悩んだからこそたどり着いた「ホテルライクな古民家」|インタビュー

「古民家っぽくしたい」「ホテルみたいにしたい」――揺れるイメージの中で進んだリノベーション。
迷いながらも、自分たちらしい“心地よさ”を見つけたU様にお話を伺いました。
▼今回のPJメンバー
施主様:U様
クジラディレクター:山根
クジラデザイナー:兒島
目次
クジラとの最初の出会いときっかけ
― 最初にご連絡いただいたきっかけは?
U様:SEKAI HOTEL(セカイホテル)をテレビで見て、直接電話をしました。奈良県天理市の家の相談をしたかったのですが、遠いのもあって相談できる相手が見つからず。ちょうど良いタイミングでした。
SEKAI HOTEL Takaoka
U様:普段は大阪に住んでいるんですが、富山県高岡市のSEKAI HOTEL Takaokaのデザインを見て、「こんなお家だったら遠くても帰りたくなるだろうな」と思ったんです。それがきっかけでした。
― リノベーションを決めた理由は?
U様:叔母の家を相続して、最初は水回りだけ直すつもりだったんです。でも、相談していくうちに「ここも変えたい」と思うようになって、どんどん広がっていきました。
兒島:最初のテーマは“古民家風”と“ホテルライク”。対照的な要素ですが、「おしゃれにしたい」という想いは一貫していましたね。
U様:そうですね。写真をたくさん送りながら「このデザインはここに使える?」と相談して進めました。迷うことも多かったけど、そのやりとり自体が楽しかったです。
「古民家」と「ホテルライク」2つの魅力を共存させる
― コンセプトや住み分けで意識されたことは?
U様:もともと古い家なので、「どこまで変わるのかな」という不安はありました。ホテルライクなデザインを希望していましたが、古さが残ってしまうのでは…と心配でした。
山根:ご希望をお伺いしたとき、古民家の雰囲気自体がNGではなく、予算も限られている中でどうやってデザインを共存させるかが鍵だと思いました。
兒島:空間ごとにテーマを分けて、和室は古民家の風合いを残し、リビングや水回りはホテルライクに仕上げました。暮らしの中で役割を分けるイメージですね。
U様:その提案がとてもしっくりきました。懐かしさのある古民家の雰囲気と、非日常を感じるホテルの両方があるからこそ、帰ってきたときにほっとする空間になっています。

U様:どちらの要素も取り入れたからこそ、家全体が単調にならずバランスが取れたと思います。
来客に驚かれた提案
― 特にお気に入りの場所は?
U様:リビングです。朝、東から光が入る感じが好きで。以前はどこも片付かずにストレスを感じていましたが、今はすっきり過ごせています。

山根:私もリビングが印象的です。伺うたびに家具や小物が少しずつ増えていて、“暮らしが馴染んでいく家”になっていると感じます。
U様:玄関も気に入っています。「全部変えたい」と思っていましたが、「このまま活かしましょう」と提案してもらえて結果的に良かったです。

― 印象に残った提案はありますか?
U様:障子の紙をあえて外してもらったことです。何も言わなくてもすっきり見せてくれて。「これから張るんですか?」と業者さんに聞かれて「いえ、張りません(笑)」と答えたのを覚えています。

U様:あと、リビングのドアをハイドアにしてもらったこと。開口に合わせて枠を工夫してもらい、実際より天井が高く見えるんです。来る人みんな「うわ〜高いドアやね」と驚いてくれます。

イメージが難しいからこそ、プロと作る空間
― 途中で悩んだことってありましたか?
山根:壁の仕上げでは特に悩まれていましたよね。
U様:はい。古民家らしさを残しつつ、ホテルライクな要素をどう組み合わせるかが難しかったです。塗装のサンプルを見たときは「少し違うかも」と思ったんですが、実際に施工してみるとやっぱり気になって、LDKは塗り直しをお願いしました。色味も少し白すぎるかなと感じていて。パースの時点でも「もう少し落ち着いたトーンがいいかも」と相談していたんです。
▲塗り直し前のイメージパース
▲塗り直し後のイメージパース
兒島:パースでは質感や光の反射まで完全には再現できませんし、サンプルも小さな面でしか確認できないので難しいですね。
U様:家具も同じで、お店で見たときと家に置いたときで印象が違う。だからこそ、プロと一緒に作る大切さを実感しました。
打ち合わせで感じた、プロとの信頼関係
― 打ち合わせで印象に残っていることは?
U様:お二人とも、人の意見を否定しないところが印象的でした。私は意見がよく変わるタイプなんですが、いつも丁寧に聞いてくれて安心できました。写真をたくさん送っても、ちゃんと意図をくみ取って提案してくれるんです。
兒島:最初の参考写真が多いと意図がつかみやすいんです。ただ系統がバラバラだと方向性が定まりにくいのですが、U様の写真は雰囲気が近く、「古民家」と「ホテルライク」の二軸が自然と見えてきました。

― DIYを検討されたこともあったとか?
U様:はい、最初は襖の張り替えを自分でやろうと思ったんです。でも写真を撮ったら二十数枚あって、「これは無理だな」と(笑)。結果的にお願いして良かったです。
山根:塗装なども少し挑戦してみても面白かったかもしれませんね。
U様:現場を見て、養生や準備の大変さを知りました。仕上がりの美しさを見て、やっぱりプロに頼んで正解だと思いました。
編集後記
U様のお話からは、迷いながらも理想の空間を模索し続けた姿が伝わってきました。
ときにDIYも考えながらも、最終的にはプロに託して完成させた住まい。
そこにはホテルライクな洗練さと古民家の落ち着きが同居し、U様ならではの空間が形になっていました。
迷いながらも理想を追い続けたU様。
試行錯誤の先に完成した住まいには、ホテルライクな洗練と古民家の落ち着きが共存しています。
“悩む時間も家づくりの一部”
そんな想いが伝わる住まいです。
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