまうか、もし気になるようなら最上階の入居がおすすめです。
団地リノベーションの費用をおさえる方法や工期は?
かかる費用相場を知って計画を立てよう!
フルリノベーションの費用相場
団地リノベーションの場合は、そもそもが古い物件の場合も多いため、フルリノベーションを希望する人が多くいます。物件購入にあてる費用を少なくすませることができたぶん、自分の希望通りに思い切ってフルリノベーションしたいもの。その場合は、間仕切りの壁や設備などをまずは撤去してスケルトン状態にし、そこから部屋を作っていくという方法で行います。フルリノベーションをする場合は、広さによって費用相場が変わってきます。
団地の広さ | フルリノベーションの費用相場 |
単身者向け(40㎡) | 約400〜800万円 |
2人暮らし向け(60㎡) | 約700〜1,100万円 |
ファミリー向け(80㎡) | 約900〜1,300万円 |
部分リノベーションの費用相場
間取りまでは変えなくとも、和室から洋室にしたり壁紙を貼り替えたりフローリングしたり……というリノベーションも手軽にできて人気の部分リノベーション。手の届きやすい金額感なのもいいですね。下記に挙げたのは、一部分ですが変えるだけで、がらりと部屋の印象が変わる人気の部分リノベーション。リノベーションをする際は、壁を壊して広いワンルームにしたいという要望も多いですが、逆に間仕切りを新設することで部屋数を増やすことも可能。自分の生活スタイルに合わせて、そういったことも考えられるのがリノベーションの醍醐味ですね。
リノベーションの内容 | 部分リノベーションの費用相場 |
和室→洋室への変更 | 約20〜100万円 |
壁紙の張り替え | 約3〜7万円 |
フローリングの張り替え | 約10〜15万円 |
間仕切りの新設 | 約8〜25万円 |
水まわりリノベーションの費用相場
また、リノベーションで気になるのは水まわり。特に築年数が古い団地の場合は、水回りは快適にすごせるようにリノベーションするという人が多くいます。もちろん内容によっても異なりますが、水回りのリノベーションの相場はこんな形です。
リノベーションの内容 | 水回りリノベーションの費用相場 |
システムキッチン交換+レイアウト変更 | 約150万円〜 |
システムバスの交換 | 約60〜120万円 |
トイレ交換+内装リフォーム | 約25〜100万円 |
洗面所交換+内装リフォーム | 約25〜50万円 |
工期は早ければ1ヶ月という場合も。基礎構造などに問題がない場合は比較的早く工事が終わることも多いです。団地リノベーションの場合は、基礎の状態をよく把握しておくことが重要と言えます。
上限を決めておく。ほか費用をおさえる工夫を
引越しやリノベーションをしている最中は、金銭感覚がおかしくなって気が大きくなってしまい、つい追加で上乗せをしてしまいがちです。
だからこそ費用をおさえるために必要なことは、「この金額以上は出さない」と、費用の上限をきちんと決めておくこと。そして大切なのは、優先順位をしっかりとつけておくことです。「ここはゆずれない」「ここはなくてもいい」など、自分の中で項目立てしておくことで、融通も効きやすく、かつ希望通りのリノベーションを進めていくことができます。
リフォーム会社には、はじめに概算や要望をしっかりと伝えましょう。その際は言葉で伝えるだけでなく、写真など共通のイメージをもてるもので伝えると、比較的齟齬が少なく進めることができます。予算の上限を伝えておくことで、リフォーム会社がアイデアを提案してくれる場合も。部分リノベーションの場合は、使えそうなものはどこかを把握し「ここはそのままでいい」「ここはリフォームを」の計画をきちんと立てましょう。
また、相見積もりをとることも必要です。業者によって得意分野はさまざまなので、金額がかなり異なる場合。相見積もりを一括で担う業者を利用するのも手です。
リフォーム専用でローンが組める「リフォームローン」もあります。住宅ローンとは金利や借入可能額が異なるので、こちらも検討視野にいれましょう。国や自治体の補助金制度や、減税制度を活用できることも。高齢化問題やエネルギー問題などの政策と合致したリノベーションに対して助成金を支給しているケースがあるため、それらを利用すればおトクにリノベーションを進められることもあります。
完成までどれくらいかかる?工期から逆算を
リノベーションの工期も気になるところ。基礎などに問題がなければ早くて1ヵ月で終了することも。リフォーム中は家賃が発生していても住むことができないため、ここは意外と見落としがち。工期を早く考えたい場合は、基礎の状態を確認しておくことが大切です。積極的に入居者を呼び込む目的で工期中の家賃を免除している例も。こちらもチェックしてみましょう。
団地リノベーションの夢、ふくらんできましたか?要点をしっかりと掴んで、失敗なく「自分のお城」を手に入れたいものですね!