不動産のプロが解説「長屋・テラスハウスの魅力」購入・リノベーション時に知っておきたいコツ

この記事では、長屋(テラスハウス)の購入メリット・注意点・リノベーション事例を、実際の購入者の声とともに解説します。
こんにちは。クジラ株式会社の矢野です。
![]() | Writer 矢野浩一 代表取締役/プロデューサー 調理師学校を卒業後、起業という夢を叶えるため不動産業界へ。 20年近い不動産・建築業界での経験から、空き家を利活用した新しい形のホテル「SEKAI HOTEL」などの事業も手がける。 CREATOR’s STORY|矢野 浩一 |
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近年、情緒あふれる長屋(テラスハウス)に住みたいという人が増えてきました。長屋(テラスハウス)の特徴として、使い込まれた柱や、昔ながらの和を感じる外観などがあります。マンションなどには無い趣を感じますよね。
サスティナブルという言葉もよく耳にするようになった昨今、「モノを大切に使い続ける」という観点でも、長屋(テラスハウス)を求める人は増えていきそうです。
しかし、長屋(テラスハウス)に慣れ親しみが無い人からすると少し難しいイメージがあります。そこで今回は、建築基準法による長屋(テラスハウス)の定義や、購入するときのポイントを解説。必要な調査方法や基礎知識を知ることで、購入に向けた検討材料をしっかり揃えることができます。
目次
長屋(テラスハウス)とは?建築基準法による定義
長屋(テラスハウス)とは集合住宅の一種です。マンションのように上に高く建てられたものではなく、2階建ての戸建て横(水平方向)に広く繋げた建物を指します。

不動産ポータルサイトでは「タウンハウス」「テラスハウス」などと記載されている場合もありますよね。古くは江戸時代ごろに由来しますが、昨今、人気が出てきている木造の長屋(テラスハウス)は1970年代以降に建てられた建物がほとんど。
狭い路地に住宅が密集しているため、ご近所さんとの距離も近い。「昭和の頃にはあったご近所付き合い」と言われて想像するようなシーンには長屋(テラスハウス)の風景がよく登場します。

しかし、高齢化が進む中で相続後の所有者が利活用方法に悩み、更地になってしまう長屋(テラスハウス)も少なくありません。
数は減っているものの、まだまだ「長屋(テラスハウス)の利活用方法」が一般的ではないため安価で売買されているのも事実。
不動産仲介業者では、四戸一(よんこいち※四つの住戸がひとつの長屋に入っている)などの呼び方をしたりします。
長屋(テラスハウス)と共同住宅の違い
建築基準法によると、長屋(テラスハウス)と共同住宅は違う建物として扱われています。
共同住宅とは、複数の住戸が階段や廊下、エントランス、エレベーターを共有して使用する住宅のこと。マンションやアパートが共同住宅に分類します。
一方で、長屋(テラスハウス)は外壁のみを共有している住宅で、それ以外の空間を共有することはありません。
また、共同住宅は特殊建築物に該当し、長屋(テラスハウス)は該当しません。特殊建物に該当される建物には、防火や避難に関するルールが定められています。そのため、共同住宅には避難器具の設置や避難空地の確保が義務付けれられているのです。
タウンハウスやテラスハウスとの違い
不動産を探していると、「タウンハウス」や「テラスハウス」という言葉を見たことがあるかもしれません。どちらも2〜3階建ての住戸の壁が繋がっている集合住宅。そのため、外観からでは違いを区分することが難しいく、長屋(テラスハウス)をタウンハウスやテラスハウスと呼ぶ人もいますが、厳密には敷地の権利形態に違いがあります。
タウンハウスは、敷地の所有権は全戸共有。敷地を共有しているため、住人が使える庭や駐車場があり共用部分が充実していることが特徴と言えますね。マンションと同じように、共有部に庭やコミュニティ施設があるタウンハウスは、維持費として使用料がかかる場合があります。
テラスハウスは、敷地を分けて登記しているため、住戸ごとに庭や駐車場があります。
そのため、外観はどちらも壁を共有している集合住宅(長屋)と同じ見た目をしていますが、タウンハウスはマンション、テラスハウスが戸建てというイメージに近いです。

長屋(テラスハウス)購入のメリット
一般的に長屋(テラスハウス)は安価で購入することが可能。ではそれ以外にはどんなメリットがあるのでしょうか?
長屋(テラスハウス)のメリット① 固定資産税・都市計画税が少額
長屋(テラスハウス)に限らず、不動産を所有すると毎年税金(固定資産税・都市計画税)がかかります。これらは土地と建物それぞれに必要な税金。
国が評価する土地と、建物の評価が高い場合税額は高くなり、評価が低い場合税額は安くなります。現在の日本では土地の価格(評価)が短期間で上下することはありませんのである程度横ばいですが、建物は老朽化するので評価も徐々に低くなります。

つまり1970年代以降に建てられた多くの長屋やテラスハウスは、すでに建物の評価がほぼゼロに近いため建物への税金が少額のケースが多いということです。
長屋(テラスハウス)のメリット② 好立地の可能性
主要な駅に近く、土地の価格が高い好立地でも長屋(テラスハウス)が残っているケースがあります。
長屋(テラスハウス)は複数の住戸がひとつの建物に入っているため、仮にひとつの長屋(テラスハウス)のみを解体したい場合でも、隣接する他の住戸の所有者や入居者に“長屋(テラスハウス)をひとつ切り離す同意”を必要とします。つまり、更地にして再建築・再開発したい場合はたくさんの人の同意が必要となります。
相続を繰り返すうちに、ひとつの長屋(テラスハウス)に住戸の数以上の所有者が存在する(ひとつの不動産を複数人で共同所有している)場合もあります。その結果、新築マンションがどんどん建てられているような立地でも、長屋(テラスハウス)が残っている地域が存在するということです。改修工事に苦労する場合もありますが、「憧れのエリアに土地付きで不動産を所有する」ということも長屋購入ではよく見られる事例です。
長屋(テラスハウス)のメリット③ 建物面積が広く保てる

長屋(テラスハウス)の隣に新しい一戸建てが建てられているところでは、長屋(テラスハウス)より隣の一戸建ての方が道路に対して離れて建てられているケースがよく見られます。
これは長屋(テラスハウス)が建てられた時代の法律と、現在の法律が違うことから起こる現象。道路の中心より一定の距離を離した位置に建物を建てる必要がありますが、長屋(テラスハウス)の場合は土地と道路の境界線ギリギリのところまで建物があるケースがほとんど。つまり、同じ立地であれば、長屋(テラスハウス)の方が土地の広さに対して建物の面積も広いということになります。
購入前に気をつけるべきポイント
このように、マンションや一戸建てを購入するのとは違ったメリットを持つのが長屋(テラスハウス)。では、購入前に気をつけるべきポイントは?
長屋(テラスハウス)購入で気をつけるポイント① 土地の所有権
不動産購入をする際、多くは不動産仲介業者を頼ることになるので、不動産売買契約の前にいろいろと調査してくれます。たくさんある情報の中でも「土地の所有権」については、具体的な購入検討に入る前段階でも気にしておきましょう。
長屋(テラスハウス)の中には、土地と建物の所有者が違うものも多くあります。土地が違う所有者の場合には、建物の所有者が地代(土地の使用料)を払ってるのでその金額も重要です。また、土地所有者と建物所有者が結んでいる契約の内容にも注意しましょう。将来の建物売却やリフォームなどについて土地所有者の承諾を必要としている場合も多く、思った以上に自由が制限されているかもしれません。
長屋(テラスハウス)購入で気をつけるポイント② 再建築について
前述したように、長屋(テラスハウス)が建てられた頃と今は違う法律の内容が違います。現在の法律上、長屋(テラスハウス)を解体しても新しく建物を建てることができない場合もあります。これを不動産仲介業者は「再建築不可物件」と言いますが、物件内覧時のタイミングで「この長屋(テラスハウス)は再建築可能ですか?」と聞けば教えてくれます。長屋(テラスハウス)のほとんどは木造住宅。つまり火災が起きた場合に近隣に延焼する可能性も高いため、再建築できない長屋(テラスハウス)は要注意です。
長屋(テラスハウス)購入で気をつけるポイント③ 長屋全体の修繕履歴(しゅうぜんりれき)
長屋(テラスハウス)の中には表面的には修繕されて綺麗になっていても、過去に火災などがあり柱や梁に損傷が残っている場合などもあります。マンションを購入する場合は管理組合に問い合わせると、マンション全体の修繕履歴について開示してくれます。建物が新築されて以降、どのくらいメンテナンスが繰り返されてきたかは必ず知っておきたいですよね。
しかし、長屋(テラスハウス)の場合ほとんどが修繕履歴が形として残っていません。購入前に建築のプロに長屋(テラスハウス)を調査してもらうとしても、過去のことについては隣接住戸の所有者や入居者にヒアリングしましょう。

長屋(テラスハウス)購入で気をつけるポイント④ 屋根裏
長屋(テラスハウス)は屋根裏がひとつの空間で繋がっているのが特徴のひとつ。室内の音が屋根裏の繋がっている部分を通じて隣接する住戸への音漏れを、仕切りを設けることで緩和することができます。リフォーム・リノベーションを検討される人には必須の調査箇所ですね。
今までの所有者や入居者がリフォームを繰り返すうちに、防音や断熱の観点から屋根裏部分に仕切りを設けて、隣接する部分と区切っているケースもあります。

ほとんどの長屋(テラスハウス)が建てられたころから手を加えていませんが、新しく長屋(テラスハウス)を購入する場合は屋根裏を仕切るリフォームをおすすめします。

長屋(テラスハウス)購入の先輩に聞く
クジラではたくさんの長屋(テラスハウス)リノベーションを実施してきました。その目的は様々ですが、実際に購入された人たちはどういった感想をお持ちなのでしょうか。
お客様の声① 何社にも断られた
– 長屋(テラスハウス)のリノベーションを決められた経緯を教えていただけますか?
お客様:元々商売で使っていた長屋(テラスハウス)でしたが、住宅に変えられないかなと考えたところがきっかけでした。隣接する住戸にすでに住んでいたので、そちらとの行き来のしやすさとかも考えたかったので。
– リノベーション業者に断られたこともあったんですよね?
お客様:実は最初、違う会社さんでリノベーションの見積をお願いしていました。でも、家の前の通路幅が狭くて道路を見た時点で何社にも断られて、諦めかけていた時にクジラさんを見つけました。
クジラさんは予算内に収めて、住宅ローンの手伝いもしてくれるとのことだったので、安心してお願いする事ができました。
– お気に入りの部分ってありますか?
お客様:前よりリビングが広くなって過ごしやすくなりました。一番長く過ごす場所はゆったりできる方がいいと思います。あとはやっぱり階段が緩やかになって、段差もなくなり、生活しやすくなって良かったです。
▼長屋(テラスハウス)をリノベーションした事例①
お客様の声② 安価に購入して不動産収益
– 不動産を多数所有されているとのことですが、その中でも長屋(テラスハウス)を購入してみたご感想はいかがでしょうか?
お客様:長屋(テラスハウス)を収益不動産として扱うのは新しい試みでした。長期的に考えるとメンテナンスの観点からリノベーション費用が大きくなりましたが、固定資産税・都市計画税などが毎年安く済むことも踏まえると、デザイン性も高く、近隣の賃貸物件より面積が広い収益物件が完成したので満足しています。

– 収益性についてはいかがでしょうか?
お客様:完成当初は民泊として運営しておりましが、コロナウイルス感染拡大を期に一般の賃貸物件として運用しています。現在も単身者に借りていただいていますが、近隣の同じような広さの築浅マンションよりも1割程度安い家賃で貸し出しているので、退去した後もすぐに入居者が決まり、収益性も安定しています。
– 今後について教えてください。
お客様:私の場合、再建築が可能な長屋(テラスハウス)を購入しているので再度新築戸建てを建てることも視野に入れています。隣接する長屋(テラスハウス)の所有者の方にも、売却の予定があれば声をかけてほしいと言っているので、長期的には土地を広げていく可能性もあります。
▼長屋(テラスハウス)を購入してリノベーションした事例②
長屋・テラスハウスのリノベーションは不動産と工事のプロに相談!
長屋(テラスハウス)は古い・狭いなどがネガティブな印象もあるかもしれませんが、しっかり調査すれば「税金」や「立地」でメリットもあるため、活用方法次第では素晴らしい不動産であることがわかります。
ただし、住宅ローンや改修工事の複雑さ故に、長屋(テラスハウス)リノベーションを取り扱う会社が少ないことも事実です。
「耐震や防音についてはどうなの?」「住宅ローンは借りられるの?」など疑問に思っていることがあれば、ぜひお問合せください!
長屋・テラスハウスのリノベーションでよくある質問
ここでは、計画を立てる前に解消しておきたい代表的な疑問について、補助金制度の活用可否や耐震対策の必要性を中心に解説します。事前に知識を蓄えておくことで、不動産会社や施工業者との打ち合わせをより円滑に進め、後悔のない住まいづくりを目指しましょう。
Q. 隣の住人や地主の同意は必要?
テラスハウスとは、隣接する住戸と壁を共有している建物のため、修繕や改修の内容によっては隣人の同意が必要になるケースがあります。特に共有している壁や屋根の補修、建物の切り離しを伴うような大規模な工事を行う際は、トラブルを避けるためにも事前の相談と合意形成が欠かせません。
また、土地が借地である場合は、建物のリフォームや売却にあたって地主の承諾が求められることが一般的です。承諾を得る際に承諾料が発生する場合もあるため、契約内容を事前によく確認しておきましょう。権利関係が複雑になりやすい物件だからこそ、専門家を介して周囲との合意を丁寧に取ることがスムーズな運用の鍵となります。
Q. 補助金や減税制度は使える?
長屋やテラスハウスのリノベーションにおいて、補助金や減税制度を利用することは可能です。国や自治体が実施している断熱改修や耐震補強、バリアフリー化を目的とした補助金制度は、条件を満たせば対象となります。また、一定の要件を満たすリフォームを行った場合には、所得税の控除や固定資産税の減額措置を受けられるケースもあります。
ただし、長屋特有の構造や登記状態によっては、申請条件の合致を確認するために高度な専門知識が求められます。特に、省エネ性能の向上を伴う改修は近年の支援策が手厚いため、事前の調査が重要です。制度ごとに申請時期や予算枠が決まっているため、計画段階でプロの施工会社へ相談し、最新の情報を把握した上で活用を検討しましょう。
Q. 耐震補強は必要?
長屋やテラスハウスの多くは、現在の耐震基準が定められる以前に建てられており、耐震補強は必要不可欠です。複数の住戸が壁を共有して一体となっている構造上、一軒の強度が建物全体の安全性に直結します。
特に1981年以前の旧耐震基準で建てられた物件は、地震の揺れに対して脆い傾向があるため、リノベーションを行うタイミングで耐震診断を受けるのが望ましいでしょう。壁の補強や屋根の軽量化など、適切な対策を講じることで安心して住み続けられる住まいへと生まれ変わります。隣家と構造が繋がっている特性を考慮し、専門家と相談しながら建物全体のバランスを見極めた補強計画を立てることが重要です。
年々減っていく長屋(テラスハウス)ですが、時代の生活風景を残す建物とも言えます。不動産購入を検討している人は、長屋やテラスハウスも選択肢に入れてもいいかもしれませんね。
▼長屋(テラスハウス)リノベーションの費用は?【事例集】
中古マンション・中古戸建を購入してリノベーションを検討したい方はこちらから!持ち家のマンション・戸建をリノベーションしたい方はこちらから!







