長屋の空き家を相続したら?放置のリスクと、直して使う・貸す・切り離して解体する選択肢

「いくらやっても潰れたらあかんし、長屋は繋がっているのでここが潰れて共倒れするのも怖い」。6年間空き家だった長屋を受け継ぎ、ケーキ屋さんにリノベーションしたお客様の言葉です。
長屋の空き家は、隣の住戸と壁を共有してつながっているため、自分の住戸の傷みが隣にも及びます。放置せず、解体して中を確かめることも含めて建物の状態を知り、直して使う・貸す・切り離して解体するのどれにするかを決めましょう。
この記事では、相続などで受け継いだ長屋の空き家を放置したときに所有者が負うこと、状態の確かめ方、活用と解体それぞれの選択肢と費用・手続きを、天王寺区の長屋をケーキ屋さんにした事例や、京都市の京町家を補強して賃貸にした事例とあわせて紹介します。
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長屋の空き家を放置すると隣の住戸と所有者に負担がかかる
長屋は、隣り合う住戸が構造を共有している建物です。天井裏に壁がなく、隣までつながっている長屋もあります。自分の住戸の雨漏りや柱の傷みは、隣の住戸にも影響します。
同じ長屋に一人でも住んでいる人がいれば、その建物は空家法の「空家等」には当たりません。ただ、大阪市は、こうした「一部居住長屋」の空き住戸も空家等対策計画の対象にしていて、倒壊などのおそれがあれば、計画調整局が建築基準法に基づいて所有者を調べ、指導します。一部居住長屋の通報は、平成27年度から令和7年9月末までに1,098件ありました。部材が落ちそうなときにシートやネットで覆うなどの応急の安全措置も、所有者が責任と費用を負うのが基本です。
参考:大阪市「大阪市空家等対策計画」(第3期・令和8年4月策定。2026年10月確認)
隣の住戸が空き家で困っている側の相談先は、こちらの記事で紹介しています。
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空き家になった長屋の状態は解体してみないと分からないことがある
長く人が住んでいない長屋は、まず建物の状態を確かめます。耐震診断の費用は、クジラの目安で1棟20万〜40万円(税込)です。ただ、古い長屋は、壁や床の中までは診断だけでは分からないことがあります。
大阪市天王寺区で、ひいおばあさんの代から続く長屋を受け継いだお客様は、6年間空き家だった建物について「かなりボロボロの状態でした。シロアリもいて雨漏りもしてる」と話しています。お客様は最初の段階で、クジラに「解体してリノベーション無理そうだったら諦めます」と伝えていました。床を解体すると、基礎がなく、土に直接柱が立っていたことが分かりました。
この長屋を担当したディレクターは、「長屋でも古いものだと特に、今とかなり建て方が違ったり、増築されていたり、住んでいる人がご自身で工事を繰り返しされている場合も多いので、解体してみないとどういう構造の状態かが分からない部分があります。」と振り返っています。
この長屋では、解体後も担当デザイナーが何度も現場に足を運んで図面を直し、お客様と一緒に考えながら工事を進めました。リノベーションを続けるか諦めるかを、解体して状態を見てから決められるように話しておくと、思わぬ傷みが見つかっても判断しやすくなります。
LINEで相談・無料診断リノベーションについて相談する長屋の空き家の活用は住む・店にする・貸す・家族が集まる場所にするから選ぶ
状態が分かったら、使い方を決めます。クジラが手がけた長屋・町家の事例には、住む・店にする・貸す・家族が集まる場所にするといった使い方があります。費用は、建物の傷み具合と工事の範囲によって大きく変わります。
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| 使い方 | 事例 | 参考費用(条件・税別) |
|---|---|---|
| 店にする | 大阪市天王寺区。空き家だった祖父母の長屋を、飲食店の営業ができる仕様のケーキ屋さんに | 2,460万円(築年数不明・約60㎡) |
| 貸す | 京都市下京区。京町家の柱と梁を補強し、賃貸住宅に | 3,900万円(築117年・約180㎡。左右の棟のうち片方はフルリノベーション、もう片方は解体・補強・玄関まわり) |
| 家族が集まる場所にする | 京都市上京区。今は住む人のいない実家の長屋を、家族や親戚が集まる場所に | 3,200万円(築年数不詳・102.05㎡。家具・家電を除く) |
| 住む | 大阪市西成区。実家の長屋を、家族3人の住まいに | 1,860万円(築年数不詳・78.86㎡) |
長屋・古民家のリノベーション事例は、こちらの記事でまとめて紹介しています。
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6年空き家だった天王寺区の長屋をケーキ屋さんにした事例
祖父母が暮らした長屋を飲食店の営業ができる仕様にした


大阪市天王寺区の木造の長屋(約60㎡)を、ケーキ屋さん「Sweets Shop CIRCLE」にリノベーションした事例です。工期は約90日でした。1階の通り側を店舗と厨房にし、奥にキッチンを残しています。
お客様は、店に来る人が自分のケーキを楽しみにしてくれる場所にしたいと考えていました。もとからあった梁は、「せっかくだからあるものを再利用したい」というお客様の意向で残し、天井を高く見せています。


参考費用は2,460万円(築年数不明・約60㎡・税別)です。完成後、お客様は「解体して、綺麗にしっかりリノベーションしてもらって良かったです」と話しています。
↓こちらの施工事例もご覧ください
このお客様と担当スタッフが、リノベーションを振り返って話した内容は、こちらの記事で紹介しています。
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LINEで相談・無料診断リノベーションについて相談する長屋の空き家を切り離して解体するときの手続きと費用
使う予定がなく、建物の傷みも大きい場合は、自分の住戸を切り離して解体する方法もあります。長屋の解体は、隣とつながる部分をどう残すかを、隣の所有者と決めることから始まります。解体すると、それまで隣と共有していた壁が、残る住戸の外に面します。その壁を外壁として仕上げる工事が解体とは別に要り、残る住戸の構造への影響も確かめます。
解体前に確かめたいこと①:隣の所有者との調整
隣と共有する壁や屋根に手を入れる工事、隣の敷地に足場を置く工事は、所有者と事前に調整します。権利関係に分からないことや争いがある場合は、法律の専門家にも相談しましょう。
解体前に確かめたいこと②:大阪市の耐震除却の補助の条件
大阪市では、耐震診断で耐震性が足りないと判断された住宅(平成12年5月31日以前に建築)を解体する工事に、補助があります。木造住宅は、各階の上部構造評点が0.7未満と判断された建物などが対象です。補助額は、解体工事費(税抜)の1/3、70万円×戸数、1棟140万円などのうち一番低い額です。
長屋は原則として棟単位で申請し、他の所有者・居住者の同意を得ます。長屋で1戸以上を残す場合は、残す部分を1棟として、耐震改修工事を同時に行うことが条件です。
参考:大阪市「民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度」(令和8年度。2026年10月確認)
解体前に確かめたいこと③:建築物除却届
工事部分の床面積が10㎡を超える建物を解体するときは、建築基準法に基づく「建築物除却届」を出します。大阪府内では、大阪市など特定行政庁のある市はその市役所へ、それ以外の市町村は大阪府へ提出します。
参考:大阪府「建築工事届及び建築物除却届について」(2026年10月確認)
解体前に確かめたいこと④:解体の費用と解体後の土地
木造の解体費用は、クジラの目安で1坪あたり3万〜4万円(税込)です。この金額に、残る住戸の外壁や補強の工事は含まれません。また、隣から切り離しても、敷地・構造・防火などの条件によって、更地に建て替えられない場合があります。解体を決める前に、その土地に建て替えられるかを自治体や建築士に確かめましょう。
長屋の再建築や、隣とつながる部分の調べ方は、こちらの記事で紹介しています。
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長屋の空き家は状態を確かめてから直すか解体するかを決める
長屋の空き家は、隣とつながっているため、放置すると隣の住戸と所有者の両方に負担がかかります。まず建物の状態を確かめ、古い長屋は解体して中を見てから判断できるようにしておきます。使い方は、住む・店にする・貸す・家族が集まる場所にするから選べます。切り離して解体する場合は、隣の所有者との調整、補助の条件、除却届、建て替えの可否を先に確かめます。
天王寺区の長屋は、6年間の空き家でシロアリや雨漏りがあり、解体すると基礎もありませんでしたが、ケーキ屋さんになりました。京都市の京町家は、解体して見つかった腐朽と土壁の剥落に合わせて柱と梁を補強し、賃貸住宅にしました。
受け継いだ長屋をどうするか迷っているなら、まずは家族で「使う」か「手放す」かの考えを出し合ってみてはいかがでしょうか。使い道と予算に合わせて、建物の状態からリノベーションの計画まで一緒に考えたい場合は、お問い合わせからご相談いただけます。
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担当デザイナー
既存の梁を残して天井を高く見せた
お客様がロンドンに留学した経験があり英国風が好きということからレンガや木を使用しています。せっかくだからあるものを再利用したいというお客様の意向から梁は既存利用し、天井を高く見せる仕様となりました。店舗部分は広くなくタイルに囲われていますが、天井を高くしたことによって圧迫感がない空間となりました。