2026.07.27
最終更新日
2026.10.09
CREATOR's STORY リノベーションのヒント

床と壁・階段・洗面が「別の面」として浮かせない【KUJIRAメソッド⑫】

こんにちは、クジラ株式会社の三輪です。

Writer
三輪海斗
ディレクターWORKS
2018年に新卒入社後、住宅・店舗・オフィスなど幅広く担当。住宅ローンの工面など難しい状況でもお客様に寄り添ってサポート。

I様邸のリノベーションで、いちばん時間をかけて話し合ったのが、フローリングの「張り方」でした。

フローリングというと、多くの方が「無垢か複合か」「オークかウォルナットか」と素材の話から入られます。I様邸も、最初の打ち合わせはそうでした。けれど、何度かお会いするうちに、議論の中心が素材から張り方のほうへ移っていきました。きっかけは、I様のこのひとことです。

「定尺張りは普通すぎて嫌。でも、ヘリンボーンも今あちこちで見るから違う」

設計事務所のご出身で、もともとモロッコの土壁が好きだとおっしゃるくらい、見ている角度が他の方と少し違う方でした。


LDKには、大理石モザイクの階段、ブラックスレート柄の大判タイルを使ったキッチン、モザイクタイルの洗面が入る予定でした。

ここに普通の定尺フローリングを敷くと、床だけが「木目の連続パターン」として独立し、空間の中で浮きます。逆にヘリンボーンを敷くと、今度は床自体が主役になってしまい、せっかくの石やタイルが背景に下がる。

素材は決まっていたのに、張り方を決めないと面同士のつながりが切れる。これが、現場で見えていた違和感でした。


そこでデザイナーの松尾から提案したのが、小型のオークフローリングを縦横に目地を通して敷き詰める「すだれ張り」でした。

考え方は、フローリングを「木の板」ではなく「木のタイル」として扱う、というものでした。タイルと同じ目通しの張り方をすれば、床はキッチンの大判タイルや階段の大理石モザイクと、同じ言葉で会話する面になります。

ただし、これは図面で決められても、現場できれいに割付の通り・目地の通りを揃えるのは別の難しさがあります。施工管理の西山と大工さんが、最初の数枚を試し張りしてから何度も方向と寸法を確認していました。「板の継ぎ目をタイルと同じ精度で揃える」という前提が現場に共有されてはじめて、すだれ張りは床として成立しました。


完成したLDKは、床から壁、壁から階段、階段からテラスへと、視線が切れずに通ります。

I様の息子さんが帰宅後、夜11時からお菓子をつくる時間があるそうです。家族で食卓を囲む時間と、その遅い時間の作業の時間が、同じ空気の中で起きる。床が背景として静かに効いているからこそ、家のなかで起きる行為のほうが立ち上がってくる。それが、すだれ張りで狙ったいちばんの効きどころです。

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KUJIRAメソッドとしてのまとめ

フローリングは、素材を選んだ時点で仕事が終わるものではありません。

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KUJIRAでは、フローリングを「木の板」ではなく「面のひとつ」として扱います。同じLDKに大理石やタイルが入るなら、床もそれらと同じ「割付の言葉」で話せる張り方を選ぶ。SNSで見栄えのする張り方ではなく、その家の他の面と矛盾しない張り方を考える。

足したものではなく、選んだもの、揃えたもの。プロの仕事は、そこに表れます。

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WRITERこの記事を書いた人

ディレクター

三輪 海斗KAITO MIWA

大阪府高槻市出身 / 三輪に頼んで良かったと言ってもらえるように頑張ります / 休日はよく古着屋巡りや、家具屋さんに行きます!

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