2024.07.18
最終更新日
2026.01.18
リノベーションのヒント

【プロの本音】長屋(テラスハウス)リノベーションはなぜ「おすすめされない」のか?<事例つき>

不動産屋・設計事務所・施工会社それぞれの現実

こんにちは。KUJIRAの山根です!

Writer
山根広大
ディレクターWORKS
宅地建物取引士。大学で建築を学び、人の暮らしにより幅広く関わりたいと思い不動産業界を志望。2019年にクジラ株式会社に入社。不動産・建築の両面からワンストップでリノベーションをサポートするのが得意。

「長屋(テラスハウス)は、正直あまりおすすめできませんね」

プロに相談したとき、こんな言葉をかけられた経験はありませんか?

実際、長屋(テラスハウス)や古民家のリノベーションは、一般的な戸建てやマンションと比べて難易度が高いのは事実です。

そのため、

・不動産屋からも

・設計事務所からも

・施工会社からも

「おすすめされない」ケースが多くあります。

一方で、私たちKUJIRAでは、これまで数多くの長屋(テラスハウス)・古民家リノベーションを手がけてきました。つまり、「難易度は高いが、成立させる方法はある」というのが実務者としての結論です。

長屋のリノベーション事例

この記事では、

・なぜ長屋リノベーションはおすすめされないのか

・プロの立場ごとに、どこがネックになるのか

・それでも選ばれる理由は何なのか

を、実例と費用感を交えながら整理していきます。

長屋リノベーションは「向いていない人」が多い

まず前提として、長屋(テラスハウス)リノベーションは誰にでもおすすめできる選択肢ではありません

おすすめされない理由の多くは、

・コストの問題

・法規、権利関係の複雑さ

・設計、施工上の制約

といった、構造的な難しさにあります。

これは好みや感覚の問題ではなく、プロの立場から見た「現実的な判断材料」です。

不動産屋が「長屋はおすすめしない」理由

再建築不可・面積減少リスクが高い

長屋(テラスハウス)は、

・接道条件を満たしていない

・敷地が細分化されている

といった理由から、再建築不可、あるいは建て替え時に面積が大幅に減るケースが少なくありません。

その結果、不動産としての評価が伸びにくい物件になります。将来の売却や資産価値まで考える不動産屋としては、慎重な姿勢にならざるを得ないのが実情です。

権利関係・インフラが複雑になりやすい

長屋(テラスハウス)では、

・土地が共有名義

・借地権が絡んでいる

・電気・水道・ガスが隣家と共用

といったケースも珍しくありません。

その分、契約前に確認すべき項目が増え、売買までにかかる調査・調整の負担が大きくなります。結果として、「不動産取引に慣れていない人にはすすめにくい」という判断になりやすいのです。

取引成立までに手間がかかりやすい

長屋(テラスハウス)の取引には「ローンが組める金融機関が限られる」という特徴があります。求められる知見やかかる時間など、一般的な戸建てに比べて取引の難易度が高い物件です。

不動産屋が消極的になる背景には、こうした実務的なハードルの高さがあります。

設計事務所が「長屋はおすすめしない」理由

構造的に「できないこと」が多い

長屋(テラスハウス)は連棟構造のため、

  • 抜けない柱

  • 動かせない壁

  • 開口部を増やせない

といった制約が常につきまといます。また、階段の架け替え(交換)ができない長屋(テラスハウス)も少なくありません。

自由度の高い間取り変更を期待している場合、理想と現実のギャップが生まれやすい建物です。

意匠よりも安全性のための設計が多くなる

長屋(テラスハウス)リノベーションでは、

・柱、梁の状態確認

・界壁、天井裏の連続の整理

・耐震補強方法の検討

など、完成後に見えない部分の設計作業が非常に重要になります。

安全性を担保するための設計は最優先ですが、その労力は施主に伝わりにくく、設計コストの説明が難しい側面もあります。

加えて、法規確認や隣家との関係調整など、設計以外の業務負担も多く、設計事務所としてはバランスを取りづらい案件になりがちです。

施工会社が「長屋はおすすめしない」理由

解体して初めて分かるリスクが多い

築年数の古い長屋(テラスハウス)では、

・腐食

・シロアリ被害

・構造材の欠損

などが、解体後に判明することも少なくありません。

発覚した時点では後戻りができず、追加工事・追加費用が必要になるケースもあります。契約形態や役割分担によっては、調整が難しくトラブルになりやすい点も、施工会社が慎重になる理由のひとつです。

「木造」「築古」を熟知した職人が減っている

リノベーション 職人

現代の建築現場では、新築を中心に経験を積んだ職人が多く、中古・築古木造の現場経験を持つ職人は年々減っています。

施工会社にとって、

・木造

・築古

・連棟

という条件が重なる長屋(テラスハウス)は、人材確保の面でも難易度が高い現場です。

それでも長屋リノベーションが選ばれる理由

ここまで読むと、「やっぱりやめた方がいいのでは?」と思われるかもしれません。

それでも長屋を選ぶ人がいるのは、建て替えでは失われてしまう価値、長屋(テラスハウス)にしかない価値があるからです。

長屋を「手放さない」と決めている人

相続などをきっかけに、長屋(テラスハウス)を引き継ぐ人が増えています。

小さい頃に育った住まいを残したい

一族が大切にしてきた資産を引き継ぎたい

こうした背景を持つ人にとって、長屋(テラスハウス)は「面倒な不動産」ではなく、守りたい存在です。現状の広さを減らさず、次の20年・30年住める状態に整えるため、大規模リノベーションを選択します。

「雰囲気」「風合い」に共感する人

近年では、住居だけでなく店舗やアトリエとして長屋(テラスハウス)を選ぶ人も増えてきました。

アンティークやヴィンテージに近い価値観として、長屋(テラスハウス)の持つ雰囲気や風合いがひとつの選択肢として認知されつつあります。

長屋(テラスハウス)リノベーション事例と費用感

ここでは、これまでKUJIRAが手掛けてきた長屋(テラスハウス)リノベーションの事例を一部ご紹介します。

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三連長屋(さんれんながや)をガレージ付きの住宅に

三連長屋(連棟長屋)が住宅兼店舗と賃貸物件として生まれ変わりました。

古い物件でよくある雨漏り。この物件でも雨漏りしていたので、屋根の葺き替え工事をしました。外壁(がいへき)もサイディング工事したので、長屋の古くてボロボロという印象を払拭する事ができます。

長屋の外壁Before長屋の外壁After

間取りを少し変更し、キッチンはリビングと対面できるように設計しました。内装を全て変え、今までの雰囲気をガラッと変える事も可能です。

長屋のリビングBefore長屋のリビングAfter

築年数築52年
参考価格1000万円(税別)
面積85㎡
種別長屋(テラスハウス)
工期90日
リノベーション箇所フルリノベーション

築47年の木造長屋(もくぞうながや)を活かした吹き抜けのある家

長屋の一番端をリノベーションしました。2階の床を一部取り壊し、吹き抜けにする事で狭い部屋でも広々と感じられます。既存の木造の柱や梁を活かし味がある家にしました。

長屋のキッチンBefore長屋のキッチンAfter構造的に抜ける柱と抜けない柱を見極めてデザインしています。2階の窓からも光が入ることで明るいリビングに。長屋の吹き抜けBefore長屋の吹き抜けAfter

築年数築47年
参考価格862万円(税別)
面積57.45㎡
種別長屋(テラスハウス)
工期80日
リノベーション箇所フルリノベーション

showroom_renovation

長屋の外壁も綺麗に

長屋(テラスハウス)の外壁メンテナンスは見栄えだけでなく、雨漏りを防ぐなどの目的もあります。建物の耐久性などの生活の安全を守るための工事費用はリノベーション・リフォームを検討する際、序盤から重要となります。

長屋の外壁Before長屋の外壁After
長屋リノベーションでとてもお客様からの要望が階段の架け替え。階段の位置を考え直すことで、室内全体の開放感や動線、収納力をデザインします。

長屋の階段Before長屋の階段After

築年数築51年
参考価格1745万(税別)
面積66.56㎡
種別長屋(テラスハウス)
工期約90日
リノベーション箇所フルリノベーション

気になる長屋(テラスハウス)の耐震

あまり知られていませんが、長屋は連棟(いくつかの住まいが繋がっている)なので土地と建物の設置面が広く、揺れに強いのが特徴です。

しかし建物の老朽化は否めないのでしっかりとした補強工事が必要。「補強工事費用は高い」というイメージを持たれている方も多いと思いますが、実際には補強工事が高いのではなく、補強工事に付随する工事に費用がかかります。

▼建物補強に必要な工事

①現状の床・壁・天井などの解体工事

②柱・梁などの補強工事

③新しい床・壁・天井の下地の造作工事

④壁紙などの内装工事

つまり、補強に必要な解体工事(上記①)やその後の復旧工事(上記③、④)の費用がかかるために「補強工事費用は高い」と思われがちですが、リノベーション・リフォームをお考えの方であれば①、③、④は元々のリノベーション・リフォーム費用に含まれています。そのため、新たに必要な費用は②のみとなり50〜70万円程度で補強することも可能です。

長屋(テラスハウス)は防音工事もしっかり

長屋(テラスハウス)は複数の住居が壁を挟んで繋がっている構造です。特に天井裏は壁がない状態なので全住居繋がっています。リノベーションする際は隣家との壁の防音工事と、天井裏に新たに壁を設けることをオススメします。リノベーションにおける防音方法はたくさんありますので、「防音とはどういうものなのか?」から理解しても良いかもしれません。

長屋(テラスハウス)リノベーション費用の相場

二階建ての長屋の場合、床面積が50㎡前後のもので800〜1,000万円、80㎡前後のもので1,000〜1,800万円程度の事例が多く見られます。(建物の老朽化状態によります)

これから長屋(テラスハウス)を購入する方は

長屋を購入するのは、基本的に一戸建てやマンションを購入すると変わりません。しかし、不動産売買契約を交わす前に知っておきたい情報についてはしっかりとした調査が必要となります。

土地は所有権なのか(借地ではないか)

電気、水道などのインフラは独立しているか

建物の修繕履歴はあるのか

敷地の境界線について

リノベーション/リフォームするのに隣接する住民に承諾してもらう内容

など、不動産的な調査建築的な調査の両方が必要となります。

長屋は比較的安い価格で取得できる不動産ですが、調査に関してはプロフェッショナルの知識や経験を結集して判断する必要があります。

こんな方からの相談が多いです

●新築にすると面積が減ってしまうのが心配
●相続で引き継いだけど活用方法に困っている
●駐車場が作れなくて困っている(リノベーションで駐車場が作れる場合があります)
●昔ながらの雰囲気が好き
現地調査させていただきますので、お気軽にご相談ください。

▼長屋(テラスハウス)リノベーションをご検討の方はコチラもぜひ!

中古マンション・中古戸建を購入してリノベーションを検討したい方はこちらから!持ち家のマンション・戸建をリノベーションしたい方はこちらから!

WRITERこの記事を書いた人

クジラ 編集部

中崎町にあるリノベーション会社です。不動産探し、住宅ローンのお手伝い、設計デザイン、施工、インテリアコーディネートまでワンストップでお手伝いさせていただきます。お客様に最適な暮らし方のご提案をさせていただきます。

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