【リノベーションノウハウ】コンクリート打ちっぱなしの住まい
こんにちは!クジラ株式会社デザイナーの片山です。
片山 飛翔 Tsubasa Katayama 設計 / 兵庫県三田市出身 / お客様の空想をより良い形で体現する事を常に意識しています / 料理が得意です。お客様とプライベートでも遊べる仲になる事が夢です |
リノベーションのデザインを検討していると「コンクリート打ちっぱなし」という言葉をよく目にします。しかしいざ自分たちの家に取り入れようとなると「合わせにくい」と悩む人も多いようです。
無機質でクール、スタイリッシュなイメージが強く、どこにどうやって取り入れるのか分からなかったり、「そもそもコンクリートって何を指すの?」と疑問に思ったりすることでしょう。
ここではよく聞く言葉だけど、どんなものかはちゃんと理解されていないコンクリート打ちっぱなしについて事例も併せて解説します。
目次
コンクリートとは?
コンクリートによく似たものとしてセメント、モルタルという言葉を聞いたことがあると思います。
セメントとはコンクリートやモルタルになる前の石灰などの粉末の状態のものを指します。
ここでセメントに水、「骨材(こつざい)」と呼ばれる砂利や石を混ぜたものをコンクリートやモルタルと呼びます。
「骨材」は大きさで「粗骨材(そこつざい)」と「細骨材(さこつざい)」に分かれ、両方を混ぜているのがコンクリート、「細骨材」(砂)のみを混ぜているのがモルタルです。
同じような材料からできていますが、砂利のような大きな骨材も含まれているコンクリートの方が強度があります。そのため住居やお庭などには、コンクリートが主に使用されています。
コンクリート打ちっぱなしのメリットは?
デザイナーズマンションなどでは内装がコンクリート打ちっぱなしの物件をよく見かけます。
コンクリート打ちっぱなしとは、コンクリートを現し(剥き出し)のまま仕上げとしているもので、構造体であるコンクリートの上に内装材を施工していない部分を指します。
コンクリート造りの建物は防音性が高いことや耐火性が強いこともポイントです。
火災保険料も木造の場合より安くなるのでこれから物件選びをする方は覚えておくといいですね。
居室内の大半をコンクリートの現し仕上げにしたものだけでなく、空間の一部にコンクリートの現しを取り入れたものも含めて、コンクリート打ちっぱなしのメリットを見ていきましょう。
内装のセンスアップ
「コンクリート打ちっぱなし」と聞くとまず間違いなくおしゃれなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
実際にコンクリート打ちっぱなしのリノベーションデザインはスタイリッシュな仕上がりになることが一番の魅力とも言えます。
こちらの事例では壁面の躯体を現しにして、さらに梁部分にはモルタル、キッチンカウンターにはモールテックスという水に強い素材を使用することで、コンクリート打ちっぱなしを取り入れたリノベーションデザインにしています。
▼こちらのコンクリート打ちっぱなしのリノベーション事例はコチラ!
こちらのマンションでは天井周辺を全てコンクリート現しにしています。
部分的に白く塗装することで、空間全体のバランスが取れるようにプランしています。最近ではあえて電気配線の露出を選ぶ人や、配線ダクトレールを使う人も増えてきています。
古いコンクリート部分のラフさに、塗装の白が清潔感を加えてくれて独特の雰囲気を演出してくれます。木造一戸建ではできないマンションリノベーションならではのデザインではないでしょうか。
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間取り変更なしで部屋が広くなる!?
コンクリート打ちっぱなしの場合、数センチメートルではありますがお部屋を広く使えます。
通常、壁面にクロスを貼る場合、躯体となる壁の上に下地となる石膏(せっこう)ボードなどを重ねてから、クロスを貼って仕上げます。
つまりクロスの下には数センチメートルほどの厚みが生じるのです。
そのためコンクリートそのままの場合、この下地を省くことができるので少しだけではありますが、居住面積がひろくなります。
中には壁を解体してみると10センチメートル近く壁内部に隙間を作られていたケースもあり、この差はかなり大きいですよね。
特にワンルームやリビングスペースの広くないマンションなどでは、ほんの数センチメートルでも空間を広げたい方もいるでしょう。
天井の場合は配線が露出されますが、クロス仕上げの場合より高さがでるので、マンションでも開放感を感じられます。
内装にコンクリートを使う時の注意点
「コンクリートは内装に使用するのは不向き」という議論もたびたび見かけます。
どんな点で内装に不向きなのか?またその解決策も踏まえてコンクリート打ちっぱなしをインテリアに取り入れる際の注意点を見ておきましょう。
注意点① 夏は暑く冬は寒い!
コンクリートが内装向きでないとされる理由のひとつが熱伝導率の高さです。
上記で説明した下地部分の空気の層が作られないため、外の熱が直接伝わりやすく、夏は暑く冬は寒い部屋になってしまいます。
冬にどれだけ暖房を強くつけていてもコンクリートの壁はひんやり冷たいままです。壁から伝わった冷気で、部屋の空気も温まりにくくなります。
お部屋が広い場合や冷暖房の使用をできるだけ控えたい場合には、隣の部屋と繋がっている面の壁のみをコンクリートにするのも一つの手です。
片側のみをコンクリート打ちっぱなしにすることで断熱しつつ、クールになりすぎないお部屋の印象になります。
注意点② 配線やダクトはむき出しになる
天井や壁の躯体を現しにするデザインでは、配線やダクトが剥き出しになります。
配線やダクトが剥き出しになっていると少し独特な印象を与え、全体のお部屋のデザインもインダストリアル風に感じられることでしょう。
こちらの施工事例ではあえて室内にコンクリートブロックをアクセントとして使用し、配管を露出させることでインダストリアルテイストで大人かっこいい空間を演出しています。
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配線むき出しと聞くとごちゃごちゃした様子を思い浮かべるかもしれませんが、そうではありません。ダクトレールを使用しスポットライトを付けることでスタイリッシュなカフェのような空間に仕上がります。
ダクトや配線のむき出しが気になる場合には同系色に塗装したり配置を変えたりと解決策もあるので、打ち合わせで相談してみるといいでしょう。
こちらのリノベーションでは、配線ダクトレールの黒と、ガラス戸の黒フレームを合わせることで空間に統一感を出しています。
さらに黒のペンダントライトも合わせて設置し、とてもオシャレな空間に仕上がっています。
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外構(がいこう)にコンクリートを取り入れる場合
コンクリートを外構に使う場合、初期費用はかかりますが、その後長く使い続けられ、劣化しにくい特性があります。
一度コンクリートを打設(だせつ)してしまえば、その後修繕やメンテナンスのためにお金がかかることがありません。
外構コンクリート事例① 駐車スペース
車の駐車スペースにも問題なく使用でき、車に汚れがつくことなくメンテナンスの手間も省けることから、駐車スペースだけでもコンクリートにされる方は非常に多いです。
またお庭の一番よく利用するスペースだけをコンクリートにする例もあります。
外構コンクリート事例② 玄関アプローチ部分
こちらでは庭先から玄関までの人が歩くスペースにコンクリートを使用しています。
玄関前は毎日使用する場所なので、凸凹なく歩きやすいストレスフリーなアプローチにしておくことも大事なポイントです。
他の素材と合わせることで、どんなテイストにも馴染めるのがコンクリートの特徴です。
スタイリッシュなイメージの強いコンクリートですが、石と組み合わせれば和風の家にもマッチします。
外構コンクリート事例③ お庭
全面コンクリートにしてしまうとのっぺりした印象になってしまいます。
目地やワンポイントでメリハリをつけることを意識してデザインを考えるようにしておきましょう。
コンクリートでスタイリッシュなお家づくりを
コンクリートは外構、内装ともにメリット・デメリットをしっかり把握しておけば家づくりに取り入れやすい素材のひとつです。
スタイリッシュなイメージが強いですが、意外とどんな素材とも相性が良く自由度が高いので、好みによってデザイン仕上がり異なりいろいろと楽しめそうです。
コンクリートの特性ををうまく活用して実用面でもデザイン面でも住みやすい家を実現させてくださいね。