土間をモルタル仕上げでオシャレに!床のリノベーションにかかる費用と注意点

![]() | Writer 片山飛翔 デザイナーWORKS バランスの取れた色彩感覚と暮らしやすさを考えた動線計画で、女性からも人気のあるデザイナー。休日は料理とキャンプをするのが定番です。 CREATOR’s STORY|片山 飛翔 |
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玄関や土間をリノベーションする際、モルタル仕上げはシンプルで洗練された空間を実現する人気の方法です。その無骨でスタイリッシュなデザイン性に加え、耐久性やコスト面でも優れています。本記事では、モルタル仕上げの特徴や施工方法、メンテナンスのポイントについて詳しく解説します。
目次
モルタル仕上げの特徴と魅力とは?
モルタル仕上げは、最近のリノベーションやインテリアデザインで注目を集める仕上げ方法です。その無骨でありながら洗練された見た目は、住宅や店舗などさまざまな空間で採用されており、現代的なスタイルから伝統的な和の趣を持つデザインまで幅広く対応できるのが特徴です。さらに、モルタルは手軽な価格帯と耐久性の高さを兼ね備えており、床のリノベーションにぴったりの素材と言えるでしょう。
モルタル仕上げを取り入れることで、シンプルながらもモダンな印象を作り出せるため、最近では多くの住宅や商業施設で人気を博しています。それでは、具体的な特徴や魅力について見ていきましょう。
コンクリートとモルタルの違い
モルタルとコンクリートは、一見似ているように見えますが、その構成成分と用途に明確な違いがあります。一般社団法人セメント協会によると、モルタルは「セメント+水+細骨材(砂)」で作られ、一方でコンクリートは「セメント+水+細骨材+粗骨材(砂利)」を含みます。この砂利の有無が両者の性質に大きな違いをもたらしています。
具体的には、コンクリートは粗骨材を含むことで高い強度を持ち、大型建築や土台部分などに適しています。一方、モルタルは粒子が細かく、仕上げ材として滑らかな表面を作りやすい特徴を持つため、床や壁などの仕上げに用いられることが多いです。モルタルの柔軟性を活かすことで、ひび割れやエイジング加工をあえてデザインに取り入れるといった表現も可能になります。
玄関や土間をモルタルで仕上げるメリット
玄関や土間をモルタル仕上げにすることで、空間全体がモダンでスタイリッシュな印象を持つようになります。特に、熱伝導性が高いモルタルは、夏場でもひんやりとした感触を楽しむことができ、快適な環境づくりに役立つでしょう。さらに、表面が滑らかで掃除もしやすいため、メンテナンスにかかる手間を大幅に軽減することができます。
また、モルタル仕上げはインダストリアル系のデザインにも適しており、シンプルながらも力強い雰囲気を演出します。玄関や廊下などのアクセントとしてモルタルを取り入れることで、家全体のデザインに統一感が生まれるほか、空間を広く感じさせる効果も期待できるでしょう。
さらに、モルタルはカラーバリエーションを持たせることが可能です。例えば、黒い色粉を混ぜた黒モルタルを使うことで、洋風モダンな店舗や玄関に落ち着いた雰囲気を与えることができます。用途に応じて色味を調整できる点も、モルタルの魅力のひとつです。
注意すべきデメリットと対策
モルタル仕上げには多くの魅力がある一方で、注意すべきデメリットも存在します。特に代表的な問題は、ひび割れが発生しやすい点です。モルタルは乾燥収縮によるひび割れが避けられない素材ですが、これを防ぐために「メッシュ敷き」を取り入れる方法があります。施工時にメッシュを敷くことで、乾燥収縮によるクラックを極力抑えることが可能です。
また、モルタル表面は滑らかですが、その特性が「滑りやすさ」を生む場合があります。特に、小さな子どもや高齢者がいる家庭では、安全面での配慮が必要です。この問題を解決するためには、床表面に適度な凹凸をつける施工方法を採用したり、「洗い出し」や「スタンプコンクリート」といった技術を活用して滑りにくい仕上がりにすることが有効でしょう。
さらに、施工後のメンテナンスも大切です。モルタルは傷や汚れが目立ちやすい素材でもあるため、定期的な清掃や表面の保護を行うことで、美しい状態を長く保つことができます。施工業者と事前に相談し、適切なメンテナンス方法を確認しておくと安心です。
モルタル仕上げのリノベーションを考える際には、これらのメリットとデメリットをしっかり理解し、適切な対策を講じることで、理想的な空間を実現することができるでしょう。
モルタル仕上げの施工について
モルタル仕上げを検討する際、施工の手順や費用感を把握しておくことが重要です。玄関や土間などのリノベーションでは、施工する面積や使用する技術によって価格や工期が大きく変わることがあります。また、仕上げのバリエーションによって、空間の印象も大きく異なるでしょう。ここでは、モルタル仕上げの施工について具体的に解説します。
仕上げの厚みや単価の目安
モルタルの厚みは通常5mmから40mm程度が一般的です。この厚みによって仕上がりの耐久性や質感が変わり、施工場所や用途に合わせて選択されます。例えば、屋内の土間や玄関では5mm〜10mm程度で十分な場合が多いですが、屋外や重量物が設置されるスペースでは厚みを増やして耐久性を高めることが推奨されます。
費用については、モルタルの厚みや施工条件によって異なりますが、1平方メートルあたり2,500円〜3,500円が一般的な相場となっています。これには材料費と施工費が含まれていますが、施工面積が広い場合や特殊な仕上げを希望する場合は費用が増加することもあります。概算見積もりを事前に依頼し、予算を明確にしておくと安心でしょう。
施工方法や面積ごとの工期
モルタル仕上げの施工は、以下のような基本的な手順で進められます。
- モルタルの手練り
- メッシュ敷き
- 均しと仕上げ
使用するモルタルを適切な配合で練り上げ、滑らかで均一な状態にします。
手練りの際は乾燥具合に注意を払い、適切な硬さに調整します。
モルタルの乾燥収縮によるひび割れを防ぐため、床面にメッシュを敷きます。
この工程がモルタル仕上げの耐久性を左右する重要なステップです。
定かん木を使用してモルタルを均一に敷き、木鏝や金鏝を使って表面を滑らかに仕上げます。
特に不陸を防ぐための丁寧な処理が、完成度の高い施工を実現します。
施工面積による工期の目安としては、10平方メートル程度の玄関や廊下であれば、施工から乾燥まで約3〜5日が必要です。一方、50平方メートル以上の広い空間では、1週間以上かかる場合もあります。天候や環境によっても工期は変動するため、施工スケジュールを事前に業者と相談することが大切です。
洗い出しや塗装など、仕上げのバリエーション
モルタル仕上げには、洗い出しや塗装といったさまざまなバリエーションがあり、用途やデザインに応じて選択が可能です。
洗い出し仕上げ
モルタルに石や砂利を混ぜて塗り、固まる直前に表面を洗い流すことで、石の模様が際立つ独特な質感を実現します。この方法は滑りにくく、玄関や屋外のアプローチに適しています。
カラー塗装
モルタルの表面に色粉を混ぜることで、カラーバリエーションを持たせた仕上がりが可能です。例えば、黒モルタルを使用することでモダンで重厚感のある空間を作り出せます。
スタンプコンクリート
モルタルが固まる前に型押しすることで、タイルや石材のような模様を表現する技法です。見た目が華やかになるため、店舗やデザイン性を重視した住宅で多く採用されています。
これらの仕上げ方法を取り入れることで、モルタルの特性を活かしながら、より個性的で美しい空間を演出することができるでしょう。
玄関や床の仕上げに適した素材選び
モルタルは非常に多用途な素材ですが、リノベーションにおいては他の素材との比較も重要です。用途やデザインの目的に応じて最適な素材を選ぶことで、より満足度の高い仕上がりが実現します。
モルタル以外の素材:タイルやコンクリート
モルタルに代わる素材として、タイルやコンクリートも玄関や床の仕上げに人気があります。それぞれの特徴を簡単にご紹介します。
タイル
タイルは耐久性が高く、防水性にも優れているため、水回りや屋外スペースに適しています。また、デザインの選択肢が豊富で、カラフルなものや模様付きのものを使用することで、空間を華やかに演出できます。モルタルに比べて費用が高めですが、メンテナンスがしやすい点が魅力です。
コンクリート
コンクリートは強度が高く、主に基礎や土台部分に使用されますが、近年は「コンクリート打ち放し」と呼ばれるデザインが流行しています。ラフで力強い印象を与えたい場合に最適ですが、表面が粗いため滑らかに仕上げるには追加の施工が必要です。
用途やデザインに合わせた選び方
素材を選ぶ際には、使用する空間の用途や求めるデザインに応じて判断することが大切です。例えば、滑りにくさを重視したい玄関や土間には、洗い出し仕上げや滑り止め加工が施されたタイルが向いています。一方、広々としたリビングや店舗では、黒モルタルやカラー塗装を施したモルタル仕上げがモダンな印象を与えるでしょう。
さらに、施工後のメンテナンスも選び方のポイントとなります。例えば、タイルは汚れに強く日々の掃除が簡単ですが、モルタルは定期的な補修が必要になる場合があります。業者に相談し、予算やライフスタイルに適した素材を選ぶと良いでしょう。
仕上げ後のメンテナンス方法
モルタル仕上げは、耐久性が高くおしゃれなデザインが魅力ですが、施工後のメンテナンスによってその美しさと機能を長く維持することができます。適切なケアを行うことで、モルタル特有の風合いを活かしながら、使用年数を延ばすことが可能です。ここでは、ひび割れやシミへの対処法、そして長期的に美しい状態を保つためのポイントをご紹介します。
ひび割れやシミへの対処法
モルタル仕上げで最も気になるのが、乾燥収縮によるひび割れ(クラック)です。ひび割れが発生した場合でも、適切な対策を行うことで大きな問題に発展するのを防ぐことができます。
ひび割れの補修
小さなひび割れであれば、市販のモルタル補修材を使用することで簡単に修復可能です。補修材をひび割れ部分に詰め、滑らかに仕上げるだけで目立たなくなります。ひび割れが広範囲にわたる場合は、専門業者に依頼して再施工を行う方が安心です。
シミの対策
モルタル表面にシミができた場合、まずは原因を特定することが重要です。油汚れや水アカであれば、中性洗剤を使ってブラシで優しくこすり落とすことで対処できます。頑固な汚れの場合は、表面を軽く研磨してシミを除去することも可能ですが、この作業はプロに依頼するのが安全でしょう。
また、モルタル仕上げを施工する際に防水コーティングを施すことで、シミや汚れの発生を予防できます。特に屋外の土間や玄関など、水や汚れがつきやすい場所では防水対策が重要です。
長く美しさを保つためのポイント
モルタル仕上げを美しい状態で長く維持するためには、日々のケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
定期的な清掃
モルタル表面に砂やホコリが溜まると、見た目がくすむだけでなく、摩耗の原因にもなります。掃除機やほうきを使って定期的に清掃し、必要に応じて水拭きを行いましょう。ただし、水拭きの後はしっかり乾燥させることが大切です。
防水・防汚コーティングの再塗布
防水コーティングは経年劣化するため、2〜3年ごとに再塗布を行うと良いでしょう。これにより、表面を保護し、シミや汚れの発生を抑えることができます。
重い家具や荷物の設置に注意
モルタルは圧縮強度に優れる一方で、集中荷重がかかるとひび割れの原因になることがあります。重い家具や荷物を設置する場合は、家具の足元に保護マットを敷くなどして、荷重を分散させる工夫をしましょう。
季節に応じたケア
夏場は高温多湿によるカビの発生を防ぐため、適度な換気を行いましょう。冬場は寒暖差による収縮を防ぐため、室内の温度と湿度を安定させることが重要です。
これらのポイントを意識することで、モルタル仕上げの床を常に美しい状態で保つことができるでしょう。
おしゃれなモルタル仕上げの施工事例
自転車も置ける広いモルタル土間
自転車も置ける広い土間。外部に駐輪スペースがない場合は、玄関をモルタル仕上げの土間にすることで汚れや傷の心配なく自転車を置くことができます。
大きいワンちゃんと暮らすための広々とした玄関土間
大型のワンちゃんと暮らす家庭には嬉しい広々とした玄関土間。帰宅後すぐに手が洗える手洗い器、リードやカバンを掛けるフックや服をしまえるハンガーバーなど、人もワンちゃんも快適に過ごすためのポイントが詰まっています。
家でキャンプ?アウトドア気分になれる玄関土間
キャンプから帰ってきてすぐにアウトドア用品を収納できるように、お庭と玄関から行き来ができる動線で構成された土間スペース。外に遊びに行く時間がなくても、ちょっとした家キャンプが楽しめます。
モルタルを美しく保つためにコーティングやメンテナンスを
モルタル仕上げは、そのスタイリッシュなデザインと機能性から、玄関や土間のリノベーションに非常に適した選択肢です。コンクリートやタイルなどの他素材に比べ、モルタル特有の滑らかな表面や豊富なカラーバリエーションが魅力と言えます。また、費用対効果も高く、適切な施工とメンテナンスを行うことで長期間使用することが可能です。
ただし、モルタルにはひび割れやシミなどのデメリットもあるため、それらへの対策をしっかり講じることが重要です。施工前には業者と十分に相談し、適切な厚みや仕上げ方法を選びましょう。また、施工後も定期的な清掃や防水コーティングの再塗布を行うことで、美しい状態を維持することができます。
玄関や土間といった家の顔となるスペースは、住む人の個性やライフスタイルを表現する大切な場所です。モルタル仕上げの活用により、自分らしい空間づくりを楽しんでみてはいかがでしょうか。