古い木造住宅をリノベーション!費用相場や注意点を紹介

こんにちは!クジラ株式会社の菅原です!
![]() | Writer 菅原沙絵 デザイナー WORKS 2017年に新卒入社以来、住宅だけではなく店舗や宿泊施設のデザインも担当してきた。 お客様の理想を正確に捉え、ヒアリングを中心にデザインしていくことを得意としているデザイナー。 CREATOR’s STORY|菅原 沙絵 |
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古い木造住宅のリノベーションでは、新築よりも費用を抑えながら、現在のライフスタイルに合わせた快適な住まいを実現できる可能性があります。
特に築50年を経過した住宅でも、構造躯体がしっかりしていればフルリノベーションが可能です。リノベーションでは、間取り変更や水回り設備の刷新だけでなく、耐震補強や断熱工事といった住宅性能の向上も実現できます。
ただし、築年数の古い住宅では、建物の劣化状況によっては追加工事が必要になるケースや、構造上の制約から希望通りの間取りが実現できない可能性もあるため注意が必要です。
目次
築年数が古い木造住宅でもリノベーションは可能か
築年数が経過した木造住宅でも、リノベーションによって快適に住み続けられます。一般的に木造住宅の寿命は30年程度と言われることがありますが、これは不具合が原因で建て替えを行う人が多くなるためで、適切なメンテナンスを行えば75~90年、長期優良住宅であれば100年ほど住み続けられると推測されています。したがって、築80年や90年といった古い住宅でも、リノベーションで再生させることは十分に可能です。
リノベーションでは、住宅性能やデザイン性を向上させたり、ライフスタイルに合わせた間取り変更をしたりすることができます。ただし、建物の構造によっては希望の間取り変更が難しい場合や、シロアリ被害や雨漏りなどによって追加工事が必要になる可能性もあるため、事前に専門業者に相談し、建物の状態をしっかり確認することが重要です。
建て替えorリノベーション?3つの判断基準
住宅の建て替えとリノベーションのどちらを選ぶかは、家屋の状態やライフプランによって判断基準が異なります。一般的に、建て替えは既存の建物を解体し、基礎から新しく建築するため、間取りや設備、デザインの自由度が高いことが特徴です。
一方で、リノベーションは既存の構造を活かしながら改修するため、建て替えに比べて費用を抑えやすく、工期も短い傾向にあります。
しかし、旧耐震基準で建てられた家屋の場合、リノベーションで耐震補強を行うことが推奨されます。
また、2025年4月に改正される建築基準法により、大規模なリノベーションでは建築確認申請が必要となるケースが増えるなど、法規制も判断に影響を与える要素です。
これらの要素を総合的に検討し、ご自身の希望と予算に合った選択をすることが大切です。
構造躯体や基礎の状態をチェックする
築50年の家屋をリノベーションする際は、構造躯体や基礎の状態を必ず確認するようにしましょう。築50年ともなると、1981年の新耐震基準以前に建てられている可能性が高く、耐震性が現在の基準を満たしていないことも考えられます。そのため、リノベーションの検討と合わせて、専門家による耐震診断を受けることが重要です。
診断の結果、基礎や柱、梁などの主要構造部分に腐食やシロアリ被害がなく、耐震性に問題がないと判断されれば、リノベーションで長期的に住み続けることが可能です。
また、劣化が見られる場合は、基礎のひび割れ補修や耐震パネルの追加といった耐震補強工事が必要になります。適切な補強を行うことで、安全性と快適性を高めることができます
理想の間取りが実現可能か確認する
リノベーションで理想の間取りを実現するためには、どのようなライフスタイルを送りたいかを具体的にイメージすることが重要です。戸建てや一軒家の場合、マンションに比べて間取り変更の自由度が高い傾向にありますが、建物の構造によっては希望通りの間取りが実現できないケースもあります。
例えば、耐力壁は撤去できないため、壁の位置によっては間取り変更に制限が生じるでしょう。また、水回りの移動には給排水管の工事が必要となり、費用が高くなる可能性もあります。
そのため、リノベーション会社と相談しながら、現在の建物の構造を把握し、理想の間取りがどこまで実現可能かを確認することが大切です。
家族構成の変化や将来を見据えたバリアフリー化など、長期的な視点での間取り計画も検討することで、より満足度の高いリノベーションにつながります。
建築基準法などの法規制を調べる
古い木造住宅のリノベーションを検討する際、建築に関する法規制の確認は不可欠です。
特に、大規模な増改築や用途変更を伴う建築では、建築基準法によって建築確認申請が必要となる場合があります。2025年4月に改正される建築基準法により、これまで対象外だったリノベーションも建築確認の対象となるケースが増える見込みです。
また、市街化調整区域や防火地域など、特定のエリアに建つ住宅の場合、建ぺい率や容積率、高さ制限など、さらに詳細な規制が設けられていることがあります。これらの法規制は、リノベーションで実現できる設計や規模に大きく影響するため、事前に自治体の担当窓口や専門業者に相談し、適切な情報を得ることが重要です。
木造住宅のリノベーションで実現できる工事内容
木造住宅のリノベーションでは、戸建てや一軒家の特性を活かし、多岐にわたる工事内容を実現できます。ここでは、ライフスタイルに合わせた間取りの変更から、住宅性能の向上に至るまで、具体的な工事内容についてご紹介します。
ライフスタイルに合わせた間取りの変更
木造住宅、特に戸建てや一軒家では、ライフスタイルの変化に合わせて間取りを変更することがリノベーションの大きな魅力です。
例えば、家族構成の変化に合わせて部屋数を増やしたり減らしたり、和室を洋室に変更してリビングと一体化させたりと、自由度の高い改修が可能です。個室をワークスペースにしたり、広々としたリビングダイニングを設けたりすることで、毎日の暮らしがより快適になります。
このように、現在の生活様式に合わせた最適な空間を創り出すことで、住まいの満足度を高めることができます。
住まいの印象を変える外壁や屋根の改修
戸建てや一軒家における外壁や屋根の改修は、住まいの印象を大きく左右する重要なリノベーションです。外壁塗装やサイディングの張り替え、屋根材の交換などにより、建物の美観を向上させるだけでなく、防水性や断熱性を高める効果も期待できます。
色や素材の選択によって、モダンな雰囲気にしたり、クラシックな趣を持たせたりと、様々なデザインを実現することが可能です。
また、外壁や屋根は常に外部環境に晒されているため、定期的なメンテナンスや改修は建物の寿命を延ばし、資産価値を維持するためにも不可欠と言えるでしょう。
将来も安心なバリアフリー化
戸建てや一軒家では、将来にわたって安心して暮らすためにバリアフリー化を検討することも大切です。段差の解消や手すりの設置、間口の広いドアへの変更など、バリアフリーリノベーションを行うことで、高齢の方や小さなお子様がいるご家庭でも安全で快適な生活を送ることができます。
また、車椅子での移動を考慮した通路幅の確保や、浴室・トイレの改修など、具体的なニーズに合わせた改修も可能です。これらの改修は、長期的な視点で見ると住まいをより使いやすくし、資産価値の向上にもつながるでしょう。
住宅性能を高める耐震補強や断熱工事
木造住宅のリノベーションでは、耐震補強や断熱工事を通じて住宅性能を大幅に向上させることが可能です。
特に、旧耐震基準で建てられた住宅では、耐震診断に基づいた適切な耐震補強工事を行うことで、地震に強い家へと生まれ変わらせることができます。
また、壁や床、天井に断熱材を施す断熱工事は、夏は涼しく冬は暖かい快適な居住空間を実現し、冷暖房費の節約にもつながります。これらの工事を組み合わせることで、新築同様の安全性と快適性を備えた住まいを実現し、長期にわたって安心して暮らせるようになるでしょう。
【工事内容別】木造住宅のリノベーションにかかる費用相場
木造住宅のリノベーションでは、どのような工事を行うかによって費用が大きく異なります。
ここでは、耐震補強工事や断熱工事、間取り変更、水回りの刷新、内装・外装の一新など、主要な工事内容ごとに費用相場を詳しくご紹介します。ご自身の希望するリノベーション内容と照らし合わせながら、費用計画を立てる際の参考にしてください。
耐震性を向上させる補強工事の費用
耐震補強工事の費用は、建物の現在の状況やどのような工法を選択するかによって大きく変動します。旧耐震基準で建てられた木造住宅において、大規模な耐震補強を行う場合、一般的に150万円から300万円程度の費用がかかる傾向です。これは、壁や基礎の補強、接合部の金物による強化など、多岐にわたる工事が含まれるためです。
加えて、耐震診断の費用が別途必要となるケースが多く、5万円から30万円程度が目安となります。これらの費用はあくまで概算であり、建物の劣化状況や希望する耐震レベルによって大きく変動する可能性がありますので、複数の専門業者から詳細な見積もりを取得し、比較検討することが大切です。
夏涼しく冬暖かい家にする断熱工事の費用
戸建ての断熱工事の費用は、施工箇所や使用する断熱材の種類、施工方法によって大きく変動します。窓の断熱リフォームは1箇所あたり8万円から15万円程度、床の断熱リフォームは床下から施工する場合は50万円から70万円程度が目安です。天井の断熱リフォームは、天井裏に断熱材を敷き詰める方法で10万円から40万円程度、壁の断熱リフォームは、内壁を剥がして断熱材を入れ替える場合100万円から150万円程度かかります。
家全体を断熱改修する場合、規模や内容によって大きく幅があり、数百万円程度の費用がかかるでしょう。例えば、30坪の一戸建てで壁全体を外断熱にする場合は150万円から300万円が目安です。
断熱工事は初期費用がかかりますが、冷暖房効率が向上し、年間で約2万円以上の光熱費削減効果が期待できます。 長期的に見ると費用対効果が高い投資と言えるため、複数の業者から見積もりを取り、費用と効果のバランスを考慮して検討することが大切です。
間取り変更や増減築にかかる工事費用
間取り変更や増減築にかかる費用は、工事の規模や内容によって大きく変動します。
壁の撤去のみ
5〜15万円程度が目安ですが、電気工事が必要な場合は11〜13万円、さらに引き戸を設置すると20〜35万円ほどかかるでしょう。
部屋を増築する場合
1階部分では1畳あたり25万円から65万円程度、2階部分では1畳あたり50万円から100万円程度が相場です。
特に平屋を2階建てにする増築は、1階部分の補強や屋根の解体・再構築が必要なため、1坪あたり約120万円と高額になる傾向にあります。
水回りの増築
配管工事が伴うため、キッチンで90万円から400万円、浴室で75万円から250万円、トイレで50万円から200万円程度と、一般的な部屋の増築より費用が高くなることが多いです。
二世帯住宅への増築リフォーム
完全分離型の場合1,000万円から2,500万円程度が目安となります。
減築のリフォーム
施工面積1m²あたり10.5万円から15万円程度が一般的ですが、工事内容によっては20万円前後になることもあります。2階建てを平屋にする減築は、2階部分の解体と屋根の設置などで、2階の床面積100m²の場合約1,000万円ほどかかるでしょう。
増築や減築は建築確認申請が必要なケースがあり、特に床面積が10m²を超える増築では申請が義務付けられています。
キッチンや浴室など水回りを刷新する費用
キッチンや浴室、トイレなどの水回りの刷新は、リノベーションの中でも人気が高く、住宅の快適性を大きく向上させる要素です。これらの設備の交換費用は、選ぶ製品のグレードや機能、設置に伴う給排水管工事の有無によって大きく変動します。
例えば、システムキッチンは50万円から150万円程度、ユニットバスは50万円から150万円程度が相場です。
また、設備の移動を伴う場合は、配管工事が複雑になり、その分費用が高くなる傾向があります。内装材の変更も同時に行うことで、より統一感のある空間に仕上げることができます。
内装や外装を一新する場合の費用
内装や外装を一新する際にかかる費用は、使用する素材のグレードや施工範囲によって大きく変動します。壁紙の張り替えや床材の交換といった内装の変更は、素材の種類によって費用が大きく異なり、自然素材やデザイン性の高いものを選ぶと費用は高くなる傾向です。
外装工事も同様に素材や劣化状況によって費用が変わりますが、外壁の塗り替えは70万円から150万円程度、屋根の葺き替えは80万円から200万円程度が目安です。
内装と外装を同時に行うことで、足場代などの費用を抑えられる場合があるため、計画的に検討することが大切です。
木造住宅のリノベーションで後悔しないための注意点
木造住宅のリノベーションを成功させるためには、事前に考慮すべきいくつかの重要な注意点があります。理想の住まいを実現するために、リノベーション計画を立てる際には、費用面だけでなく、建物の構造的な制約や将来的なリスクも視野に入れることが大切です。これらの注意点を踏まえることで、後悔のないリノベーションを実現し、長く快適に暮らせる住まいへと生まれ変わらせることができます。具体的には、以下の点について詳しく解説していきます。
構造上、希望の間取りにできないケースがある
リノベーションでは、既存の建物の構造が大きく影響するため、戸建てや一軒家、マンション問わず、希望通りの間取りにできないケースがあります。
特に、柱や壁が構造を支える耐力壁である場合、その撤去は困難であり、間取り変更に制限が生じるでしょう。
また、水回りの大幅な移動は、給排水管の移設工事が伴い、費用が増加する要因となります。そのため、リノベーションを計画する際は、事前に専門家による現地調査を行い、建物の構造を正確に把握することが非常に重要です。
シロアリ被害や雨漏りなど追加工事が発生する可能性
古い家屋のリノベーションでは、建物の劣化状況によっては想定外の追加工事が発生する可能性があり、その分費用も増えることに注意が必要です。
特に、シロアリ被害や雨漏りによる躯体の腐食、配管の老朽化などは、解体後に初めて判明することが少なくありません。
これらの問題は建物の安全性や耐久性に直結するため、発見され次第、速やかに修繕しなければなりません。追加工事が発生すると、当初の見積もりよりも費用が高くなるだけでなく、工期が延びる可能性もあります。
そのため、リノベーションを計画する際は、あらかじめ予備費を設けておくことや、信頼できるリノベーション会社と綿密な打ち合わせを行い、リスクに備えることが大切です。
事前に耐震診断を受けて建物の強度を確認する
古い木造住宅のリノベーションでは、建物の安全性を確保することが最も重要です。そのため、事前に耐震診断を受け、建物の強度を正確に把握することをおすすめします。
特に、築年数が古い建物は、現在の耐震基準を満たしていない可能性があり、耐震性の向上が不可欠です。耐震診断によって、建物のどの部分に補強が必要か、具体的な改修計画を立てることができます。
これにより、安心して暮らせる住まいへとリノベーションすることが可能になります。
電気・水道・ガスの配管移設で費用が高くなることも
電気・水道・ガスの配管移設を伴うリノベーションは、費用が高くなる傾向があります。
特に、水回りの位置を大きく変更するような間取りの変更では、既存の配管を撤去し、新たな配管を設置する必要があるため、工事が大掛かりになることが多いです。
配管工事の費用は、移動距離や経路、使用する配管の種類によって変動します。
また、壁の内部や床下を通す作業は、構造によっては困難な場合もあり、そのために追加費用が発生することもあります。そのため、リノベーション計画を立てる際には、配管移設の有無とそれに伴う費用について、事前にリノベーション会社としっかり相談し、見積もりに含まれているか確認することが大切です。
費用と目的で見る 木造住宅のリノベーション施工事例
ここでは、戸建てや一軒家のリノベーションを検討している方に向けて、費用と目的に合わせた具体的な施工事例をご紹介します。様々な事例を通じて、ご自身の理想とする住まいを実現するためのヒントを見つけてください。
1,000万円代
長屋を広くみせる1LDK
幼少期から親しんできた実家を、終の住処としてリノベーションしました。長屋特有の間口が狭く、奥に光が入りにくい構造。2部屋に分かれていた居室は1つにまとめ、階段室の壁はガラスにすることで視線を遮ることなく、部屋を広く感じさせます。
2,000万円代
木の温もりを感じる、開放感のある天井
キッチンとリビングを回遊でき、面積以上に広く感じる仕掛けも。
TVを見ている子どもの笑顔、ダイニングで勉強する真剣な顔も、キッチンから見守ることができます。
家族の集まるリビングは、木のぬくもりたっぷりの空間です。
目的別
猫ちゃんと一緒に。居心地の良い距離感で、家族団らんの2世帯住宅
親御さんご夫婦、息子さんご家族、5匹の猫ちゃんが暮らす二世帯住宅。
全員が居心地の良い距離感で、人も猫も家族みんなの落ち着く空間を。
ホテルに暮らすように過ごす、古民家リノベのセカンドハウス
親戚の方から引き継いだ古民家を、セカンドハウスとしてリノベーション。
余暇を過ごすホテルで感じる、ゆとりと穏やかな時間をお家にも取り入れられるように設計しました。
趣のある扉や天井、コンクリートの壁など元のお家の良さを生かしつつ、新しい要素と組み合わせて新旧が織りなすデザインが実現できました。
まとめ
木造の戸建てや一軒家のリノベーションは、築50年の家屋でも、耐震補強や断熱工事、間取り変更を施し、フルリノベーションすることで、新築のような快適な住まいに生まれ変わらせることが可能です。
2階建てを平屋に、6畳の和室を洋室にするなど、様々な希望を建築会社と相談しながら理想の家屋を実現できます。
ただし、建物の構造によっては希望通りの間取りが難しいケースや、シロアリ被害や雨漏りなどによる追加工事が発生する可能性もあるため、注意が必要です。事前に耐震診断を受け、電気・水道・ガスの配管移設の費用も考慮に入れることで、後悔のないリノベーションを進めましょう。