2025.11.07
最終更新日
2025.11.07
施主様インタビュー

「猫の自由な行き来が証明」。二世帯に必要なのは“近さ”ではなく“選べる距離”だった

リノベーション 施工事例

大阪・摂津市。自転車で少し走れば商業施設や公園に出られる、地元密度の高いまちに、松尾さんご一家の暮らしはある。

家族は、ご主人と奥さま、長女と活発な末っ子、そして猫たち。1階にはご主人のご両親が暮らし、2階を中心に松尾さん一家が生活する「分離型二世帯住宅」だ。

「拠点は少ない方がいい。何かあった時も階段を上下するだけで助けに行ける。その安心感が大きかったです」

この暮らしを選んだ理由をご主人はこう語る。

ずっと地元で育ったふたりが選んだ、暮らしの距離

夫婦はともに摂津市出身。
親同士が幼稚園やPTAで顔を合わせてきた間柄で、結婚後も週末は実家の駐車場に立ち寄るのが当たり前だったという。そのため、二世帯という響きにありがちな「心理的なハードル」は初めから低かったそう。

「義母がおかずを分けてくれたり、スーパーでばったり会ったり。住むフロアが近くなっただけで、生活の温度は同じなんですよ」と奥さま。

リノベーション インタビュー

家族が増え、マンションでは手狭になったこと。実家の1階と3階部分があまり使われていなかったこと。そして、将来的な介護や子育てを見据え、複数の拠点を持たない方が現実的だと判断したこと。さらに、子どもを地元の第三中学校区に通わせたいという希望も、実家のリノベーションを後押しした。

ご主人は製造業の人事担当として、制度運用やDXの下地づくりに取り組む日々。奥さまは保育士やアパレル販売を経験した後、現在は子育てと家づくりに専念する専業主婦だ。お互いの仕事観と暮らし方が、リノベーションの議論にも自然に息づいた。

壁を抜き、光を呼び込む

松尾さん夫妻が最初に決めたのは、壁を取り払い、光が奥まで届く大きなリビングをつくることだった。
リノベ前の2階は壁で細かく区切られ、奥の部屋は日が入りづらい。南側には植物好きのお父さまが温室として使っていたスペースがあり、光はあっても暮らしの場にはなり切れていなかったという。

解体を始めると、図面では見えなかった耐力壁や太い柱、筋交いが次々と姿を現した。

「全部抜いてワンフロアにするつもりだったんです。でもここは抜けないという柱や筋交いが出てきて、正直凹みました」

そこからは発想を切り替える時間。動かせない柱は、構造を保ちながら仕上げを工夫し、見せ柱として空間のリズムに変えた。筋交いも構造を保ったまま、デザインの一部に組み込んだ。

リノベーション 工事事例

南側については、リノベの計画当初から「小上がりにして畳を敷きたい」という希望があった。
かつてお父さまが植物を育てていた温室だった一角の床を整え、一段上げて畳を敷いたことで、リビングとゆるやかにつながりながらも独立したくつろぎの場に。子どもが遊んだり、友人を迎えたり、昼寝や客間としても使える、多用途のもうひとつの居場所が生まれた。

リノベーション 施工事例

「抜けない柱や段差を無理に消すより、あえて生かしたほうが空間が豊かになる。そう気持ちを切り替えたら、家が味方してくれる感覚になりました」

かつては光を妨げていた壁が、今では家族を包み込む立体的なワンルームに。
見せ柱や小上がりが暮らしのアクセントになり、どこにいても家族の気配を感じられる場所が生まれた。

「父が大切に育てていた植物の一部を手放してもらったのは忍びなかったけどね(笑)」と振り返る旦那さん。

「私の家だ」と思える空間

そして、今回リノベーションをして一番良かったと思っているのは、妻が嬉しそうなことだそう。
家事の効率化にも徹底してこだわったというキッチン。食洗機を取り入れ、子どもの動きに合わせて収納や動線を考えた。

リノベーション キャットウォーク

「新築の物件だと、自分たちで空間をつくったわけではないから『ここにこれがあるのはなぜ?』と思うことがある。でもこの家はそれが一切ないんです」と奥さま。

自分たちで考え抜いた空間だからこそ、自由時間が増え、子どもと向き合うゆとりも生まれた。

「私の家だと思える。暮らしているだけで幸せだなって感じます」

リノベーション インタビュー

また、家族に欠かせない猫のためのキャットウォークも設置。今はまだ小さな子どもが自由に動き回り、猫はお昼寝の間や夜にだけそっと往復するが、成長とともにきっとこの通路も家族の遊歩道になるはずだ。

リノベーション キャットウォーク

ご両親にも届いた、新しい快適さ

1階に暮らすご両親も、この家の変化を確かに感じている。
もともとお母さまは、二世帯住宅という案を耳にしたとき「そんなもん、あかんやろ」と反対していたという。

長年、自分たちのリズムで暮らしてきた家に、息子夫婦と孫が同居する。本当に上手くいくのか、少なからず戸惑いがあったのだ。

しかし計画が具体化し、実際の間取りや暮らし方が見えてくるにつれ気持ちは変わった。上下階を分けて暮らす分離型の設計なら生活リズムは保てる。何より、孫の成長を日々見守れる距離に心が動いた。

「朝、玄関先で孫たちにいってらっしゃいと声をかけられる。それだけで一日が楽しくなるとは思うんですよね」と旦那さん。

リノベーション インタビュー

お父さまは、リノベを機に温室や植木の多くを手放したが、断熱と換気性能が上がったことで、家全体が「夏は涼しく冬は暖かく」なり、植物の手入れの負担も軽くなったという。

初めは慎重だった二人も、今では孫の足音を楽しみに、日課の水やりの合間に顔を出しては声をかける。

「同じ家で支え合う心地よさ」その実感が、家そのものを家族の物語に変化させている。

誰かが我慢することが二世帯ではない

松尾さん一家の住まいは、二世帯という言葉の新しい可能性を教えてくれた。
二世帯住宅は、誰かが我慢して同居するものではない。上下で暮らしを分けながら、必要なときにはすぐ助け合える「選べる近さ」を設計することが大切なのだ。

家族のつながりを感じられる安心感と、自分たちらしい距離感。その両方を叶えた家づくりの実例だ。

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WRITERこの記事を書いた人

クジラ 編集部

中崎町にあるリノベーション会社です。不動産探し、住宅ローンのお手伝い、設計デザイン、施工、インテリアコーディネートまでワンストップでお手伝いさせていただきます。お客様に最適な暮らし方のご提案をさせていただきます。

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