3階建て住宅のリノベーション概算費用と事例・ポイントを紹介
Writer 片山飛翔 デザイナーWORKS バランスの取れた色彩感覚と暮らしやすさを考えた動線計画で、女性からも人気のあるデザイナー。休日は料理とキャンプをするのが定番です。 CREATOR’s STORY|片山 飛翔 |
家族の成長やライフスタイルの変化に合わせて、住まいをより快適な空間へと進化させるリノベーション。特に昨今では土地の価格高騰から、都内の戸建ては狭い敷地面積でも快適な生活ができる狭小住宅や3階建ての住宅を検討される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
3階建て住宅は、一般的な住宅と異なる費用や手間がかかるケースもありますが、工夫次第で理想の住まいを実現することができます。本記事では、3階建て住宅のリノベーションにかかる概算費用や成功事例、そして知っておきたいポイントについて詳しく解説します。
目次
3階建て住宅リノベーションにかかる概算費用
3階建て住宅をリノベーションする際にかかる費用の目安や、具体的な工事内容について解説します。フルリノベーションや部分リノベーション、またそれぞれの費用相場を知ることで、計画の参考にしていただけるでしょう。
さらに、補助金制度の活用も検討することで、費用負担を軽減できる可能性があります。制度の詳細や条件を確認してみましょう。
フルリノベーション費用の目安はどのくらい?
3階建て住宅をフルリノベーションする場合、概算費用は1,000万円から3,000万円程度が目安となります。リノベーションの内容によって、費用には大きな差が生じますが、特に内装の改修のみの場合は1,000万円前後で収まることが多いです。
一方で、間取り変更や外装工事、耐震補強などを含めた大規模なリノベーションでは、2,000万~3,000万円を見込んでおく必要があるでしょう。
たとえば、築20年以上の住宅では、屋根や外壁のメンテナンス、キッチンや浴室といった水回り設備の交換もリノベーションに含まれることが一般的です。
また、3階建てという構造上、建物全体の強度を見直し、必要に応じて補強工事を行う場合もあります。このような追加工事が費用を押し上げる原因となります。
一括で全体をリノベーションするメリット
一括で全体をリノベーションすることには、多くのメリットがあります。まず、足場の設置や解体作業を一度にまとめて行えるため、分割してリノベーションを行うよりもコストが削減できます。特に外壁塗装や屋根の防水工事など、3階建て住宅において必須の作業は足場を要するため、一度に済ませるほうが経済的です。
また、一括で工事を行うことで、建物全体のバランスを考慮した設計が可能となります。部分的なリノベーションでは、後から他の部分と調和しないデザインや仕様になるリスクがありますが、全体の統一感を重視したリノベーションなら、その心配はありません。
さらに、居住者のストレスを軽減できる点も重要です。リノベーションを複数回に分けると、その都度仮住まいの準備や日常生活の影響が生じます。一度にまとめて工事を終えることで、工期が短縮され、早く快適な暮らしをスタートできるでしょう。
3階建て住宅のリフォーム費用が割高になる理由とは?
3階建て住宅のリフォームでは、施工の手間や設計上の制約が費用を押し上げる要因となります。本章では、3階建て特有のリフォーム費用の特徴について詳しく説明します。施工現場の条件や工事内容により費用が変動する点を押さえましょう。
施工の手間や面積が費用に影響
3階建て住宅のリノベーション費用が割高になる主な理由の一つは、施工の手間や面積の広さです。3階建ての住宅は高さがあるため、足場の設置が難しくなる場合があります。狭小地に建つ住宅では、近隣の敷地を一部借りなければ足場を組めないケースもあり、その際には追加のコストが発生します。
また、3階部分まで資材を運ぶ手間や、施工スタッフが移動する時間も作業効率に影響します。これらの点が、施工費用を押し上げる原因の一つとなっています。さらに、外壁や屋根の塗装、断熱材の施工といった工事においても、面積が広くなる分、材料費や施工時間が増えることを考慮する必要があります。
さらに、作業効率を高めるために必要な追加機材や、3階建て特有の安全対策も費用に含まれます。たとえば、高所作業に対応する特殊な機械や安全装置の導入、作業スタッフへの安全研修などが挙げられます。これらの準備や対応により工期が長引く可能性もあり、全体的なコストが他の住宅よりも高くなる傾向にあるのです。
3階建て特有の間取り変更がコストに直結
3階建て住宅のリノベーションで費用を大きく左右するもう一つの要因が、間取り変更です。特に、3階部分に水回りを移動させる場合や、吹き抜けを設ける大規模な改修では、建物の構造全体に影響を及ぼす可能性があります。水回りを移動させる際には、新たな配管や給水設備の設置が必要で、これには多額の費用がかかります。
さらに、3階建て住宅は構造計算が非常に重要です。間取り変更を行う際には、建物の耐震性を維持するために柱や梁を補強する必要があるでしょう。これに伴い、設計士や施工業者との綿密な打ち合わせが求められ、その分コストも増加します。
また、住空間を最大限に活用するための工夫が必要となる点も特徴です。例えば、階段の位置を変える場合には、空間を無駄なく使いながらも、各フロアの移動がスムーズになるように設計し直す必要があります。また、収納スペースの確保や、光や風通しを考慮した窓の配置など、快適性を保つためのデザインにも注意が必要です。
これらの要素を取り入れることで、間取り変更は住み心地を向上させますが、その分、設計と施工の手間が増加し、費用に直結する要因となります。
二世帯住宅へのリノベーション
二世帯住宅へのリノベーションは、家族構成や生活スタイルに柔軟に対応できるため、人気の選択肢です。親世代と子世代が同居する際のプライバシーや共有スペースの活用方法を工夫することで、快適な生活空間を作り出すことができます。適切な間取りプランや施工業者選びが重要となるでしょう。
二世帯住宅のリノベーション概算費用
二世帯住宅へのリノベーションにかかる費用は、どのタイプの二世帯住宅を目指すかによって異なります。完全同居型なら1,000万円から2,000万円程度で済むことも多いですが、完全分離型となると3,000万~4,000万円に達することがあります。完全分離型は、各世帯のキッチンやバスルームを完全に独立させるため、施工範囲や新設する設備が増加することから費用が高くなります。
一部共有型は、玄関やリビングなど一部の空間を共用しつつ、プライベートな空間を確保する形式で、概算費用は1,500万~3,000万円が目安です。予算に応じた最適なプランを見つけるためには、早い段階で施工業者と相談し、見積もりを取得することが重要です。
二世帯住宅のリノベーション費用を抑えるポイント
二世帯住宅のリノベーション費用を抑えるポイントとして、いくつかの工夫が挙げられます。まず、共有スペースを増やし、設備を一つにまとめることが有効です。例えば、玄関を共用にしたり、浴室を一つにすることで、施工範囲を狭め、費用を抑えることができます。また、水回りの位置は既存の場所に近いまま活用することで、配管工事のコストを削減できます。
もう一つのポイントは、自治体の補助金や減税制度を活用することです。特に多世帯同居を促進する政策がある地域では、リノベーションにかかる費用の一部が助成されることがあります。計画段階で補助金の対象工事や条件を確認しておくと良いでしょう。適切な業者選びも重要で、経験豊富で親身に相談に乗ってくれる会社を選ぶことで、無駄な費用を削減しやすくなります。
外壁リフォームで住まいを守る:費用と実施の目安
外壁リフォームは、住まいの美観を保つだけでなく、建物自体の耐久性や防水性を向上させる重要なメンテナンスです。外壁の劣化や損傷は放置せず、早めに対応することで、後々の大掛かりな工事を防ぎ、費用を抑えられるでしょう。外壁リフォームの費用と実施時期の目安を把握しておくと安心です。
ひび割れや汚損がリフォームのサイン
外壁リフォームを検討する際、見逃せないポイントはひび割れや汚れ、カビの発生です。これらのサインは、外壁の防水機能が低下し始めていることを示しており、放置すると建物内部へ水分が浸入し、構造自体にダメージを与える可能性があります。また、色あせやチョーキング現象(壁を触った際に白い粉がつく現象)も、リフォームの時期を示す兆候です。
外壁の素材によっては、特定のリフォーム時期や適切なメンテナンス周期がありますので、住まいの状況を定期的に点検し、適切なタイミングでリフォームを実施することが重要です。
また、外壁の劣化は美観だけでなく、住宅の価値にも影響します。ひび割れや汚損を放置すると、建物全体の見た目が悪くなり、近隣環境や将来の資産価値にマイナスの影響を与えることがあります。特に中古住宅の売却を考えている場合、外壁リフォームは住宅の魅力を高める絶好の機会です。
適切なタイミングでリフォームを行い、見た目の改善とともに住まいの耐久性を向上させましょう。リフォームのサインを見逃さず、早めの対処を心がけることが長持ちする住宅づくりにつながります。
外壁リフォームの方法と費用の幅
外壁リフォームには、主に「塗装」「カバー工法」「張り替え」の3つの方法があります。それぞれ費用と適用できる状況が異なるため、事前に知っておくことが重要です。
塗装の場合、1㎡あたり1,500~4,800円の範囲で、使用する塗料によって費用が変動します。耐久性が高いフッ素塗料や断熱効果のある特殊塗料を選ぶことで、長期的なメンテナンスコストを抑えられるでしょう。
カバー工法は、既存の外壁の上に新しい外壁材を重ねる方法で、1㎡あたり約6,000~9,000円が相場です。既存外壁の解体を必要としないため、工期が短く、廃材処理費用も低く抑えられるのが利点です。一方で、既存の壁に問題がある場合は適用できないこともあります。
張り替えは、古い外壁を完全に撤去し、新しい外壁を設置する方法で、費用は1㎡あたり10,000円以上かかることがあります。長期的な美観と防水性を重視する場合に適しています。
これらの方法を選択する際には、リフォームの目的や予算、外壁の状態を総合的に考慮することが重要です。また、見積もりを依頼する際には、費用だけでなく、使用する素材の種類や工事内容についても詳細に確認することが大切です。
例えば、塗装であれば遮熱塗料を選んで夏場の冷房効率を上げたり、カバー工法では外壁のデザイン性を重視するなど、リフォームの目的に応じた選択が求められます。
適切な方法を選ぶことで、費用対効果を最大限に高め、住まいの価値を維持・向上させることができるでしょう。
塗装・カバー工法・張り替えのそれぞれの特徴
塗装は、比較的コストが抑えられ、色の選択肢が多いことが特徴です。特にシリコン塗料は、耐用年数が8~15年とバランスの取れた選択肢ですが、フッ素塗料は耐用年数が20年近くと長持ちするため、頻繁なメンテナンスを避けたい場合に向いています。塗装は、外観のリフレッシュや防水性能の向上に役立ちます。
カバー工法は、既存の外壁を活かしつつ新しい外壁材を追加するため、施工が簡単で工期が短いことがメリットです。断熱性を高めたり、複数の素材を組み合わせることで、デザイン性を高めることも可能です。ただし、重ね張りによって壁が厚くなり、窓枠やドア枠の調整が必要になることがあります。
張り替えは、既存の外壁がひどく劣化している場合や、大幅にデザインを変えたい場合に最適です。新しい外壁材の選択肢は広く、耐火性や断熱性に優れた素材を使用することで、住まいの性能を大幅に向上させることができます。ただし、工事期間は長く、費用も高額になるため、計画的に予算を立てることが必要です。
3階建て住宅のリノベーションを成功させるための施工会社の選び方
3階建て住宅のリノベーションは、2階建てや平屋に比べて技術的に難易度が高く、施工会社の選定が成功の鍵を握ります。施工会社を選ぶ際は、費用やスケジュールだけでなく、経験やコミュニケーション能力も重要な要素です。ここでは、施工会社を選ぶ際の具体的なポイントを解説します。
相見積もりで施工内容と価格のバランスを比較する
施工会社選びでは、まず複数の会社から相見積もりを取ることが基本です。見積もりでは、価格だけでなく施工内容の詳細も比較しましょう。同じようなリノベーション内容でも、各社の提案や仕様、使用する資材のグレードには違いがあります。例えば、耐久性やデザイン性を重視する場合、多少費用が高くても長期的に見てお得な選択肢となることもあります。
また、相見積もりを行うことで、相場感をつかむことができます。リノベーションは高額な投資となるため、施工内容に見合わない高額な見積もりや、逆に極端に安い見積もりには注意が必要です。不明点があれば、施工会社に直接質問し、納得してから次のステップに進みましょう。
住宅リノベーションの施工実績を確認する
施工実績を確認することも重要なポイントです。施工会社のウェブサイトやパンフレットには、過去の施工事例が掲載されていることが一般的です。特に3階建て住宅のリノベーション実績があるかをチェックしましょう。実績が豊富な会社は、3階建て特有の課題に対する解決策を熟知しているため、安心して依頼できるでしょう。
さらに、可能であれば、実際の施工現場を見学させてもらうことをおすすめします。現場が整理整頓されているか、施工のクオリティが高いかを自分の目で確認することで、信頼度が増します。また、過去に手がけた物件の住人から直接感想を聞く機会があると、さらに有益な情報が得られるでしょう。
対面・Web面談し担当者との相性を確認する
施工会社の担当者との相性も、スムーズなリノベーションのために重要です。特にリノベーションは、細かい希望や要望を施工会社に正確に伝える必要があるため、担当者が親身になって相談に乗ってくれるかどうかを確認しましょう。
最近では、Web面談を通じて担当者と打ち合わせが可能な施工会社も増えています。初回の打ち合わせで、こちらの要望をどれだけ真剣に聞いてくれるか、適切なアドバイスができるかを確認してください。相性の良い担当者がいる会社は、リノベーション後の満足度も高くなる傾向があります。
費用・スケジュールの見積もりで失敗を防ぐ
リノベーションを成功させるためには、費用とスケジュールの見積もりを慎重に確認することが大切です。見積もりには、工事費用だけでなく、追加費用や諸経費が含まれているかを確認しましょう。不透明な費用が多い場合は、後から予算オーバーになる可能性があります。
また、スケジュールについても具体的な工程表を提示してもらい、工期が適切かどうかを確認してください。特に住みながらのリノベーションを検討している場合、工事が生活に与える影響を最小限に抑えるための対策を相談することが重要です。信頼できる施工会社は、これらの点について丁寧に説明し、施主が安心してリノベーションを進められる環境を提供してくれるでしょう。
さらに、契約前には見積もりや工程表だけでなく、過去の施工実績や口コミを確認することも有効です。具体的な事例や評価を見ることで、施工会社の信頼性や対応力を判断できます。また、契約内容が曖昧であればトラブルの原因となるため、疑問点は納得できるまで質問し、全ての条件を明確にした上で進めましょう。
3階建て住宅のリノベーション事例
ここでは、実際に3階建て住宅のリノベーションを行った成功事例をご紹介します。これらの事例を参考にすることで、自分の住宅に合ったアイデアやプランを見つけやすくなるでしょう。
「こだわり」と「素直さ」を両立した子育てをするために
築浅の戸建だったので外壁などに大きなメンテナンスは必要なく、低価格でコストパフォーマンスの高いリノベーションを実現することができました。
猫ちゃんと一緒に。居心地の良い距離感で、家族団らんの2世帯住宅
親御さんご夫婦、息子さんご家族、5匹の猫ちゃんが暮らす二世帯住宅。
全員が居心地の良い距離感で、人も猫も家族みんなの落ち着く空間を。
家族で過ごす時間を大切に。
立地を重視し、半年以上家探しをされていた施主様。
「やりたいことはたくさんあるけれど、限られた予算の中でどこまでやりたいことができるのか分からない。」というご相談を受けて、優先順位を決めるところからプランニングさせていただきました。
ヒアリングを重ねる中で、家族で過ごす時間が長いLDKにこだわりを持っていらっしゃったので、家族がそれぞれ過ごす時間にフォーカスして設計しました。
まとめ
3階建て住宅のリノベーションは、費用や施工期間などで課題が多いものの、適切な計画と業者選びで理想的な住まいを実現することができます。リノベーションにかかる費用は1,000万~3,000万円程度が目安ですが、補助金や減税制度を活用することで、負担を軽減することも可能です。
施工会社選びでは、相見積もりや施工実績の確認、担当者との相性を重視することが成功への近道です。また、施工方法や素材の選定を慎重に行い、生活動線や長期的なメンテナンス性を考慮した設計を目指しましょう。事例を参考にすることで、具体的なイメージを持ちやすくなり、計画がスムーズに進みます。
3階建て住宅は、その構造上の特徴を活かすことで、より快適で機能的な住まいに生まれ変わります。家族全員が満足できる理想のリノベーションを目指して、計画を立ててみてはいかがでしょうか。