【契約前にチェック】リノベーションの失敗談とその予防策とは?
人生で一度きりになるかもしれないリノベーションという経験。とても大きなお金がかかるので失敗はできないし、慎重に考えたいですよね。
リノベーションには様々なお金がかかりますが、特に大きな費用というのは、
①不動産購入費用
②リノベーション工事費用
の2つとなります。
つまり、この大きな費用を支払う前に注意が必要ということですね。
この記事では、ネット検索でよく見かける失敗談を参考に、その原因と具体的な予防策について説明していきます。
目次
失敗その1:思っていたリノベーションができない
Case.01
新婚夫婦で「そろそろ住宅購入を」とリノベーションを選んだAさん。
不動産業者に複数の物件を紹介してもらい、住宅ローンを契約して中古マンションを購入。
物件案内の際に「対面キッチンに憧れている」と伝えていたものの、購入後にリノベーション業者と打ち合わせを進めると「対面キッチンにするにはキッチン部分の床を上げる必要(リビング/キッチン部分に段差ができる)があると言われて、悩んだ末に対面キッチンをあきらめた。
Case.02
子供の小学校進学を機に、希望の校区内で中古戸建を探していたBさん。
なかなか希望条件に合う物件が見つからず悩んでいたところに、「この中古戸建の和室をひとつ壊してリビングと繋げれば、希望条件に合う住まいになりますよ」と不動産業者にすすめられた物件を購入。
いざリノベーション工事が始まると、解体工事途中に工事業者から「ここの和室を壊すと耐震的に建物が弱くなるかもしれませんが壊しますか?」と聞かれ、不安を払拭できずに当初の要望をあきらめた。
この2つのケースはどちらも「できると思っていたことが、途中で『できない』に変わった」という失敗事例です。
どちらのケースもプロの不動産業者に説明を受けて、物件購入を進めています。しかし、ここでしっかり抑えておきたいポイントは、物件購入(不動産売買契約)前の不動産業者による「物件調査」です。
不動産売買契約書や重要事項説明書は、宅地建物取引業免許を有する不動産業者が調査した内容に沿って作成されます。
しかし、その内容には「自分が思い描いているリノベーションプランが実現可能なのか」という部分は含まれていません。
言い換えれば、不動産売買契約としての調査だけで、建築視点での調査は含まれていないということです。
こういった失敗を起こさないためにも、購入を決める前にリノベーション業者に事前に調査してもらいましょう。
リノベーションで失敗しないためのポイント①:リノベーションのイメージをはっきりさせておく
ここでのポイントは「どういうリノベーションをしたいかをはっきり決めていないと物件調査の見落としがある」ということです。
全てを決めておく必要はありませんが、リノベーション業者といえど言われていない要望については現地で調査することは難しいものです。「知識が無くて上手く説明できない」という人は、リノベーション業者の中でも「不動産の紹介もセットでやってくれる業者」を見つけて相談・依頼すると良いでしょう。
失敗その2:出来上がりがイメージと違う
Case.03
Instagramで見つけた素敵なリビングに憧れてリノベーションを選んだCさん。リノベーションプランの打ち合わせの時に、Instagramで探してきたお気に入りのリビングの画像を提示して依頼。
しかしいざ出来上がってみると、床の色味やリビングの広さにどうしても不満が。「打ち合わせの時に話していた内容と違うのでやり直して欲しい」とリノベーション業者に頼んだが、追加費用が発生すると説明され断念した。
おそらくこの「イメージと違う」というケースが一番多い失敗事例だと思います。
素人であるお客様側がリノベーションのプロに説得され「こういうものなのかな」と思い、最終的に無理矢理自分で納得しているケースでもあるため、ネット上で出てくる失敗談の数よりも実際はもっとたくさん起こっているケースではないでしょうか。
リノベーションで失敗しないためのポイント②:細かい部分も注意深く確認する
原因を一言で片付けるのであれば「打ち合わせをもっと細かくするべきだった」ということですが、この打ち合わせで重要なのは「感覚(見えないもの)を確認するために、しっかりとした根拠(見えるもの)で確認する」ことです。
例えば、床の色味。「この写真に写っているような床の色味で」などの依頼は、一見写真を使って正確に伝えているようですが、すごく曖昧な確認と言えます。
・実際に使う建材のサンプル(実物)を見る
・照明の色によっても見え方が変わることを考慮する
・建材のサンプルは手で持てる大きさ(小さい)が、床一面に広く貼った場合は見え方が変わることを考慮する
上記①のように自分の感覚を正確に確認できる部分は、時間をかけてでも確認しましょう。
②についても設置予定の照明の下で建材のサンプルを確認することでイメージのズレは小さくなります。
③についてはリノベーション工事完了まで確認しようがありませんが、大切なのは「確認できることは全て確認することで、予測不可能な部分を減らしていく」ということです。
またCGパースを制作・提供してくれるリノベーション業者は頼りになります。
リノベーション完成後を疑似体験できるという点で、CGパースは非常にわかりやすいものです。
色鉛筆やペンで作成したスケッチというものもありますが、オシャレな雰囲気を演出してくれるものの確認資料としては曖昧さを否定できません。
全体像をCGパースで確認し、細かな部分は建材のサンプルなど実物を自分の目で確認しましょう。
また、Case.03での「リビングの広さに不満」というのも、事前にメジャーなどで図面に記載されたリビングの広さを再現して確認しておけば、イメージのズレによる失敗は無くなるでしょう。
失敗その3:工事開始後に高額な追加費用を請求された
Case.04
親から相続した中古戸建のリノベーションを決意したDさん。解体工事が始まると、リノベーション業者より「柱の老朽化が当初の予測よりひどすぎるので、補強するのに●●円の追加費用が必要です」と言われ工事が一時中断に。予定外の出費だったが工事再開のために承諾した。
リノベーションで失敗しないためのポイント③:もしもの状態の見積金額を提示してもらう
中古物件をリノベーションするのに、解体工事が進むことで建物の老朽化が発見されることは珍しくありません。
しかし、この事例のポイントは「工事前の予測よりも、ひどい老朽化が発見された」というところです。
リノベーション業者には「見えない部分の老朽化について、一番ひどい状態を予測して見積もりしてほしい」と伝えておくと良いでしょう。
ほとんどの人が「極力安く済ませたい」というのが本音です。そしてリノベーション業者も、自社に依頼してもらうために極力安い見積金額を提示します。この安く済ませたいお客様と、仕事を受注したいリノベーション業者の関係こそ「一番ひどい状態を予測した見積金額」を把握しづらい要因です。
最悪の状態にかかる費用を把握するコミュニケーションを意識し、提示された金額が予算を大幅に超える場合は、リノベーションそのものを諦めるのも大切な人生の決断だと言えます。
失敗しないためのコツとは
実はリノベーションの失敗談の多くに共通点があります。それは「リノベーションの契約の性質が、日常生活に馴染みのない内容であることを知らない」ということです。
これは建築の専門知識の有無ではありません。
私たちの生活における買い物は、コンビニでジュースを買う安価なものも、先述した不動産売買契約のような高額な購入も、法律上は「売買契約」という性質を持つものです。
しかし、リノベーション工事の契約は「請負契約」という全く馴染みの無い性質の契約となります。
大きな違いは、形がわかるモノ・見えるモノをお金と交換するのが売買契約。形が無いモノ・見えないモノを“これから作る”契約が請負契約という点です。
目の前に存在するモノを売り買りする場合は、お金のやりとりによって得られるものが誰でもわかります。素人であり、お金を払うお客様側が特に注意を払わなくても予想通りの物が手に入るというわけです。
しかしリノベーションのような請負契約では、素人であろうと、お金を払おうと、お客様側にも一定の努力が義務付けられるのが大きな特徴と言えます。
失敗するリスクを少しでも下げるためにも、リノベーションを依頼する際に、サインする請負契約書の中身を把握するのはもちろん、「具体的にどういった行動が必要なのか」というところまでしっかり把握する必要があります。
▼請負契約について詳しく知りたい人はコチラもおすすめ!
“安くて良い会社”にはご注意を
日常生活ではめったに見ないほどの金額を必要とするリノベーション。誰しも「少しでも安く済ませたい」と考えますよね。
しかし、リノベーションにおける「安い」とはどういうことなのかも知っておくべきですね。
リノベーションの費用の大まかな内訳は、
・住宅設備
・材料
・作業員の人件費
・資料作成費(各種図面やCGパースなど)
・現場管理コスト
・現場以外の管理コスト
となります。
周囲に「キッチンを変えるのに、とても安い金額でリフォームした」という人いませんか?
多くの場合、キッチンのリフォームだと
①キッチン本体価格
②取り付けに必要な部材や建材
③職人の人件費
お客様、職人とのコミュニケーションにかかる管理コストが必要な費用です。
この場合は資料作成費などが不要ですし、お客様とのコミュニケーション(現場以外の管理コスト)と職人とのコミュニケーション(現場管理コスト)が一人のスタッフで対応可能となり、とても安価に済ませることも可能となります。
しかし、住まい全体のフルリノベーションの場合はどうでしょう。
決めなくてはならない項目数は軽く1,000項目を超えます。その中でも自分のイメージとズレがないように決めていくためには、相当数をリノベーション業者と打ち合わせする必要があります。
詳細な寸法などを記載した図面資料や、細かな部材を選ぶための比較表など「口約束で終わらせない」ための様々な資料作成コストが必要となるはずです。
金額を安く抑えるためには「何を省くか?」を決めるということです。
「安くて良い会社を見つけた」という人は、一度「なぜ安くできるのか?」を、リノベーション業者の説明だけで理解した気にならず、他人に説明できるように自分自身も理解する必要がありそうですね。
どの会社をパートナーに選ぶべきか
つまりリノベーションで失敗しないためには、自分が重要視するポイントに沿ってベストなリノベーションを提案してくれるプロに依頼するべきとも言えます。
・やりたいことは細かく計画できているので安く作って欲しい
・コーディネートする自信が無いので一緒に考えて欲しい
・憧れの●●ホテルのようなデザインにして欲しい
・不動産購入〜プラン〜工事まで一括で任せたい
など、自分にぴったりのパートナー探しから考えるのが、失敗しないコツとも言えます。クジラ株式会社ではリノベーション勉強会を実施し、「得意分野別にどんなリノベーション業者の種類があるか?」という内容で業界構造をわかりやすく説明しております。
▼自分にぴったりのリノベーション業者を探すための勉強をしたい人はコチラ!
一緒に勉強していきましょう!
この記事では、リノベーションのシビアな部分を細かく説明しました。人生で何度と無い「住まいを考える」大切な買い物ですので、少し難しくてもあきらめないでください。
リノベーションは自由度が高く、ワクワクする住まいづくりです。初めは素人からのスタートでも少しずつリノベーションについて勉強し、最後は「自分の住まいについて誰よりも知っているプロ」になることが大切です。