【子育て|防音対策】子どもの足音で近隣トラブル?1級施工管理技士が教えるマンション床の裏ワザ
マンション暮らしでは、子供が走り回ったり、遊ぶ音が下階に響かないか気をつかうことが多いですよね。足音によって近隣トラブルにもなりかねないので、どうしても敏感になってしまいます。
そのため、マンションでは騒音トラブルを防止するため、遮音性の高いフローリングを使用するよう、管理規約で制限している場合がほとんどです。
「せっかくのリノベーションなのに、好きなフローリングが使えないの?」とがっかりしてしまうかもしれませんね。
この記事では、マンションリノベーションでできる床の騒音対策と、心地良く過ごせるフローリングをご紹介します!
目次
管理規約をクリアできるフローリング
子供の足音は防げる?
マンションで生活する親にとって、子供が家で遊ぶ音が下階に伝わっていないかは心配になりますよね。
管理規約で定められる遮音フローリングには、下の階への音の伝わりにくさを表すL値という遮音等級があります。このLの後ろの数字が小さいほど、遮音性能が高いということになります。また、ほとんどのマンションでは、L-45以下の遮音性能が求められます。
日本複合・防音床材工業会
この表から分かるように、子供の走り回る音が気になる場合は、L-45以下のフローリングを選ぶと良いでしょう。ただし、この遮音フローリングは全ての音を完全に消してくれるものではないため、生活には最低限のお互いの注意と相手を思いやる気持ちが不可欠です。
遮音フローリングってどんなもの?
固定音を伝わりづらくする
生活音には、子供が飛び跳ねたり、ものを落とすことで伝わる“固体音”と、声や音楽などが空気中を伝わる“空気音”の2種類あります。
マンションの床に使用される遮音フローリングは、足音などの固定音を伝わりづらくする床材であり、防音室のような空気音が伝わりづらくなるものではありません。
遮音フローリングはふかふかする
マンションを見学していて、床がふわふわするのを感じたことはありませんか?
遮音フローリングは、フローリングの底に特殊クッションをつけることで音を軽減させています。そのため、床の上を歩くと柔らかく、沈むような感覚があります。
このクッションの厚さによって防音の等級が変わります。
マンションリノベーションOK!L-45のフローリング3選
WOODTEC(ライブナチュラルプレミアム RUSTIC L-45)
表面に無垢材の挽き板を使用した遮音フローリングです。
挽き板とは表面に1.5〜2mmを無垢材にしたフローリングで、見た目や質感は無垢フローリングそのものです。
WOODTEC/ライブナチュラルプレミアムRUSTIC L-45
WOODONE(グランドフローリング L-45)
厚さ0.5mmの無垢材を使用したL-45の遮音フローリングです。樹種や色数を合わせて10種類から選ぶことができます。
WOODONE/グランドフローリング L-45
無垢フローリングドットコム(L45遮音フローリング)
厚さ0.6mmの無垢材を表面に使用したL-45の遮音フローリングです。表面の塗装は、無垢材の風合いを損ねないよう、つや消しのウレタン塗装が施されています。
無垢フローリングドットコム/L45遮音フローリング
マンションで音トラブルにならないための対策
遮音等級の高いフローリングを選ぶ
近隣への音漏れが気になる人は、より遮音性能の高いL-40のフローリングを選びましょう。
L-40の遮音フローリングは物を落とした時の軽い音はほとんど聞こえず、歩き回る重たい音はかすかに聞こえる程度とされています。遮音フローリングの中でも特級クラスの性能であるため、音が気になる場合には備えておいて損はありません。
マンションの管理規約では「L-45以下」と規定されている場合がほとんどです。そのため、L-45の遮音フローリングが多いですが、L-40を取り扱うメーカーもあります。
WOODTEC(ライブナチュラル MSX ネダレス 145)
より遮音効果が高いL-40のフローリングでも、無垢材の突き板を使用したものがあります。
WOODTEC/ライブナチュラル MSX ネダレス 145
遮音性の高いマットを床に敷く
遮音フローリングで軽い音は防ぐことができても、子供が飛び回るような重たい振動音を防ぐことは難しいです。子供が小さい数年の間は、遊ぶスペースに遮音性の高いマットを敷くと効果的です。
遮音フローリングを使う以外にも…
マンションの管理規約では「床フローリング工事を行う場合は、遮音等級L45以上の床材を使用すること。」と記載があるため、遮音フローリングしか使用できないと勘違いしてしまうかもしれません。
しかし、床材には木材でできたフローリングだけではなく、塩ビタイルやタイルカーペットなど様々な種類がありますよね。
そこで、遮音性能がない床材を使用したい場合、どうすればいいかをクジラの施工管理の西山に聞いてみました!
ー マンションでも塩ビタイルやタイルカーペットを使用した事例ってたくさんありますよね?遮音性はどうやって取っているんですか?
西山:遮音性を保たせるには、床を二重にする方法があるよ。
Profile 西山竜平 施工管理 新築の施工管理を経験したのちにクジラにジョイン。一級施工管理技士の資格も取得。社内外から絶大な信頼を得る、クジラが誇る男前。 |
直床工法:コンクリート床(スラブ)に直接、仕上げの床材を貼る施工法
二重床工法:コンクリート床(スラブ)と仕上げ床の間に空間を作る施工法
二重床にすることで、床材自体に遮音性能がなくても、遮音の効果を得ることができる!
ー でも、「二重床」と検索したら、「うるさい」と出てきますよ…
西山:そうやね。二重床はスラブと床の間に空間ができるから、太鼓みたいに音が増幅してうるさくなるとも言われてる。
でも、二重床を施工するときは、わざと床と壁の間を数mm開けてる。そうすることで、真空状態にならずに、空気の逃げ道ができて太鼓のようにはならないってこと。
ー わざと隙間を作ってるんですね!ゴミとか詰まらないんですか?
西山:それは大丈夫!基本的に上から巾木を被せているからゴミが詰まって見えることはない。
ー 他に二重床にするメリットはありますか?
西山:メリットと言うか、二重床は床下に空間を作れるから、キッチンや洗面所で用いられることが多いかな。水回りには排水経路を作る必要があるから、床下に空間が必要になる。だから、必然的にキッチンや洗面所では二重床になるよ。
ー なるほど!勉強になりました!
騒音対策をして快適なマンション生活を
マンションでは、足音や子供が遊ぶ音に敏感になってしまいますよね。
管理規約はマンションのリフォーム・リノベーションで初めて目にする人も多いかもしれません。「制限があるから無垢材を使用できない」ということはありませんよ。遮音フローリングにも、無垢材を使用したものがあるので、天然木の風合いを感じたい人でも安心して選ぶことができます。
また、マンションには独自の工事ルールを記載する管理規約があるため注意しましょう。基本的に工事に関する規約は、設計や施工業者が確認しているはずですが、知らぬ間に違反していることがないように一度目を通しておくと良いでしょう。
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