2024.06.05
最終更新日
2024.08.20
リノベーションのヒント

和室を洋室に! 畳からフローリングへのリフォーム費用・注意点を解説

畳 フローリング リノベーション

こんにちは!クジラ株式会社の菅原です。

Writer
菅原沙絵
デザイナー WORKS
2017年に新卒入社以来、住宅だけではなく店舗や宿泊施設のデザインも担当してきた。
お客様の理想を正確に捉え、ヒアリングを中心にデザインしていくことを得意としているデザイナー。
CREATOR’s STORY|菅原 沙絵

和室の畳をメンテナンスや劣化・バリアフリー化などの関係で、フローリングにしたいと考えている方はいるのではないでしょうか。この記事では、畳からフローリングにリフォームする際の費用や注意点、施工事例などをご紹介します。

費用相場(一覧表)

まず初めに、フローリング種類別の費用相場を表で確認しておきましょう(6畳の場合)。

フローリングの種類費用(張り替え)費用(重ね張り)
複合フローリング約9〜14万円約6〜11万円
防音フローリング約14〜19万円約11〜16万円
無垢材フローリング約12〜19万円約9〜16万円

また、ロール状の床材であるウッドカーペットの費用相場は約1万8,000〜2万5,000円です(6畳の場合)。

複合フローリング、無垢材フローリングのメリット・デメリットは以下の通りです。

複合フローリング

複合フローリングは、基材となる集成材や合板の上に、表面に木目などを印刷した化粧シートや薄くスライスした木材(突き板)を張ったものです。全体の厚さは12mmほど。

メリット

無垢材フローリングより価格が安く(1㎡あたり約4,000〜9,000円)、反りや狂いが生じにくい(基材の合板が熱や乾燥による影響を受けにくいため)。

デメリット

表面に樹脂系の塗装を施したものが多いため、吸湿性に劣る。経年劣化で表面が剥げやすく、下地の合板が見えることがある。木の感触がない。

無垢材フローリング

無垢材フローリングは、名前の通り丸太から切り出した木を、貼り合わせずに1枚の板に加工した純粋無垢な床材です。厚さは12〜19mmほど。

メリット

足触りがよく、見た目からも木の温もりを感じられる。吸放湿性に優れ、夏は涼しく、冬は暖かく感じられる。経年劣化による色合いの変化を楽しめる。

デメリット

価格が高い(1㎡あたり約6,000〜2万円)。自然の木材のため温度や湿度の影響を受けやすく、反りや狂いが生じやすい。樹種によっては柔らかい素材のものもあり、傷がつきやすい。

次に、畳からフローリングへのリフォーム方法を3つ、それぞれ紹介していきます。

代表的な木の素材

畳 フローリング リノベーション

広葉樹の木材

複合フローリングの表面に使用されるのは、基本的に広葉樹の木材です。広葉樹は針葉樹に比べて硬いため、傷が付きにくく、収縮・膨張しにくい傾向があります。

木の素材特徴
ウォールナット濃い茶色で高級感があり、耐久性抜群
メープル(カエデ)乳白色から赤みの強いものまであり、耐久性が高い
チーク油分が多く耐水性・耐久性に優れる
オーク(ナラ)明るい色と美しい木目が特徴、耐久性に優れる
タモ(アッシュ)はっきりした木目が特徴、ナチュラルな印象に向く
ローズウッド赤茶色で高級感があり、耐久性も高い

針葉樹の木材

針葉樹は、主に無垢材フローリングに使用され、広葉樹に比べて柔らく肌触りがよいのが特徴です。その分傷は付きやすいですが、修復もしやすいです。

木の素材特徴
パイン(松)温かみのあるナチュラルな雰囲気、衝撃吸収性が高い
ヒノキ明るい色味と独特の香り、人気のある素材
スギ直線的な木目が特徴、通気性や防水性が高い
マツはっきりした木目が特徴、経年で飴色に変化、耐久性が高い

木材の特徴についてご説明しましたが、実際に見て、触ったほうが実際の使い心地がわかるため、必ずサンプルを見てから決めるようにしましょう。
▼もっと木の種類を詳しく知りたい方はこちらをチェック!

施工の流れ・工期

畳 フローリング リノベーション
畳からフローリングに張り替える工程は以下の通りです。

①家具や雑貨などを移動する
②既存の畳を剥がす
③下地を調整する
④フローリング材を張る
⑤必要に応じて巾木(壁と床の境目に取り付ける部材)をつける

機能性を増やす場合は、この間に遮音シートや断熱材を入れたりする工程が入ります。

張り替えの工期は最短1日で、平均して2〜3日かかります。畳の上からウッドカーペットやフローリング材を敷く重ね張りの場合は、1日で完了することがほとんどでしょう。そのほか部屋の形や広さによって工期が変動するため、事前にリフォーム会社に工期を確認しておくと困りごとがなく済むでしょう。

畳の上からウッドカーペットを敷く

ウッドカーペットとは、スライスし細長くカットした木材をつなぎ合わせたロール状の床材です。畳の上からウッドカーペットを敷くのはDIYでも可能で、最も手軽に洋室風な部屋へリフォームできる方法と言えます。取り外しも簡単なため、賃貸物件での利用にもおすすめです。

ウッドカーペットにはいくつか種類があります。合成樹脂で作られたものは価格が安く、傷がつきにくいのが特徴です。天然木材のものは価格が高くなりますが、木の質感や風合いが感じられるため、質感にこだわりたい人におすすめ。50cm角などのタイルになっているウッドカーペットは破損しても交換しやすいため、小さな子供がいたりペットを飼ったりしている場合に便利です。

ウッドカーペットを敷く際の注意点

サイズを正確に測る

ウッドカーペットを敷く際に重要なのはサイズを正確に測ることです。既存のサイズに合わない場合、カスタムオーダーが可能な場合もありますが、金額も高くカスタムオーダーの場合は返品が難しいため、事前にきちんとサイズを測っておくのがいいでしょう。

防カビシートを使用する

畳の上にウッドカーペットを敷くと、通気性が損なわれカビが生じやすくなります。特に日当たりの悪い場所では、カビやダニが発生しやすく、畳を傷めてしまう原因に。それを予防するために、防カビシートや防ダニシートを敷くことをおすすめします。ただし、一度敷いたら永続的な効果があるわけではないため、数か月ごとに交換するようにしましょう。シートのパッケージに交換時期が記載されているので、確認して使用ください。

畳を清掃してから敷く

ウッドカーペットを敷く際には、畳をしっかりと清掃してから敷きましょう。清掃せずにウッドカーペットを敷くと、取り外した際にシミができていることがあります。また、ウッドカーペットの端に汚れが溜まることでシミが発生してしまうことも。畳のシミや汚れの原因を作らないためにも、隅々までしっかりと掃除することを心がけましょう。

畳の上からフローリング材を張る

畳を剥がさずに上から施工を行えるのはウッドカーペットだけではありません。フローリング材(木の板)を上から張ることも可能です。床にはめ込んでいくだけで手軽にフローリングの床に変身させることができます。

その際のメリット・デメリットも確認しておきましょう。

メリット

大掛かりな工事が必要なく、畳を剥がすよりも費用を抑えられる。賃貸の原状回復にも対応ができる。

デメリット

カビが発生してしまう恐れがある(防カビシートについては、ウッドカーペットの項目を参照ください)。フローリング材と部屋のサイズが合わず、オーダーメイドが必要な場合がある。

畳を剥がしてフローリング材に張り替える

最後にご紹介するのは、畳の上からではなく、畳を完全に剥がしてフローリング材に張り替える方法です。畳を剥がすことで下地の確認や補修も行えるため、築年数が経っている住宅にもおすすめです。

こちらもメリット・デメリットに目を通しておきましょう。

メリット

好みの床材を選ぶことができ、木の温もりも楽しめる。畳を完全に取り払うため、湿気が溜まる心配がなく、床に不自然な段差も生まれない。

デメリット

畳を剥がすことで床からの冷えを感じやすく、部屋の防音性も低下する。

畳はフローリングよりもクッション性に優れる床材であるため、剥がすと保温性や防音効果が失われてしまいます。マンションによっては管理規約で「防音規定」が決まっているケースもあるため、下地に遮音シートを敷いたり、遮音性能の高いフローリング材を選んだりするなど、対策について業者と相談するようにしましょう。

寒冷地の場合は、床下に断熱材を入れたり、床暖房にしたりするのも、床下からの冷えの対策としておすすめです。

畳をフローリングにするメリット

畳 フローリング リノベーション
これまでリフォーム方法について細かく見てきましたが、畳をフローリングにすることの総合的なメリットを知っておきましょう。

掃除がしやすくなる

フローリングは畳とは違い、ほこりが繊維の隙間に入り込む心配がありません。そしてツルツルとした平面の床であるため、掃除機をかけるだけでゴミを吸い取ることができ、飲料をこぼしても簡単に拭き取ることができます(畳はシミ抜きが必要な場合も)。

カビ・ダニの発生を抑止

上述した通り、フローリングはほこりが繊維の隙間に入り込まないため、カビやダニも発生しづらいという利点があります。畳の素材であるイ草は湿気を吸収する性質がありますが、一定以上を超える(湿度が約60%)と水分が飽和状態になり、溜まった湿気が原因でカビやダニが発生してしまうことがあるのです。

インテリアの幅が広がる

和室から洋室に変わることで、ナチュラル、モダン、北欧風など、どんなテイストのインテリアも置きやすくなります。床が畳からフローリングになることでベッドやソファなどの大型家具も置けるようになり、よりインテリアの幅が広がると言えるでしょう。

バリアフリーで過ごしやすくなる

寝室が和室から洋室になると、布団の上げ下げの必要がなく、足腰が弱ってきた高齢の方でも身体に負担なく生活ができるようになります。ベッドは介護が必要になった際にも重宝するでしょう。また、室内を車椅子で移動する場合にも、フローリングは車輪を走らせることができ、傷や汚れにも強いため、より過ごしやすくなると言えます。

また、バリアフリーリフォームの場合、介護保険法に基づく補助金制度を利用できることがあるため、費用を抑える上でもチェックしておくのをおすすめします。

・介護保険法にもとづく住宅改修費の支給
要支援・要介護と自治体から認定された方が、住居をバリアフリーのリフォームをする際に工事費用の一部が補助されます。手すりの取り付けや段差の解消などが対象です。
上限を20万円とし、工事費用に対して7〜9割が補助されます。

参考サイト:住宅リフォームの支援制度 ※令和5年6月16日時点 – 国土交通省

畳をフローリングにするデメリット

ここまでフローリングのメリットを述べてきましたが、デメリットもチェックしておきましょう。両方知っておくことで、リフォーム後に「思っていたのと違う……」と後悔しないよう対策ができます。

部屋が冷えやすい

夏場は素足でも涼しく快適に過ごせますが、冬場はどうしても冷えやすく、スリッパを履いたり、カーペットやラグを敷くなどして足の冷えを防ぐ必要があります。フローリング素材の機能によっても感じる冷たさは変わりますが、床下に断熱材を入れたり、床暖房にしたりするという手もあります。

防音効果が低下する

実は畳にはクッション性があるため、防音効果があります。畳を剥がしてフローリングに敷き変えると自ずと防音効果がなくなってしまうため、対策が必要です。とくにマンションの場合は、床の下地に遮音シートを敷いたり、遮音性能の高いフローリング材を選んだりするなどして、階下への配慮を忘れないようにしましょう。

畳の特徴・メリット

畳 フローリング リノベーション
畳からフローリングへの張り替えを検討している人の中には、畳ならではの良さがあることから、工事を思いとどまってる人もいるのではないでしょうか。そこで、畳の特徴やメリットも一つずつ確認しておきましょう。畳の傷や汚れが気になる場合は新しい畳を、和室を洋室にしたい場合は洋風家具にも合うモダンな畳をと、フローリングではなく同じ畳でも、部屋を生まれ変わらせる方法はあります。

保温・断熱効果がある

畳を形成するい草の茎の断面はスポンジのようになっていて、その中に空気がたくさん含まれています。夏の空気は暑さを遮断し、冬の空気は冷たい空気を遮る断熱材の働きをし、同時に室内の暖かい空気を保つ役割を果たしてくれます。それらの断熱性と保温性から、冷暖房が効きやすいという効果もあります。

調湿機能がある

い草には空気中の湿度が高くなると取り込み、乾燥すると放出する機能があります。畳一帖分の自然吸湿能力は約500mlとも言われており、湿度の高い日本の住宅環境で昔から重宝され続けてきた理由がわかります。

クッション性がある

保温・断熱の項目で先述したように、い草には空気がたくさん含まれているため、ほどよい弾力性が得られます。それに加え、40cmほどに積んだワラを5cmくらいまで圧縮しているため、歩くと適度な硬さと柔らかさを感じられるのです。そのため素足でも感触が気持ちよく、小さい子供が転んでも怪我をする心配もありません。

い草の香りでリラックスできる

畳の材料であるい草の香りには、リラックス効果があると科学的に証明されています。フィトンチッドという芳香成分が森林浴を思わせるような香りを持つだけでなく、殺菌作用にも優れています。また、α-シロペンという漢方薬やアロマオイルにも使用されている成分が、鎮静作用や抗アレルギー作用を持っています。ほかにもバニリンというアイスクリームなどの食品香料としてもよく知られている成分など、リラックス効果の高い芳香成分が多様に含まれているのです。

畳をフローリングにする際の注意点

無理にDIYで施工をしない

コロナ禍を経て家で過ごす時間が長くなり、DIYブームも加速したと言えるのではないでしょうか。そのためフローリングへの張り替えも「自分でできるのでは」と考えている人も少なからずいるはず。しかし、壁を塗ったり棚を作ったりするDIYとは少し話が違います。サイズをきちんと計ったつもりでも、ズレが生じていて、ウッドカーペットの場合もフローリング材の場合も隙間ができてしまう場合があります。床材は生活の安全面にも関わるため、無理にDIYで施工をしないようにしましょう。

実績が豊富な業者を選ぶ

畳をフローリングにする際は、床材の張り替えについて実績が豊富な業者を選ぶことをおすすめします。そのほうが適正な費用で依頼することができ、失敗の心配も少なく、色や機能など幅広いフローリング材から選ぶこともできます。これまでの様々な施工事例を見せてもらった上で、自分のライフスタイルや好みに合った床材・施工方法を検討するようにしましょう。

畳からフローリングへのおしゃれな施工事例

手前の洋室と奥の和室をつなげて、広い1LDKにリノベーションしました。オーク材のフローリングにすることで明るく、ナチュラルな雰囲気に。
BEFORE/施工前

AFTER/施工後
戸建てリノベーション
▼施工事例はこちら!

メリット・デメリットを知り、自分に合った方法を

畳からフローリングに張り替える際は、理想の部屋の雰囲気やライフスタイル(子供がいる、介護が必要)とよく向き合った上で、自分に合った素材や方法を選ぶようにしたいもの。今回ご紹介した、それぞれの素材や施工方法が持つメリット・デメリットを一つずつ検討し、失敗のないリフォームができるといいですよね!

WRITERこの記事を書いた人

デザイナー

菅原 沙絵SAE SUGAHARA

設計 / 大阪府大阪市出身 / 普段からデザインを意識的に見て、自分ならどうするのか考えるようにしてます / インテリア雑貨が好きでナチュラル・シンプルなものを集めることにはまっています

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