定期借地権付きマンションとは?後悔しないために知っておきたいポイント

中古マンションを探していると、周辺の中古マンションに比べて割安な物件を見かけることがあります。
そんなマンションの物件資料をよく見てみると「借地権」と見慣れない文字が。
借地権付きのマンションは、一般的なマンションと何が違うのでしょうか?
今回は、借地権付き中古マンションのメリットやデメリットについてご紹介します。
目次
定期借地権付きマンションとは?

マンションを購入する際、建物の一室だけを購入しているように思いますが、同時に土地を利用する権利も購入することになります。
そして、ほとんどのマンションの敷地利用権は「所有権」です。
一方で、借地権とは「建物を建てるために土地を借りる権利」のことです。
土地を借りた人は、地主に定期的に地代を支払うことになります。
また、借地権は権利の更新の可否別に普通借地権と定期借地権に区分されます。
普通借地権とは
普通借地権は、契約の更新が可能な権利のことです。
借地期間は当初は30年、1回目の更新で20年、2回目以降の更新では10年とされています。
普通借地権は、地主側に正当な理由がない限り自動更新されます。
また、土地を借りている人は、地代の他に更新時には更新料を支払うのが一般的です。
定期借地権とは
定期借地権は、借地期間に制限がある権利のことです。
普通借地権とは違い、期間満了時には土地を更地にして地主に返還する必要があります。
マンションの定期借地権の場合、契約期間は50年以上と定められています。
定期借地権付きのマンションを中古で購入する際は、借地権の契約期間があと何年残っているかを確認しましょう。
定期借地権付きマンションのメリット

物件価格が安い
定期借地権付きの中古マンションは、住むことができる期間に制限があることもあり、周辺の中古マンションに比べ安い傾向にあります。
土地に対する固定資産税・都市計画税がかからない
固定資産税や都市計画税は、土地と建物の所有者それぞれにかかる税金です。
定期借地権のマンションには土地の所有権はないので、マンション購入者は建物にかかる税金のみを納税します。その分、マンションの土地が所有権の場合に比べて、税金が安くなります。
人気の立地にある場合が多い
借地権付きのマンションは、地主が土地の権利を手放したくない場合がほとんどです。そのため、駅近や都心などの利便性が高く希少な場所に建てられます。期間限定ながらも、一般的には購入できないようなエリアで、相場より安く購入することができます。
定期借地権付きマンションのデメリット

最終的に更地にして返還しなければいけない
定期借地権付きのマンションでは、最終的に建物を解体し、土地を返還しなければならないことが最大のデメリットと言えるでしょう。解体の時期が近づいてきたら、新たな住まいへの住み替えが必要になることを覚えておきましょう。また、財産として所有することや、子どもへ資産として遺しておくことは不向きなマンションです。
地代や解体積立金がかかる
定期借地権付きマンションには、一般的なマンションにはかからない費用があります。
・地代
地代の相場は土地の資産価値によって異なりますが、月額1万〜2万円ほどかかります。また、地価の変動や土地にかかる税金の増税により、地代が上がるリスクもあります。
・解体準備金
取り壊しに多額の費用が必要になるため、修繕積立金のように管理組合が主導のもと、毎月積立をします。
このほかにも、マンションを購入する際に、保証金や土地代の前払金が必要になる場合があります。
長期の住宅ローンが組みにくい
最近では、住宅ローンを取り扱う金融機関は、物件の担保価値より、ローンを借りる人の返済能力を重視して融資の可否や融資限度額を決める傾向にあります。しかし、定期借地権付きのマンションを中古で購入する際には注意が必要です。
定期借地権の残存期間が10数年など短い物件の場合、今後の担保価値が長くは続かないため、長期間の住宅ローンが組めなかったり、リフォーム費用と合算できる住宅ローンなどが利用できない可能性があります。
資産価値が低く売却が難しい
定期借地権付きマンションは、その性質上、通常の所有権マンションと比較して資産価値が低く評価されがちです。特に、借地期間が短くなるにつれてその評価はさらに下がり、売却が非常に困難になる傾向があります。例えば、築年数が経過し、借地権の残存期間が20年を切ると、金融機関からの住宅ローンも利用しにくくなるため、購入希望者が大幅に減少します。これは、購入者がローンを組めないことで、現金一括で購入できる人に買い手が限定されてしまうためです。
また、定期借地権付きマンションは、地代や解体積立金といったランニングコストが発生します。これらの費用は、所有権マンションにはないため、購入後に想定以上の維持費用がかかることも少なくありません。そのため、売却を検討する際には、こうした特殊な費用負担も考慮に入れなければならず、一般的な相場の感覚で売却活動を進めると、なかなか買い手が見つからずに苦労する可能性が高いです。結果として、買い叩かれてしまうリスクも高まり、当初の購入価格を大幅に下回る価格での売却を余儀なくされるケースも珍しくありません。資産としてみた場合、柔軟な売却が難しい点は大きなデメリットと言えます。
老後も住み続けることが難しい
定期借地権付きマンションは、一般的に契約期間が50年以上と定められていますが、残りの借地期間によっては老後まで住み続けることが難しい場合があります。特に、購入時点で残りの期間が30年や20年といった短い物件では、70歳、80歳といった高齢期を迎える頃には契約満了という期限が近づき、住み替えを検討しなければならなくなります。例えば、60歳で購入して残りの借地期間が20年だとすると、80歳には退去する必要があるわけです。この時期に住み慣れた家を離れ、新しい住まいを探し、引っ越しをするのは身体的にも精神的にも大きな負担となるでしょう。
また、高齢になると住宅ローンの借り入れも難しくなるため、新たな住居の購入資金を確保するのも課題となります。さらに、定期借地権付きマンションは、契約満了時に更地にして返還する義務があるため、解体積立金を支払う必要があります。老後も住み続けることを考える場合、これらの費用負担も考慮に入れなければなりません。長期的なライフプランを考慮し、ご自身の高齢期にどのような住環境を望むのかを具体的にイメージした上で、慎重に検討することが大切です。
定期借地権付きマンションの購入に向いている人って?

一般的なマンションとは違い、特殊なメリットやリスクがある定期借地権付きマンションですが、以下のような人にとっては好条件のマンションになります。
周辺の賃貸物件と比べてお得な場合
定期借地権付きマンションと同エリアの賃貸物件を比較する場合もあります。
居室内の面積が同じ程度であれば、今後住むだろう期間に払う賃料が、定期借地権付きマンションを購入する費用などを上回るかもしれません。
購入に合わせてリノベーションをする場合も、物件購入費用とリノベーション費用の合計と、将来にわたって払う賃料の合計を比べてみてはいかがでしょうか。
子どもに家を相続するつもりがない
子どもを持たない方や、子どもがいても相続するつもりのない方にとっては、死後の物件の取り扱いについて考えることがないので定期借地権付きのマンションは向いているでしょう。
居住期間に制限あり!目的にあわせて検討しましょう
定期借地権付きのマンションは、通常購入できないような立地のマンションが比較的安価で購入できるメリットがあります。
しかし、居住期間に制限があるため、生涯住み続けることや子どもに引き継ぐには不向きな物件です。また、解体積立金や土地のレンタル費用がかかるので、物件価格が安くても全体でみると一般的なマンションとコストが変わらない場合もあります。
将来住み替える予定がある方には、一時的に便利なエリアに住むことができるため、不動産を利用するという視点で考えればコストパフォーマンスが良いかもしれません。自身のライフプランに合わせて検討してみましょう。
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