リノベーションで部屋を増やす方法 | やり方と注意点を徹底解説
こんにちは!クジラ株式会社の高橋です!
Writer 髙橋桃子 デザイナー WORKS 2016年に入社したスタッフの中で最もクジラ歴の長いメンバー。住宅のみならずオフィスリノベーションも得意としている。趣味は美味しいものを食べること。 CREATOR’s STORY|髙橋 桃子 |
家族のライフスタイルの変化などによって、家の間取りが生活に合わなくなってきて不便に感じるという場合があります。そこで提案したいのが、リノベーションで部屋を増やすという方法です。リノベーションで部屋を増やすには、どういった方法があるのでしょうか。今回の記事ではその方法やそれにかかる費用、またはその際に注意すべき点やメリット・デメリットについて徹底解説します。事例についても紹介していきましょう。
目次
リノベーションで部屋を増やすためのアイディア
ライフスタイルの転機により、暮らしやすい環境というのも変化していくものです。そこで検討したいのが、部屋を増やすというリノベーション。部屋を増やす方法にはどんなものがあるのでしょうか。以下に見ていきましょう。
大きく増築と改築の2つがある
リノベーションで部屋を増やす場合、主な方法として「増築」と「改築」との2つがあります。「増築」とは、既存の住宅を解体することなく、敷地内に新しい建物を建てたり改装を増やしたりすることで、建物自体の床面積を増やす方法になります。
改築で間取り変更
一方、「改築」とは、床面積を変えずに、間取り変更などで部屋を追加する方法になります。既存の住宅の範囲内でリノベーションをする方法で、マンションなど「部屋を増やしたいけど、増築するほどのスペースはない」という場合は、手軽に部屋を増やすことのできる改築を検討するといいでしょう。すでにある建物の床面積を変えずに部屋を増やす方法は、主に「1部屋を2部屋にする」「ロフトを活用する」の2つがあります。
1部屋を2部屋にする具体的なステップ
改築でもっとも一般的な方法は、1部屋を分割して2部屋にする方法です。
具体的なステップとしては、まずは電気配線やドア、窓の位置をよく考えること。大きな部屋に壁を作って2部屋にする場合は当然ながら、配線やドアはそのまま活かしたほうが費用をおさえることができますが、コストを安くおさえようとするあまり、部屋としての使い勝手が下がってしまうこともあります。この部分については、リノベーション会社と綿密に相談することが必要です。
また、生活動線についてもきちんとイメージしておくことが大切です。
増築とは違い床面積が増えない改築では、動線をきちんと考えない状態でただ部屋だけを増やしてしまうと、生活動線がとたんに悪くなり、住みづらくなるというケースも多くあります。主にチェックしたいのは、不自然な壁や柱が残ってしまわないか、生活リズムに合わせてスムーズに移動できるか、という部分です。新しく間仕切り壁を設ける場合は、壁を設置することで採光や風通しがどうなるのかについても注意しておくことが大切です。
ロフトを活用する方法
部屋を増やすリノベーションには、高めの天井の一部屋にロフトを設置するという方法もあります。ただし、本来は想定していなかったスペースにロフトを作ることになるため部屋の面積としては狭くなってしまうことが多いです。とはいえ子ども部屋としてちょうどいいスペースになったり、子どもが成長してからは収納スペースとして活用できたりと、効率的に空間を利用できる一例となり導入事例も多くあります。
増築で部屋を増やす
「増築」にはさまざまなパターンがありますが、ここでは「余剰の敷地を部屋にする」「吹き抜けを部屋にする」「車庫の上やバルコニー・ベランダを部屋にする」の3パターンについて詳しく紹介していきましょう。
余剰の敷地を部屋にする
駐車場や庭のスペースが余っている場合、そこに部屋を増築するという方法もあります。1階部分に部屋を増築することになるので、外から直接入室できるスロープの設置などをすればバリアフリーに適した部屋の増築となります。アトリエや事務所を作成したいという需要にも向いています。庭や駐車場に十分なスペースがある方は、ぜひ検討してみるといいでしょう。
吹き抜けを部屋にする
吹き抜けに部屋を増やす場合は、床だけを設置する場合と、床と間仕切りを設置する場合があります。作業部屋や書斎を追加したい、収納スペースを追加したいといった場合に効果的なリノベーションです。
吹き抜け部分を部屋にするときは、1階の暮らしやすさも考慮に入れる必要があります。今まで開放感な吹き抜けだったところが2階構造になることで、日照や家の通風が悪くなることも考えられます。部屋が増えて住みやすくなるどころか、1階の開放感がなくなって窮屈になってしまうのでは逆に住みにくさにつながってしまいます。これを解消するには、2階の床を1段上げて1階の天井を高めに設置するという解決法があります。追加する部屋についてはもちろん、1階部分がどんな雰囲気になるかについては、よく確認しておくといいでしょう。
車庫の上やバルコニー・ベランダを部屋にする
車庫が併設されている場合、車庫の2階に部屋を増築できます。もし車2台分のスペースがあるという広い車庫であれば、2階部分に広い部屋を増築できるメリットがあります。車庫の上の部屋は1階部分が外気にさらされている構造となるため、冬は寒く夏は暑いというデメリットもおさえつつ、部屋の用途を考えておくといいでしょう。
また、広いベランダやバルコニーを持て余しているという場合は、そこを部屋にするというリノベーションもいいでしょう。部屋と接している壁や窓を取り払って、天井・壁・窓を新たに設置するという工事で部屋を拡張できます。そこに間仕切り壁やドアを取り付ければ、新たな1部屋として増築することもできます。
部屋を増やすリノベーションにかかる概算費用とその内訳
「部屋を増やす」とだけ聞くと、大がかりな工事になり、リノベーション費用も多くかかるのでは?と不安に思う人も多いでしょう。そこで下記に「増築」「改築」それぞれにかかる費用の詳細について見ていきましょう。
増築にかかる費用詳細
先述した通り、「増築」といってもさまざまなパターンがあります。ここでは「余剰の敷地を部屋にする」「吹き抜けを部屋にする」「車庫の上やバルコニー・ベランダを部屋にする」の3パターンにかかる費用について、詳しく紹介していきましょう。
まずは、余剰の敷地を部屋にする場合。駐車場や庭などの空いた敷地に部屋をつくるという方法です。ただ簡易的に部屋を作るだけであれば100万円ぐらいから可能になります。ただし、例えば駐車場はコンクリート舗装であるため、そのまま壁と天井を作るだけでは部屋として成り立ちません。部屋として成立させるためにコンクリートを掘削して床下を工事しなければならなくなり、その分費用が高額になります。
吹き抜けを部屋にする場合は、床だけを設置する場合は30万円~、床と間仕切りを設置する場合は150万円~という費用が目安です。
車庫の上に部屋を作る場合は、費用は一坪あたり30万円~が目安です。構造部分を補強して屋根の耐荷重を必要があるため、高額な費用がかかります。また、バルコニー・ベランダを部屋にする場合は、2畳程度でも50万〜が目安です。施工面積が増えれば増えるほど、コストは上がります。ただしバルコニー・ベランダは耐荷重が少なく設置されていることが多いため、増築自体ができない場合もあります。バルコニー・ベランダを部屋にする場合は、事前にリノベーション会社にできるかどうかを確認しましょう。
改築にかかる費用詳細
改築は、増築と比べてコストが安く、かつ工事が短期間で済むというメリットがあります。例えば1部屋を2部屋にする場合、壁だけを空間に改築する形式となるため費用としては15万円〜、より快適な空間にするためコンセント設置などを伴う電気工事を伴う場合は40万円〜といった相場になります。また、ロフトを新規で設置することで空間を有効利用することもできます。ロフトの場合、改築するサイズ感にもよりますが大凡50万円~が目安となります。理想の暮らしを具体的にイメージした上で最適なアプローチを決めていきましょう。
リノベーションで部屋を増やすデメリット
リノベーションで部屋を増やすのは、メリットばかりではありません。リノベーションを実施したあとに「こんなはずじゃなかった」となることがないよう、事前にデメリットについてもしっかりと理解しておきます。
下記では、
・建ぺい率と容積率の確認
・増築に申請が必要なケース
・固定資産税の影響
・仮住まいの検討
について、詳しく紹介していきます。
建ぺい率と容積率の確認
「増築」によって部屋を増やす場合、そもそも建築法で定められた建ぺい率や容積率の問題でそれが実現しないという場合があります。建ぺい率とは「敷地面積に対する建築物の面積の割合」で、容積率とは「敷地面積に対する延べ床面積の割合」を指します。
建ぺい率と容積率の割合の基準は土地ごとに定められており、どちらか一つでも基準をオーバーする増築はできないと定められています。規定の面積を超えて増築すると行政から指導が入り、罰則を受ける可能性もあります。土地の建ぺい率や容積率は、住んでいる自治体の建築指導課や都市計画課に確認することができます。ホームページなどで簡易的に確認することも可能ですが、詳細も含めて直接聞いた方が安心です。
増築に申請が必要なケース
建ぺい率や容積率をクリアした場合でも、増築には申請が必要なケースがあります。それは、増築する面積が10平方メートル以上の場合です。その場合は住んでいる自治体へ確認申請を出さなければなりません。確認申請には「確認申請」「中間検査」「完了検査」の3段階があり、建築確認申請と登記という書類の提出が必要になります。書類の作成には専門知識が必要となるため、建築士に依頼しましょう。その場合、15〜30万円程度の費用を見積もっておく必要があります。必要な確認申請を怠ると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性もあるため、気をつけたいポイントです。
固定資産税の影響
土地所有者に対して課税される固定資産税は、面積によって特例率が変わります。増築によって床面積が増えたり建物の評価額が上がることにより、固定資産税が高くなります。どれぐらい高くなるかの目安は、<工事費×0.4(4割)×1.7%>という計算式で算出することができます。例えばリフォーム費用が500万円の場合、500万×0.4×0.017=3.4で、固定資産税が3.4万円ほど増加する目安ということになります。1部屋増やす程度の増築では、そこまで金額が高くなることはあまりありませんが、金額感は知っておくと安心です。
仮住まいの検討
リノベーションする場所については、工事中の騒音や移動が難しく暮らすのに困難が発生する場合もあります。工事期間が短ければホテルなどへの滞在も考えられますが、リノベーションの内容によっては、数ヵ月以上と工期が長期に渡ることもあります。その場合は、仮住まいを検討する必要があり、仮住まいにかかる家賃が発生します。ここにかかるコストについては意外と忘れがちなポイントなので、しっかりと予算に組み込んでおく必要があるでしょう。
リノベーションで部屋を増やす際のポイント
リノベーションで部屋を増やすにあたり、実際に増やしてみたら逆に暮らしにくくなってしまった……ということがないように、チェックしておきたい、またはチェックしておくべきポイントがあります。
将来の暮らしをイメージする
ライフスタイルの変化により、部屋を増やすリノベーションを検討する場合が多いかと思いますが、リノベーション後もさらに、家族のライフスタイルはその都度変化していくものです。例えば子どもの成長に伴い「子ども部屋を増やす」というリノベーションを検討する場合、さらに子どもが成長して家が狭く感じたり、1人で集中できる空間が必要になってきたりといった場合があります。「家族全員が快適に過ごせる空間の在り方は変化する」ということを前提に、部屋を増やした後もうまく活用できるようなリノベーションの内容を検討すべきでしょう。
間取り変更を伴うような大規模なリフォームはコストも工期も多くかかり、生涯で何度もできるものではありません。少し先だけではなく、その先の将来のライフスタイルについてもイメージしつつリノベーションプランを立てると、より長い間暮らしやすく過ごせる住まいを手にいれることができるでしょう。
マンションの場合は規約まで確認する
マンションにおいて部屋を増やすリノベーションをする場合は、規約も必ずチェックしましょう。マンションの場合、共用部分については間取りの変更はもちろんのこと、交換などの簡易なリフォームも認められていない場合がほとんどです。規約に反した工事をしてしまったら、大きなトラブルに発展してしまいます。マンションにおいてリノベーションを検討する際は、事前にプランなどを管理組合に共有し、了解を得る必要があります。リノベーション前提で中古マンションを購入する際も、この点に注意して、管理規約の内容をチェックする必要があるでしょう。
部屋を増やしたリノベーション事例
KUJIRAでは、部屋を増やすリノベーションの実績を数多くもちます。いろいろなパターンで部屋を増やしたリノベーション事例について、紹介していきましょう。
造作机で兄妹のプライバシーを確保
1つの部屋を造作机で区切ることで、兄妹のプライバシーを守れるようにリノベーションしました。視線は遮りつつ、空調が機能するように壁の上部を開けています。
マンションでは、エアコンの数に制限があるため部屋を増やすことが難しいですが、事例のように壁の上部を開けることで1台のエアコンで2部屋作ることができます。
まとめ
リノベーションによって部屋を増やす方法には、主な方法として「増築」と「改築」との2つがあります。建物自体の床面積を増やす増築か、床面積を変えずに、間取り変更などで部屋を追加する改築、どちらを選ぶべきかは、コスト面や用途面から十分に検討する必要があります。
とはいえ、暮らしにくさを感じているのにもかかわらず、部屋を増やさないまま狭い空間で暮らし続けることは、ストレスに感じることも。この記事にかかれているポイントをおさえることで、近い将来も長い目で見ても暮らしやすい家を作る第一歩となります。そしてぜひ、お気軽に我々にご相談ください。家族の暮らしやすさが格段に上がる部屋を増やすリノベーションを、一緒に成功させましょう。