無垢材とは?種類とメリット・デメリットやお手入れ方法までご紹介
住宅を建てる上で、欠かせない木材。
安らぎを感じられる木の温もりは、リラックスできる家づくりに必要不可欠なものです。
住宅に使われている木材は加工されているものも多いですが、最近では、木の温もりをダイレクトに感じられる「無垢材」に注目が集まっています。
無垢材とは、自然に派生している木、そのもの。触れるだけで木の生命力を感じることができます。一つとして同じものがない木目や模様、傷でさえ味に。唯一無二の存在感を味わえるのも、無垢材の魅力の一つです。機能性も申し分なく断熱性が高いので、住宅の建材に使用するにはぴったり。再生可能であるため、サステナブルな観点でも最近では再注目されています。
ライフスタイルをアップデートしてくれる、無垢材のある暮らし。いざ住宅への導入を検討する場合は、「扱いづらい」などのデメリットなどもきちんとおさえておきたいものです。そもそも無垢材とは、どんなものなのか?住宅に取り入れることでのメリットやデメリットは?メンテナンスは面倒ではない?など、本記事では無垢材にまつわるあれこれについて、ご紹介していきます。
目次
無垢材とは
五感でよさを感じる。無垢材の魅力やメリット
無垢材とは、天然の木そのものです。自然界に自生している木から板に切り出された木材を乾燥させ、接着剤を使わずそのまま住宅の建材などで利用する木材のことを指します。一方、天然の木から切り出した木材を乾燥させて割れなどをとりのぞき、接着剤を使って結合させた木材は「集成材」と呼ばれます。安定した部分を貼り合わせているため、品質が安定する傾向にあります。
無垢材の魅力は、さまざまです。まず、自然に派生する木そのままを使用しているので、自然と常に触れ合っているような感覚を得られます。無垢材特有のほのかな木の香りにもみられる「1/fゆらぎ」が存在しているといわれる木目の見た目のやわらかさ、同じものが一つとしてない独自の色合い、やわらかく気持ちがいい手触りや足触り。接着剤を使っていないため、体にもやさしく安心です。使うごとに変化を見せてくれる経年変化を楽しめるのも、愛着が湧く理由の一つです。このように無垢材は、私たちの五感に働きかけてくれるのです。
無垢材は、機能面でも優れています。無垢材は鉄や石に比べ熱伝導率が低く、湿度が高いときは湿気を吸い膨張し、湿度が低いときは放湿して収縮するという性質があります。つまり、夏は涼しく冬は暖かい。外気の暑さや寒さを通しにくく、快適な温度で暮らすことができます。足の冷えが気になるという人は、フローリングに取り入れるのもおすすめです。
また、エコな観点でも近年注目をされ始めています。木材は持続可能な資源であり、製造に関わる固定も極めて少ない建材です。二酸化酸素が排出されることもありません。山や森で育ち、再び土にかえり、再生します。現代のサステナブルな気運においても、注目されるべき素材なのです。
リフォーム前に知っておきたい!無垢材のデメリット
五感にもよく働きかけ、ライフスタイルを豊かにしてくれそうな無垢材。家を立てる際やリフォームの際には、ぜひ検討したい建築資材です。となると、デメリットもきちんと理解しておきたいもの。
無垢材のデメリットと言われるものはいくつかありますが、湿度が高いときは湿気を吸い膨張し、湿度が低いときは放湿して収縮するという性質があること。これは夏は涼しく冬は暖かく暮らせるというメリットでもありますが、同時にデメリットでもあるのです。
それは、気温変化により膨張と収縮を繰り返すので、場合によっては隙間ができたり、反ったり、ひび割れしたりすること。ただし、心配はご無用。耐久性や安定性を高めるための加工を施しているものもあります。無垢材を使用したいけれどこの性質が気になる……という場合は、業者に相談してみるといいでしょう。無垢材の木の種類によっても特徴が異なるので、好みの樹種と、どこに採用するかを十分に検討した上で、無垢材の導入を決めたいものですね。
2つめにデメリットと言えるのは、汚れや傷がつきやすいこと。生活していると、何かをこぼしてしまったりと汚してしまったりすることは、残念ながら防ぎようがありません。その場合はすぐに拭き取らないと、残るシミになりやすいので注意が必要です。ペットを飼っている家庭でも、細やかな注意が必要となります。無垢材は水分にも弱く、濡れたままにしておくとシミにや雑菌が繁殖してしまう原因にも。汚してしまったら、すぐに乾いた布でサッと拭き取ることを念頭に入れておきましょう。また、やわらかい樹種を選ぶと、固いものを落とすだけで凹んでしまうことがあります。経年変化で色が変化することは、ある程度仕方がありません。これをデメリットと捉えるのではなく、経年変化を楽しむという捉えかたで無垢材を選ぶ人が多いようです。
無垢材の強度は?
切り出してからどれだけ乾燥させるかの度合いによって、無垢材の強度は変わります。無垢材の場合は、内部に含む水分の割合が1~10%であると最も強度が高くなります。しっかりと乾燥させた無垢材は、集成材よりも強度が高くなることもあるほど。無垢材の木の種類によっても強度は違うので、選ぶときの項目の一つにあげておくとよいでしょう。
無垢材の種類
無垢材に使われる木材「針葉樹」と「広葉樹」の違い
無垢材に使われる木は、「広葉樹」と「針葉樹」の2つに分類されます。無垢材のメリットデメリットを先述しましたが、樹種によっても大きく違いがあります。
広葉樹の一般的な特徴は、ぎゅっと詰まっていて硬く重たいこと。触り心地は、ひんやりと感じられることが多いです。重厚感があり傷が付きにくく丈夫に仕上がる性質を活かして、フローリングをはじめ、家具や楽器にも利用されています。
針葉樹の一般的な特徴は、広葉樹に比べてやわらかく明るめの色が多いこと。「ソフトウッド」とも呼ばれます。触り心地は、やわらかく感じます。加工がしやすく、フローリングに利用される針葉樹の無垢材は、スギ、ヒノキ、パイン、アカマツなどが一般的です。
針葉樹は木の成長が早く、広葉樹は成長が比較的ゆっくり。一度に入手できる量の差で、広葉樹のほうが高価になる傾向にありますが、樹種などにもよるため一概には言えません。以下に無垢材の種類の特徴を述べますが、同じ樹種でも産地によって差があることも。デザイン性と機能性をよく理解し、住宅への導入をするのがおすすめです。
針葉樹-スギ
住宅建材として、とてもよく利用されているスギ。木目も鮮やかで取り入れるとパッと明るく華やいだ雰囲気になります。やわらかく弾力性にも優れているため傷がつきやすくもありますが、それも味となって愛着が湧くでしょう。手触りや足触りも気持ちいいです。新しいものだと香りが強く、癒し効果があります。比較的安価で手に入れられるので、人気の樹種です。
針葉樹-ヒノキ
ヒノキは、スギと並び日本を代表する針葉樹の無垢材です。ひのき風呂として利用されるほど無垢材の中では水分に強く、腐りにくい性質をもちます。アロマの香料に使われるヒノキチオールやαピネンという香り成分は、リラックス効果絶大。硬い樹種で反りが少なく耐久性も高いため、丈夫。フローリングにした場合は、張り替えの必要はほぼないとも言われています。
針葉樹-パイン
マツ科の木からとれる建材、パイン。こちらも、無垢材の中では幅広く利用されています。見た目の特徴は、節が多くて温かみがあること。味わい深く、デザイン性も高い仕上がりになります。日本産の黒松赤松、ロシア産のエゾ松、北欧産のレッドパイン、北米産の米松、南半球のラジアータパイン……など、いろいろな種類があります。比較的安価に手に入りますが、産地によっても異なります。
広葉樹-オーク(ナラ)
オークは、広葉樹を代表する無垢材として知られています。ブナ科の広葉樹で、世界の様々な地域に自生しています。欧州のヨーロピアンオークや北米のホワイトオーク、アジアのモンゴリアンオークや日本のミズナラなどが有名です。生息地により色味や硬さは異なりますが、薄すぎず濃すぎない色味は汎用性が高いため大変人気です。木目の美しさも特徴的で、高級感がありながら比較的安価で手に入るのも人気の理由。古くより洋酒を醸造する際の樽や船にも使われているだけあり、広葉樹の中でも耐久性と耐水性に優れています。
広葉樹-ビーチ・ブナ
ビーチも、ブナ科の広葉樹。日本語ではブナとして知られています。見た目の特徴は、木目に剃った細かい斑点状の模様があること。原木の中心部分は淡い褐色で、それを囲む外周部分は白っぽい色をしています。緻密な材質で堅く粘りがあり、構造材や家具などに幅広く使用されています。
広葉樹-メープル
カナダやアメリカに多く生息しているメープル。木の幹から採取できる蜜は、メープルシロップとして知られています。木の繊維が多く、表面のきめ細かい模様が繊細で美しくデザイン性が高い樹種です。また乳白色の木肌と柔らかな木目が印象的で、住宅に取り入れると空間がパッと明るくなります。傷や衝撃に強く耐摩耗性にも優れているため、家具や楽器の材料としても使われます。
広葉樹-チーク
チークは、東南アジア原産のマメ科の広葉樹です。油分が豊富なためなめらかな質感で、使い込むほどに艶が出る高級木材として知られています。無垢材のメンテナンスはワックスやオイルを使うことが多いですが、チークの場合は木材自身が持つ油分で深い艶をキープすることができます。無垢材の中でも、とくに加工後の収縮や膨張の変化が少ないのも特徴です。
広葉樹-ウォールナット
塗装をしていないにも関わらず、重厚感のある焦げ茶色をしているウォールナット。クルミ科の植物で、チークやマホガニーと並ぶ世界の3大銘木として知られています。現在流通しているものは、ブラックウォールナットやアメリカンウォールナットと呼ばれる北米産のものが多くあります。とくに濃いブラウン系の色味が美しいブラックウォールナットは、有名家具メーカーなどでもよく使われる樹種です。こちらも、加工後の収縮や膨張の変化が少ないのが特徴です。
広葉樹-バーチ・カバ
バーチは、ヨーロッパやアジアに広く自生する広葉樹。広葉樹の中では優しくきめ細やかな木目で、色は明るめの淡い白黄色です。適度な硬さがあり比較的安価なため、フローリングをはじめ家具として広く流通しています。日本に自生する白樺(シラカバ)も同様の樹種です。
広葉樹-タモ・ヨーロピアンアッシュ
アッシュは、主に寒冷地に自生します。ロシア産のタモや欧州原産のヨーロピアンアッシュなどが有名です。産地によっての木目の表情が大きく異なるのも、おもしろいところ。寒冷地で育ったものほど細かい木目をもつと言われています。国産では、北海道産のタモは木目が非常に美しく、最高級建材として評価されています。
長持ちさせる無垢材のお手入れ方法
普段のメンテナンスは水拭きを
無垢材のお手入れの基本は、水拭きです。水拭きをすることで、汚れやほこりを取り除くことができます。とはいえ毎日行う必要はなく、1〜3ヵ月に一度行えば十分。注意したいのは、無垢材は水に強くないため、固くしぼった布で拭くことを心がけましょう。半年〜1年に1回は、ワックスアンドクリーナーなど専用の汚れ落としを使い、乾いた布でしっかりとお掃除を。
風通しをよくする
外の空気に触れさせることも、無垢材を美しく経年変化させるコツです。フローリングの場合は、よく換気をし風通しをよくすることを心がけましょう。
ワックスやオイルで再塗装
どうしても見た目が経年変化してしまう無垢材。もし劣化していると感じてしまった場合は、専用のオイルやワックスを使って再塗装することをおすすめします。塗装する前には汚れやホコリをきれいに取り除き、木目にそいながらブラシで薄く塗り伸ばしてワックスで塗装をしていきます。十分に乾燥させたら、乾いた布にオイルを染みこませ、木目にそって薄くなじませましょう。多少の手間が必要となりますが、それをも楽しむという人も多いです。
傷がついたときは
気になる傷がある場合はオイルを塗る前に、サンドペーパーで治せる場合もあります。直せない傷もありますが、それも一つの味。「この傷はこういうときにできたよね」と、家族で語りづがれるいい思い出となることでしょう。
無垢材のある暮らし
無垢材はフローリングだけではなく、さまざまなインテリアに使われています。経年変化を楽しめる素材なので、無垢材を使ったアンティーク家具も人気。無垢材を使ったおしゃれなインテリア事例をご紹介します。
リノベーション事例:フローリング
無垢材を取り入れたい例として代表的なのが、フローリングです。使用箇所が多いため、家全体の雰囲気を決定づけるものとなります。ぜひ温もりのある無垢材を取り入れてみてください。
▼ウォールナットのフローリングを施工した施工事例はこちら!
リノベーション事例:キッチン
フローリングなど大きい面積をすべて無垢材にするには予算が足りない……という場合は、住宅の一部に採用するのもおすすめ。ダイニングからよく見えるキッチンに無垢材を取り入れると、温もりを感じるスペースに。
▼無垢材キッチン「WOODONEのsu:iji」の施工事例はこちら!
リラックスして過ごす空間に、自然の息吹が感じられるのはとても落ち着くものです。新築やリフォームを考えているなら、ぜひ無垢材の導入を検討してみてはいかがでしょうか。木の温もりと共にする生活、すてきですよ。