新築マンションのキッチンをリノベーション|交換せずに既存を生かす方法と実例

「よくあるマンションの内装って、ちょっと味気ないところがあるじゃないですか。真っ白で、つるっとしていて……それがどうしても馴染まなくて」。吹田市の新築マンションを部分リノベーションしたお客様の言葉です(お客様インタビューより)。このご家族も、当初はキッチンを全部壊してつくり直すつもりでした。
新築マンションのキッチンは、本体を交換しなくても、天板や側面の仕上げ、水栓・レンジフード、キッチンまわりの収納や天井を変えることで、見た目を変えられます。傷みの少ない新しい設備を残せる点は、新築ならではの判断材料です。一方で、高さや収納量、キッチンの位置に不満があるなら、本体の交換も並べて比べます。
この記事では、既存のキッチンを生かすときに変えられる部分、本体の交換と比べるときの観点、新築マンションで工事の前に確かめたいことを、既存のシステムキッチンの天板と側面にモールテックスを塗った吹田市の事例とあわせて紹介します。
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新築マンションのキッチンリノベーションは残す部分と変える部分を分けて考える
既存のキッチンを生かす場合は、本体は残し、目に入る面と、まわりの天井・壁・収納を変える計画になります。吹田市の事例で変えた部分を並べると、次のとおりです。
表は横にスクロールできます →
| 変える部分 | 吹田市の事例でしたこと | 計画で確かめたいこと |
|---|---|---|
| 天板・側面の仕上げ | 元の天板と側面にモールテックスを塗った | 水や油が付いたときの手入れ、傷やしみが付いたときに補修できるか |
| 水栓・レンジフード | どちらも交換した | 選びたい機種が、今の天板の穴や配管・換気の位置に合うか |
| ダイニング側の収納 | 扉の無い白い平らな面だったダイニング側を、ラワン合板の扉で取っ手のないカウンター下収納にした | 何をどこにしまうか、扉の色や素材を床や部屋とそろえるか |
| まわりの天井・壁 | キッチンの上の下がり天井の角を落としてアール状にした。コンロ横はネイビーのタイル | 天井や壁の工事が、照明やレンジフードの位置と干渉しないか |
※「事例でしたこと」は吹田市の事例の内容です。ほかの住まいで同じ工事ができるかは、キッチンの造りや建物の条件によって変わります。
本体の交換と比べるときは見た目と使い勝手と費用を並べる
既存を生かすか本体ごと交換するかは、一つの基準では決まりません。次の3つを並べて考えます。
- 見た目:不満が「白くてつるっとした質感」や「どこにでもある印象」なら、天板や側面の仕上げ、収納の扉の素材を変えるだけで印象が変わることがあります。
- 使い勝手:高さが合わない、収納が足りない、壁付けを対面にしたいなど、使い方の不満があるなら、仕上げを変えるだけでは解決しません。本体の交換やレイアウトの変更も候補に入ります。
- 費用:キッチン本体を交換する場合の一般的な目安は、50万円〜300万円(1台・税別)です。
本体交換の幅が広いのは、扉や天板の素材、設備のグレードで本体の価格が大きく変わるためです。新築のキッチンが気に入らない理由がデザインなら、デザインで選んだキッチンが予算を超えることもあります。本体交換の案と既存を生かす案の両方で見積もりを取り、見た目がどこまで近づくかと金額を並べて比べると、判断しやすくなります。
キッチン本体の仕様は変えずに、腰壁やカウンターで見せ方を変える方法は、こちらの記事でも紹介しています。
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既存のシステムキッチンにモールテックスを塗った新築マンションの事例
全部壊す予定から既存のキッチンを生かす計画に変えた


大阪府吹田市の新築マンション(81.88㎡・2LDK・RC造)を部分リノベーションした事例です。インタビューでお客様は、「当初はキッチンも全部壊して、ゼロベースでつくるつもりだったんです。でも現物を見ていく中で、既存の設備や素材を活かす方向にシフトしました」と話しています。
キッチンは、元々あった据え付けのシステムキッチンをそのまま使い、天板と側面にモールテックスを塗りました。水栓とレンジフードは交換し、収納も造作で追加しています。

モールテックスを塗った天板は、角から側面まで同じ仕上げが続き、表面には塗り仕上げの濃淡が見えます。

改修前は扉の無い白い平らな面だったダイニング側には、カウンター下の収納を設け、扉にはラワン合板を使って取っ手を付けずに平らに仕上げました。コンロ横のネイビーのタイルが、ラワンの木目と対比するアクセントになっています。

キッチンの上の下がり天井は、改修前の写真にも写っている四角い形から、角を落としたアール状に変えています。キッチンそのものだけでなく、天井の形でもキッチンまわりの印象を変えた例です。

インタビューでは、このキッチンを「コストを抑えつつ、最大限のアップデートを実現した」とまとめています。今あるキッチンの現物を見ながら残せる部分を確かめ、全部壊す計画から切り替えたことが、この事例のポイントです。
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア・種別 | 大阪府吹田市・新築マンション(2LDK・RC造) |
| 面積 | 81.88㎡ |
| 工事内容 | 部分リノベーション |
| 工期 | 120日 |
| 参考費用 | 923万円(税込) |
参考費用は、収納やアーチ状の天井、エアコン配管を隠す柱などを含む部分リノベーション全体の掲載額です。キッチンの工事だけの費用ではありません。
担当者が住まいの「違和感」を消すために重ねた工夫は、こちらのコラムで紹介しています(「“ちょっとした違和感”を消す」【KUJIRAメソッド①】)。
↓こちらの施工事例もご覧ください
新築マンションで既存キッチンを生かす前に確かめたいこと
既存のキッチンを生かす計画は、今のキッチンの使い勝手、塗り仕上げの手入れ、マンションのルール、新築時のアフターサービスの4つを先に確かめておくと、後から迷いにくくなります。
今のキッチンの使い勝手に不満がないか
仕上げを変える方法で変わるのは、主に見た目です。毎日使っていて高さや作業スペース、収納量に不満がある場合や、壁付けのキッチンを対面にしたい場合は、本体の交換やレイアウトの変更も含めて検討します。まだ住み始めていない場合は、実際に料理をする手順を思い浮かべながら、今のキッチンで困りそうなことを家族で話してみるのも良いかもしれません。
キッチンの位置ごと変えたい場合に、マンションで確かめたいことはこちらの記事で紹介しています。
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塗り仕上げにするなら手入れと補修の方法を聞いておく
事例の天板は、写真のように表面に濃淡のある質感です。天板は毎日水や油が付く場所なので、ふだんの手入れの方法と、傷やしみが付いたときに補修できるかを、施工する会社に確認しておきます。シンクのふちやコンロまわりなど、塗り仕上げと設備の境目がどう納まるかも、あわせて聞いておくと安心です。
マンションの管理規約と工事の届け出を確認する
新築マンションでも、リノベーション工事は管理規約に沿って進めます。国土交通省のマンション標準管理規約では、共用部分や他の住戸に影響を与えるおそれのある専有部分の工事は、理事長に申請して書面などによる承認を受けるとしています。承認が要らない工事でも、工事業者の出入りや資材の搬入、騒音・振動・臭気など、工事中の影響を管理組合が事前に把握する必要があるものは、あらかじめ理事長に届け出るとしています。
標準管理規約はひな型で、実際に申請や届け出が要るか、その工事ができるかは、マンションごとの管理規約と管理組合の判断で決まります。工事の内容が決まったら、管理会社に管理規約と申請・届け出の書式を確認しておきます。
参考:国土交通省「マンション標準管理規約」(単棟型 第17条)
新築時のアフターサービスの扱いを確かめる
新築で買ったばかりの住まいでは、売主のアフターサービスの内容と、リノベーションで手を加えた部分の扱いを、工事の前に売主に確認しておきます。後で不具合が出たときに、どこへ相談すればよいかで迷わずに済みます。
新築マンションのキッチンリノベーションの要点
新築マンションのキッチンは、本体を残したまま、天板や側面の仕上げ、水栓・レンジフード、まわりの収納や天井を変えることで見た目を変えられます。本体の交換と比べるときは、見た目・使い勝手・費用を並べ、両方の案で見積もりを取ると違いが分かります。工事の前には、マンションの管理規約と届け出、新築時のアフターサービスの扱いを確かめておきます。
吹田市の事例では、全部壊す予定だったキッチンの現物を見て、天板と側面にモールテックスを塗り、ダイニング側の収納と水栓・レンジフードを変える計画に切り替えました。同じ住まいでエアコンの配管を柱で隠した工夫は、こちらの記事で紹介しています。
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今のキッチンのどこが気になるかを家族で話してみる、実例を見比べてみるなど、できるところから始めてみてください。実例は施工事例で、計画の進め方は自宅をリノベーションする流れで紹介しています。
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担当スタッフ
既製品の質感を残さず造作のような質感に
元々あった据え付けのシステムキッチンはそのままに、天板と側面にモールテックスを塗り、造作のような質感にしました。カウンター下の収納は取っ手を付けず、フラットに仕上げています。既製品の質感が一つでも残ると、そこが違和感になって全体の印象が崩れてしまうので、細かいところまで手を入れました。