2025.05.19
最終更新日
2025.05.30
リノベーションのヒント

確定申告でリノベーションやリフォームが減税対象に!必要書類は?

マンションリノベーション  追い焚き
Writer
三橋玲奈
ディレクター
身に付けるモノや身の回りの空間が持つパワーはとても大きいです。「自分らしくいきいきと暮らす人を増やしたい」「誰かの人生をより豊かにしたい」という想いでこの仕事に就きました。

リノベーションやリフォームの費用が一定の条件を満たすと、確定申告で所得税などが控除されるという、いわゆる「減税」を受けられることをご存じでしょうか。今回の記事ではどんなリフォームが減税の対象になるのかについてや、申請にまつわるあれこれについて見ていきましょう。

基本的なこととして、減税を適用させるためには、施工内容・工事日・費用の証明をする必要があります。そのために申請時に用意する書類として、工事の見積書や契約書・各領収書・工事の詳細が確認できる図面などを、きちんと保管しておくことが大事です。リノベーションやリフォームにかかる書類は同じファイルに一括して管理しておくなどして整えておくことで、いざ確定申告をする際に手続きが格段にスムーズになります。

リフォームが減税対象となるポイント

リノベーションやリフォームを確定申告における減税対象とするためには、一定の条件を満たす必要があります。そのポイントについて見ていきましょう。

まず減税対象となるリノベーションやリフォームの種類として、「工事内容が住宅の省エネ性能向上や耐震性強化、バリアフリー化など公共性の高い目的に沿っていること」が挙げられます。その際には対象となる工事費用や居住期間、対象面積など、各要件も細かく定められており、これらをクリアすることが申請の前提となります。

リフォームに関する主な減税制度の種類

確認申請 リフォーム例
一定の要件を満たすリフォーム・リノベーションを行った場合は、大きく分けて「住宅ローン減税」「ローン型減税」「投資型減税」の3つの税額控除があります。「住宅ローン減税」は、返済期間が残り10年以上ある住宅ローンを利用したリフォームに適用されるもの。「ローン型減税」は、5年以上の住宅ローンを利用したリフォームに適用されるもの。「投資型減税」は、住宅ローンの有無に関わらず控除を受けられるもの。それぞれの減税制度について、下記に詳しく見ていきましょう。

住宅ローン減税とは

「住宅ローン減税」とは、おもに大規模なリフォーム・リノベーションをした場合が対象です。住宅ローンを利用して、増築や省エネ、バリアフリーなどのリフォーム工事をした場合には、住宅ローン減税の対象になります。住宅ローン控除の金額は、「年末の住宅ローン残高×控除率(0.7%)」で計算されます

さらに令和7年度の税制改正においては、下記のポイントが変更されました。

● 借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯※が令和7年に新築住宅等に入居する場合には、令和4・5年入居の場合の水準〔認定住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円〕を維持する

● 新築住宅の床面積要件を40㎡以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下の年分に限る。)について、建築確認の期限を令和7年12月31日(改正前:令和6年12月31日)に延長する。

ローン型減税のとは

「住宅ローン減税」がおもに大規模なリフォーム・リノベーションをした場合が対象であるのに対し、「ローン型減税」は、例えばユニットバスに改築する・トイレを増設するなどの、大規模ではないリフォーム・リノベーションが対象となります

「ローン型減税」は、返済期間が5年以上の住宅ローンを利用したリフォームに適用されるものです。おもな対象リフォームには、暖房などのエネルギーをおさえるために行われる天井や壁の断熱改修などの省エネ基準を満たす「省エネリフォーム」、高齢者や要介護者などの本人または親族のために行う「バリアフリーリフォーム」、数世帯住宅にするための増築や必要な設備を改築する「同居対応リフォーム(多世帯同居改修)」などがあります。

投資型減税とは

「投資型減税」とは、住宅ローンの有無にかかわらず利用できる税額控除です。住宅ローンが残っていれば「ローン型減税」を選択し、そうでない場合は「投資型減税」を選択することが一般的とされています。おもな対象リフォームには、「ローン型減税」の説明で述べた「省エネリフォーム」「バリアフリーリフォーム」「同居対応リフォーム」の他に、古い家で現行の耐震基準を満たすために行う「耐震リフォーム」などがあります。

リフォーム減税の対象となる工事の種類

リノベーション 耐震基準適合証明書
住宅ローンを利用しなくても適用可能な「リフォーム減税」があります。住宅ローン減税はローンの借り入れが条件となりますが、リフォーム減税は現金で支払った場合でも対象です。「リフォーム減税」として所得税の控除や固定資産税の減額が受けられるリフォームを、以下の表にまとめました。

減税対象リフォーム内容
所得税耐震リフォーム
バリアフリーリフォーム
省エネリフォーム
同居対応リフォーム
長期優良住宅化リフォーム
子育て対応リフォーム
固定資産税耐震リフォーム
バリアフリーリフォーム
省エネリフォーム
長期優良住宅化リフォーム

バリアフリーリフォームについて

「バリアフリーリフォーム」とは、家の中や周りにある「高齢者や障害を持つ人にとって危ない・不便な場所」を、安全で使いやすくするリフォームです。バリアフリーリフォームの主な要件を以下に見ていきましょう。

● 50歳以上である
● 障がいを持っている
● 要介護認定を受けている、または要支援認定を受けている
● 親族(障がいを持っている、要介護認定または要支援認定を受けている、または65歳以上のいずれかに該当する方)と同居している
● 年間の合計所得が2,000万円以下であること
● バリアフリー改修後6か月以内に居住開始すること

減税の対象となるリフォーム工事には、下記のようなものがあります。

● 段差をなくしてつまずきにくくする
● 廊下やトイレ・風呂に手すりをつける
● 階段の勾配をゆるやかにする
● 入口を引き戸に変えて、車いすでも通りやすくする
● 滑りにくい床材に張り替える
● 浴室に暖房をつけて、ヒートショックを防ぐ
● 車いすを通りやすくするための通路の拡張

上記以外でも、バリアフリーに該当するリフォームは減税の対象となる場合があります。

省エネリフォームの条件

「省エネリフォーム」とは、家の断熱性やエネルギー効率を高めて、少ないエネルギーで快適に暮らせるようにするリフォームのことです。

減税の対象となる工事には、下記のようなものがあります。

● 窓の断熱改修(二重サッシにする・断熱ガラスに替える)
● 天井、壁、床の断熱改修
● 太陽熱利用冷温熱装置の設置
● 高効率給湯機の設置
● 高効率エアコンの設置
● 太陽光発電設備の設置
● その他節水型トイレ・LED照明など省エネ設備の導入

太陽光発電設備を設置した場合は限度額が大きくなるため、控除金額も大きくなるのが一般的です。

耐震リフォームの概要

「耐震リフォーム」とは、昔の耐震基準で建てられている築年数が古い家が対象になります。現在の耐震基準に満たすために行うリフォームが主に対象となります

減税の対象となる工事には、下記のようなものがあります。

● 耐震リフォームを行う家屋に住んでいる
● 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋をリフォームする
● 改修前の家屋が旧耐震基準で建てられている
● リフォーム後の耐震基準は、現行の基準を満たしている

1981年5月以前に建てられた木造住宅は古い耐震基準で建てられているため、まずは耐震診断をし、必要な部分はリフォームした方が安心です。

同居対応リフォームの特徴

「同居対応リフォーム」とは、複数世帯で住むにあたりプライバシーを守れる間取りなどにするために、施設を増設する目的のリフォームを指します

減税の対象となる工事には、下記のようなものがあります。

● 調理室の増設
● 浴室の増設
● 便所の増設
● 玄関の増設
● 共有スペースを広くする
● 収納を増やす
● 防音対策

また改修後は調理室、浴室、便所、玄関のうち、いずれか2つ以上の部屋スペースがそれぞれ複数ある必要があります。

リフォーム減税の要件と注意点

確定申告以外の手続きが必要となりますが、申請すれば固定資産税の減額措置が受けられる場合もあります。一定の要件を満たしたリフォームを行なった場合、施工工事をした翌年の固定資産税が減額の対象となります。リフォームの種類によって、減額幅が異なります。

「耐震リフォーム」は2分の1減額(家屋面積120平方メートル相当分まで)、「バリアフリーリフォーム」と「省エネリフォーム」が3分の1減額(バリアフリーリフォームは家屋面積100平方メートル相当分、省エネリフォームは家屋面積120平方メートル相当分まで)となります。リフォーム工事が完了した後「3か月以内」に、住んでいる自治体に申告手続きを行う必要があります

リフォーム補助金の活用方法

リフォーム補助金は、対象となるリフォーム工事にかかる費用の一部を国や地方自治体が支援する制度です。申請条件や申請方法は補助金の種類によって異なるため、該当する制度について事前に公募要項を確認しましょう。申請するためには複数の書類が必要となるため、早めの準備をおすすめします。

不動産リフォームと経費計上のポイント

高額であるリフォームにかかる費用については、自宅の修繕や維持を目的とした支出は原則として経費計上が認められやすい一方で、資産価値を高めるための大規模改修は資産計上となることが一般的です。不動産におけるリフォーム費用を経費計上できるかどうかは、その目的や内容によって異なります。

税理士や自治体などに相談し適切な区分を行い、支出内容を明確に記録することが、税務上のトラブルを防ぐ鍵となります。これにより、確定申告時に正確な申告が行えます。

リフォーム減税のための確定申告のやり方

リフォーム・リノベーションを行った場合は、基本的に工事が完了した日や工事契約書の日付の翌年に確定申告を行います。基本的に、税額控除は工事金額が確定していないと計算できないため、工事が完了した日以降の確定申告で対応することになります。もし工事期間が年をまたぐ場合は、工事契約書の日付を確認しましょう。

特に工事を行った1年目は確定申告が必要です。また、所得税では対象年(1月1日から12月31日まで)の内容を翌年の申告期限までに申告することになっています。

減税申請に必要な主な書類

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確定申告の手続きの流れは、必要な書類を用意して提出するだけです。手続き自体はシンプルですが、必要な書類が多く、利用する制度によって必要書類が異なる場合があるので注意しましょう。おもなところで、工事請負契約書や領収書、工事の詳細がわかる図面や仕様書が必要となるケースがあります

それに加え、住宅の現状やリフォーム前後の状態を記録するための写真を撮っておくと補足材料となります。必要書類は制度ごとに異なるため、自治体や国税庁の案内を確認しましょう。一般的な必要書類について、以下に見ていきましょう。

一般的に求められるリフォーム書類

リフォームにかかる費用を確定申告するにあたり、一般的に必要な書類を以下に見ていきましょう。これらは受ける減税制度に関わらず、共通して必要となる書類です。

● 確定申告書
所得額や計算した税額などを記入する書類です。国税庁のホームページ内にある「確定申告書等作成コーナー」を利用すると簡単に作成できます。

● 建物の登記事項証明書
法務局で発行される、リフォームをした住宅の建築時期や床面積などが表記されている書類です。原本が必要です。

● 増改築等工事証明書
施工を依頼したリフォーム会社や建築士、もしくは指定確認検査機関が発行する書類です。

● 控除額の計算明細書
居住面積割合、リフォーム費用を記載する証明書で、国税庁のホームページからダウンロード、もしくは税務署から入手して記入します。

● 身分証明書の写し
マイナンバーカードやマイナンバー番号確認通知カード、運転免許証、保険証、パスポートなどのコピーを用意する必要があります。

● 源泉徴収票(給与所得者)
所得を証明する書類です。会社員であれば勤務先から入手できます。

減税制度ごとの必要書類

受ける減税制度によっては追加で必要となる書類があります。各制度別に必要となる書類は以下の通りです。

住宅ローン控除

● (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
● 借入金の年末残高等証明書の原本
● 住宅の工事請負契約書の写し
● (長期優良住宅の場合)長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し

住宅ローン減税

● (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
● 借入金の年末残高等証明書の原本
● 住宅の工事請負契約書の写し
● (長期優良住宅の場合)長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し

投資型減税

投資型減税制度を受ける場合は、行ったリフォームによって用意する書類が変わります。

《耐震リフォーム》
● 住宅耐震改修特別控除額・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
● 住宅耐震改修証明書か増改築等工事証明書のいずれか一つ

《省エネリフォーム・同居対応リフォーム》
● 住宅耐震改修特別控除額、住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書

《バリアフリーリフォーム》
● 住宅耐震改修特別控除額、住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
● 介護保険の被保険者証の写し(対象者が要介護認定または要支援認定を受けている場合)

《長期優良リフォーム》
● 住宅耐震改修特別控除額・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
● 借入金の年末残高等証明書の原本

確定申告書の提出先とタイミング

確定申告書の提出先は、納税者の住所地を管轄する税務署となります。e-Tax(イータックス)とよばれる電子申告を利用すればオンラインで提出することもできますが、リフォームに関わる減税制度を受ける場合は必要書類の提出が多いため、税務署に直接足を運んで申請することが一般的です。

確定申告を行う時期は、リフォームやリノベーションの完工後、対象の住宅に住み始めた日の「翌年」の2月16日~3月15日(受付開始日が土・日・祝日の場合は翌月曜日)です。期間を過ぎると延滞税が発生する場合があります。「期限後申告」でも控除を受けることができますが、控除を受けられる期間は申告期限後5年以内となります。

リフォーム減税申請でよくある疑問

耐震基準適合証明書 ポイント
減税制度は、リフォームの費用負担を左右する大事なステップです。よくわからないまま進めると、後になって申請できないといった事態につながることも。疑問点は事前にクリアにしておきましょう。

疑問例①:リフォーム減税制度は併用できる?

リフォームの内容が所得税と固定資産税の両方の減額対象となる場合、これらの税制を併用することが可能です。また、所得税控除の対象となるリフォームを組み合わせて、同じ制度内で併用することも可能。

耐震リフォームの場合は、住宅ローン減税と組み合わせて併用することができます。とはいえ、工事の組み合わせや条件によっては併用できない場合があるため、注意してください。なお、減税制度と補助金(助成金)制度も、条件を満たせば併用できます。

疑問例②:マンションも対象になる?

条件さえ満たしていれば、マンションの場合でも減税制度の対象となります。ただし気をつけたいのは、賃貸契約の場合です。許可を取らずにリフォームを行ってしまうと、退去時に思わぬトラブルを招くことも。事前に必ず、管理会社からの許可を得ておきましょう。

疑問例③:外壁を塗り直すのも対象になる?

外壁塗装も減税制度の対象になります。住宅ローン控除の場合、塗装工事だけでは対象となりませんが、増改築などと組み合わせることで対象となる可能性があります

疑問例④:確定申告でリフォームの減税の申告を忘れてしまったら?

確定申告の際にリフォーム減税の申告を忘れてしまっても、申告期間内であれば正しい内容を記載した申告書を再提出することで対処できます。確定申告の期間を過ぎてしまった場合でも、一定の条件により申告できる可能性もあるため、慌てずに調べましょう。

まとめ

リフォームの際は確定申告の義務があるわけではないですが、確定申告をすることで減税を受けることができるため、ぜひ活用してみましょう。リフォーム減税を利用することで、費用負担を軽減できます。リフォーム減税を対象とした確定申告には、条件や申請のタイミング、必要書類の準備などが複雑に取り決められています。適切に減税を受けるためには、リフォームやリノベーションの内容について施工会社にまかせきりにせず、自身でもしっかりと把握しておくことが必要です。

またそれに伴う支出を証明する書類などは、しっかりと一元管理して保管しておきましょう。そうすることで確定申告の際に、必要な書類を漏れなく準備することができます。申告には期限もあるため、それを守るために早めに進めることも大切です。とはいえ、税務関係の処理は一回聞いただけでは理解し難いことも多く、わからないことだらけ……。という人も多いでしょう。そんなときは、税理士などの専門家や一級建築士が在籍しているリフォーム会社に相談を

リフォーム会社を選ぶ際に、あらかじめリフォーム減税に詳しいかどうかについても確認しておくといいでしょう。詳しい人と一緒に進めることで、リフォーム減税を活用しつつ、よりコストをおさえて理想的なリフォームを叶えることができるでしょう。

WRITERこの記事を書いた人

ディレクター

三橋 玲奈RENA MITSUHASHI

ディレクター / 大阪府交野市出身 / おしゃれをすること、部屋を可愛く、居心地よくすることが好きです / 身に付けるモノや身の回りの空間が持つパワーはとても大きいです。「自分らしくいきいきと暮らす人を増やしたい」「誰かの人生をより豊かにしたい」という想いでこの仕事に就きました。
お客様にとっての”心地良さ”や”好き”を一緒に形にしていきたいです!

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