後悔しない!中古戸建てリノベーションでよくある失敗と対策についてご紹介

こんにちは!クジラ株式会社の藤本です!
![]() | Writer 藤本恭好 デザイナーWORKS 何事もバランスが大事! を念頭に相談者さまの頭の中を整理するデザイン提案を心がけています。誰かに喜んでいただく事がまわりの人・地域・社会へ伝播することを信じています。 |
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中古戸建てを購入して自分好みにリノベーションすることは、新築よりも費用を抑えつつ理想の住まいを実現できる魅力的な選択肢です。しかし、事前の計画や確認が不十分だと、想定外の問題が発生し、後悔につながるケースも少なくありません。
この記事では、中古戸建てリノベーションで起こりがちな失敗事例を具体的に挙げ、それを未然に防ぐための物件選びから資金計画までの対策を詳しくご紹介します。
目次
中古戸建てリノベーションでよくある後悔

中古戸建てのリノベーションにおける後悔は、建物の構造的な問題から予算オーバー、生活動線の不便さまで多岐にわたります。これらの失敗事例の多くは、物件購入前の調査不足や、計画段階での見通しの甘さが原因で起こります。
実際にどのような後悔があるのか、具体的な事例を知ることで、同じ失敗を避けるための対策を立てることが可能です。
購入後に発覚した建物の構造的な問題
購入時には気づかなかった雨漏りやシロアリ被害、基礎部分のひび割れといった構造的な欠陥が、リノベーションの解体工事中に発覚することがあります。このような問題は、建物の安全性に直結するため、追加の補修工事が必須となり、想定外の多額な費用が発生する失敗事例につながります。
特に、見た目は綺麗にリフォームされていても、壁の内部や床下などの見えない部分で劣化が進行しているケースは少なくありません。物件購入前に専門家による住宅診断(ホームインスペクション)を利用し、建物の状態を正確に把握しておくことが、こうしたリスクを回避する上で極めて有効です。
希望の間取り変更ができなかった
理想の広々としたリビングを実現しようとしても、建物の工法によっては壁を撤去できない場合があります。特に「ツーバイフォー(2×4)工法」は、壁で建物を支える構造のため、構造上取り払えない壁が多く、間取りの自由度が低い傾向にあります。
一方で、柱と梁で支える日本の伝統的な「在来工法」は、比較的間取り変更がしやすいのが特徴です。
購入した物件が希望の間取り変更に対応できない構造だった場合、リノベーション計画そのものを見直さなければなりません。デザインや立地だけで物件を選んでしまうと、後からこのような制約に気づき後悔する可能性があるため、購入前に必ず工法を確認すべきです。
断熱性能が低く夏は暑く冬は寒い家だった
築年数が古い中古戸建ては、現在の省エネ基準を満たしていないことが多く、断熱性能が低い傾向にあります。その結果、リノベーションで内装はきれいになっても、夏は暑く冬は寒い家になってしまい、光熱費もかさむという失敗事例が後を絶ちません。
壁の中に断熱材が入っていなかったり、窓が断熱性の低い単層ガラスだったりすることが主な原因です。
快適な住環境を手に入れるためには、壁や床、天井への断熱材の追加や、高断熱の窓への交換といった断熱リフォームが必要になります。これらの工事は追加で費用がかかるため、物件選びの段階で断熱性能を確認するか、リノベーションの予算に断熱工事の費用もあらかじめ含めておくことが重要です。
追加工事が重なり予算を大幅にオーバーしてしまった
リノベーションの工事を開始し、壁や床を解体した後に、柱の腐食や給排水管の劣化といった予期せぬ問題が見つかることは珍しくありません。このような想定外のトラブルに対応するための追加工事が発生し、当初の見積もり費用を大幅に超えてしまう失敗事例は多く聞かれます。
また、見積もりの内容を十分に確認せず、外構工事や地盤改良工事などが含まれていなかったために、後から費用が膨らむケースもあります。計画段階で予備費を設けていなかったり、見積もりが甘かったりすると、予算オーバーによって一部の工事を諦めなければならない事態にもなりかねません。
資金計画には余裕を持たせることが肝心です。
工事の遅れで入居スケジュールがずれてしまった
天候不順や、解体後に見つかった問題の対応による追加工事、住宅設備や建材の納期の遅延など、様々な要因で工事期間が予定より長引くことがあります。工事の遅れは、現在の住まいの退去日や子どもの転校時期など、新生活のスケジュールに大きな影響を及ぼす失敗事例の一つです。特に仮住まいをしている場合、工期が延長されると、その分の家賃や駐車場代といった追加費用が発生してしまいます。
リノベーションの計画を立てる際は、工事期間に予備日を設けるなど、スケジュールに余裕を持たせることが不可欠です。また、進捗状況を定期的に確認し、施工会社と密にコミュニケーションを取ることも大切です。
暮らし始めてから気づいた生活動線の悪さ
デザイン性や見た目を優先するあまり、実際の暮らしにおける動きやすさを見落としてしまう失敗事例も多くあります。
例えば、キッチンからダイニング、洗面所への家事動線が長くて不便だったり、コンセントの位置が悪く延長コードだらけになったりするケースです。また、収納スペースが生活スタイルに合っておらず、物が収まりきらないといった後悔も少なくありません。
間取りを考える際には、朝起きてから夜寝るまでの家族一人ひとりの動きを具体的にシミュレーションすることが重要です。日々の生活を快適に送るためには、見た目の美しさだけでなく、機能性や実用性を十分に考慮したプランニングが求められます。
物件購入前に把握できなかった周辺環境とのトラブル
物件の内覧は一度きりで、平日の昼間しか訪れなかったために、入居してから周辺環境の問題に気づく失敗事例があります。例えば、休日は近隣の商業施設への車の出入りが激しく騒がしかったり、夜になると街灯が少なく暗くて不安だったりするケースです。
また、隣家との距離が近く、生活音が気になったり、日当たりや風通しが想定より悪かったりすることもあります。
周辺環境は、曜日や時間帯によって大きく変化するため、複数回、異なるタイミングで現地を訪れて自分の目で確認することが重要です。実際に周辺を歩いてみて、地域の雰囲気やゴミ出しのルール、近隣住民の様子などを確かめておくと、入居後のミスマッチを防げます。
【物件選び編】後悔しない中古戸建て探しのチェックポイント

中古戸建てリノベーションの成功は、物件選びの段階で大部分が決まるといっても過言ではありません。見た目の綺麗さや価格だけでなく、建物の構造的な健全性や将来の拡張性、そして周辺環境まで含めて総合的に判断する必要があります。
理想の暮らしを実現できる中古住宅や一戸建てを見つけるために、購入前に押さえておくべき重要なチェックポイントを解説します。
専門家によるホームインスペクション(住宅診断)で劣化状況を把握する
ホームインスペクション(住宅診断)は、住宅診断士などの専門家が第三者の立場で建物の劣化状況や欠陥の有無を調査するものです。一般の人では確認が難しい、雨漏りの痕跡、基礎のひび割れ、構造体の傾き、シロアリ被害の可能性などを詳細にチェックしてもらえます。
この診断結果を基に、購入後にどの程度の修繕費用がかかるかを予測でき、購入判断の重要な材料となります。費用はかかりますが、購入後に高額な補修費用が発生するリスクを考えれば、安心して中古住宅を購入し、リノベーション計画を進めるための有効な手段と言えるでしょう。
新耐震基準を満たしているか築年数で確認する
建物の安全性に関わる重要なポイントが、耐震基準です。建築基準法は1981年6月1日に大きく改正され、それ以降の基準を「新耐震基準」と呼びます。新耐震基準は、震度6強から7程度の大規模な地震でも建物が倒壊しないことを目指して設計されています。
そのため、中古住宅を選ぶ際は、この1981年6月1日以降に建築確認申請がされているかを一つの目安にすると良いでしょう。旧耐震基準の建物を現在の基準に適合させるには、大がかりな耐震補強工事が必要となり、数百万円単位の費用がかかることもあります。築年数を確認し、建物の安全性をしっかりと見極めることが大切です。
希望の間取りが叶う工法か事前にチェックしておく
壁を取り払って開放的なリビングにしたい、部屋数を増やしたいなど、大規模な間取り変更を含むフルリノベーションを計画している場合、建物の工法の確認が不可欠です。木造戸建ての主な工法には「在来工法」と「ツーバイフォー(2×4)工法」があります。
在来工法は柱や梁で建物を支えるため、構造上の制約が少なく、比較的自由に壁の移動や撤去が可能です。
一方、ツーバイフォー工法は壁や床などの面で建物を支えるため、構造体力上、取り払えない壁が多く存在します。
購入前に不動産会社に問い合わせたり、設計図書を確認したりして、希望するリノベーションが実現可能な工法かどうかを必ずチェックしておきましょう。
曜日や時間帯を変えて訪問し近隣の様子を確かめる
物件そのものだけでなく、その中古住宅が建つ周辺環境も快適な暮らしには欠かせない要素です。内覧は一度で済ませず、必ず平日と休日、そして朝・昼・夜と複数の時間帯に現地を訪れてみましょう。時間帯によって日当たりの変化、周辺の交通量や騒音レベル、街の雰囲気は大きく異なります。
また、実際に自分の足で最寄り駅まで歩いてみたり、近隣の公園やスーパーの様子を確かめたりすることも重要です。そうすることで、図面やインターネットの情報だけではわからない、その土地のリアルな生活環境を把握でき、入居後のギャップを防ぐことにつながります。
【計画・費用編】失敗を防ぐリノベーションの進め方

理想のリノベーションを成功させるためには、物件選びと並行して、しっかりとした計画と資金管理が不可欠です。どのような暮らしを実現したいのかを具体化し、それに基づいて予算を組み立て、信頼できるパートナーを見つけるプロセスが失敗を防ぐ鍵となります。
ここでは、計画段階から費用管理まで、後悔しないためのリノベーションの進め方について解説します。
リノベーションで実現したいことの優先順位を決めておく
リノベーションでやりたいことをリストアップする際は、単に書き出すだけでなく、家族で話し合い、優先順位を決めておくことが非常に重要です。「絶対に譲れない条件」「できれば実現したいこと」「予算に余裕があれば考えたいこと」のようにランク分けしておくと、予算と照らし合わせながら計画を具体化しやすくなります。
特に、工事範囲が広いフルリノベーションでは、希望が膨らみがちで予算オーバーに陥りやすい傾向があります。どこに費用をかけ、どこは妥協するのかをあらかじめ明確にしておくことで、限られた予算内で満足度の高いリノベーションを実現できます。
物件購入とリノベーションの費用をまとめた資金計画を立てる
中古戸建てリノベーションでは、物件購入費用とリノベーションにかかる工事費用を一体で考える必要があります。物件価格の安さだけで選んでしまうと、結果的にリノベーション費用が高額になり、総額では新築を購入するよりも高くつく失敗につながりかねません。そのため、初めに総予算を決め、そこから物件とリノベーションの費用配分を考えることが重要です。
金融機関によっては、物件購入費用とリノベーション費用をまとめて借り入れできる「リフォーム一体型ローン」を取り扱っています。このようなローンを活用することで、資金計画が立てやすくなり、金利の面でも有利になる場合があります。
予期せぬ出費に備えて予備費を確保しておく
中古戸建てのリノベーションでは、工事を始めてからでないとわからない問題が発生することが多々あります。例えば、壁を剥がしたら雨漏りが見つかったり、床を解体したら土台がシロアリの被害にあっていたりといったケースです。こうした予期せぬ事態に対応するため、工事費用の総額とは別に予備費を確保しておくことが失敗を防ぐ上で非常に重要になります。
一般的には、リノベーション費用の10%〜20%程度を予備費として見ておくと安心です。
例えば工事費用が500万円であれば、50万〜100万円を別途用意しておくと、不測の事態にも冷静に対処でき、計画の変更を最小限に抑えることが可能です。
住宅ローンの使用も検討する
中古戸建ての購入とリノベーションには、まとまった資金が必要になるため、多くの人が住宅ローンを利用します。
近年では、物件購入費用とリノベーション費用をまとめて借り入れできる「リフォーム一体型ローン」が注目されています。これは、リフォームローンを単体で組むよりも金利が低く、返済期間を長く設定できるメリットがあります。
ローンを別々に組むと、手続きが二度手間になる上、リフォームローンの金利が高くなる傾向があるため、総返済額が増える可能性があります。金融機関によって商品内容や審査基準が異なるため、複数の金融機関を比較検討し、自身の資金計画に合ったローンを選ぶことが重要です。
中古戸建てリノベーションの実績が豊富な会社を選ぶ
リノベーションの品質や満足度は、依頼する会社の技術力や提案力に大きく左右されます。
中古住宅のリノベーションは、新築工事とは異なり、既存の建物の状態を正確に把握し、構造上の制約などを考慮した上でプランニングを行う専門的な知識と経験が求められます。そのため、会社のホームページで過去の施工事例を確認し、中古戸建てリノベーションの実績が豊富かどうかをチェックしましょう。
また、設計から施工まで一貫して請け負うワンストップリノベーション会社であれば、物件探しから相談に乗ってくれることもあり、予算管理や全体のスケジュール調整がスムーズに進むという利点があります。
中古戸建てリノベーションにかかる費用の内訳
中古戸建てリノベーションの総費用は、大きく分けて「物件を購入するための費用」と「リノベーション工事を行うための費用」の2つから構成されます。それぞれの費用には、本体価格や工事費以外にも、手数料や税金といった様々な諸費用が含まれます。
正確な資金計画を立てるためには、これらの費用の内訳を事前にしっかりと把握しておくことが不可欠です。中古住宅のリノベーションで後悔しないよう、何にどれくらいの費用がかかるのかを理解しておきましょう。
物件の購入に必要な費用
中古住宅の購入には、物件そのものの価格に加えて、様々な諸費用が発生します。主なものとして、不動産会社に支払う仲介手数料、売買契約書に貼る印紙税、不動産登記にかかる登録免許税、購入後に納める不動産取得税などが挙げられます。
さらに、火災保険料や、住宅ローンを利用する場合には金融機関に支払う事務手数料や保証料なども必要です。
これらの諸費用は、一般的に物件価格の6%から9%程度が目安とされています。物件価格だけを見て資金計画を立てると、諸費用分が不足する事態になりかねないため、必ず予算に含めておく必要があります。
リノベーション工事に必要な費用
リノベーション工事にかかる費用は、工事の規模や内容、使用する設備のグレードによって大きく変動します。費用の内訳は、設計料、既存の内装や設備の解体・撤去費用、建材や人件費を含む工事費、廃材の処分費などで構成されます。
例えば、壁紙の張り替えやキッチン交換といった部分的なリフォームであれば100万〜500万円程度が目安ですが、間取りの変更や耐震補強などを含む大規模なフルリノベーションとなると、1,000万円を超えるケースも珍しくありません。
理想の住まいを実現するためにも、複数の会社から見積もりを取り、費用と工事内容を比較検討することが重要です。
まとめ

中古戸建てのリノベーションは、費用を抑えながら自由な住まいづくりができる魅力的な方法ですが、計画や準備が不十分だと様々な失敗を招く可能性があります。後悔しないためには、物件選びの段階でホームインスペクションを活用して建物の状態を正確に把握し、希望の間取りが実現可能な構造かを確認することが重要です。
また、資金計画では物件購入費用とリノベーション費用をトータルで考え、予期せぬ出費に備えた予備費を確保しておく必要があります。この記事で紹介した失敗事例と対策を参考に、入念な情報収集と準備を行い、信頼できるパートナー会社と共に、理想の一戸建てリノベーションを実現させてください。





