築50年のリノベーション費用や失敗しないための注意点を紹介
こんにちは!クジラ株式会社の山根です。
Writer 山根広大 ディレクターWORKS 宅地建物取引士。大学で建築を学び、人の暮らしにより幅広く関わりたいと思い不動産業界を志望。2019年にクジラ株式会社に入社。不動産・建築の両面からワンストップでリノベーションをサポートするのが得意。 |
築50年とかなりの年数が経過している住宅の場合、リノベーションではなく建て替えのほうがいいか…というのが悩みどころです。とはいえ、いったん壊して建て替えるのは、かなりのコストがかかります。築50年経った物件でも適切なリノベーションをすることで、資産価値が上がる場合もあるのです。
購入を視野に入れている場合では、同じ広さや地理条件の場合において、新築を購入するよりも築古物件をリノベーションしたほうが、かなり安く手に入れられる傾向にあります。
そこで今回の記事では、築50年、またはそれ以上築古の物件について、リノベーションを考える際におさえておきたいポイントやかかる費用、失敗しないための注意点などを見ていきましょう。
目次
築50年の物件のリノベーションは可能か?
結論から言うと、建物の構造さえしっかりしていれば、築50年という年数が経っていてもリノベーションすること自体は可能です。逆に言うと、建物の構造自体に欠陥がある場合は、リノベーションすることが難しくなってくることも。リノベーションする上で問題となる部分が一部である場合や、欠陥が軽微で済んでいる場合は、補修しながらリノベーションをすることも可能でしょう。
しかし、シロアリ被害にあって家全体に腐食が及んでいるなどの場合は、リノベーションが難しくなります。長年点検をしていない家は、目で見るよりも欠陥が進んでいる可能性もあります。目で見るだけでは住宅の状態を判断するのは難しいため、専門家に建物の状態を詳しく見てもらいましょう。
戸建てのリノベーションについて
築50年が経過した戸建てでも、先述したように建物の構造さえしっかりしていればフルリノベーションが可能。可能な範囲で柱や壁などをとりのぞいてスケルトン状態にすることで、間取りを大幅に変更することも夢ではありません。外側や仕様をアップデートしながらしっかりとフルリノベーションすることで、さらに長い間快適に暮らすことができます。
マンションのリノベーションについて
築50年が経過したマンションの場合は、物件価格がほぼ底値になっていることも多く、リノベーション目的で購入する場合は穴場でもあります。また、築古マンションは都心部にて大規模な開発が行われた時代に建てられたものも多く、駅近物件や良好アクセス物件であるなど、立地がよいことも多いです。特に都心部では、そういった傾向が多いと言われています。好立地というだけで資産価値があり、リノベーションを施すことでさらに価値が上がります。だからこそ賃したり売却したりなどの将来を見据えた際に、リノベーション前提で購入する価値の高い物件となります。
築50年の物件リノベーションのメリットとデメリット
新築や築浅の物件ではなく、築50年という築古物件をリノベーションするメリットはどこにあるのでしょうか。メリットだけでなく、デメリットも理解した上でリノベーションを検討することが大切です。
メリット
購入を視野に入れている場合、一番のメリットは、なんといっても価格の安さです。たとえば、中古の戸建てを購入してリノベーションすると、新築への建て替えや購入よりも費用を3割程度抑えられるケースが多いです。そのため、リノベーション費用にお金をかけることができ、間取りや空間デザインなど、理想に近い形での構築をすることもう夢ではありません。
また、すべてを新しくせずとも、まだ使える部分は残しつつ、昔ながらの風情を残しながら古民家リノベーションのような雰囲気を楽しむこともできます。最近の昭和レトロブームになぞらえて、和室の木の質感や古い建材の風合い、伝統的なデザインを生かしつつ、現代風な便利な生活スタイルを取り入れ、モダンにアップデートさせた「いいとこ取り」の物件を作り上げることもできます。
持ち家の場合も、既存の家をリノベーションする方が、建て替えよりもはるかに安いコストでおさえられます。既存の構造や骨組みを活かせるためです。大がかりなリノベーションの場合でも、通常2ヵ月ほどで工事が完了するケースが多いです。
築50年を経過する場合は、建築基準法などの法的な問題や道路付け(敷地のどの方角に道路が接しているか)の問題で、建て替えできない場合もあります。そういった場合も、リノベーションを選択することで引越しを考えずに、長年住み慣れた街で暮らせるというメリットもあります。
デメリット
一般的には建て替えよりもリノベーションのほうがコストダウンできるとはいえ、建物があまりにも古く修繕する場所が多いなど、建物の状態によってはリノベーションのほうがかえって高くつく場合があります。築古物件であれば、そういった可能性がなおさら高くなります。築50年の物件は築浅の物件に比べると、耐震工事や断熱工事が必要になることが多いです。
また、建物内外の設備や構造が劣化し、新しいものに換える必要性も出てきます。場合によっては床・壁・屋根水道管・電気設備などすべて取り替えるケースが多いため、工事費用がかさんでしまいます。
1981年以前に建築された住宅は、一般的には、旧耐震基準で建てられています。そのため、築50年の物件は現在の耐震基準を満たしていません。ただし、何度かリノベーションをされている物件などは、耐震基準をクリアしている場合もあります。リノベーション対象の物件がどういった状態になっているか、施工業者に確認してみるといいでしょう。
また、古い住宅では柱や梁の位置が固定されているため築50年以上の古い住宅をリノベーションする場合は、間取りや設備の変更が全て叶わない場合もあります。
築50年の物件をリノベーションする際のチェックポイント
築50年の物件をフルリノベーションする場合に、チェックしておかなければいけないポイントはどこにあるのでしょうか。以下に見ていきましょう。
構造部分のチェックと診断
まずチェックしたいのが、建物の構造自体に欠陥がないかどうか。建物の構造さえしっかりしていれば、築50年という年数が経っていてもリノベーションすること自体は可能です。例えば古い家を診断していくと、屋根や外壁の劣化により雨漏りしてしまうなどの例も。長年の雨漏りの被害が広範囲に及んでいる場合は、そのぶん手入れをしなければなりません。
間取り変更とデザインの自由度
築古物件には、柱や梁が動かせないという場合も多く、間取りの変更ができない場合もあります。そのため、どれくらい間取り変更や空間デザインの自由度がある物件なのかについては、まずにチェックしておきたいポイントです。これは見た目ではなく構造の部分であるため、素人目でチェックするのはなかなか難しいもの。物件決定の段階で、早めに施工業者への相談をするといいでしょう。間取り変更の希望があるのにもかかわらず、あとあとになってそれはできなかった……というのでは、後悔先立たず。リノベーションには多くのコストがかかるからこそ、納得のいく形で進めていきたいものです。
耐震性・断熱性の向上工事
築50年以上の住居の場合は、旧耐震基準で建てられていることが多く、現在の耐震基準を満たしていません。その場合は、現在の基準に合わせた耐震改修工事が必要になり、その分コストがかかります。その費用は、約100~200万円はかかると想定しておきましょう。
また、築古物件の場合は、多くが断熱性や気密性が低下しているものです。夏に暑く、冬に寒いとなると快適に過ごすのがなかなか難しく、無駄な冷暖房費がかかってしまいます。エコの観点でもよくありませんし、カビやダニの原因にもなってしまいます。住んでみてから気づくのでは遅すぎるため、リノベーションをスタート段階で、断熱性や気密性についてチェックし、不足しているようなら、リノベーション時に性能を高める施工をしてもらいましょう。例えば断熱材を厚く敷き詰めたり、窓を二重サッシや複層ガラスなどに取り替えたり。断熱性・気密性を向上させるには、ある程度の費用はかかりますが、その分生活の快適度が上がり、年間の光熱費の削減にもつながります。
配管・配線の交換
水回りの配管や電気回路の配線なども、年月の経過とともに傷んでいる可能性があります。それを放置したまま使っていると、事故につながる可能性もあります。リノベーションの機会にきちんとチェックしておくことがおすすめです。コストはかかってしまいますが、ライフラインに関わることは生活する上でとても大切。リノベーションに機会にアップデートしておきたいものです。
基礎の補強
建物の構造=基礎は、きちんとチェックしておきたい部分です。古い物件は当然、補強しなければならない必要性も出てくるでしょう。通常、1~2ヵ月ほどの工事期間が必要です。しかし、シロアリ被害にあって家全体に腐食が及んでいるなどの場合は、リノベーションが難しくなります。長年点検をしていない家は、目で見るよりも欠陥が進んでいる可能性もあります。その場合は思い切って建て替えという選択肢を決断する場合もあります。
リノベーション費用の見積もりと補助金利用
リノベーション費用は、その家の状態や全体リリノベーションか、部分リノベーションかによっても変わってきます。ここでは全面リフォームを前提に相場を見ていきます。
リノベーション費用相場
フルリノベーションの費用相場は、その建物の状態や広さ、戸建てかマンションかによっても当然変わりますが、1000~2000万円あたりを見積もっておくといいでしょう。家の規模、リフォーム内容にもよりますが、もし予算の余裕があるのなら、2500万円程度までは見込んでおけると安心です。建て替えの平均費用は3500万円程度なので、かなりコストをおさえられます。予算がある程度決まっている場合は、リノベーションする優先順位を考えつつ、部分リノベーションするのもひとつの手です。50年間の間、一度もリノベーションをしていない場合は、水まわりなどを代えるだけでも過ごしやすさが大きく変わります。
詳細は下記記事も参考にしてください。
補助金の活用法
空き家をリノベーションする場合に、国や地方自治体から受けられるさまざまな補助金があります。最近の傾向としては、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)関連の、「住宅エコリフォーム推進事業」「こどもエコすまい支援事業」なども。給付を受けるにはさまざまな条件をクリアする必要がありますが、上限で100万円もの支援を受けられる場合もあります。最新の情報はホームページなどでチェックしましょう。
また、国や地方自治体が設けている補助金制度もぜひ活用したいものです。こちらも対象となる工事内容や支援方法は地方自治体によって異なりますので、お住まいの地方自治体に確認してみてください。他にも、所得税や固定資産税や所得税の控除や減額などを受けられる制度もあります。
失敗を防ぐための注意点
築50年の住まいをリノベーションする際に、よく起こりうる失敗例についても知っておきましょう。間取りや水回りなど、最近のライフスタイルだと当たり前であることが、50年前当時では当たり前ではなかったということも多々あります。
事前の住宅診断
見た目にはキレイで快適に住めそうでも、構造自体は目では見えません。耐震や換気、断熱性などの基本性能に問題があるかというのは、プロでなければわからない場合もあります。これらをチェックできるのが、住宅診断です。一級建築士が建物の状態を確認し、必要な工事や不要な工事を検討します。その診断をもって、リノベーションに必要な費用を概算していきます。
見えない部分への費用配分
住宅診断をすると、いわゆる見えない部分にどれくらい費用をかけるべきかが、おおよそ見えてきます。特に築古物件では、この部分にコストがかかることが多いです。ですが、この部分は毎日暮らす家では譲れない部分でもあります。どれくらいの金額が必要かを見積もった上で、見た目の空間デザインにかけられるお金を配分していくといいでしょう。
追加工事と費用の確認
予想外の費用を抑えるには、業者との時間をかけた丁寧な打ち合わせが必要です。施工業者によって見積もりもさまざまなので、できたら見積もりは複数業者に依頼しましょう。リノベーションプランも含めて、一番ぴったりくる施工業者を選定するためにも、リノベーションをしたい時期から逆算し、準備は早めであればあるほどいいでしょう。
必要な工事や希望をすべて実施した結果、費用が想定以上の額になるケースや、建て替えよりも高くなるケースがあります。築50年以上の住宅では、予想以上に壁の内側や床下の腐食が進んでいる場合があります。一部分の修繕をしても、後で新たな問題起き、費用がかさむことがあるため注意が必要です。建て替えかリフォームか、中立的な立場で判断してくれる住宅診断士のアドバイスを受けることで、検討材料になるでしょう。
実例紹介とケーススタディ
築50年の築古物件をリノベーションして、現代の生活にそぐう住みやすい物件にアップデートされた例はたくさんあります。ワンストップリノベーションの会社に依頼すれば、中古物件の探し方から、住宅診断、耐震診断、リノベーションの計画立案、最終的な工事まで、一貫してサポートが受けられます。ここでは、KUJIRAが手がけた空き家リノベーションのさまざまな事例をご紹介します。
ホテルに暮らすように過ごす、古民家リノベのセカンドハウス
親戚の方から引き継いだ古民家を、セカンドハウスとしてリノベーション。
余暇を過ごすホテルで感じる、ゆとりと穏やかな時間をお家にも取り入れられるように設計しました。
趣のある扉や天井、コンクリートの壁など元のお家の良さを生かしつつ、新しい要素と組み合わせて新旧が織りなすデザインが実現できました。
種別 | 戸建て | 築年数 | 87年 |
面積 | 約130.2㎡〜 | 金額 | 1,590万円 |
アウトドアライフを楽しむ、ライフスタイルから間取りを決める。
大阪市淀川区にあるマンションの一室をリノベーション。
一人暮らしにちょうどいい間取りに、主要部へのアクセスの良さを兼ね備えた物件です。
種別 | マンション | 築年数 | 48年 |
面積 | 40.71㎡〜 | 金額 | 500万 |
リノベーションする際の注意点さえ抑えておくことで、築50年以上のリノベーション活用は様々なメリットがあります。ぜひまずはお気軽に我々にご相談ください