建売住宅をリノベーションできる?メリット・デメリットや注意点を解説
Writer 片山飛翔 デザイナーWORKS バランスの取れた色彩感覚と暮らしやすさを考えた動線計画で、女性からも人気のあるデザイナー。休日は料理とキャンプをするのが定番です。 CREATOR’s STORY|片山 飛翔 |
建売住宅は価格が魅力ですが、間取りやデザインがライフスタイルに合わないこともあります。そのため、購入後にリノベーションを検討する方も多いでしょう。本記事では、理想の住まいにするためのリノベーションのポイントや費用、おしゃれに仕上げるコツを詳しく解説します。
目次
建売住宅とは
建売住宅とは、あらかじめ住宅が建設されている状態で販売される住宅のことです。土地と建物がセットで販売され、購入者が間取りや内装を選ぶことはできません。設計や建築過程はすでに完了しており、即入居が可能なため、注文住宅に比べて購入の手間が少なく、比較的手頃な価格で提供されていることが多いです。
建売住宅は、その価格の手頃さやすぐに住み始められる利便性が大きなメリットです。しかし、間取りや内装が既に決まっているため、自分の好みに合わせたカスタマイズが難しい場合もあります。そうした際に、リノベーションを検討する方が増えています。
建売住宅をリノベーションすることはできる?
建売住宅でもリノベーションを行うことは可能です。むしろ、建売住宅を購入した後、自分好みにカスタマイズしたいという理由でリノベーションを選ぶ方が多いのです。築年数が経った建売住宅でも、リノベーションをすることで新築同様の住み心地を実現できるのが魅力ですよ。
ただし、リノベーションにはいくつかの注意点もあります。建売住宅の構造や築年数、配管や電気設備などの状況によっては、大規模な工事が必要になることもあります。そのため、リノベーション前に住宅の状況をしっかり確認し、リノベーション可能な範囲を把握することが大切です。
建売住宅をリノベーションする目的
建売住宅をリノベーションする理由はさまざまですが、大きく分けて「住みやすさの向上」と「自分好みの空間にしたい」という二つの目的が多いです。以下で、具体的なリノベーションの目的について詳しく見ていきましょう。
住みやすい間取りへ
建売住宅は、あらかじめ設計されているため、購入者の生活スタイルに合わない間取りの場合があります。例えば、子供が増えて部屋数が足りなくなったり、リビングが狭くて家族が集まりにくいということがあるかもしれません。
リノベーションをすることで、部屋を増やしたり、壁を取り払って広い空間を作ることができ、家族の変化に合わせた住みやすい間取りにすることができます。これにより、家族全員が快適に暮らせる空間を作ることが可能ですよ。
自分好みのおしゃれな内装に
建売住宅は、一般的なデザインや内装が採用されていることが多いため、個性的なインテリアや自分の趣味を反映させることが難しい場合があります。リノベーションを通じて、床材や壁紙、キッチンやバスルームのデザインを自分好みのものに変更することで、よりおしゃれで居心地の良い空間を作ることができるのです。
例えば、明るくて開放的なリビングにしたり、ヴィンテージ風のキッチンにするなど、リノベーションならではの自由度が大きな魅力です。また、最新の設備を取り入れて機能性を高めることもできるので、快適な生活が送れます。
生活しやすい導線設計に
リノベーションによって、生活導線の改善も可能です。家事や育児、日々の生活をより効率的に行えるように、動線を工夫することで家の使い勝手が大幅に向上します。例えば、キッチンとダイニング、リビングが近接していると、料理中でも家族とのコミュニケーションがしやすくなります。
また、家事動線を短くするために洗濯機の場所を変更したり、玄関からすぐに収納スペースを設けるなど、生活の利便性を高めるレイアウトも考えられます。このようなリノベーションによって、毎日の生活がよりスムーズで快適になります。
費用を抑えて新築並みの住み心地
リノベーションのもう一つの大きなメリットは、費用を抑えつつ新築並みの住み心地を得られることです。新築住宅を購入する場合、高額な初期費用がかかることが一般的ですが、リノベーションを選ぶことで、比較的少ない予算で理想の住まいを手に入れることができます。
特に、築年数が経った建売住宅の場合、購入価格が低めに設定されていることが多く、その分をリノベーションに充てることで、結果的にコストパフォーマンスの良い住まいを実現することができます。リノベーションによって設備や内装を一新することで、まるで新築のような快適な住環境が手に入るでしょう。
また、リノベーションは必要な部分だけを改装することができるため、予算や優先順位に応じて段階的に行うことも可能です。この柔軟性が、リノベーションの大きな魅力の一つといえます。
建売住宅をリノベーションするメリット
建売住宅のリノベーションには、さまざまなメリットがあります。特に費用面や施工のスピードにおいて、注文住宅や中古物件と比べて利点が目立ちます。以下で、その具体的なメリットについて見ていきましょう。
注文住宅と比較すると費用を抑えやすい
注文住宅は、土地の選定から設計、建築まで、すべてを一から行うため、どうしても費用が高くなりがちです。その一方で、建売住宅はすでに建てられているため、購入時の初期費用が抑えられることが大きな特徴です。さらに、リノベーションを行うことで、必要な部分だけを改修できるため、全体的なコストをさらに抑えることができます。
リノベーションを活用すれば、注文住宅でゼロから作るよりも、すでにある住宅をベースにして部分的に改修することで、より予算に合った家づくりが実現しやすいです。たとえば、キッチンやバスルームなどの水回りだけを一新したり、内装のデザインを変更するだけで大きな変化をもたらすことができるでしょう。
中古物件と比べて構造部分のリフォームが不要
中古物件の場合、築年数によっては、構造部分や基礎部分の補強が必要になることが多く、そのためリフォーム費用が大幅に増えることがあります。しかし、建売住宅の場合は、基本的に新しい状態で購入することが多いため、構造部分や基礎の大規模な修繕は必要ないケースが多いです。
そのため、リノベーションの費用は主に内装や設備の変更に集中でき、余計な費用をかけることなく、自分好みの空間づくりができるのです。特に最近の建売住宅は、耐震性や断熱性の基準もクリアしているものが多いため、大規模な工事が不要な点がメリットです。
中古物件や注文住宅と比べて工期が短い
建売住宅はすでに建設されているため、リノベーション工事は比較的短期間で終えることができます。注文住宅では設計や土地探し、建築に時間がかかり、中古物件の場合も、状態によっては大規模な修繕が必要になることがありますが、建売住宅のリノベーションはその点、効率的です。
工事が短期間で終わるということは、引っ越しや新生活の準備もスムーズに進められるということです。例えば、壁紙の変更や間取りの一部変更など、比較的軽微なリノベーションなら、数週間で完了する場合もありますよ。このスピード感は、早く新しい生活を始めたい方にとっては大きなメリットでしょう。
建売住宅をリノベーションするデメリット
建売住宅のリノベーションには多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。リノベーションを検討する際には、これらのデメリットを考慮して、慎重に計画を立てることが大切です。
住宅ローンが二重に発生する可能性がある
建売住宅を購入する際に住宅ローンを利用する方が多いですが、その後リノベーションを行うために別途ローンを組む場合、二重の返済が発生する可能性があります。通常の住宅ローンとリノベーションローンを同時に返済することになるため、毎月の負担が大きくなることもありますよね。
このようなリスクを避けるためには、あらかじめリノベーション費用を含めた総合的な資金計画を立てることが重要です。また、リノベーションのローンには、金利や返済期間の条件が異なるものがあるため、慎重に選びましょう。
リノベーションに制限がかかる
建売住宅は、すでに設計や構造が決まっているため、リノベーションには制限がかかる場合があります。例えば、耐震性や法的な規制により、間取りの変更や増改築が難しいことがあります。また、外観の変更にも制限がかかるケースがあり、特に外観を大きく変更したい場合には注意が必要です。
事前にリノベーションの制限事項を確認し、自分の希望する改修が可能かどうかをしっかりと把握しておくことが大切です。可能な範囲でのリノベーションを計画することで、後からトラブルにならないようにしましょう。
住宅購入時の10年保証を受けられないケースがある
通常、建売住宅には新築時の10年間の保証が付いていますが、大規模なリノベーションを行う場合、この保証が適用されなくなるケースがあります。特に、構造部分に手を加えるリノベーションを行う場合は、元の保証が無効になることがあります。
この点は特に注意が必要で、リノベーションをする際には、保証の適用範囲やリノベーション後の保証制度について確認しておくことが大切です。保証が無効になる場合でも、リノベーション工事に対して新たな保証が付与されることもあるので、施工業者に相談してみると良いでしょう。
場所別のリノベーション費用
リノベーションを行う際、場所によってかかる費用が異なります。ここでは、一般的なリノベーション費用について場所別に解説します。
水回り
水回りのリノベーションは、キッチン、バスルーム、トイレなどが含まれます。特にキッチンのリノベーションは、システムキッチンの入れ替えや、動線を改善する工事が主な内容となります。費用はキッチン一式で約100万円〜200万円が目安です。
バスルームのリノベーションでは、ユニットバスの交換や床暖房の設置、浴室乾燥機の取り付けなどが人気です。こちらも同様に、70万円〜200万円程度の費用がかかることが一般的です。
トイレのリノベーションは、比較的低コストで済むことが多く、便器の交換や壁紙の張り替えで30万円〜70万円程度が相場です。
内装
内装のリノベーションには、壁紙の張り替えや床材の変更が含まれます。壁紙の変更は比較的手軽で、費用も1部屋あたり数万円から10万円程度で済むことが多いです。フローリングの張り替えやカーペットの交換も、内装リノベーションの定番です。
床材の種類やデザインによって費用は異なりますが、1㎡あたり1万円前後が目安です。おしゃれなデザインを取り入れたい場合や、自然素材を使う場合には、コストが上がることも想定しておきましょう。
間取り
間取り変更は、大規模なリノベーションの一つで、費用が高くなる傾向があります。例えば、壁を取り払って広いリビングを作る場合や、部屋を増やすための増築工事などが含まれます。こうした工事は、数十万円〜数百万円に及ぶことが多く、リノベーション全体の予算に大きく影響します。
また、耐震性や法律上の制限によって、間取り変更が制限されることもあるため、事前の確認が必要です。
外観
外観のリノベーションも建売住宅にとって重要な要素です。築年数が経過している建物の場合、外観が老朽化していることが多く、見た目の印象がどうしても古くなりがちです。しかし、リノベーションを通じて外観を新しくすることで、住宅全体の雰囲気が一気に洗練されたものになります。
たとえば、外壁の塗装や素材の変更、バルコニーやウッドデッキの設置、外構の整備などを行うことで、建物全体の印象ががらりと変わるでしょう。最近では、モダンでシンプルなデザインが人気ですが、自分の好みに合わせた外観のカスタマイズも可能です。
外観リノベーションの費用は、使用する素材や規模によって異なりますが、比較的小規模な外壁塗装であれば数十万円程度、外壁材や屋根の張り替えを含む本格的なリノベーションでは100万円を超えることもあります。新築を購入するよりは費用を抑えられる点が魅力ですね。
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建売住宅をリノベーションする際の注意点
建売住宅をリノベーションする際には、いくつかの注意点を事前に把握しておくことが大切です。スムーズなリノベーションを進めるためにも、これらのポイントをしっかりと確認しておきましょう。
購入物件の立地を考慮する
建売住宅のリノベーションを検討する際、まずは物件の立地条件を考慮することが重要です。立地は住み心地に大きく影響するため、リノベーションで理想の住まいを実現しても、周辺環境が合わなければ満足度が下がる可能性があります。近隣の交通アクセスや商業施設、学校や病院などの利便性を確認し、自分や家族にとって快適な環境かどうかを見極めることが大切です。
建売住宅ごとの区画や境界を明確に把握する
建売住宅のリノベーションを行う際には、物件の区画や境界線の確認も欠かせません。特に隣接する家との距離が近い場合、工事が他の物件に影響を与える可能性があります。リノベーション計画を進める前に、土地や建物の境界を明確にしておくことが大切です。事前にこれを把握しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
物件購入とリノベーションをセットにできないか確認する
建売住宅を購入する際、物件購入とリノベーションをセットで検討できるか確認するのも良い方法です。最近では、物件購入時にリノベーションプランを提案してくれる不動産業者や施工会社も増えてきました。このようなセットプランを利用することで、物件選びとリノベーション計画を一度に進められるため、効率的に進行できるでしょう。また、費用面でもセット割引が適用されることがあり、コストを抑えることができます。
施工会社の口コミ評判を確認し技術に信頼がおけるか
リノベーションを成功させるためには、施工会社の技術や信頼性が非常に重要です。事前に施工会社の口コミや評判を確認し、信頼がおけるかどうかを見極めることが大切です。過去の施工事例やレビューをチェックし、リノベーションの経験が豊富で技術力の高い会社を選ぶことがポイントです。施工会社選びで失敗すると、工事の質が低くなったり、予算をオーバーしてしまう可能性もあるので慎重に進めましょう。
施工会社のオプションや保証範囲
施工会社を選ぶ際には、オプションや保証範囲にも注意が必要です。リノベーション工事にはさまざまなオプションがあり、どの範囲まで対応できるのか、また工事後のアフターサポートや保証がどれだけ充実しているのかを確認しましょう。リノベーション後に不具合が生じた場合でも、しっかりと対応してもらえるかどうかは非常に重要です。保証期間や保証内容についても事前に確認しておくと安心です。
建築確認申請が必要か確認する
大規模なリノベーションを行う場合、建築確認申請が必要になるケースがあります。建売住宅の構造に大きな変更を加える場合や、建物の面積を増やす場合など、法律に基づいて確認申請が必要となる場合がありますので、施工会社と相談しながら適切な手続きを進めましょう。申請が遅れると工事スケジュールにも影響を及ぼすことがあるため、早めの確認が大切です。
工期について
リノベーションの工期も重要なポイントです。建売住宅の場合、中古住宅や注文住宅に比べて工期が短いというメリットがありますが、リノベーションの内容によっては工期が長引くこともあります。リノベーションの規模や内容に応じて、施工会社と工期をしっかりと確認し、引っ越しや生活スケジュールと合わせて計画を立てることが必要です。また、天候や施工状況によっても工期が変動することがあるため、多少の余裕を持ってスケジュールを組むと良いでしょう。
建売住宅で理想のリノベーションを行うためのポイント
理想のリノベーションを実現するためには、しっかりとしたプランニングが欠かせません。まず、自分のライフスタイルや家族構成に合った間取りやデザインを明確にすることが重要です。そして、予算内でできる範囲を把握し、必要な部分に優先順位をつけることがポイントです。たとえば、まずは水回りやキッチンなどの使い勝手の良い部分から始め、後で内装や外観を追加でリノベーションするという方法もあります。
さらに、信頼できる施工会社と綿密な打ち合わせを行い、こまめに進捗を確認することも大切です。リノベーションは思い通りに進まないこともあるため、柔軟な対応と計画が重要でしょう。
以上が建売住宅のリノベーションに関するメリットやデメリット、そしてリノベーションを行う際の注意点です。しっかりと準備を行い、自分の理想の暮らしを実現していきましょう。
建売住宅のリノベーション事例
立地を重視して物件探しをされていたお客様。限られた予算の中で優先順位をつけて部分的にリノベーションすることになりました。
「家族で過ごす時間が長いLDKを広くしたい」要望を叶えるため、2階にあった水回りを1階に移動しました。築年数が比較的新しいため、そのままでも使用できる3階の居室は工事せず予算を抑えています。
▶︎費用:980万円(税別)
▶︎面積:99.27㎡
▶︎築年数:築25年
▶︎内容:部分リノベーション(1階水廻り、2階)
まとめ
建売住宅をリノベーションすることには、費用を抑えながら理想の住まいを手に入れるというメリットがあります。一方で、ローンの二重支払いのリスクや、リノベーションに制約がかかる点など、デメリットも存在します。しかし、しっかりとした計画と信頼できる施工会社の選定を行えば、快適でおしゃれな住まいを実現することができるでしょう。
物件購入時にリノベーションをセットで行う方法や、施工会社の口コミや評判を事前に確認することも重要です。また、区画や境界の確認、建築確認申請の必要性なども忘れずにチェックすることで、スムーズなリノベーションが可能になりますよ。