バリアフリーリフォームの費用相場|工事箇所別の目安と補助金で負担を抑える方法

「そろそろ廊下に手すりを付けたい」「将来、2階に上がれなくなったらどうしよう」。50代・60代になると、今はまだ元気でも、老後の住まいに向けた不安が少しずつ現実味を帯びてきます。この記事は、要介護認定を受ける前の予防段階で「バリアフリーにすると、いくらかかるのか」を知りたい方に向けて書いています。
先に結論をお伝えします。バリアフリーリフォームの費用は、目的の規模で桁が変わります。大きく2つに分かれます。
・(A) 制度が使える小工事:手すりの設置や段差の解消など。介護保険や補助金の対象になりやすい(介護保険の住宅改修は支給限度基準額20万円まで/出典:厚生労働省「介護保険における住宅改修」/健康長寿ネット)。費用の目安は数千円〜40万円程度です(工事内容で幅があります)。
・(B) 住み替えを避ける大規模化:階段そのものを無くすために二階建てを平屋にする、減築するなど。費用の目安は500万円〜3,000万円程度です(規模により大きく異なります)。
同じ「老後のバリアフリー」でも、この2つは費用が桁違いです。この記事では、まず工事箇所別の費用の目安を一覧で示し、次に介護保険・補助金でどこまで負担が下がるか、最後に大規模化する場合の費用まで、順を追って押さえられるようにしています。
なお、本文の費用はいずれも目安です。建物の状態や地域で変わるため、実際の金額は施工店の見積もりで確認してください。
目次
バリアフリーリフォームの費用相場|工事箇所別に一覧

結論として、よく行われる工事箇所別の費用の目安は次のとおりです。まず全体像をつかんでから、気になる箇所を読み進めてください。
| 工事内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 手すりの設置(1本あたり) | 1万5,000円〜3万円程度 |
| 段差の解消(スロープ・敷居撤去など) | 数千円〜10万円程度 |
| 開き戸から引き戸への交換 | 10万円〜40万円程度 |
| 滑りにくい床材への変更 | (箇所により変動)5万円〜15万円程度 |
| 和式から洋式便器への交換 | 20万円〜50万円程度 |
| 浴室のバリアフリー化(ユニットバス化ほか) | (工事範囲で変動)10万円〜150万円程度 |
| ホームエレベーター・階段昇降機 | 80万円〜570万円程度 |
上の表はあくまで意思決定のための目安です。同じ「手すり1本」でも、下地の補強が必要かどうかで金額は変わります。正確な費用は必ず施工店に見積もりを依頼してください。
手すりの設置費用|負担が最も軽い最初の一歩
手すりの設置は、費用の目安として1本あたり1万5,000円〜3万円程度です。
必要になるのは、廊下を歩くときにふらつく、階段の上り下りが不安、トイレで立ち座りがつらい、といった場面です。「まだ元気だから」と後回しにされがちですが、実際には日常の立ち座りや歩行の負担を減らす、費用の負担が最も軽い改修です。壁の内部に手すりを支える下地が無い場合は補強工事が加わり、金額が上がります。
段差解消の費用|つまずき・転倒を防ぐ
段差の解消は、費用の目安として数千円〜10万円程度です。
玄関の上がり框(かまち)、部屋と廊下の敷居、浴室の出入り口。こうしたわずかな段差が、つまずきや転倒の原因になります。敷居を削って平らにする改修から、玄関にスロープを設けるなど範囲が広がる改修まで幅があります(費用は範囲で変動|敷居撤去で3万円〜8万円、玄関スロープの設置で1万円〜10万円程度)。
引き戸への交換費用|開閉と出入りを楽にする
開き戸から引き戸への交換は、費用の目安として10万円〜40万円程度です。
開き戸は、手前に引くときに体を後ろに引く動きが必要で、車いすや杖を使う場合、また介助する側にとっても負担になります。引き戸なら横にスライドさせるだけで開閉でき、開口部を広げれば車いすでも通りやすくなります。
床材の変更費用|滑りにくくして転倒を防ぐ
滑りにくい床材やクッション性のある床への変更は、転倒予防と、転んだときのけがの軽減を目的にした改修です。費用は張り替える範囲で変わります(クッションフロアなら1㎡あたり3,000円〜5,000円程度、6畳の張り替えで5万円〜15万円程度が目安)。浴室やトイレなど、水で滑りやすい場所から検討されることが多い工事です。
トイレのバリアフリーリフォーム費用

トイレのバリアフリー化は、和式から洋式便器への交換が中心となり、費用は20万円〜50万円程度が目安です。
和式トイレはしゃがむ動作の負担が大きく、膝や腰に不安が出てくると使いづらくなります。洋式への交換に加えて、立ち座りを支える手すりの増設、車いすで入れるようにするトイレ自体の拡張などを組み合わせると、費用は上がっていきます。手すりの増設やトイレの拡張の費用は工事範囲で変わります(手すりの増設は3万円〜10万円程度、トイレ空間を広げる拡張工事まで行う場合は数十万円規模になることもあります)。まず「便器の交換だけか」「拡張まで行うか」で費用帯が分かれると考えてください。
浴室のバリアフリーリフォーム費用

浴室のバリアフリー化は、工事の範囲で費用が大きく変わります(手すりの設置や床材の変更など部分的な工事なら数万円〜20万円程度、ユニットバスへの入れ替えを伴う場合は80万円〜150万円程度が目安です)。
浴室は、住まいの中でも事故が起きやすい場所です。冬場の急激な温度差によるヒートショック、浴槽をまたぐときの転倒、濡れた床での転倒。こうしたリスクを減らすため、断熱性の高いユニットバスへの入れ替え、浴槽のまたぎの高さを低くする、滑りにくい床材にする、手すりを設ける、といった工事を組み合わせます。ユニットバスへの入れ替えを含むかどうかで、費用帯が大きく分かれます(含まない場合は数万円〜20万円程度、含む場合は80万円〜150万円程度です)。
介護保険・補助金でどこまで下がるか|費用を抑える制度

バリアフリーリフォームには、費用の負担を抑える公的な制度があります。代表的なものは3つです。介護保険の住宅改修、自治体の補助金、そして税額控除です。
「費用を調べている」背景には「できるだけ負担を抑えたい」という気持ちがあるはずです。使える制度を先に把握しておくと、実際の自己負担が見えやすくなります。
介護保険の住宅改修(上限20万円・支給の条件)
介護保険の住宅改修は、支給限度基準額20万円までの工事に対して、自己負担割合(1〜3割)に応じた金額が支給される制度です。自己負担1割の方であれば、20万円の工事で最大18万円が支給される計算になります(出典:厚生労働省「介護保険における住宅改修」の解説/公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット)。
対象になるのは、手すりの設置、段差の解消、滑り防止のための床材変更、引き戸などへの扉の取り替え、洋式便器などへの便器の取り替えといった工事です(出典:健康長寿ネット「居宅介護(介護予防)住宅改修費」)。
ここで注意したいのは、この制度は要支援・要介護の認定を受けている方が対象という点です(要介護認定の方は「居宅介護住宅改修費」、要支援認定の方は「介護予防住宅改修費」として利用します)(出典:同上)。この記事の主な読者である「まだ認定を受けていない予防段階の方」は、現時点では対象外になります。将来の備えとして制度の存在を知っておき、必要になったときに使う、という位置づけになります。
なお、支給限度基準額や自己負担割合、対象工事の範囲は制度改正で見直されることがあります。実際に使うタイミングで、お住まいの市区町村(介護保険の窓口)やケアマネジャーに最新の内容を確認してください。
自治体の補助金・税額控除でさらに負担を抑える
介護保険とは別に、市区町村が独自のバリアフリー改修補助金を設けている場合があります。金額や要件は自治体によって差があるため、お住まいの市区町村の窓口やホームページで確認してください(各自治体の制度は住宅リフォーム推進協議会「地方公共団体における住宅リフォームに係る支援制度検索サイト」でも調べられます)。
また、税額控除の制度(住宅特定改修特別税額控除)もあります。一定の要件を満たすバリアフリー改修を行うと、所得税から控除を受けられる場合があります。対象になるのは、その住まいに住む方が次のいずれかに当てはまる場合です——(1)50歳以上の方、(2)要介護・要支援の認定を受けた方、(3)所得税法上の障害者、(4)これらに該当する親族や65歳以上の親族と同居している方(出典:国税庁「No.1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」)。工事費用(補助金等を差し引いた後)が50万円を超えることも要件です(出典:同上)。
控除の内容は、控除対象限度額200万円・控除率10%で、控除額は工事費用に応じて最大20万円です(出典:同上)。適用期限は、令和10年(2028年)12月31日までに自宅として使い始めた場合が対象とされています(出典:国土交通省「住宅:リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について」)。ただし要件・控除額・適用期限は年度によって変わることがあるため、実際に使う際は最新の要件を国税庁の情報や税務署で確認してください。
大規模化する場合|二階建ての平屋化・減築の費用
将来、階段の上り下りそのものが難しくなることを見据え、階段を無くす方向に踏み込む選択肢もあります。二階建てを平屋にする、使わなくなった2階を減らす(減築する)といった工事です。
この規模になると費用の桁が変わります。工事の内容や延床面積によって幅が大きくなります(2階部分だけを解体する部分的な減築で500万円〜800万円程度、住まい全体を作り替える大規模な平屋化・減築では1,000万円を超えることもあります)。
小工事とは費用帯がまったく異なるため、この記事では小規模な改修を先に置き、大規模化はその後に段構えで並べています。すぐに必要な工事ではありませんが、10年後の暮らし方(2階をどう使うか、生活が1階で完結するか)を想像し、今の小工事と切り分けて考えておくと、将来あわてずに済みます。
バリアフリーリフォームで後悔しないための進め方
後悔しないための基本は、「今すぐ必要な小工事」と「将来の大規模化」を切り分け、段階的に計画することです。
順番としては、まず今の困りごとに対して、介護保険や補助金が使える小工事から手を付けます。手すりや段差解消は費用の負担も軽く、効果が分かりやすい工事です。そのうえで、将来的に階段が使えなくなる可能性を見据え、平屋化などの大規模化を「いつ・どこまで行うか」を家族と話し合っておきます。
一度にすべてを完璧にしようとすると費用がふくらみ、判断も難しくなります。「今やること」と「将来の選択肢」を分けて考えることが、費用面でも生活面でも失敗を避ける近道です。業者を選ぶときは、目先の1工事だけでなく、将来の計画まで一緒に相談できる会社かどうかを見てください。
クジラの大阪でのバリアフリー施工事例
クジラは大阪を拠点にリノベーションを手がけており、老後を見据えたバリアフリー化の実績があります。

大阪市東住吉区のシニア世代向けリノベーション事例(中古マンション・45.3㎡・築43年)があります。玄関以外の床をすべてフラットにする段差解消、握りやすいラタン巻きの手すり設置、高さを工夫したスイッチ・コンセント配置、センサー式足元灯の導入など、老後を見据えたバリアフリーの工夫を随所に取り入れています。
全国の相場を目安としつつ、実際の費用は建物の状態や地域によって変わります。大阪で具体的にいくらかかるのか、どんな改修ができるのかは、施工事例を見ていただくとイメージしやすくなります。
「まず費用感だけ知りたい」「うちの場合はどうなるか相談したい」という段階でも構いませんので気軽にご覧ください。
親御さんの住まいを検討する方へ
ご自身ではなく、離れて暮らす親御さんの住まいを案じている方もいらっしゃいます。すでに要介護認定を受けている、実家が遠方にある、急いで対応したい、といった場合は、この記事とは前提が変わります。実家のリフォームや介護リフォームとして、対象の制度や進め方が異なる可能性もあるためお気軽にお問合せください。
まとめ|制度が使える小工事から始める費用の考え方
最後に要点を整理します。
・バリアフリーリフォームの費用は目的の規模で桁が変わる。制度が使える小工事(手すり・段差解消など)と、平屋化などの大規模化とでは費用帯がまったく異なる(具体的な金額は小工事はおおむね数千円〜50万円程度、平屋化などの大規模化は500万円〜3,000万円程度が目安です)。
・まず介護保険や補助金が使える小工事(手すり・段差解消など)から手を付けるのが、負担を抑える基本。
・介護保険の住宅改修は要支援・要介護の認定が前提。予防段階では、制度を知っておき将来使う位置づけ。
・将来、階段が使えなくなる可能性を見据え、平屋化などの大規模化は「今やること」と切り分けて計画する。
費用の全体像がつかめたら、次は自分の住まいに当てはめて考える段階です。大阪での施工事例や費用の相談は、以下からご覧ください。





