費用相場と注意点を解説!水回りリフォームは3点・4点セットがお得
こんにちは!クジラ株式会社の高橋です。
Writer 髙橋桃子 デザイナー WORKS 2016年に入社したスタッフの中で最もクジラ歴の長いメンバー。住宅のみならずオフィスリノベーションも得意としている。趣味は美味しいものを食べること。 CREATOR’s STORY|髙橋 桃子 |
キッチンの使いづらさや浴室の寒さなどを感じて、水回りのリフォームを検討している方は多いのではないでしょうか。水回りは生活と切って離せない大事な設備。水回りリフォームの費用相場と、コストを抑える方法に着目して、ポイントや注意点についてご紹介します。
目次
水回りとは
水回りとは、主にキッチン・浴室・トイレ・洗面所の4つの箇所を指します。
水回りをリフォームする最適なタイミングは約10〜20年と言われているため、リフォームを検討している方は現在の設備の使用年数を確認してみてください。
「20年以上経っているけどまだ綺麗、使える」という場合もあるはずです。しかし、清掃の行き届かない部分や、設備の内部で劣化が進んでいるかもしれません。放っておくと水漏れやカビの発生などのトラブルが起きてしまうことも。安全性や効率性の観点からも、耐用年数に従ってリフォームをすると、長い目で見れば家計の負担を減らすことにも繋がるかもしれません。
水回りリフォームの費用相場
まず、水回りリフォームに必要な作業と費用相場について、一覧表で確認しておきましょう。
箇所ごとの一覧表
以下は「キッチンのみ」「浴室のみ」など、水回り設備を1箇所のみリフォームする場合にかかる費用をまとめたものです。
施工箇所 | 工事の内容 | 費用 |
キッチン | システムキッチンの交換 | 50〜150万円 |
キッチンの移動 | 20〜150万円 | |
浴室 | ユニットバスの交換 | 50〜150万円 |
在来浴室をユニットバスに交換 | 65〜150万円 | |
トイレ | 洋式から洋式に交換 | 15〜50万円 |
和式を洋式に交換 | 15〜60万円 | |
洗面所 | 洗面所の交換 | 10〜50万円 |
洗面所全体の工事 | 20〜50万円 |
水回り3点セット
複数の水回りリフォームを行う場合、施工業者によってはセットプランを利用できることがあります。まずはキッチン・浴室・トイレ・洗面の中から3点をセットにした際の費用をチェックしておきましょう。セットプランは基本的に、商品価格・工事費用をあわせたトータルの金額であることがほとんどです。組み合わせは業者によって異なりますが、「浴室」が含まれていることが多いです。
施工箇所 | 費用相場 |
キッチン・浴室・トイレ | 70〜180万円 |
浴室・トイレ・洗面 | 100〜135万円 |
キッチン・浴室・洗面 | 80〜185万円 |
水回り4点セット
キッチン・浴室・トイレ・洗面をまとめてリフォームできる、水回り4点セットというものもあります。業者がメーカーから卸値で設備や機器を仕入れられるため、通常よりも割引された価格でリフォームを行うことができます。また、数箇所の水回りを一度に施工することで、人件費も削減できます。4箇所すべてのリフォームを検討している人は、このセットが総費用を最も抑えられる方法でしょう。
施工箇所 | 費用相場 |
キッチン・浴室・トイレ・洗面 | 100〜200万円 |
水回りセットプランの注意点
費用の安さが魅力のセットプランですが、いくつか制約もあります。とくに設備や機器にこだわりのある人は以下の点について理解しておきましょう。
設備の選択肢が限られている
セットプランでは、好きなメーカーや製品を自由に選ぶことができません。業者がセットプラン用に手配したものだけに限定されるため、機能やデザインに自分の理想があったり、購入したい製品が決まっていたりする場合はやめておきましょう。とくにこだわりのない人にはおすすめです。
工事範囲が決められている
セットプランが定める内容は原則「設備の入れ替え」です。そのため、構造に問題があった際の補修工事や、内装を変える工事なども行いたい場合は、別途費用がかかるケースが多いです。工事範囲の齟齬が生じないように、あらかじめリフォーム業者とすり合わせておくことを推奨します。
グレード別の機能と費用相場
水回りの設備は、グレードによって大きく機能やデザイン、そして費用が異なります。リフォームする際、各設備にどこまでのものを求めるのかイメージしておきましょう。
キッチン
まずは、キッチンのグレード別の特徴とリフォーム費用を以下にまとめました。
グレード | 特徴 | 費用 |
ローグレード | 調理や洗い物に必要な機能を完備、シンプルなデザイン | 60〜80万円 |
ミドルグレード | 洗練されたデザインや材質、機能はローグレードと大差なし | 70〜110万円 |
ハイグレード | 掃除しやすいワークトップやシンク、高級感あふれるデザイン | 80〜200万円 |
キッチンは、キッチン自体がグレードにより金額の幅が広く、水回りリフォームのなかでももっともお金の使い方に悩む場所といえます。
キッチンそのものの機能性やデザインを重視するのか、周辺のデザインや動線、使いやすさを重視するのか。日々の料理に欠かせないキッチン、リフォームする上で「優先順位」を意識して予算を組むのがいいでしょう。
浴室
次に、浴室(ユニットバス)についても表にまとめたもので確認しておきましょう。
グレード | 特徴 | 費用 |
ローグレード | 必要最低限の機能、普段シャワーだけの人向け | 60〜80万円 |
ミドルグレード | 浴槽や床に断熱材入り、洗練されたデザインに材質 | 70〜100万円 |
ハイグレード | 使い勝手の水栓・シャワー、高級感があるデザインや材質 | 90〜120万円 |
トイレと同じく、毎日使用することで劣化しやすい浴室。ユニットバス自体の交換か、ユニットバスの部分補修や壁・床の張り替えをするのかで費用は変わってきます。
ユニットバス・浴室交換となれば工事の費用、内容ともに大規模なものとなるため、必要がなければ補修だけで済ませたいところ。汚れや色褪せは塗装の塗り直し、コーティングで再生できることが多いです。リフォームの内容は業者と相談して決めるといいでしょう。
トイレ
次に、トイレのグレード別の特徴と費用相場を以下にまとめました。
グレード | 特徴 | 費用 |
スタンダード | タンクありトイレ、温水洗浄便座付き | 15〜20万円 |
ハイグレード | タンクレストイレ、スッキリとしたデザイン、手洗い器は別途設置 | 25〜30万円 |
1日に何度も使用するトイレ。予算に余裕がある場合は、壁・床・天井などもあわせてリフォームすると、まったく新しい空間のトイレを作ることもできますよ。
洗面
最後に、洗面のグレードによる特徴と、リフォーム費用の相場についてチェックしておきましょう。
グレード | 特徴 | 費用 |
ローグレード | 必要最低限の機能、収納が少なく散らかりやすい、手や顔を洗うだけなど使用頻度が少ない人向け | 5〜10万円 |
ミドルグレード | 安っぽくないデザイン、収納が多い、化粧など毎日使う人向け | 15〜20万円 |
ハイグレード | ホテルのような高級感あるデザイン、収納が多く、使い勝手がいい | 90〜120万円 |
家族が増えたり、歳を取ったり、ライフスタイルによってリフォームを考えたい場所の一つが洗面所。より使い勝手がよく、こだわりを詰め込んだ空間にしたい場合は、オリジナル洗面台という選択肢もあります。用途に合わせて照明や収納を増やすことが可能なため、鏡の前に立つ時間の長いおしゃれさんにおすすめです。
水回りリフォームの費用を抑える方法
水回りリフォームはトイレや洗面の簡易な工事を除き、ほとんどが50万円以上と決して安くない買い物です。少しでも費用を抑えるために、いくつかの方法をご紹介します。
セットプランを利用する
費用相場の項目で説明したように、キッチン・浴室・トイレ・洗面から、3点・4点セットプランを利用すると費用を抑えることができます。水回りは同時期に劣化が見られやすいため、まとめて一緒にリフォームするのは合理的とも言えるでしょう。セットプランがお得な理由は、業者が商品をまとめて発注することで、仕入れ値が安くなるからです。また、工事をまとめて行うため、人件費や養生費なども抑えられます。さらに同じメーカーで統一するため施工もしやすく、工期を短縮できるというメリットもあります。
メーカーや機能、デザインにこだわりがなく、コストをなるべく抑えたいという方におすすめです。
設備のグレードを適宜下げる
水回りリフォームの費用を抑える方法に、設備のグレードを下げることが挙げられます。とくにキッチンや浴室はハイグレードとなると100万円を超えてくる場合もあるため、必要最低限の機能で、見た目にこだわりがなければローグレードを選ぶといいでしょう。ただし、「これだけは外せない」というポイントを無視してしまうと、せっかくのリフォームが台無しになってしまいます。必要な機能や条件に優先順位をつけた上で、グレーについては検討するようにしましょう。
補助金制度を利用する
リフォームのなかでも、以下の場合には補助金・助成金が適用される場合があります。
・介護、バリアフリーのリフォーム
・エコ、省エネのためのリフォーム
・耐震性のためのリフォーム
・在宅勤務やウイルス対策のためのリフォーム
リフォーム補助金制度を活用したいときには、「着工前」に申請を済ませましょう。工期も条件付きの場合が多いため、工事日の調整も必要になってきます。
リフォーム補助金は大きく分けて、国から補助されるもの、自治体から助成されるものの2つ。全国共通のリフォーム補助金例としては、以下のようなものが挙げられます。
①介護保険法にもとづく住宅改修費の支給
要支援・要介護と自治体から認定された方が、住居をバリアフリーのリフォームをする際に工事費用の一部が補助されます。手すりの取り付けや段差の解消などが対象です。
上限を20万円とし、工事費用に対して7〜9割が補助されます。
②既存住宅における断熱リフォーム支援事業
省エネ効果(15%以上)が見込まれる高性能建材(断熱材、ガラス、窓、玄関ドア)を用いた断熱リフォームの際に補助金が交付されます。
120万円/戸(一戸建て)、15万円か20万円/戸(集合住宅)を上限とし、対象費用の3分の1以内が補助されます。
③長期優良住宅化リフォーム推進事業
耐震・省エネ性能が高く、より長く居住することができる「長期優良住宅」へリフォームする場合に申請できるもの。維持・管理しやすい設備や配管の工事なども含まれます。
100〜250万円/戸を上限として補助されます。
参考サイト:住宅リフォームの支援制度 ※令和5年6月16日時点 – 国土交通省
そのほかの内装リフォームにおける支援制度は自治体によって異なりますが、市区町村ごとに検索できる便利なサイトもあります。検討するリフォーム内容に合わせて、工事を始める前に余裕を持って調べるようにしましょう。
参考サイト:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和5年度版)
水回りリフォームの注意点
この記事の初めに述べたように、水回りの耐用年数は10〜20年と長く、一度買い換えると長期的に生活を共にすることになります。「思っていたのと違う……」ということにならないためにも、リフォーム前に注意点を頭に入れておきましょう。
工期を知っておく
簡易的なリフォームであれば半日〜1日で終わりますが、3点・4点セットなど大掛かりなリフォームの場合、1週間ほど工事に時間を要することもあります。その間、自宅で生活ができないということも考えられるため、事前に正確な工期を知り、ホテルを借りるなどして生活に支障が出ないようにしておきましょう。
予算とイメージを決めておく
予想外の出費を発生させないためにも、事前に「何にどれだけ使うか」と具体的な予算を決めておくことをおすすめします。また、設備や機器の機能性やデザインは、カタログをみるだけでなく、ショールームなどで実物を確認して、はっきりとしたイメージを決めておきましょう。予算もイメージも一社だけで相談せず、複数の業者に相見積もりをして、適正に検討できるようにしておきましょう。
使い勝手とデザインのバランスを考える
水回りリフォームでは、設備の選択においてデザインと機能性の両方を考慮することが不可欠です。見た目だけにとらわれると、実際の使い勝手が悪くなってしまう可能性があります。例えば、掃除がしにくい、照明が不足しているなどの問題が発生するかもしれません。実際の家事の流れをイメージして設備を選ぶことで、より使いやすく理想的なものを得ることができるでしょう。
マンションの場合は管理規約に則る
マンションのリフォームでは、戸建てとは異なり、事前に管理規約を確認する必要があります。ほとんどの場合、専有部分の改装は可能ですが、管理規約によっては工事内容に制限があることも考えられます。そのため、リフォームの計画を立てる前に必ず管理組合と相談するようにしましょう。また、排水管の変更や床下の構造の制約により、水回りの配置に制約が生じる可能性もあります。
補償内容を確認する
リフォーム後のトラブルを未然に防ぐには、工事の保証内容を確実にチェックすることが不可欠です。特に水回りのリフォームでは、水漏れや設備の故障といったリスクも懸念されます。具体的には、次の点を確認することが重要です。
保証期間:一般的には1年から数年間とされていますが、業者によって異なるため、比較検討することをおすすめします。
対象範囲:具体的にどの部分や設備が保証の対象となるかを確認しましょう。キッチンのシンクや浴室の床、トイレの配管など、各部位ごとに異なる対象範囲が設定されることがあります。
保証内容:トラブルが発生した際に、修理や交換、部品の提供など、どのようなサポートが受けられるかを把握しておきましょう。
保証条件:定期的なメンテナンスが求められる場合もあります。前提条件や制約事項を確認しておくことが重要です。
さらに、トラブルが生じた場合の連絡先や保証の申し立て方法についても理解しておくことが大切です。業者の連絡先や手続き方法を把握しておくことは、スムーズな対応のために必要不可欠です。
施工事例
こちらはキッチン・浴室・トイレの水回り3点と内装をフルリノベーションした事例です。
32㎡のワンルームマンションなので決して広いとは言えませんが、脱衣所とトイレを一緒にすることでスペースを節約した間取りにすることができました。
キッチンには引き出しや吊り戸などを付けず、住む人が収納を自由にカスタマイズできる仕様に。
■32㎡/500万(フルリノベーション費用)
▼施工事例をもっと見たい方はこちらをチェック!
こちらはキッチン・浴室・トイレ・洗面の水回り4点と内装をフルリノベーションした事例です。
洗面所はよくある既製品のものではなく、洗面台やミラーボックスを組み合わせてデザインしました。
タイルハンガーや照明器具をこだわることでお気に入りの空間にすることができます。
■27㎡/430万(フルリノベーション費用)
▼施工事例をもっと見たい方はこちらをチェック!
こちらはキッチン・浴室・トイレ・洗面の水回り4点と内装をフルリノベーションした事例です。
浴室や洗面台を広くすることで、毎日の疲れをゆっくり癒す場所になりました。
リノベーション前は個室になっていたキッチンは、リビングと対面させることでキッチンに立っていても窮屈感なく料理をすることができます。
また、カウンターやオープンな吊り戸を施工することで、まるでBARのような雰囲気があるキッチンに。
■67㎡/880万(フルリノベーション費用)
▼施工事例をもっと見たい方はこちらをチェック!
水回りリフォームは予算に合ったグレードとプランを
水回りの設備機器はグレードによって金額も内容も大きく異なります。自分の「絶対に外せないポイント」を明確にし、それを守りつつ、予算に合ったグレード、そして費用を抑えたい場合は3点・4点セットなどのプランを利用するようにしましょう。
キッチンや浴室などの水回りは毎日頻繁に使用する場所。リフォームすることで綺麗にするだけでなく、より使い勝手のよい住まいに生まれ変わるといいですよね。