2024.09.20.Fri リノベーションのヒント

【2024最新】軽量鉄骨のリノベーション・リフォームの費用相場やポイントや事例を解説

鉄骨造 リノベーション事例

こんにちは!クジラ株式会社の山根です!

Writer
山根広大
ディレクターWORKS
宅地建物取引士。大学で建築を学び、人の暮らしにより幅広く関わりたいと思い不動産業界を志望。2019年にクジラ株式会社に入社。不動産・建築の両面からワンストップでリノベーションをサポートするのが得意。

木造住宅に比べて耐震性・耐久性に優れ、鉄筋コンクリートに比べて建築コストが安く工期が短いという利点から、最近では多くの戸建て住宅に採用されているのが「軽量鉄骨」造りです。ハウスメーカー独自の工法で建てられることも多いのが軽量鉄骨の特徴でもありますが、リノベーションやリフォームに柔軟に対応することができるのでしょうか。リノベーション・リフォームする際の費用相場や、失敗しないためのポイントや施工事例について、見ていきましょう。

軽量鉄骨住宅のリノベーションの基本知識

中古戸建のリノベーション施工事例 LDK
軽量鉄骨住宅をリノベーションするにあたり、基本的に知っておきたいことを見ていきましょう。まず軽量鉄骨とは、ハウスメーカー独自の工法で建てられることが多くあります。そのため、リノベーションをするにあたり、構造の安全保証の観点などから通常のリフォーム会社などでは対応を拒まれるケースがあります。かといって、新築の際のハウスメーカーでしか対応できないというわけではありません。軽量鉄骨の実績が多く柔軟に対応できるリノベーション会社も多くあるため、まずはそういった施工会社をリサーチする必要があります。

軽量鉄骨住宅とは?

軽量鉄骨造とは、建物の柱や梁などの骨組み部分に厚さ6mm未満の軽量な鉄骨を使用した建物のことです。「Steel」の頭文字をとって、「S造」と略されることもあります。S造には、厚さ6mm以上の鋼材を使用して組み立てられる「重量鉄骨造」もあり、大規模施設や高層ビルなどで多く採用されています。

軽量鉄骨リフォームの特徴

軽量鉄骨造の住宅を建築する際には、建築物の一部、あるいはすべてのパーツを工場で生産し、建築現場まで搬送して現場で組み立てるという「プレハブ工法」を用いるのが一般的となっています。プレハブ工法では基本的に組み立て式で施工を行うため職人の技術差が生まれにくく、安定した品質を保つことができます。また、軽量鉄骨は木造よりも耐用年数が長く丈夫な構造であるため、リフォームやリノベーションをする上で多くのメリットがあります。

軽量鉄骨住宅のリノベーションのポイント

旧耐震のマンションの購入ポイント
ハウスメーカー独自の工法で建てられることが多くある軽量鉄骨。リノベーションする際のポイントは、「リノベーション自体が可能である建物の状態である」ということと、「軽量鉄骨に対応できる専門的なリノベーション会社にオーダーする」必要があることです。施工をオーダーする上で重点的におさえておくべきことを、以下に見ていきましょう。

建物の耐用年数の確認

軽量鉄骨住宅の場合は、まず建物の耐用年数を確認しておく必要があります。耐用年数とは、減価償却資産(家や車など、月日の経過とともに価値が下がる固定資産)において、本来の目的で使用できる期間のことです。これは、国税局によって定められています。とはいえ、実質の耐用年数とは、建物が適切にメンテナンスされてきたかによって変わり、定められた耐用年数はあくまで目安です。耐用年数が過ぎたからといって住めなくなるというわけではなく、適切にメンテナンスされた場合は、100年もつという建物もあります。

また、耐用年数とともに確認しておきたいのが、耐震性です。耐震性の基準は1981年に改定されました。建築基準法に基づき発行された「建築確認通知書」の発行が1981年6月1日以降である建物は、震度7以上の地震にも耐えうる新耐震基準の認可を受けた住宅であると判断できます。耐用年数も耐震性もあくまで目安であるため、その建物の状態を正確に把握するには、専門家に診断してもらう必要があります。

軽量鉄骨に対応できるリノベ会社・工務店

軽量鉄骨住宅においては、対応ができないリノベ会社や工務店も多くあります。そのためリノベーションにあたり、実績のある専門的な施工会社を探す必要があります。建築したハウスメーカーでなければ対応ができないという声もありますが、必ずしもそういったわけではありません。さらに、大手ハウスメーカーのリノベーションは、コストをおさえるのがなかなか難しいといった場合が多くあります。そこでおすすめなのが、ハウスメーカーによる軽量鉄骨住宅のリノベーション実績が豊富な専門会社。ホームページの施工事例などで、軽量鉄骨のリフォーム実績があるかどうかを確認しておきましょう。

また、軽量鉄骨造リフォームを考える際に用意しておきたいのが、新築当時の設計図書です。設計図書とは、工事対象の図面やその仕様書など、工事内容についての詳細を記した書類全般のこと。これがあると、リノベーションやリフォームの計画がスムーズに進みやすくなります。

軽量鉄骨住宅のリノベーションメリット


木造住宅に比べて耐震性・耐久性に優れ、鉄筋コンクリートに比べて建築コストが安く工期が短いという利点がある軽量鉄骨。そのほかにも、メリットはたくさんあります。ここでは、軽量鉄骨造のメリットについて、詳しく見ていきましょう。

デザイン性の向上

軽量鉄骨住宅には、開放感のある間取りにリノベーションしやすいという特徴があります。軽量鉄骨造の住宅では、補強材として壁中に対角線に張られている筋交い(ブレース)があり、これがあることでデザインの幅が狭まると言われてきましたが、あえてこれを生かして表に出し、視界が開けるリノベーションを行う事例が増えています。このような自由なデザインを実現させるには、軽量鉄骨住宅のリノベーション実績が豊富な施工会社にオーダーするのがいいでしょう。

工事のスピーディーさ

軽量鉄骨のリノベーションやリフォームは、木造に使われる資材に比べて品質が安定していて軽量で加工しやすいため、スピーディーに工事を行うことができます。木造住宅で使用される木材は、水分の含有量や保存状態によって大きく曲がったりスカスカになってしまったりということが発生します。一方で、軽量鉄骨の資材においてはそういったことはありません。出荷後も品質が変わらないため、現場で職人が素材を選り分ける手間もありません。さらに、現場でかかる加工作業の手間も少なくて済むため、工期を短縮できるメリットがあります。工期が短縮されることで人件費の削減にもつながり、結果的に低コストにおさめることができます。

住宅の長寿命化

軽量鉄骨のリノベーションやリフォームを行うことで、住宅の品質や性能を高め、長寿命にアップデートできます。軽量鉄骨造は木造よりも耐用年数が長く耐久性や耐震性にも優れています。さらに防火性能も高いため、リノベーションを機に、長く住む家づくりを実現することができるでしょう。

軽量鉄骨住宅のリノベーションデメリット

メリットがたくさんある軽量鉄骨住宅ですが、おさえておきたいデメリットもあります。以下に詳しく見ていきましょう。

間取り変更に一部制限が

軽量鉄骨造では、前述の通り耐震性などを考慮し壁中に対角線に張られている筋交い(ブレース)が取り付けられていることが多いため、リノベーションで部屋の仕切りを取り払いたいとなった場合にこのブレースが邪魔になり、間取り変更に制限がある場合もあります。このことから基本的に軽量鉄骨造は、木造と比べて減築・増築の難易度が非常に高い傾向にあります。だからこそ軽量鉄骨造の経験豊富な施工業者であれば、これらをふまえた上での提案が期待できるでしょう。

築年数の影響

軽量鉄骨の部材は工場で大量生産されるため、品質が安定している一方で、錆に弱い性質があります。鋼材の腐食がひどい場合には補強が必要になり、建て替えと変わらない費用がかかってしまうケースも珍しくありません。しかし耐用年数が長くなるため、家を引き継いで長く使用する場合には、結果的に安くつくという場合もあります。リノベーションをするか建て替えをするか迷ったら、今後のライフプランも踏まえて施工会社に相談してみるといいでしょう。

工法の複雑さ

前述した通り、軽量鉄骨造は、各ハウスメーカーによる独自の工法が採用されていることが多くあります。そういった独自の工法をふまえたうえでリノベーションやリフォームを進めるために、経験豊富な施工会社にオーダーする必要があります。最初に施工会社を決定する際に、よく検討する必要があるでしょう。新築建築で関わったハウスメーカーに問い合わせることは確実ではありますが、コストが高くつく傾向にあります。軽量鉄骨のリノベーションやリフォームを検討する場合は、実績が多くあり、建築知識が豊富な会社を早めに探すところから始めましょう。

防音が弱い場合がある

軽量鉄骨造の防音性はそれほど高くなく、木造住宅と同等で生活音が音漏れしやすいというデメリットがあります。小さな子どもがいるなど、ライフスタイルによっては騒音トラブルが発生しないように注意しましょう。対策を練る場合は、防音効果の高い素材や遮音性素材を一部使用するなども考えましょう。

軽量鉄骨住宅のリフォーム費用相場

軽量鉄骨住宅のリフォーム費用
軽量鉄骨構造の住宅をリノベーションやリフォームする場合、費用相場はどれくらいなのでしょうか。敷地面積や設備グレード、工事内容によって当然価格の幅がありますが、一般的な戸建てで450万〜2500万円ほどの幅といえます。これを坪単価にすると、約10万〜50万円程度です。一方で、一般的に建て替えを行う際の坪単価は60万〜90万円ほどになります。40坪の住宅を想定した場合だと2400万〜3600万円ほどの予算が必要ですが、これに対して同じ40坪で軽量鉄骨リフォームを実施した場合、400万〜2000万円ほどが相場となり、建て替えと比較して1600万〜2000万円ほどもコストカットできる可能性があります。以下に、パーツごとのおおよその費用相場を見ていきましょう。

断熱リフォーム

軽量鉄骨造は木造と比べると、やや断熱性は劣ります。さらに築年数が古い住宅だと、断熱材がきちんと施されていないこともあるでしょう。その場合は、断熱リフォームをするのがおすすめです。

断熱材の設置

軽量鉄骨造の建物に断熱リフォームを施す場合、断熱塗料を外壁と屋根に塗布する方法と、壁に断熱材を設置する方法があります。前者の場合約3,000〜6,000円/㎡に加え、足場代が20万円ほどかかります。後者の場合、壁を一度撤去して工事を行う必要があるため、スケルトンリノベーションとなります。費用は1坪あたり約30万円が相場です。

内窓の設置

内窓とは、「二重サッシ」「インナーサッシ」「二重窓」とも呼ばれ、現在ある窓の内側にもうひとつ新たに設置された窓のことです。内窓を設置することで、断熱性を高めることができます。内窓の設置にかかる費用は、1箇所につき約8万〜30万円が費用相場となります。窓の下部分が床に接する掃き出し窓の場合は、1箇所につき10万円〜と、やや高くなる傾向にあります。

防音対策

軽量鉄骨は防音性能が低く、木造と同じくらい音が響きやすい特徴があります。軽量鉄骨建物で防音性を高める場合は、断熱性を高めるリフォームと同じく、スケルトンリフォームやリノベーションを施して壁を防音性の高いものに交換する必要があります。防音対策については、どれぐらい遮音したいかのレベルによって、当然かかる費用が変わってきます。

防音材の設置

防音材には吸音材、遮音材、防振材の3種類があり、どう組み合わせて使用するかによって価格が変動します。基本的な費用相場として防音材の設置には、1〜4万円/㎡程度の費用がかかります。

防音ガラスの設置

従来の窓ガラスの内側にもう一枚内窓をつけたり、窓を合わせガラスや複層ガラスに変更したりすることで多少防音性を高めることもできます。合わせガラスの場合は1箇所につき約3万〜5万円、複層ガラスの場合は1箇所につき約4万〜7万円となり、内窓の約8万〜30万円よりも費用相場が安めになります。ただし内窓は同時に断熱性能もアップできるため、おすすめの対策です。

減築・増築

軽量鉄骨造の建物は、壁自体も住宅の強度を高めるための構造の一部となっていることと、重量バランスを計算されて設計されていることから、減築による建物の部分的な取り壊しやベランダや2階を増築するなどの難易度が高いとされています。ただし、構造に影響を与えない内容であれば、減築・増築も可能です。例えば、一戸建て平屋住宅を増築し、窓枠を扉に交換して出入りするような工事なら、構造に影響はありません。この内容の増築の施工費用は、4畳の広さで約200万円が相場です。さらに大手メーカーの戸建ての場合は、増築・減築が可能な場合もあります。一度相談してみるといいでしょう。

耐震補強

1981年6月以前に建てられた住宅なら、あらかじめ耐震診断を受けておく必要があります。軽量鉄骨の建物は比較的薄い鉄筋を使用しているため、耐震性が低いと思われることが多いようです。しかし、耐震性については構造材の強度も重要ですが、建物の重量も大きく影響するため、一概に構造材の強度や厚みだけで判断することはできません。

耐震診断と補強

建物の状態を正確に判断するには、専門家に診断してもらう必要があります。一般的に耐震診断には、20〜40万円ほどかかります。1981年6月以前に建てられた住宅なら、あらかじめ耐震診断を受けておく必要があります。耐震補強にかかる費用相場は、25〜200万円と言われています。築年数の経過により劣化が進むことや、現行の耐震基準に合わせるためにより多くの工事が必要になることから、築年数が10年増加すると、耐震補強にかかる費用は約30〜40万円ずつ増加すると言われています。

スケルトンリフォーム

骨組みの状態にまで解体するスケルトンリフォームでは、耐震補強や断熱リフォーム、防音リフォームなどを行うことで住まいの性能を大きくレベルアップすることが可能です。どのような工事を行うかによって費用は大きく変わります。予算を伝えた上で、施工会社に相談しましょう。

内装の解体と補強

まずは建物を骨組み状態にするスケルトンリフォーム。費用は坪単価で計算し、1坪あたり6〜7万円ほどの相場が一般的です。鉄骨造住宅の場合、木造住宅と比較するとスケルトンリフォームする際の坪単価が高くなります。

新しい間取りへの変更

軽量鉄骨造のリノベーションやリフォームで間取り変更する場合、外壁の劣化がない場合は内装のみスケルトンリフォームができますが、住宅全体が老朽化している場合は、外壁も含めてスケルトンリフォームを行います。前者の場合は800~1,250万円の費用相場ですが、後者の場合は外壁と屋根の断熱工事、水回り、電気配線などの工事などが絡むなど大掛かりな工事になるため、1.100~1,600万円ほどかかります。そのため劣化が激しい場合は、建て替えの方が費用を安くおさめられる場合もあります。専門家に建物の状態を診断してもらった上で判断しましょう。

補助金を利用したリフォーム

リノベーション 費用
補助金については、各自治体により各種の制度が増減したりなど、内容が更新されます。早めに最新の情報を確認しておきましょう。

補助金の種類と申請方法

多くの費用がかかる軽量鉄骨造のリフォームやリノベーション。それにかかわる補助金制度もチェックしておきましょう。利用するには、早めに申請手続きを済ませることが重要です。また、対象となるプランについても細かい規定があったり、自治体によっても対象が違ったりすることがあるため、まずは十分な情報収集を行いましょう。

耐震性を向上させる耐震改修工事、省エネ性能を上げるための改修工事、バリアフリー改修工事など、性能向上のための住宅リフォーム工事の場合は、活用しやすい補助金の代表例です。予算が上限に達すると補助制度が早めに終了してしまうこともあるため、リフォームやリノベーションの計画を早めに立て、申請の手続きを行うことが大切です。視野には入れていたが募集が既に終わってしまっていた……ということがないよう、各補助制度の公式サイトをチェックし、該当年度の最新情報を見逃さないようにしましょう。補助金の種類には、以下のような例があります。

●子育てエコホーム支援事業
●先進的窓リノベ事業
●給湯省エネ事業
●住宅エコリフォーム推進事業
●長期優良住宅化リフォーム推進事業
●次世代省エネ建材の実証支援事業
●既存住宅における断熱リフォーム支援事業

また、固定資産税の減税、贈与税の非課税、登録免許税の減税などの制度を利用できる可能性もあります。

リノベーション事例

デザインの自由度も高く、耐震性など住宅の性能を向上させることができる軽量鉄骨造のフォーム・リノベーション。具体事例について、以下にいくつか紹介します。

鉄骨造の部分リノベーション事例

鉄骨造 リノベーション事例

家族が集う2階部分のLDKと水回りのみリノベーションをしました。
鉄骨造は天井の構造体を露わにすることで、開放感と鉄のラフな印象を与えることができます。
整然としたフローリングや落ち着いた左官壁、大判の石目タイルとのバランスを取り、上質な雰囲気に少しラフさを加えたリノベーションに。
通常より天井が高くできる鉄骨造では、背の高い植物がのびのびと育ちます。

▶︎費用:890万円(税別)
▶︎面積:約38.6㎡
▶︎工期:約90日
▶︎内容:部分リノベーション(2F部分)

鉄骨造のフルリノベーション事例

鉄骨造 リノベーション事例
床面積は変わらなくても、天井を露わしにするだけでぐっと解放感のある空間になりました。
視覚的にも高さを感じられるようにデッキプレート・梁は白色に塗装。
白が基調のデザインで、太陽光の反射で眩しくならないよう少しアイボリーがかった白色を選定しました。

▶︎費用:1,500万円(税別)
▶︎面積:約97.61㎡
▶︎工期:約90日
▶︎内容:部分リノベーション(外壁工事・一部サッシ交換・水回り交換・内装工事)

まとめ

工期が長くなりがちなスケルトンのリノベーションでも、資材の品質が安定している軽量鉄骨造の場合は工期が比較的短くなるというのがうれしいポイント。ただしハウスメーカー独自の工法が採用されていることが多いため、実績豊富な工事業者を選定することが大切です。kujiraでは軽量鉄骨造のリノベーションやリフォームにおいて、豊富な実績があります。まずはぜひ、お気軽に我々にご相談ください。

WRITERこの記事を書いた人

ディレクター

山根 広大KODAI YAMANE

ディレクター / 奈良県橿原市出身 / お客様にとっての「カッコいい」とは何かを常に考えてご提案させていただきます / 自分だけのこだわりを沢山作ることを意識しています。こだわりが沢山あるほど人生は豊かになると考えています

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