リノベーションで防音室って作れる?工事費用や注意点などを紹介!
自宅で過ごす時間が増えた近年、楽器やホームシアターを購入する方も多いのではないでしょうか?
「誰にも邪魔されず大好きな趣味に没頭したい!」
そう思って購入した楽器やホームシアターなのに「近所の人に迷惑じゃないかな…」と心配になる場面もありますよね。
これでは中々好きなことに没頭できません。
近所迷惑を心配しないためにも「リノベーションで防音室を作る」ということについて知っておくと、これからの選択肢が広がりそうです。
目次
防音・遮音(しゃおん)・吸音(きゅうおん)の違いって?
防音室で快適に趣味を楽しむためにも、まずは防音の仕組みを理解する必要があります。
「防音」「遮音」「吸音」という似たような言葉があり、意味が曖昧になりがちですが、音漏れに対する処置方法を知る前に、まずはこれらの言葉の違いをしっかり理解しましょう。
この3つの言葉を理解することで、リノベーションで防音室を作る時のポイントが分かりやすくなります。
防音とは
防音の具体的な方法は「遮音」と「吸音」に分かれます。この2つをあわせて防音と言います。
つまり、室内からの音漏れを防いだり、音の残響を減らしたりすることなどを総合して指す言葉が防音です。
遮音とは
音を遮断することを指します。室内と室外の間を音が行き来しない、つまり音が漏れないようにする効果を発揮します。
防音室を作る際に、最も大切なのが「遮音性能」です。
吸音とは
音を吸収して反響させない働きを指す言葉です。
学校の音楽室などの壁に穴の開いたパネル見たことはありませんか?
このパネルは吸音の機能を果たしています。
このような吸音材を設置することで、音を吸収して外へ漏れるのを防ぐのと同時に、音の反響を抑える効果もあります。
しかし吸音を気にする反面、「残響(ざんきょう)」がなくなることで、音質の良さが失われてしまうこともあります。
全ての音は壁や天井などにぶつかって反射することで、しばらくの間その響き(=残響)が残ります。
吸音性が高すぎると、全く音が響かない部屋になってしまうということです。
ホームシアターやオーディオルームとして使用する場合でも、楽器演奏をする場合でも、残響が全く無いのと、心地よく音が響くのでは雰囲気が変わりますよね。
防音室の用途や費用
「防音室」と一言でいっても防音性のレベルは使用する用途によって変わってきますし、必要な費用も様々です。防音室にするためのリノベーションは大きく分けて2つあります。
リノベーションするときに部屋ごと防音室にする場合
リノベーションするなら、一部屋まるまる防音室にすると、趣味のためだけの部屋が作れます。
用途やによって変動はありますが鉄筋コンクリートもしくは鉄骨鉄筋コンクリートの建物なら、工事費用の目安として
ホームシアターやオーディオルームとして使用する場合は180~300万円
ピアノの練習ができる部屋として使用する場合は200〜400万円
ドラムやレコーディングスタジオ仕様で使用する場合は280~500万円
と費用に幅があるので、用途を明確にしておくことが大切です。
組み立て式の防音室を部屋の中に作る場合
防音室を作るもう一つの方法は、組み立て式の防音ユニットを室内に設置するという方法です。
部屋全体をリノベーションするのに比べ、組み立て式の防音ユニットの設置は50〜300万円と費用も抑えやすく、工事も必要ないことがメリットと言えます。
ただし、ある程度の部屋の広さがないと設置スペースが難しいというのがデメリットです。
建物が鉄骨(S造)や木造の場合は、防音の工程が増えるため組み立て式防音ユニット設置に加えて50〜100万円かかるようです。
しっかり建物の構造から伝えて、プロに相談するようにしましょう。
防音室の作り方のポイント
防音室を作るには壁・窓・床・ドアの工事が基本的に必要になります。
この4ヶ所それぞれについても、いくつかの防音工事の方法があります。
全ての工事が必要なわけではなく、希望する防音性をリノベーションのプロと相談して必要な工事を行っていくことになります。
それぞれの部分にどういった工事が必要なのか、具体的な工事方法を紹介します。
壁のリノベーション
防音室の壁には「吸収材」と「遮音シート」を壁内部に入れることで防音効果が得られます。
壁内部に吸収材と遮音シートを敷き詰め、その上に石膏ボードを取り付けることになります。
この時、石膏ボードを二重にすると防音性がより高められます。
また、防音室内に換気口がある場合には換気口も防音換気口に取り替えることで音漏れを防ぐことができます。
ダクトには「防音パイプ」という吸音材を入れることもでき、さらに防音性が高くなります。
どの防音換気口を取り付けるか、必要な防音性を相談して選ぶといいでしょう。
▼遮音シートを使用した防音室リノベーション
窓のリノベーション
窓の防音効果を高めるには、二重窓にする方法と防音ガラスに変える方法の2パターンがあります。
二重窓にする方法は、既設の窓ガラスの内側にもう一枚ガラスを取り付けることで防音性を高めることができます。
また、防音ガラスには「異厚(いこう)複層ガラス」と「防音合わせガラス」の2種類があります。
二重窓にする場合でも内側のガラスを防音ガラスにしておけば、さらに防音性が高められます。
▼二重窓を使用した防音室リノベーション
床のリノベーション
床についても2つの方法で防音性を高めることができます。
床は音の振動が伝わりやすいため、
①床下に吸音性または遮音性のある素材を敷く方法
②床下に敷くだけでなく床材そのものを防音効果のある床材に張り替える方法
の2パターンです。
特に、ドラムのような大きな楽器の場合には振動が伝わりやすいため、床材を張り替えるだけでは不十分です。
大型の楽器を使用する場合には、壁のように床下に吸音素材を敷き詰めておくリノベーション方法も検討しましょう。
防音工事をしても床からの音漏れが気になる場合には、床材の上から「防音カーペット」を敷く方法もあります。
手軽で、防音工事に比べてかなり安価にできるので、工事のタイミングでなくても気になった時に自分で敷いてより防音効果を高めるのもいいかもしれません。
また、ピアノのような重い楽器を置く場合には、床下の補強をしておくと安心です。
ドアも防音仕様に取り替え!
音漏れを防ぐために、壁や窓、床など部屋の内側の構造のことばかり考えてしまいがちですが、ドアからも音漏れは起きます。
ドアは防音ドアを使うことで音漏れを防ぐことができます。
防音ドアはスチール製と木製がありますが、より高い防音性があるのはスチール製です。
スチール製はずっしり重く、しっかりと音漏れを防いでくれるので、特に大きな音のする楽器を演奏する場合にはスチール製がおすすめです。
防音室を作るときの注意点
実は、防音室リノベーションは失敗例の多い工事でもあります。
特に多い失敗例は、求めていた防音性が得られず、結局追加工事が必要になった、というケースです。
趣味に没頭できる空間にするためにも、工事の前には入念にリノベーションのプロと防音性について相談しておきましょう。
いつ・どんな目的で使用するのかを明確に
例えば深夜や早朝に楽器を演奏する、もしくは大きな音の楽器を演奏するのであれば、より高い防音性が必要になります。
ホームシアターを楽しみたいという場合は、外からの騒音はシャットダウンしたいところですよね。
まずはどんな目的で、どの時間帯に主に使うことになるのかを業者に伝え、必要となる防音工事を確認しましょう。
マンションの規約を確認する
マンションの一室を防音室にする場合には、マンションの管理規約を確認しないといけません。マンションでは窓が共用部分とされ、リノベーションできない場合が多くあり、思っていた工事ができないこともあります。管理規約のなかでどういった工事ができるのか、リノベーションのプロとしっかり相談しておくといいでしょう。
振動について
音を発する際に大きな衝撃を伴う場合は、振動について気をつけなければなりません。
鉄骨(S造)や木造の建物の場合、大きな衝撃が生む振動については、建物の躯体(くたい)を通じて隣接する部屋に伝わる可能性があります。
ホームシアターやオーディオルームとして使用するのであれば心配する必要はありませんが、ドラム演奏やダンススタジオのような大きな衝撃を伴う用途の場合は、間取りの設計や躯体についてもリノベーションのプロに相談しましょう。
まとめ:防音室を作って趣味を思い切り楽しもう!
最近では普段の生活のためだけではなく、趣味を楽しめるような住まいを購入する方も増えてきました。
特にデザインの自由度が高い一戸建てが人気です。
マンションではそもそも管理規約で楽器の使用が禁止されているところもあります。
日常生活において大きな音を自由に出せる場所はなかなかありませんが、自身で所有している住まいをリノベーションすれば誰にも邪魔されません。
今回は趣味に没頭したい方のために「防音」に注目して説明しましたが、コンセントの位置や部屋の広さ、窓の位置や大きさなどトータル的にプランしてこそ、理想に近づきます。
音が漏れない部屋を作るのではなく、誰にも邪魔されず趣味に没頭できる空間を実現するためにもぜひ本記事を参考にしてください!
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