2024.07.23.Tue リノベーションのヒント

リノベーションはやめたほうがいい?失敗・後悔やデメリットを丁寧に解説

リノベーション 動線

こんにちは!クジラ株式会社の山根です。

Writer
山根広大
ディレクターWORKS
宅地建物取引士。大学で建築を学び、人の暮らしにより幅広く関わりたいと思い不動産業界を志望。2019年にクジラ株式会社に入社。不動産・建築の両面からワンストップでリノベーションをサポートするのが得意。

リノベーションは、新築よりもコストを抑え、自分好みの住まいを手に入れる方法として人気があります。しかし、すべてが順調に進むわけではありません。工事期間が予定より長引く、予算を超える費用が発生する、仕上がりが期待通りでないなど、さまざまな問題に直面する可能性もあります。

この記事では、リノベーションにまつわる失敗や後悔、そしてデメリットについて詳しく解説します。後悔のない住まい作りを実現するための参考にしてみてください。

リノベーションのデメリットと失敗事例

コーブ照明 失敗
リノベーションは、新築に比べて経済的に魅力的な選択肢ですが、すべてがメリットばかりではありません。リノベーションには思わぬデメリットや失敗が伴うこともあります。以下では、リノベーションのデメリットと、実際に起こり得る失敗事例について詳しく見ていきましょう。

物件寿命が短くなること

新築よりも低コストで希望するエリアに住めるのが、リノベーションのメリットです。しかし、中古物件は新築よりも寿命が短いことがほとんどです。目先の価格だけを考えるのではなく、「そこにあと何年住みたいのか」という長期的な計画を持つことが重要です。

とくに、老後もその場所に住み続けたいと考えている場合は、建物の老朽化やメンテナンスコストも考慮しなければなりません。そうでなければ、老朽化が進んだり、老後の暮らしに適さなかったりして、住み替えが必要になるかもしれません。リノベーションを計画する際には、将来の生活設計を見据えて慎重に判断しましょう。

光熱費の増加

最近では、高気密・高断熱の住宅が増えており、1年を通じて外気の影響を受けにくく、一年中快適に過ごせる場合が多いです。しかし、古い物件の場合は断熱性が低く、夏は暑く冬は寒い状態になりやすく、また、空調機器が効きづらいことも少なくありません。家族の人数が多い場合は空調機器を使用する部屋数も増え、さらに光熱費は上がるでしょう。

リノベーションを行う際には、断熱性能の向上やエネルギー効率の高い設備を導入することで、光熱費の増加を抑えることができます。また、断熱性能の低い住宅では、居住環境が快適でないだけでなく、健康にも影響を及ぼす可能性があるため、とくに注意が必要です。

耐震性の問題

中古物件を購入する際は、築年数を考慮するようにしてください。その理由は、建築基準の改正により住宅の耐震性の基準が上がっているからです。1981年6月に施工された新耐震基準では「震度6強から震度7程度の地震で家屋が倒壊・崩壊しないこと」という基準が設けられました。そのため、1981年6月以前に建てられた住宅は新耐震基準を満たしていない可能性が高く、追加で耐震工事が必要な場合があります。

また、中古住宅は地震保険も割高な傾向があるため、これらを踏まえ場合によっては経済的な負担が大きくなるかもしれないことも理解しておく必要があります。耐震性能の確認や補強工事の見積もりを事前に行い、必要な対策を講じることが重要です。

定期的なメンテナンスが必要

リノベーションをすればすべて終わりというわけではありません。人が住む家はどうしても定期的なメンテナンスが必要になってきます。具体的には、外壁塗装やクロスの張り替え、屋外の防水工事、水回り機器の交換、シロアリ駆除などが挙げられます。とくに外壁塗装は家屋全体の施工となるため、120万円ほど費用がかかります。

リノベーションをする施工会社を選ぶ際には、アフターサービスもしっかりしている会社を選定するようにしましょう。また、メンテナンスの頻度やコストについても事前に確認し、長期的な計画を立てておくことが重要です。これにより、住まいを長く快適に保つことができます。

リノベーションの範囲に制約がある

物件の構造によっては、リノベーションできる範囲に制約がある場合があります。特に中古マンションの場合は、マンションの所有者個人が所有する占有部と、マンションの所有者全員が共同で使用する共有部にはっきりと分かれています。共有部は外廊下、階段、隣室との境界にある壁や床・天井、サッシの窓枠などを指し、これらは自由にリノベーションできません。

リノベーションできる範囲は素人目では判断しづらいため、施工会社を通じて管理会社や不動産会社に事前に確認しておきましょう。そうすることで、理想とするリノベーションとの乖離を防ぐことができます。また、マンションの場合、管理規約に従って工事を進める必要があるため、事前に管理規約を確認し、必要な手続きを行うことが求められます。

仕上がりがイメージと異なる

リノベーションでよくある失敗として、仕上がりがイメージと異なるということが挙げられます。事前の打ち合わせでは、どのような仕上がりになるのか図やイラストを用いながら説明や提案を受けますが、その際に平面図だけだと認識のズレが生じやすいです。可能な限り、立体的に空間をイメージできる3D設計図で提案を受けるようにしましょう。また、実際に使用される材料や色合いを確認し、サンプルを取り寄せることで、より具体的なイメージを持つことができます。

イメージとは、色味やデザインだけでなく、日々暮らしていく上での「使い勝手」も外せないポイントです。リノベーションを依頼する前に、家族構成とそれぞれのライフスタイルを振り返り、見た目の理想だけでなくどんな生活をしたいのかをはっきりと伝えることが大切です。これにより、期待通りの仕上がりを実現し、後悔のないリノベーションを行うことができます。

マンションリノベーションの後悔ポイント

中古マンション
マンションのリノベーションは、快適な暮らしを実現する手段の一つですが、思い描いていた理想の生活に近づけるためには多くの準備と情報収集が欠かせません。以下では、マンションリノベーションにおける後悔ポイントをいくつかご紹介し、事前に知っておくべき注意点や対策について解説します。

高額な修繕積立金

戸建てより購入価格が安く済むと見られがちなマンションですが、マンションを購入すると、その後管理費や修繕積立金などを払い続ける必要があります。築年数が古いマンションほど、メンテナンスしなくてはいけない箇所が増えるため、修繕積立金は高くなります。これには、工事資材や工事費用などの物価の上昇も影響しています。さらに、将来的な大規模修繕や予期せぬ修繕が発生することもあるため、修繕積立金の負担は予想以上に大きくなることがあります。

マンションを購入する際は、長期的にかかる費用も考慮した上で、家計に負担をかけすぎないように気をつけましょう。これにより、購入後の生活費を安定させ、快適な住まいを維持することができます。

希望通りの間取りやデザインにできない

マンションに住む上で無視できないのが「マンション管理規約」というものです。多くの住民が平和で快適に暮らせるように生活ルールなどを明記したもので、中には改修工事に関する記載もあります。例えば、水回り(キッチン・浴室・洗面・トイレ)の移動を禁止したり、フローリングやクロスなど内装材の性能を限定したりしています。これらは水漏れや騒音トラブルなどの発生を防ぎ、マンション全体の資産価値を落とさないことが目的です。

占有部のリノベーションでも、全てが思い通りに自由に施工できるとは限らないため、事前にマンション管理規約を隅々まで確認しておきましょう。さらに、管理組合への申請や許可が必要な場合もあるため、リノベーションの計画段階から慎重に進めることが大切です。希望通りの間取りやデザインにできない可能性を考慮し、柔軟な対応を心がけることが求められます。

電気容量不足で生活が不便

リノベーションをするなかで、食洗機やIHクッキングヒーター、電気床暖房など電気設備の導入を検討している人は注意が必要です。なぜなら、古いマンションの場合、各戸の電気容量が決まっていることがあるからです。築30年を超えるようなマンションでは、電気の契約容量が30A程度のところが多く、電気設備を導入しても快適に使うことができません。そのあたりのこだわりがある人は、必ず管理会社や管理組合に電気容量について確認しておくことをおすすめします。電気容量が不足している場合は、配線の増設やブレーカーの容量アップが必要となり、追加費用が発生することもあります。また、これらの工事には時間がかかるため、リノベーションのスケジュールにも影響を与える可能性があります。事前にしっかりと確認し、計画的に進めることで、快適な生活環境を整えることができます。

戸建住宅リノベーションの後悔ポイント

中古戸建て
戸建住宅のリノベーションは、夢の住まいを実現する大きなチャンスですが、その反面、さまざまな後悔ポイントも存在します。予算オーバーや見えない部分の工事費用、工事中の生活の不便さなど、計画通りにいかないことが多々あります。ここでは、リノベーションに伴う主な後悔ポイントについて詳しく解説します。

見えない部分の工事費用がかかる

戸建住宅で大規模なリノベーションをする場合、とくに注意が必要なのが耐震補強です。耐震補強工事は、家の安全性を確保するために欠かせない重要な作業ですが、見えない部分に対する投資のため、費用がかさむことがあります。

また、古い住宅では断熱工事も必要になることが多いです。十分な断熱が施されていない住宅では、夏は暑く冬は寒いといった快適性に欠ける環境となり、エネルギー効率も悪くなります。そのため、クロスやフローリングの張り替え、トイレやキッチンなどの水回り交換といった「目に見える部分」よりも、耐震工事や断熱工事といった「目に見えない部分」の工事を優先することが求められるかもしれません。これらの工事は費用がかさむため、全体的な予算を組む際には十分な余裕を持たせることが重要です。

また、工事が進むにつれて新たな問題が発見され、追加費用が発生することもあります。そのため、予備費を確保し、計画的に進めることが大切です。見えない部分の工事を怠ると、後々大きな後悔となる可能性があるため、初めからしっかりと考慮しておきましょう。

共通するリノベーションの問題点と気を付けるべきこと

リノベーションはマンションと戸建住宅の両方で行われますが、共通して発生する問題点も存在します。以下では、リノベーションに共通する問題点と、それに対して気を付けるべきポイントについて詳しく解説します。

物件購入後すぐに引っ越せない

予め提示される工事期間はあくまで目安であり、予定より長引くことは珍しくありません。理由としては、資材の納期が長引いたり、解体してから追加工事が発生したり、繁忙期で業者が確保できなかったりなどです。そのため工事期間は伸びることを想定しておきましょう。さらに、天候の影響や予期せぬ工事トラブルなど、さまざまな要因が工事遅延の原因となることもあります。

引っ越し予定が決まっている場合や、転勤や子供の進級などでどうしても引っ越し時期を変更できない場合は、その旨を施工会社に伝え、余裕を持ったスケジュールを組んでもらうようにしましょう。また、予備の住居や仮住まいを確保しておくと、万が一の場合でも安心です。工事の進捗状況を定期的に確認し、柔軟に対応できるように準備しておくことが大切です。

ライフプランと建物寿命のギャップ

リノベーションのデメリットの項目でも記述しましたが、当然ながら中古物件は新築よりも寿命が短いことを忘れてはいけません。新築よりも低コストで好立地の物件に住めることが最大のメリットですが、後に住み替えが必要になるとかえってコストがかかってしまう場合も。「そこにあと何年住みたいか」、「老後も住み続けられるか」といった将来的な視点も持った上で慎重に物件を選びたいものです。

加えて、リノベーションを施したからといって、建物自体の寿命が大幅に延びるわけではありません。とくに、基礎や構造部分の劣化は避けられないため、その点も考慮に入れる必要があります。長期的な視点での計画を立て、将来的な修繕や改修のコストも見込んで予算を組むことが重要です。家族のライフプランに合った物件選びを心掛けることが、後悔のないリノベーションを実現する鍵となります。

予算を超える工事費用

いくら打ち合わせを重ねて事前にシミュレーションを行っても、中古住宅の既存状態と、施工にかかる適切な費用は解体してみないとわかりません。実際に、一般社団法人・住宅リフォーム推進協議会が実施したアンケート調査では、住宅リフォームを行った30%の人が予算を上回った理由として「想定外の工事が必要となったから」と回答しています。例えば、床下の腐食やシロアリ被害、配管の劣化など、事前には発見できなかった問題が発覚することがあります。こうした予期せぬ追加工事は、費用を押し上げるだけでなく、工期の延長にもつながります。

リノベーションの予算を立てる際には、こうした予測できない追加費用を見込んで、余裕を持たせることが重要です。さらに、信頼できる施工業者を選び、しっかりとした事前調査を行うことで、予算オーバーのリスクを最小限に抑えることができます。

参考サイト:
一般社団法人・住宅リフォーム推進協議会|2020年度 住宅リフォームに関する消費者実態調査 結果報告書参照

詳細については、以下の記事も参考にしてみてください。


売却時の手間と時間

リノベーションをした住宅に何年か住んだ後、物件を売却したいと考えている人は、間取りや内装のカラー選定に注意が必要です。特徴的な間取りや個性的なカラー・デザインにしていると、売却しづらくなる可能性があるからです。売却を検討していない場合や、長く住んでから売却する場合は、あまり深く気にする必要はありません。しかし、将来的に売却を視野に入れている場合は、リノベーションの際に一般的な需要を考慮することが大切です。市場での評価を高めるためには、万人受けするデザインや間取りを選ぶことが望ましいです。

さらに、リノベーションの履歴や工事内容をきちんと記録し、次の買主に対して信頼性を示すことも重要です。これにより、売却時の手間や時間を最小限に抑えることができ、スムーズな取引が可能となります。また、不動産業者と相談し、最適な売却タイミングを見極めることも成功のポイントとなります。

リノベーションの多種多様なメリット

戸建のリノベーション事例
リノベーションは新築に比べて多くのメリットがあり、多くの人々に選ばれる選択肢となっています。以下では、リノベーションの主なメリットについて詳しく見ていきましょう。

安く物件を購入できるのでコストを抑えやすい

リノベーションの最大のメリットの一つは、物件の購入価格を抑えられることです。新築物件は一般的に高価ですが、中古物件は比較的安価で購入できます。さらに、リノベーションを施すことで、自分好みの内装や設備を整えられるため、新築同様の快適な住環境を実現できます。リノベーションの費用を含めても、新築よりも総コストを抑えられるケースが多いのです。また、リノベーションの規模や範囲を自分で選べるため、予算に合わせた柔軟なプランニングが可能です。

さらに、リノベーションローンを活用することで、資金計画が立てやすくなるという利点もあります。これにより、夢の住まいを現実にするための選択肢が広がります。中古物件の購入とリノベーションを組み合わせることで、コストパフォーマンスの高い理想の住まいを手に入れることができるのです。

利便性の良い人気エリアでも物件数が多い

人気の高いエリアでは、新築物件の数が限られており、希望するエリアでの物件探しが難しいことがあります。しかし、リノベーションを前提とする場合、中古物件の選択肢が広がり、利便性の良いエリアでも物件を見つけやすくなります。中古物件は新築に比べて市場に出回る数が多く、選択肢が豊富です。これにより、通勤や通学の利便性、生活環境の充実度など、自分や家族のライフスタイルに最適な立地を選ぶことができます。

また、人気エリアであればあるほど、将来的な資産価値の維持や向上が期待できるため、リノベーション物件を選ぶことは賢い投資といえるでしょう。さらに、人気エリアの中古物件には独特の風情や歴史的価値がある場合も多く、それらを生かしたリノベーションを施すことで、個性的で魅力的な住まいを作り上げることができます。これにより、単なる住居としてだけでなく、文化や歴史を感じながら生活する楽しみも得られるのです。

資産価値が下がりにくい

リノベーション物件は、適切にメンテナンスやアップデートが施されているため、資産価値が下がりにくいという特徴があります。とくに人気エリアや需要の高い立地にある物件は、将来的な価値も見込まれます。リノベーションによって最新の設備やトレンドを取り入れることで、物件の魅力を保ち続けることができます。また、エネルギー効率の高い設備やエコな建材を使用することで、環境に配慮した住まいを提供し、持続可能な社会にも貢献できます。これにより、居住者にとっての快適さと環境負荷の軽減を両立させることが可能です。

さらに、リノベーションによって住宅性能が向上することで、売却時にも高い評価を受けることができるでしょう。リノベーションを施すことで、資産価値の維持だけでなく、将来的な資産の増加も期待できるため、長期的に見ても非常に有利な選択となります。また、時代の変化に対応した住まいを提供することで、次世代にも価値を引き継ぐことができます。

詳細については、こちらの記事も参考にしてみてください。

後悔しないリノベーションのためのポイント

リノベーションで後悔するケースとしては、間取りやデザインと費用面についてが最も多く挙げられます。これらはいずれも事前に依頼する業者に相談することで防ぐことが可能で、だからこそ業者選びがとても大事。

ワンストップリノベーションなら、不動産購入、デザイン、施工まで一気通貫で1社でまとめて受託することができるからこそ、柔軟に要望に合わせた対応が可能です。さらに、各業者間で発生する中間マージンなどのコストも削減できます。

KUJIRAなら「なんとなくこんな感じにしたい」というふわっとしたイメージを伝えるだけで、チームメンバーと一緒に形にしていくことが可能です。打ち合わせ回数の制限や、図面の枚数の制限もないので、思う存分やりたいことを検討して理想の住宅をつくりあげることができます。その結果、間取りやデザインでの後悔も防げますよ。

WRITERこの記事を書いた人

ディレクター

山根 広大KODAI YAMANE

ディレクター / 奈良県橿原市出身 / お客様にとっての「カッコいい」とは何かを常に考えてご提案させていただきます / 自分だけのこだわりを沢山作ることを意識しています。こだわりが沢山あるほど人生は豊かになると考えています

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