【2024最新版】和モダンテイストな住宅リノベーションのポイント14選
こんにちは!クジラ株式会社の菅原です!
Writer 菅原沙絵 デザイナー WORKS 2017年に新卒入社以来、住宅だけではなく店舗や宿泊施設のデザインも担当してきた。 お客様の理想を正確に捉え、ヒアリングを中心にデザインしていくことを得意としているデザイナー。 CREATOR’s STORY|菅原 沙絵 |
落ち着いた和テイストのなかに洗練された今っぽさのある、和モダンテイスト。近年人気のテイストで、リノベーションによって和モダンテイストにするケースも増えています。今回の記事では、和モダンテイストへのリノベーションにあたっての費用概要と和モダンに近づけるためのポイントについて、さらにリノベーション事例などをご紹介します。
目次
和モダンとは
「和モダン」とは、日本の伝統的な住宅に見られる和風の要素と、モダン=現代的な要素を組み合わせたインテリアのスタイルのこと。伝統的な美しさと洗練されたデザインのいいとこ取りで、近年世代を問わず、人気のあるテイストとなっています。建材に石や木、竹、畳、障子などの昔ながらの日本家屋にある素材が使われたり、インテリアに珪藻土、無垢材、竹、籐、和紙などが使われたり、縁側や坪庭、吹き抜けといった空間といった日本の伝統的な要素があるというのも和モダンテキストを作り上げる上で大きなポイントとなります。和風の要素と現代的な要素のバランスによって印象はさまざまですが、自然素材を活用しているという大きな特徴があります。
和モダンなリノベーションにかかる費用概要と内訳
和モダンといっても、リノベーションの内容はさまざまです。当然のことながらかかる費用は、施工内容によって異なります。わかりやすく和モダンにするリノベーション内容とその費用感について、代表的なものを以下に説明します。
床をフローリングから畳へ
フローリングを畳に変更することで一気に空間の印象が変わり、和モダンテイストに近づけることができます。費用相場は、6畳で7~20万円。フローリングを剥がさずにその上から畳を敷くという方法もあり、その場合は6畳につき6万円ほどで施工できます。ただしフローリングの上から畳を敷くことで床が高くなるため圧迫感を感じたり、ドアとの高さ調整が必要になったりするケースも。また、リビングの一部に畳の小上がりを設置する場合は、15万円以上見積もる必要があります。
壁を漆喰や珪藻土に塗装
壁を漆喰や珪藻土に塗装するだけで、空間の雰囲気がガラリと変わります。費用相場は、6畳の部屋で6〜20万円ほどをみておくといいでしょう。
開き戸を引き戸に変更
開きのドアを引戸へ取り替えると、見た目が和モダンに。開け閉めもしやすく、生活もしやすくなります。家の顔でもある玄関に応用するのもおすすめ。費用相場は、3〜10万円ほどです。防犯上の安全のために、鍵を上下の2ヵ所につけたり電子錠にしたりも可能です。
クローゼットから押入れへ
上段と下段の仕切りや天袋がある押入れは、伝統的な日本家屋で用いられている収納です。クローゼットから押入れへ変更する費用相場は、2〜5万円ほどが目安。ただし、現代の生活様式では押入れよりクローゼットのほうが使い勝手がよく、押入れにリノベーションする例はあまり多くはみられません。どちらかというとクローゼットのデザインを和モダン風にするといった例が多く見受けられます。
和モダンな住まいにするためのポイント
一言で「和モダン」といっても、その印象はさまざまです。和モダンな住まいへのリノベーションを叶えるためには、どういったことをおさえておけばいいのでしょうか。抽象的なイメージから具体的なイメージにまで落とし込む際におさえておきたい項目について、下記に14個のポイントを紹介します。
まずは現在の物件のテイストから方向性を考える
リノベーションを施す建物が洋風か和風かによって、どれほどのアレンジを加えるかの振り幅が変わります。もともとが洋風の建物の場合は、全体的に和の要素を取り入れないと目に見えて和モダン風に仕上げるのは難しいでしょう。一方で、もともとが和風の建物の場合は、モダンな要素を意識して取りいれるといいでしょう。いずれにせよ具体的な事例やイメージ画像をもとに、リノベーション施工会社と希望するイメージを擦り合わせて、よく相談することが大切です。
自然素材を活用した温もりのある空間作り
和モダンテイストでは、自然素材が多く使われます。床・天井・壁など面積の割合を多く占める部分に自然素材を取り入れると、和モダンテイストへの近道になるでしょう。以下に和モダンテイストに仕上がりやすい自然素材を見ていきましょう。
木材
天然の木そのものである無垢材は、木の温もりをダイレクトに感じることができリラックス空間を生み出します。フローリングや柱、天井の梁などに活用したい自然素材です。人気は、ウォールナットや杉、ヒノキなどです。天然木をそのまま使用するため同じものはひとつとしてなく、唯一無二の存在感を味わえるのも魅力です。機能面でも優れ、湿度が高いときは湿気を吸い膨張し、湿度が低いときは放湿して収縮するため、快適に過ごすことができます。
珪藻土
和モダン風の壁にするのにおすすめなのが、珪藻土や漆喰。塗る際にあえてコテむらを作ることで、雰囲気を作りだします。とくに珪藻土は藻類の一種である珪藻が海底や湖底に堆積して化石化したものでスポンジのように多くの小さな穴を持ち、自律的な吸放湿性能が高く、室内湿度を快適に保ちます。
和紙
和紙を使った障子などを取り入れることで、部屋の雰囲気がぐんと和モダンテイストに仕上がります。障子を設計するのが難しい場合は、照明に和紙を使用してもいいでしょう。光を透かす和紙の照明器具が作り出すやわらかい雰囲気が、落ち着いたリラックス空間へと誘ってくれます。
カラーリングは柄物を抑えモノトーンで仕上げる
和モダンテイストにまとめたい場合は、色味をおさえてモノトーンと木目調の色合いでまとめるとよいでしょう。ベースカラーはシンプルで清潔感のある空間を作る、白・ベージュ・グレーなどの落ち着いた色合いがおすすめ。床・天井・壁など面積の割合を多く占める部分にナチュラルカラーを使うと、他が引き立ちます。挿し色を入れる場合は、日本の伝統色である漆のような朱赤・墨色・抹茶色・茄子紺・山吹色などを加えるといいでしょう。壁の一部やカーテンなどに、アクセントとして取り入れると、存在感がありつつ落ち着いた和モダンな空間を作り出します。
ただ、白と黒だけで構成されていると都会的になりすぎてしまい、少し和モダンテイストとは離れてしまいます。バランスを汲んだカラーコーディネートをするのがポイントです。
畳など低座できる空間を作る
古くから日本の住宅で取り入れられている畳。すべての床を畳にするのではなく、一部に取り入れることで、和とモダンが調和します。また、畳はやわらかいため、床に直に座ることができます。これは生活する上で、意外と便利な場面が多いです。寝転んでリラックスするのはもちろん、赤ちゃんがいるご家庭にも重宝します。今では畳もデザイン性に優れ、縁なし畳・正方形の琉球畳・モノトーンの畳などさまざまな色や形があるので、現代風のインテリアになじみやすいものを選ぶのがおすすめです。
格子(ルーバー)によるアクセント
日本を代表する建築でもよく用いられている、格子(ルーバー)。ルーバーとは、細長い羽板を枠組みにすき間を開けて平行に組んだもので、閉めてしまうと完全に光が遮られてしまうドアと違い、ほどよく視線を遮りつつ光は通してくれるため、やわらかい雰囲気を作り出します。例えばフローリングのリビングや洋室にルーバーを導入するだけで、やわらかく光が注ぐ開放感のある空間を演出してくれます。
引き戸の活用
ドアを開き戸から引き戸にするだけでも、和の雰囲気が増します。家の顔でもある玄関に応用するのもおすすめですが、構造によっては叶わない場合もあります。変更が可能かどうかは、リノベーション施工会社へ相談をしてみましょう。引き戸は開閉の動作がしやすく、子どもや高齢者にも使いやすく安心。開閉による場所も取りづらく、生活のしやすさにもつながります。光が差し込むガラスの引き戸や、ぬくもりのある木の引き戸も人気です。
木造戸建住宅ならあえて柱や梁を見せる
柱や梁を隠さずにあえて室内に露出させると、一気に和モダンテイストが増します。古民家カフェなどを想像してみてください。天然の木の姿がそのまませり出していることで、自然と一体化したような落ち着いた空間を演出できます。日本の伝統的な家はほとんどが木造住宅で、家の中心にはいわゆる「大黒柱」がありました。大黒柱があると、一気にレトロ感が増します。ただし、柱や梁を生かせるかどうかは建物の構造にもよるため、具体的なイメージをもちつる、リノベーション施工会社に相談してみください。
インテリア・家具は木製のものを
建物の構造でいろいろ手を加えるのが難しい場合は、インテリアや家具で和モダンテイストを演出してみるのもいいでしょう。和モダンテイストを演出しやすいのは、木製の家具。天然の無垢材などだと、より雰囲気のある和モダンテイストに仕上がるでしょう。インテリアや家具を選ぶときのポイントは、床・天井・壁など面積の割合を多く占める部分と色味や色の濃さを揃えること。そこを起点にして考えると、統一感のある洗練された雰囲気の空間に仕上がります。
和テイストのペンダント照明の導入
インテリアの中でも、簡単に部屋の雰囲気を大きくかえてくれるのが照明です。和モダンテイストにしたい場合は、和紙・竹・木・麻などの自然素材を使った照明がおすすめです。照明の形状もさまざま。せっかくリノベーションするのであれば、アップライトやダウンライトを埋め込んでみるのもいいでしょう。それが叶わない場合は後付けのペンダントライやシーリングライトを導入するだけでも、印象ががらりと変わります。和モダンテイストに仕上げたい場合は強い色味の光ではなく、落ち着いた明るさの照明を選ぶのがポイントです。
余白のある空間づくり
和モダンテイストの特徴として、空間を広く使うことがあります。テーブルやベッドなど大きな家具は一つに絞り、ほかの家具を小さくするとシンプルな空間を演出できます。ごちゃごちゃインテリアで飾り立てずに「少し物足りないかな」というぐらいの余白ある空間が静寂や落ち着きを生み出し、スタイリッシュな和モダンテイストを作ります。
土間のある玄関やリビングの設計
日本の住宅では、靴を脱ぐ部分である土間があります。玄関に土間を取り入れると、一気に和モダンな玄関に仕上がります。土間とは、玄関と部屋の間にある土足で過ごすスペースのことで、タイルや石、モルタルなどで作られています。石畳の土間にすれば、より和風の雰囲気を出せるでしょう。
縁側を作る
古き良き日本住宅に見られる縁側。昔の日本家屋ではぐるりと縁側が住宅の周りを囲み、廊下として活用されていました。現代では広範囲に縁側を設ける住宅は少ないものの、リビングと庭の間に縁側を設置するというリノベーションも人気です。夏には庭を眺めながら縁側でスイカを食べるのも、趣があっていいですね。
庭やベランダにも和テイストを取り入れる
日本の建築では、外の自然を室内に取り込むデザインが古くから大切にされています。内観だけでなく外観にもこだわりたい場合は、庭やベランダに和モダンテイストを取り入れてみましょう。和モダンテイストの庭にしたい場合は、敷石などを取り入れてみると印象が変わります。広い庭がない場合も、窓辺に敷石や鉢入りの植物を飾ってライトアップするだけでも和モダンテイストに。庭と隣接する場所や外への眺望が望める場所に窓を設置する方法も。家の中にいながら自然とのつながりを感じることができます。庭を確保するのが難しい場合は、室内に観葉植物を置くことで自然要素を取り入れてみましょう。
和風な室外機カバーの活用方法
外観にこだわりたい場合に注目したいのが、室外機のカバー。住宅の壁に接している室外機は、そのままの状態だと雰囲気を壊してしまいます。木製の室外機カバーを取り入れることで、外からみても和モダンテイストに完璧に仕上げることができます。
おしゃれな和風/和モダンのリフォーム事例
和モダンテイストへとリノベーションしたKUJIRAの事例を紹介します。具体的なリノベーション事例を提示することでリノベーション施工会社との共通認識をもつことができ、より理想のリノベーションを実現することができます。ぜひ参考にしてみてください。
ホテルに暮らすように過ごす、古民家リノベのセカンドハウス
親戚の方から引き継いだ古民家を、セカンドハウスとしてリノベーション。
余暇を過ごすホテルで感じる、ゆとりと穏やかな時間をお家にも取り入れられるように設計しました。
趣のある扉や天井、コンクリートの壁など元のお家の良さを生かしつつ、新しい要素と組み合わせて新旧が織りなすデザインが実現できました。
▶︎費用:1,590万円(税別)
▶︎面積:約130.2㎡
▶︎築年数:築87年以上
▶︎内容:フルリノベーション
茶室をモチーフにした和モダンリノベーション
茶室からアイデアを得たデザインで、宿泊施設にリノベーション。
リビング中央に特別な空間を演出するために、茶室をモチーフにした小上がりをデザインしました。小上がりを畳で仕上げることで、暖かみを感じられます。
▶︎費用:1000万円(税別)
▶︎面積:53.5㎡
▶︎築年数:築41年
▶︎内容:フルリノベーション
まとめ
リラックスした落ち着いた雰囲気で、さらに毎日の暮らしを充実させられる和モダンテイストへのリノベーション。古き良き日本家屋のいいところをそのままに、現代の生活様式にあった暮らしやすい住まいを実現してくれます。この記事を参考に和モダンテイストのリノベーションについて、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。