2024.07.04
最終更新日
2026.09.30
リノベーションのヒント

長屋とは?戸建て・テラスハウスとの違いと購入・リノベーションの注意点

長屋リノベーション事例

長屋(ながや)とは、複数の住戸が壁などを接して一つの建物になり、共用の廊下や階段を通らず、それぞれの玄関から出入りする住宅です。古い木造住宅だけを指す言葉ではなく、テラスハウスと呼ばれる住宅にも長屋に当たるものがあります。

隣家とつながる長屋では、一戸だけで間取り変更や建て替えを決められない場合があります。この記事では、他の住宅との違い、購入前の確認事項、改修費用を、クジラの施工写真や間取り図とともに解説します。

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目次

長屋とはどんな住宅?玄関と住戸のつながりが特徴

長屋を見分ける基本は、住戸同士が一棟としてつながり、各戸に専用の出入口があることです。横に並ぶ形式のほか、上下に住戸が分かれる形式もあります。

隣接する建物の間にある京都の長屋の外観と格子のある玄関
京都市上京区の長屋を改修した外観。玄関は通りに面しています。施工事例を見る

大阪市では、壁または床を共通にし、共用の廊下や階段がない複数の住戸を長屋としています。建築上の扱いは、所在地の基準で確認します。

参考:大阪市「長屋の解釈」

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横に連なる長屋の例
住戸A住戸B住戸C
専用玄関 ↓専用玄関 ↓専用玄関 ↓
外へ出る外へ出る外へ出る

玄関が別でも、屋根・構造部材・配管まで独立しているとは限りません。つながり方は物件ごとに確認が必要です。

長屋は古さや階数で決まるものではない

長屋には新築もあり、築年数・構造・階数はさまざまです。住戸が上下に重なり、それぞれに専用の玄関や階段がある「重層長屋」もあります。外観がアパートに似ていても、共用廊下や階段の有無などで扱いが異なるため、出入りの経路を間取り図で確かめましょう。

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長屋と戸建て・共同住宅・テラスハウスの違い

一戸建てとの大きな違いは、建物が隣戸と一棟としてつながっていることです。共同住宅との違いは、共用廊下や階段を経由せず各戸へ出入りできる点にあります。

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呼び方建物と出入口の特徴検討時の見方
長屋複数の住戸がつながり各戸に専用の出入口がある隣家と接する壁・床や修繕範囲を調べる
一戸建て一つの住宅が独立した建物になっている建物だけでなく敷地・接道も調べる
共同住宅一棟に複数の住戸があり共用廊下・階段などを通って出入りする形式共用部分と専用部分の管理・工事ルールを調べる
テラスハウス戸建てのような住戸が連なる住宅の呼称として使われる長屋に当たるものがあり名称だけで権利関係を判断しない

総務省統計局の住宅分類でも、テラスハウスは長屋建に含まれます。ただし、統計上の分類と、個別の建築計画に適用する法令上の判断は目的が異なります。

参考:総務省統計局「住宅・居住地に関する用語」

テラスハウスやタウンハウスという名称だけで所有権は分からない

テラスハウスやタウンハウスという物件名でも、土地を一戸ごとに所有しているとは限りません。登記事項証明書・敷地図・管理規約などをもとに、購入する範囲、共有部分、通行や工事に承諾が必要な範囲を、不動産会社に説明してもらいましょう。

町家や連棟住宅は長屋と同じ意味とは限らない

「連棟住宅」は住宅が連なることを表す呼び方です。一方、京都市の文化財の説明では、「町家」は市街地や街道沿いの店舗併用住宅などを指します。長屋と重なる場合もありますが、同じ分類ではありません。古い外観や格子だけでは、長屋かどうかは分かりません。

参考:京都市文化財保護課「文化財とは?」

長屋のメリット・デメリットと内見で確かめること

長屋の利点は、各戸から直接出入りでき、物件によっては庭や上下階を一世帯で使えることです。一方、隣家との接し方が、音・採光・修繕の制約になることがあります。

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観点利点になることあわせて確認すること
出入り共用廊下を通らず自宅に入れる玄関前の通路幅や自転車を置ける場所
間取り上下階や庭を一世帯で使える物件がある階段の上り下りや家具を運び込める寸法

庭や上下階を使えるかは物件によって異なります。面積だけでなく、階段を上り下りする回数や、玄関前に荷物・自転車を置けるかまで内見で確かめてください。

音や日当たりは内見で確かめる

音の伝わり方は、隣戸との境の壁・床・配管などで変わります。内見では可能なら生活時間帯の音を聞き、寝室と隣戸の水まわりの位置も確認します。防音工事は、気になる音の種類と建物の状態を伝えて相談しましょう。

日当たりは隣接する建物や道路幅にも左右されます。奥まで光が届きにくい長屋では、窓の増設だけでなく、吹き抜けや室内の仕切りを見直す方法もあります。

吹田の長屋の寝室にあるガラスの仕切りと格子状の床
奥まで光が届きにくかった吹田の長屋。ガラスの仕切りや格子状の床を採用し、階下にも光を届けています。施工事例を見る

築古物件の寒さや劣化は長屋という形式とは別の問題

寒さや耐震性は、長屋という形式だけでは判断できません。屋根裏・床下も調査し、窓・断熱材・雨漏り・木部の腐朽などを確認します。内装や設備に予算を使い切らず、補修や補強に必要な費用を先に見込むことが大切です。

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長屋を買う前に確認したい資料と相談先

長屋を買うときは、権利・接道・建物の状態・希望する工事の可否を、契約前に確認します。物件調査と改修の相談を一緒に進めると、希望と予算のずれを早めに見つけられます。

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確認事項見る資料・現地で見る場所主な相談先
土地と建物の権利登記事項証明書・借地契約・境界や共有部分の資料不動産会社・司法書士
接道と再建築道路の種別・敷地図・建築確認関係の資料自治体の建築担当窓口・建築士
隣家との関係壁・屋根・基礎のつながりと過去の修繕の取り決め売主・隣接所有者・建築士
劣化と耐震性雨漏り・腐朽・シロアリ被害の有無と修繕記録既存住宅の調査に対応する建築士・施工会社
設備と工事経路給排水管の経路・メーター・資材を運ぶ通路施工会社・関係する事業者
資金と維持費工事見積・諸費用・課税明細・借入条件不動産会社・施工会社・金融機関

接道と再建築は玄関前に道があるだけでは判断できない

通路が見えていても、建築基準法上の道路に当たるとは限りません。大阪市の案内では、建築物の敷地は原則として法上の道路に2m以上接する必要があります。例外の認定・許可には別の条件があります。

棟全体と購入する一戸の範囲を確認し、「再建築不可」の理由を敷地図・建物資料とともに自治体や建築士に調べてもらいましょう。隣家から切り離しても、敷地・構造・防火などの条件により、建て替えられない場合があります。

参考:大阪市「建築基準法の道路とは」、同市「建築基準法第43条第2項の認定・許可」

隣家とつながる部分と修繕費の負担を調べる

屋根や壁の修繕範囲・相談先・費用負担を、過去の工事記録や取り決めで確認します。見た目の境と所有権の境が一致するとは限りません。隣地や隣戸を経由する配管は更新方法も調べ、売主の説明を契約書類や図面と照合して残しましょう。

購入価格の安さは総予算で確かめる

購入費を抑えても、補強・屋根補修・設備更新が重なると総額は変わります。購入代金に、諸費用・工事費・設計や申請費・引っ越しや仮住まいの費用を加えて比較してください。

固定資産税も、古いから「ほぼゼロ」とは限りません。売買価格と税の評価額は別で、家屋の経年減点補正には下限があります。土地・建物の税額は売主の課税明細などで確認します。

参考:豊橋市「家屋は古くなるのに評価額が下がらないのはなぜですか」

長屋を借りる場合は音と修繕の窓口を確認する

借りる場合は、音・採光・通路・階段に加え、雨漏りや設備故障の連絡先を確認します。内窓や棚を取り付けたい場合は、工事できる範囲、日時や搬入の取り決め、退去時の扱いを契約前に相談しましょう。

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長屋はリノベーションできる?工事と費用の考え方

長屋でもリノベーションできる事例はあります。建物の状態、法令・権利関係を確認し、隣戸への影響と残す構造から工事範囲を決めます。

間取り変更より先に残す柱と壁を見極める

すべての柱や壁を撤去できるわけではありません。建物を支える部分や隣戸との境を調査してから、部屋のつなぎ方を計画します。

神戸の長屋の1階間取り

改修前
神戸の長屋の改修前の1階間取り図。和室や台所が並ぶ配置
改修後
神戸の長屋の改修後の1階間取り図。ガレージと玄関を配置

車を置くためにガレージを設け、玄関と家具の搬入経路も検討した例です。図を押すと拡大できます。施工事例を見る

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希望すること計画前に調べること
部屋をつなげたい撤去できる壁・残す柱・必要な補強
明るくしたい窓を設けられる位置・隣家の視線・吹き抜けをつくる場合の構造
冬の冷え込みを抑えたい窓と断熱材の状態・結露や雨漏りの原因
生活音を抑えたい音が伝わる経路・壁や床に施工できる範囲
水まわりを移したい給排水管の経路・排水の勾配・床下の高さ

住吉には、実家と隣の空き家を一つにした施工事例もあります。ただし、構造・権利関係の確認が必要で、隣戸を購入すれば必ずつなげられるわけではありません。

↓こちらの施工事例もご覧ください

大規模な工事は建築確認の要否も事前に調べる

2025年4月から、2階建ての木造住宅などで大規模の修繕・模様替をする際の建築確認の対象が広がりました。過去の工事で申請不要だった場合も、改めて確認が必要です。

大規模かどうかは工事金額ではなく、壁・柱・床・梁・屋根・階段といった主要構造部の一種以上について、過半を修繕・模様替するかなどで判断します。壁紙の張り替えや設備交換だけの工事とは扱いが異なります。

長屋では、どこまでを一つの建築物として扱うかも建築士に図面で確認します。確認申請が不要な工事でも、法令への適合は必要です。

参考:国土交通省「建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し」、同省「木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について」

費用は工事範囲と建物の条件をそろえて比べる

費用は面積だけでなく、劣化や補強・設備更新の範囲で変わります。次に紹介する3件の施工事例の参考額は以下のとおりです。

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施工事例と面積参考費用工事内容と明記された除外条件
神戸市・62.22㎡1,720万円(税別)フルリノベーション
大阪市西成区・78.86㎡1,860万円(税別)フルリノベーション
京都市上京区・102.05㎡3,200万円(税別)フルリノベーション・家具家電を除く

出典:神戸市の施工事例、大阪市西成区の施工事例、京都市上京区の施工事例

各事例の参考額であり、現在の見積や長屋全体の相場ではありません。工事範囲・仕様・含まれる費目も異なり、物件購入費を含む総予算には使えません。見積は、解体・補強・屋根外壁・断熱・水まわり・内装の範囲をそろえて比較します。

狭い通路からの資材搬入や、隣家に接する部分の施工方法も費用に関わります。解体後に判明しうる追加工事を、予算にどう見込むかも相談しましょう。

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長屋の課題をどう解決した?クジラの施工事例3選

車を置く、室内を明るくする、親戚で集まる。異なる使い方に合わせて、長屋を改修した3件を紹介します。

神戸の長屋は家具の搬入まで事前に確かめた

階段脇の窓と透明な手すり越しに光が入る神戸の長屋のリビング

妻が育った長屋を、夫婦で暮らす家へ改修しました。ガレージを設ける計画のため、車の出入りと玄関の幅を両立させる必要がありました。キッチンも、二人が並んだり、すれ違ったりする場面を想定して計画しています。

↓こちらの施工事例もご覧ください


西成の長屋は窓を増やしにくい条件で室内の見通しを改善

玄関から開いた引き戸の奥へ見通せる西成の長屋の室内

夫の実家だった長屋を、家族3人の住まいへ。隣接する建物や狭い前面道路で窓を増やしにくいため、室内の開口や見通しを改善しました。将来の部屋の使い方に合わせて、カーテンで仕切る方法や配線も計画しています。

↓こちらの施工事例もご覧ください


京都の長屋は実家を家族や親戚が集まる場所へ

ダイニングキッチンの窓越しに坪庭を眺められる京都の長屋

実家を、家族や親戚が集まる場所として引き継いだ改修です。公開事例では、常時暮らす人はいないと説明されています。和室・縁側・庭とのつながりを残し、ダイニングキッチンも庭を眺められる位置に設けました。

↓こちらの施工事例もご覧ください


長屋についてよくある質問

再建築不可の長屋でもリノベーションできる?

可能な工事もありますが、修繕・模様替か改築か、建築確認が必要かで判断が変わります。購入前に、再建築できない理由と工事範囲を建築士へ伝え、2025年4月以降の制度で確認してください。

隣家や地主の承諾は必ず必要?

所有関係・契約・工事範囲によって異なります。借地契約や共有部分の取り決めを確認し、隣地への足場設置、共有する壁・屋根の工事は所有者と事前に調整します。権利関係に不明点や争いがあれば、法律の専門家にも相談してください。

長屋の購入に住宅ローンは使える?

利用できる場合があります。フラット35では連続建ての住宅も対象になり得ますが、接道・面積・耐震性などの物件基準や借入審査を満たす必要があります。契約前に物件資料と改修計画を金融機関へ示し、購入費と工事費をどう借りるか相談してください。

参考:住宅金融支援機構「対象となる住宅・技術基準」

長屋のリノベーションに補助金は使える?

所在地や工事内容によって対象になります。ただし、大阪市の耐震診断・改修等の補助は、長屋・共同住宅では原則として棟単位で申請するなどの条件があります。他の所有者の同意や受付状況も含め、契約・着工前に自治体へ相談しましょう。

参考:大阪市「民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度」(2026年9月確認)

長屋を検討するときは物件と工事を一緒に確認する

長屋は各戸の玄関が独立していても、敷地・構造・隣家との関係によって改修の条件が変わります。購入や実家の改修を考え始めたら、次の資料をそろえて相談しましょう。

  1. 物件の所在地と間取り図、建物や通路の写真
  2. 土地・建物の登記、敷地図、建築確認や修繕の記録
  3. 住む人数、残したい部分、変えたい部屋、購入と工事を合わせた予算

家具の搬入や親戚が集まる頻度など、図面に表れない使い方も判断材料になります。リノベーションの相談窓口で、検討中の物件や引き継ぐ家についてお知らせください。

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WRITERこの記事を書いた人

代表取締役 / プロデューサー

矢野 浩一KOICHI YANO

代表取締役(プロデューサー) / 宮崎県出身 / お客様の“不安”を”安心”に転換できるプロデュース / お客様と一緒にチームを作るのがクジラ流です。とことんこだわりたいお客様から、「どうしていいかわからない」というお客様までクジラスタッフを上手くご利用ください。

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