2025.02.04
最終更新日
2025.02.13
リノベーションのヒント

【最新版】2025年4月に変更されるリノベーションの確認申請のポイントとは

リノベーション 確認申請

こんにちは!クジラ株式会社の山根です!

Writer
山根広大
ディレクターWORKS
宅地建物取引士。大学で建築を学び、人の暮らしにより幅広く関わりたいと思い不動産業界を志望。2019年にクジラ株式会社に入社。不動産・建築の両面からワンストップでリノベーションをサポートするのが得意。

2025年4月の「4号特例」縮小により、リフォーム確認申請の手続きが大きく変わります。本記事では改正内容や手続きのポイント、必要な費用や期間について詳しく解説します。

「4号特例」の縮小と2025年4月からの変更点

リノベーション 確認申請
2025年4月から、日本の建築確認申請制度において「4号特例」が縮小されることになりました。この変更は住宅や小規模建築物に関する法律や規制の大幅な見直しを意味しており、特にリフォームやリノベーション業界には大きな影響を及ぼすでしょう。本記事では「4号特例」の定義と、改正前後の具体的な違い、そして今後予測される費用や期間への影響について詳しく解説します。

そもそも4号建築物の定義とは

まず、「4号建築物」という言葉の意味を整理しておきましょう。「4号建築物」とは、建築基準法に基づく建築物の分類の一つで、比較的小規模な建築物を指します。

具体的には、以下のような条件を満たす建築物が該当します。

・木造で、2階以下、延べ面積が500平方メートル以下、高さ13メートル以下、軒の高さが9メートル以下の建築物
・木造以外で、1階以下、延べ面積が200平方メートル以下の建築物

こうした建築物は、建築確認申請において「特例」を受けられる仕組みがありました。この特例が「4号特例」です。この制度の下では、設計者や施工者が一部の基準に関する説明責任を軽減されるため、小規模な工事では確認申請の負担が大幅に軽減されていました。

改正前:4号建築物の大規模修繕では申請が不要なケースがあった

改正前の「4号特例」の下では、4号建築物に該当する建築物の多くが、大規模修繕や改修工事を行う際に確認申請を必要としないケースがありました。
これは、例えば以下のようなケースに該当します。

・木造2階建て住宅の屋根や外壁の張り替え
・鉄骨造の小規模店舗の内部改装*1
・マンションの専有部分の水回りの変更*2
*1,2は改正後も申請不要な工事

これらの工事が確認申請を要しなかったことで、工期が短縮され、費用も抑えられる利点がありました。特にリフォーム業者や建築士にとっては、煩雑な手続きを回避できることで、スムーズな施工が実現していたのです。

改正後:既存の4号建築物の区分は廃止、新2号建築物で申請必須に

2025年4月の改正により、「4号建築物」という区分そのものが廃止されます。その代わりに、これまでの4号建築物の一部が「新2号建築物」に再分類される形となり、新たなルールが適用されることになります。この変更に伴い、これまで申請が不要だった大規模修繕や改修工事も、確認申請の対象となる場合が増える見込みです。

例えば、木造2階建て住宅の大規模リフォームでは、これまで不要だった構造計算書や設計図の提出が必要になります。

また、鉄骨造や木造3階建て住宅の改修工事においても、建築基準法に基づく安全基準の確認を受ける必要があるでしょう。この変更により、建築物の安全性がより高まる一方で、事業者や施主にとっては手間と費用の増加が避けられません。

費用と期間の変動

「4号特例」の縮小は、費用と工期の両面において影響を及ぼします。まず、確認申請の手続きが必要になることで、設計士や施工業者の工数が増え、その分費用が上昇します。申請に伴う手数料や書類作成費用も加算されるため、主要構造部の過半を触る場合は全体のコストが増大するでしょう。

一方で、申請に必要な期間が増えることで、工期の長期化も懸念されています。特に申請の審査には1~2か月以上かかる場合があるため、施主にとっては計画通りに工事が進められない可能性もあります。

このため、リフォーム計画を立てる際には、十分な余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。

「4号特例」の縮小前までの期間で確認申請が不要なリフォームの例

確認申請 リフォーム例
2025年4月の改正が施行されるまでの間は、「4号特例」に基づき確認申請が不要なリフォームが存在します。この期間を活用すれば、費用や手続きの負担を抑えつつ、リフォームを進めることが可能です。
以下に、代表的な例を挙げてみましょう。

マンションの専有部分のリフォーム

マンションの専有部分、例えばキッチンやバスルーム、トイレなどのリフォームは、基本的に建物の構造部分に影響を及ぼさないため、確認申請が不要とされています。
これにより、配管や設備の交換、内装の変更といった工事をスムーズに進めることができます。

木造2階建ての小規模リフォーム

木造2階建ての住宅であれば、外壁の塗り替えや床材の張り替え、軽微な間取り変更などのリフォームも確認申請の対象外となります。

このような工事は、建物の主要な構造部分には手を加えないため、比較的自由に進められるのが特徴です。

また、屋根の修理や外壁の補修といった外装リフォームも、2025年4月以前であれば特例の対象となる場合が多いです。こうした小規模なリフォームを検討している場合は、早めに計画を進めることをおすすめします。

鉄骨2階建てや木造3階建ての小規模リフォーム

鉄骨2階建てや木造3階建ての建物においても、内部の仕上げ材の交換や設備の変更などの軽微な工事であれば、確認申請は不要です。

例えば、鉄骨造の店舗で内装を一新する場合や、木造3階建て住宅で設備を最新のものに交換する場合などが該当します。

ただし、こうした建物では、階数や構造上の制約から、改修範囲が大きくなると確認申請が必要となる場合もあります。

そのため、具体的な工事内容については、設計士や施工業者に相談しながら慎重に計画を進めると良いでしょう。
2025年4月の法改正に向けて、今のうちにできるリフォームを検討することは、コストを抑えつつ理想の住まいを実現する有効な方法です。この機会を活用し、計画的に進めてみてはいかがでしょうか。

「4号特例」の縮小前までの期間で確認申請が必要なリフォームの例

確認申請 リフォーム例
「4号特例」の縮小前でも、特定の条件に該当するリフォーム工事については確認申請が必要です。これには、建築基準法や都市計画法に基づく建物の構造変更や増築など、建物の安全性や適合性に直接関係する工事が含まれます。

以下に、代表的な例を挙げながら、確認申請が必要なケースを詳しく解説します。

一戸建ての増築や物置・ガレージの設置を行う場合

一戸建て住宅において、建物の増築や敷地内に物置やガレージを新設する場合は、原則として確認申請が必要です。これは、建築基準法の適用範囲が建物全体の延べ床面積や高さ、配置に影響を及ぼす工事に及ぶためです。

例えば、以下のような工事は確認申請の対象となります。

・既存の住宅に部屋を1つ追加する増築工事
・敷地内にコンクリート基礎を伴うガレージを新設する工事
・10平方メートルを超える物置の設置

こうした工事では、建ぺい率や容積率、隣地境界からの距離といった都市計画法の規定を遵守する必要があります。

また、地域ごとに異なる規制があるため、設置場所や計画内容に応じた確認申請が欠かせません。

「4号建築物」以外で屋根材の張替えやカバー工法を行う場合

「4号建築物」に該当しない建物、例えば鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート造)の建物で、屋根材の張替えやカバー工法を行う場合も、確認申請が必要になることがあります。これは、構造に負荷がかかる変更が含まれる場合に該当します。

例えば、以下のような工事が該当します。

・金属製の屋根材を新たに設置する工事
・重量が増加する屋根材(瓦など)を使用する工事
・雨漏り防止のために既存の屋根材に新しい屋根材を重ねるカバー工法

これらの工事では、既存の構造体が追加の荷重に耐えられるかどうかを確認する必要があります。

特に、屋根材の変更によって建物全体の耐震性が影響を受ける場合は、申請手続きが不可欠です。

「4号建築物」以外で外壁改修を行う場合

「4号建築物」以外の建物で外壁改修を行う場合も、確認申請が必要なケースがあります。外壁の張替えや塗装のみであれば申請が不要な場合も多いですが、以下の条件に該当する場合は手続きが求められます。

・外壁材を重量のあるもの(例えば石材やコンクリートパネル)に変更する場合
・既存の外壁材に新たな外壁材を追加する工事
・外壁材の変更により防火性能や断熱性能が変わる場合

また、特定行政庁が定める防火地域や準防火地域内での外壁改修工事は、建築基準法に基づく基準を満たしているかどうかの確認が必要です。

このため、該当地域での外壁改修を計画している場合は、あらかじめ確認申請の手続きを行うことをおすすめします。

スケルトンリフォームを行う場合

スケルトンリフォームとは、建物の骨組み(スケルトン)だけを残し、内装や設備を全面的に改修するリフォームのことです。この工事は建物の構造部分に直接手を加えることが多いため、確認申請が必要です。

例えば、以下のようなケースが該当します。

・建物の間仕切り壁を全て取り払い、新たに設計し直す工事
・複数の部屋を1つに統合するための柱や梁の撤去

スケルトンリフォームでは、建物の安全性や耐久性を確保するために構造計算が必要となる場合もあります。

特に、築年数が古い建物では、既存不適格の問題や耐震補強の必要性が生じることがあるため、専門家のアドバイスを受けながら手続きを進めることが重要でしょう。

「既存不適格建築物」のリフォームを行う場合

「既存不適格建築物」とは、建築当時の法律には適合していたものの、その後の法改正により現在の基準を満たさなくなった建物を指します。このような建物でリフォームを行う場合、確認申請が必要になることが一般的です。

具体的には、以下のようなケースがあります。

・耐震性能を補強するために柱や梁を追加する工事
・高さ制限や建ぺい率の変更により現在の基準を超える部分の改修工事
・建物の一部を解体し、新たに付け加える工事

ただし、既存不適格建築物の場合でも、申請が必要であるかどうかは工事内容によるため、専門の建築会社に相談が必要です。

そのため、計画段階から設計士や建築士と十分に相談し、必要な申請をスムーズに進めることが大切です。

以上のように、「4号特例」が縮小される前であっても、特定の条件に該当するリフォーム工事については確認申請が求められることがあります。この期間を利用してリフォームを検討する際には、申請が必要かどうかを正確に判断し、計画的に進めることが重要です。また、法改正後にはさらに手続きが複雑化する可能性があるため、改正前の制度を活用してスムーズに工事を進めることをおすすめします。

リフォーム確認申請の手続きと費用

確認申請 費用
リフォームにおける確認申請の手続きは、法律で定められた基準に従うために必要なプロセスです。しかし、申請を行う際には、書類の準備や手続きにかかる費用を含め、時間と労力が求められます。ここでは、申請にかかる主な費用や期間、必要な書類について解説します。

申請書類作成の代行費用

確認申請の手続きには専門的な知識が求められるため、多くの場合、設計事務所や建築士事務所に書類作成を依頼することが一般的です。この代行費用は、リフォームの規模や建物の種類によって異なります。

例えば、木造2階建ての住宅での小規模なリフォームの場合、代行費用の目安は以下のような範囲になります。

・小規模リフォーム(外壁や屋根の修繕など):5万円~10万円程度
・大規模リフォーム(スケルトンリフォームや増築):20万円~50万円程度

鉄骨造やRC造などの複雑な構造を持つ建物の場合、さらに高額になることがあります。また、特殊な設計や耐震補強が必要な場合には、追加費用が発生する可能性もあります。

代行を依頼する場合は、費用だけでなく、実績や信頼性も考慮して業者を選ぶことが重要です。費用が安いだけでなく、正確で迅速な対応をしてくれる専門家に依頼することで、申請がスムーズに進むでしょう。

申請にかかるその他の費用

確認申請には代行費用の他に、役所への申請手数料や設計に関する検査費用など、さまざまな費用がかかります。以下に主な費用を挙げます。

申請手数料

各自治体に支払う確認申請の手数料です。費用は建物の規模や用途によって異なりますが、一般的には以下の範囲です。
・一般的な住宅:2万円~5万円程度
・中規模建物(アパートや事務所など):5万円~10万円程度

構造計算費用

耐震性の確認が必要な場合には、構造計算が求められます。構造計算費用はリフォーム内容に応じて異なり、5万円~20万円程度が一般的です。既存の構造図面や計算書がない場合や、増築や構造変更を伴う場合には、この費用が追加される可能性があります。

その他の検査費用

特定行政庁や民間の確認検査機関が行う検査に関連する費用が発生します。特に耐火性能や防水性能に関する検査が求められる場合は、数万円の追加費用が必要になる場合があります。

こうした費用がリフォーム全体の予算にどのように影響するかを事前に確認しておくことが重要です。

必要書類と期間の目安

確認申請の手続きには、建物やリフォーム内容に応じたさまざまな書類を用意する必要があります。主な必要書類と準備期間の目安を以下に示します。

設計図面

リフォーム後の設計図面や構造計算書が必要です。設計士に依頼する場合は、設計に1~2週間程度かかることがあります。

現況図面

既存建物の図面が必要です。古い建物の場合は現況図面がないこともあるため、その場合は新たに測量や図面作成を行う必要があります。

耐震診断書(必要に応じて)

増築や構造変更がある場合には、耐震診断書の提出が求められます。診断にかかる期間は、規模によりますが2週間~1か月程度が一般的です。

その他の書類

各自治体で定められた必要書類(確認申請書、申請者の身分証明書など)を準備する必要があります。

申請の手続き自体は、すべての書類が揃っていれば、提出後1週間から1か月程度で完了することが一般的です。

ただし、不備がある場合には再提出が必要となり、さらに時間がかかる場合があります。そのため、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。

まとめ

確認申請 ポイント
2025年4月からの「4号特例」縮小(廃止)に伴い、リフォームにおける確認申請の手続きが大きく変わります。この改正により、小規模なリフォームであっても確認申請が必要になるケースが増加する見込みです。改正後は、申請の手続きや費用がリフォーム計画全体に与える影響がより大きくなるため、早めの準備と専門家への相談が欠かせません。

また、確認申請の手続きには申請書類の作成や役所とのやり取りが伴うため、申請の代行サービスを利用するのも一つの手です。代行費用や申請手数料はリフォームの規模に応じて変動するため、事前に見積もりを依頼し、全体の予算を把握しておくと安心でしょう。

さらに、確認申請に必要な書類や期間についても理解を深めることで、スムーズなリフォーム計画を進めることが可能です。

リフォームの計画を成功させるためには、法律の改正内容や確認申請の手続きについて正しい情報を得ることが何より重要です。専門家のサポートを受けながら計画を進め、快適で安心な住まいを手に入れましょう。

WRITERこの記事を書いた人

ディレクター

山根 広大KODAI YAMANE

ディレクター / 奈良県橿原市出身 / お客様にとっての「カッコいい」とは何かを常に考えてご提案させていただきます / 自分だけのこだわりを沢山作ることを意識しています。こだわりが沢山あるほど人生は豊かになると考えています

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