2025.04.18
最終更新日
2025.04.25
リノベーションのヒント

引き渡し後は遅い!耐震基準適合証明書を発行するタイミングや注意点について

リノベーション 耐震基準適合証明書

こんにちは!クジラ株式会社の山根です!

Writer
山根広大
ディレクターWORKS
宅地建物取引士。大学で建築を学び、人の暮らしにより幅広く関わりたいと思い不動産業界を志望。2019年にクジラ株式会社に入社。不動産・建築の両面からワンストップでリノベーションをサポートするのが得意。

耐震基準適合証明書は、住宅の耐震性能を証明し、購入手続きを円滑に進めるために重要な書類です。特に取得のタイミングを誤ると、手続きの遅れやスケジュールの圧迫につながる可能性があります。
本記事では、スムーズな住宅購入のために、適切な取得時期や具体的な手続きについて詳しく解説します。

耐震基準適合証明書の概要と発行の流れ

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耐震基準適合証明書は、住宅が現行の耐震基準を満たしていることを証明するための重要な書類です。この証明書は、建築士や指定の評価機関によって発行されます。

発行を希望する場合、まず対象の住宅に耐震診断を実施する必要があります。耐震診断では、建物の構造や耐震性能が評価され、その結果を基に証明書の発行可否が判断されます。必要な書類を揃えた上で申請を進めることが重要で、これらの準備を怠るとスムーズな手続きが難しくなります。

耐震基準適合証明書とは何か

耐震基準適合証明書は、その名の通り住宅が耐震基準を満たしていることを証明するための文書です。日本は地震大国といわれるほど地震リスクが高く、そのため適切な耐震性を備えた住宅が求められます。

この証明書が発行されている住宅については、住宅ローン控除や不動産取得税の軽減、登記費用の優遇など、税制上の特典を受ける資格が得られるため、取得を検討する重要な意味があります。特に住宅購入を考える際には、耐震基準適合証明書の有無が安全性やコストメリットの面で非常に大きな判断材料となります。

また、既存の住宅を購入する場合でも、耐震基準適合証明書を取得することで、その住宅が一定の耐震基準を満たしていることが保証され、安心して生活するための基盤が整っているといえるでしょう。

このように、耐震基準適合証明書は新築物件だけでなく中古住宅においても重要な価値を持つ書類であり、地震に備えるための選択肢として検討すべきポイントです。

証明書発行の要件と手続き

耐震基準適合証明書を発行するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。この証明書の取得には、まず専門の建築士による耐震診断を受け、その結果が耐震基準を満たしていることが確認されることが重要です。診断には現地調査が含まれ、その過程で建物の安全性を評価するために一定の時間を要するのが一般的です。

また、診断の結果次第では、建物が基準を満たすために耐震補強工事が必要となることもあります。

証明書取得にかかる期間・費用

耐震基準適合証明書の取得にかかる期間や費用は、住宅の状況により変動しますが、概ねの目安があります。
まず、耐震診断自体には数時間の現地調査が必要で、結果が出るまでに通常1週間ほどを要します。その後、必要な改修工事が発生することもあり、工事の実施に数週間かかる可能性も。
これらを含めて全体的に見ると、証明書の取得には約1か月以上の期間が見込まれます。

また、耐震診断費用や証明書発行手数料を含めると、総額で数十万円になることも珍しくありません。コストをあらかじめ算出し、資金計画を立てることが助けとなります。

耐震基準適合証明書を取得するメリット

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耐震基準適合証明書を取得することで、さまざまなメリットが享受できます。

特に、戸建てやマンション、新築住宅を購入あるいは所有する場合には、経済的観点からも大きな利点があります。一つずつ確認しておきましょう。

住宅ローン控除が受けやすくなる

住宅ローン控除は、住宅を購入する際の大きなサポートです。この制度を利用するためには、購入する住宅が一定の基準をクリアしていることが求められます。耐震基準適合証明書を取得することで、基準を満たす住宅として認められ、控除を受ける可能性が高まります。これにより、住宅ローンの返済が少しでも楽になることが期待できます。

具体的には、条件を満たすことで税金が還付されるため、手元に残る資金が増えます。これにより、新たな家計のやりくりがしやすくなるのは魅力的です。

また、物件の売却時にもこの証明書があることで、市場価値が向上することがあります。全体的に見て、長期的な資金管理において心強い味方となるでしょう。

不動産取得税や登録免許税が軽減される

不動産取得税や登録免許税は、住宅購入時に発生する多くの付帯費用の中でも大きな割合を占めています。これらの税金は地域や物件の評価額によって異なりますが、耐震基準適合証明書を有することで、一定の軽減が適用される場合があります。

特に、中古住宅の購入を検討している際には、大きな経済的メリットとなります。

取得税や免許税が軽減されることにより、初期投資を抑えることができ、その分を別の用途に利用することが可能となります。

たとえば、内装のリフォームや家具の購入資金に回す余裕ができるのです。これは、住宅購入後の満足度を高めるために重要な要素となります。

地震保険料が割引される

地震への備えは、特に日本では重要視されています。耐震基準適合証明書を取得している住宅は、地震保険会社からリスクが低いと見なされるため、保険料の割引が受けられる可能性があります。具体的には、耐震性の高い住宅に住むことで、自然災害に対する備えが強化され、保険料を低く抑えることが可能です。

この保険料の割引は、長期的に見ると大きな経済的利益に繋がります。地震自然災害による損失を軽減しつつ、一方で金銭的な負担も軽くなる二重のメリットと言えるでしょう。

固定資産税が減額される

固定資産税は、所有する不動産に課せられる税金であり、住宅を維持する上で無視できない存在です。耐震基準適合証明書を保有することで、固定資産税が減額される場合もあります。

具体的には、地方自治体の制度により、耐震性が高い住宅が評価され、税の軽減が適用されるケースがあるのです。この減額は、年間の税負担を軽減し、家計をサポートする要因となります。長期的に負担が軽減されることで、他の費用に充てる余裕も生まれます。

特に子育て世帯やリタイア世代にとって、経済的な安定がもたらす精神的なゆとりへの貢献は計り知れません。

このように、耐震基準適合証明書は固定資産税の軽減にも寄与し、投資としての価値を一層高めることができます。

耐震基準適合証明書の取得タイミング

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耐震基準適合証明書の取得タイミングは、住宅購入を検討する際に極めて重要です。

特に引き渡し前に証明書を取得することは、手続きのスムーズさや必要な改修工事への十分な対応時間を確保する上で非常に効果的です。このタイミングで取得することで、購入後に不要なトラブルを回避し、余計な負担を軽減することができます。

引き渡し前がおすすめの理由

引き渡し前に耐震基準適合証明書を取得する理由として、スケジュールの余裕を確保できる点が挙げられます。耐震診断には一定の手続きや調査が必要で、通常1週間から数週間を要します。

このため、引き渡し前という早めのタイミングで実施することで、調査や必要な改修工事が発生した場合でも、十分に余裕をもって対応可能です。このタイミングで計画的に進めておくことで、後々の予期せぬトラブルを回避できます。

さらに、引き渡し前に耐震基準適合証明書を取得することにより、売主との連携がスムーズに進むという利点もあります。

特に売主がまだ住宅に居住中であれば、必要な調査も迅速かつ円滑に進行でき、手続き全体が効率的に進む可能性が高まります。

引き渡し後はスケジュールに余裕がない

引き渡し後に耐震基準適合証明書を取得する場合、スケジュールがタイトになる可能性が高いです。引き渡しが終わった後は、居住を始める期限が定められているため、証明書の取得が急に迫ってくることになります。この状況では、必要な手続きや診断を迅速に進める必要があり、心理的にも負担が増すことが予想されます。

また、引き渡し後に行動を開始した場合、想定外の問題が生じることも考えられます。たとえば、耐震基準を満たしていないケースが判明した場合、その改修工事に要する時間が引き渡し後の生活に直接影響をもたらす恐れもあります。

こうした理由から、引き渡し前に証明書を取得することが理想的と言えるでしょう。

旧耐震の住宅の場合

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旧耐震基準で建てられた住宅を購入する際は、特別な配慮が必要です。これらの住宅は、現行の耐震基準を満たさない場合が多く、地震のリスクを考慮すると、安心して暮らすためには適切な対策が必要不可欠です。

耐震診断や耐震補強を行う必要がある

旧耐震基準で建てられた住宅やマンションの場合、まず耐震診断を行うことが重要です。専門の建築士や耐震診断士に依頼して建物の耐震性を詳細に評価してもらいましょう。

その結果に基づいて、耐震補強が必要かどうかを判断し、必要な場合は具体的な補強工事の内容や手順を検討することが求められます。

耐震診断を通じて判明した課題に応じた補強工事を行うことで、住宅やマンションの安全性を大幅に向上させることが可能です。

例えば、基礎の強化、壁の補強、新たな耐震壁の設置といった具体的な対策が含まれます。これらの工事を実施することで、建物の地震への耐久性が向上し、居住者が安心して暮らせる環境を整えることができます。

特にマンションでは共同で対策を取る必要があるため、早期の検討が大切です。このような耐震対策は、建物の価値を保つだけでなく、災害時の安全対策としても非常に有効です。

現行の耐震基準へ適合させる必要がある

旧耐震基準の住宅を購入した場合、現行の耐震基準に適合させることが大きな課題です。日本では、地震による被害を最小限に抑えるため、建築基準法の改正が進み、耐震性能が強化されてきました。そのため、現行の基準を満たすことが重要視されています。

特に、旧耐震住宅は建築時の基準が現在のものと異なるため、多くの場合、適切な補強や改修を行う必要があります。

まず、耐震診断を受けて自宅の現状を把握し、基準を満たすための具体的な対策を検討することが求められます。診断結果に基づき、耐震補強工事を行うほか、必要なら設備の追加や建物全体の構造の見直しを行うことが求められる場合もあります。

改修費用については、耐震化を目的としたローンを利用することで資金計画を立てやすくなる場合があります。現在、地震に対する安全性を高めるための補助金制度やローン商品も提供されていますので、これらを積極的に活用すると良いでしょう。

現行の耐震基準に合わせた補強や改修を行うことで、地震による被害のリスクを大幅に低減させることが可能です。

また、安心して暮らせる住環境を実現するとともに、住宅の資産価値を向上させる長期的なメリットも期待できます。

購入者が知っておくべき取得のポイント

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耐震基準適合証明書を取得する際には、買主にとって重要なポイントを押さえておくことで手続きをスムーズに進められます。

まず、必要な書類の準備と事前の確認が非常に重要です。
具体的には、耐震診断に必要な書類として、物件の登記情報や検査済証などが含まれます。これらの書類を事前に整えておかないと、診断から証明書発行に至るまでのプロセスが遅れる恐れがあります。

そのため、買主は予め必要な書類を整理し、内容を確認することが大切です。

さらに、物件の状態に応じて追加の資料が求められる場合もあるため、購入を検討する段階で十分な下調べを行うことが効果的です。

特に、物件の耐震性能に関する情報収集や手続きに関する詳細を早めに確認することで、予期しない遅延を回避できます。

書類準備と事前確認の重要性

書類の準備は、耐震基準適合証明書の取得において非常に重要です。必要な書類が揃っていないと、診断やその後の手続きが遅れるだけでなく、場合によっては買主に不安を与える可能性も。

具体的には、耐震診断に必要な書類として、建物の図面、登記簿謄本、過去の検査済証、そして瑕疵保険の適用を考慮した情報も含まれます。これらの書類は、依頼する建築士や診断機関によって要求されるものが異なる場合があるため、事前に必要な資料を確認しておくことで手続き全体を効率的に進められます。

特に、中古住宅の場合は、過去の改修履歴や工事内容が診断の重要な判断材料となるため、可能な限り正確かつ詳細な情報を用意することが欠かせません。これにより、耐震診断の精度が向上し、買主にとっても安心感を提供することにつながります。

また、瑕疵保険の適用を受ける際にも適切な書類が揃っていることが重要であるため、書類準備を怠らないことが手続きのスムーズさ、そして後々のトラブル回避へとつながります。事前確認をしっかりと行い、必要な資料を万全に用意することで、安全かつ効率的な手続きを進めましょう。

耐震基準適合証明書を発行できるのは建築士

耐震基準適合証明書を発行できるのは、資格を持った建築士です。建築士は、耐震診断に関する専門知識を有し、建物の安全性を確認するための正確で信頼性の高い評価を行います。この証明書は建築士以外の資格を持たない者が発行することはできません。

そのため、証明書の発行には、必ず専門の建築士に依頼する必要があります。耐震診断を適切に行い、有益な結果を得るためには、住まいの現状を正確に評価できる知識と経験を持つ建築士の存在が欠かせません。

耐震基準適合証明書が必要な場合、特に買主が住宅購入を検討している際には、信頼できる建築士を選ぶことが不可欠です。専門性の高い建築士に依頼することで、安全性を確保した上で住宅の購入や改修を進めることが可能となります。

特に築年数が経過した住宅では、構造的な問題が隠されている可能性があるため、家の状態について深い知識を持った信頼性の高い専門家を選定することが大切です。

まとめ:耐震基準適合証明書の取得は早めに

耐震基準適合証明書は、住宅の安全性を確認するうえで非常に重要な書類です。この証明書を取得することで、住宅ローン控除や税金の軽減、さらには地震保険料の割引など、多くのメリットが得られます。

そのため、この書類の取得は非常に価値があり、住まいを安全で経済的に維持するための大切な一歩です。

特に、旧耐震基準で建てられた住宅を購入する場合は注意が必要であり、現行の耐震基準に適合させるために、耐震診断や補強工事を行うことが不可欠です。

この際、耐震基準適合証明書を取得するための要件や手続きの流れをしっかりと把握しておくことが、スムーズな進行に繋がります。必要な書類を事前に準備し、信頼できる専門の建築士に依頼することで、手続きの効率が大きく向上します。

また、取得のタイミングに注意し、充分な余裕を持って準備を進めることが重要です。購入者が書類準備や各手続きを慎重に進めることで、安全性に優れた住環境の実現が可能となります。

耐震基準適合証明書の取得は、将来の安心を支える基盤であり、家族と暮らす住居において欠かせないものと言えるでしょう。

WRITERこの記事を書いた人

ディレクター

山根 広大KODAI YAMANE

ディレクター / 奈良県橿原市出身 / お客様にとっての「カッコいい」とは何かを常に考えてご提案させていただきます / 自分だけのこだわりを沢山作ることを意識しています。こだわりが沢山あるほど人生は豊かになると考えています

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