築年数は重要?リフォーム・リノベーション前に知っておきたい中古物件選びのポイント4つ【マンション/戸建て】
中古物件を購入してリフォーム・リノベーションするスタイルがますます人気になっています。
新築より安価に自分たち好みの空間を作れるリフォーム・リノベーションですが、どんな物件でも自分たち好みにリフォーム・リノベーションできるというわけではありません。
今回は宅地建物取引士でもある私、クジラ株式会社の代表である矢野が、中古物件を探している時に注意してほしい物件選びのポイントを紹介していきます。
Writer 矢野浩一 代表取締役/プロデューサー 調理師学校を卒業後、起業という夢を叶えるため不動産業界へ。 20年近い不動産・建築業界での経験から、空き家を利活用した新しい形のホテル「SEKAI HOTEL」などの事業も手がける。 CREATOR’s STORY|矢野 浩一 |
目次
リフォーム・リノベーションに向かない物件の特徴って?
リフォーム・リノベーションには「こんなはずじゃなかった」というトラブルが多いのも実情。
注意すべき点は主に、
①予想以上に費用がかかるトラブル
②費用をかけても解決しないトラブル
のどちらかが物件購入後に判明することです。
もちろん不動産売買契約の際には、有資格者(宅地建物取引士)による重要事項説明書や売買契約書の説明を受け、内容をしっかり理解する必要があります。
こういったトラブルを回避するために物件購入から気を付けてほしい「リフォーム・リノベーションに不向きな物件」の特徴を4つ解説します。
マンション購入の場合
規約によって制限がかかる
建物の造りに一戸建てより心強いイメージのあるマンションですが、実はリフォーム・リノベーションには向いてない面もあります。
マンションでは共有スペースと専有スペースが分かれていて、共有スペースである玄関扉、ベランダや窓(サッシ)、外壁は、たとえマンションの所有者であっても変えたりすることはできません。
そのため築年数の古いマンションの場合、部屋の中をリフォーム・リノベーションできれいにしても窓サッシや玄関扉など古さの目立つ部分ができてしまいます。
また管理規約によっては使用できる床材に制限がある場合や、そもそも床材を個人で変更することを禁止している場合もあります。
物件購入前にマンションの管理規約を確認しておきましょう。
築年数が古い
築年数が40年以上経過している物件は、1981年(昭和57年)5月に制定された「新耐震基準」をクリアしていない場合があります。
新耐震基準では「震度7でも倒壊しない」という基準であるのに対し、旧耐震基準は「震度5強程度では倒壊しない」と基準が緩くなっています。このため旧耐震基準で建築されている建物をリフォーム・リノベーションする際、耐震補強工事を検討する必要が出てきます。
ここでの注意点は、マンションの場合は躯体(くたい)に触れる工事が禁止されている(躯体は共有部分となるため)ので“補強工事ができない”ということです。
そのため、旧耐震基準の購入を検討する際は、建物の管理状況を確認しましょう。外壁の塗り替えは設備の点検など、マンションを長持ちさせるために長期修繕計画が必要です。国土交通省のガイドラインによると12年から15年に一度を目安に大規模修繕することが推奨されています。物件購入前には、建物の修繕計画と修繕履歴を確認し、管理されている物件かどうかを確認しましょう。
戸建て購入の場合
水回りに不備がある
水漏れなどの水回りに大きな不備(水漏れ、排水管の破損など)があるような物件はリフォーム・リノベーション以前に購入を控えた方がいいです。
水回りは整備するのにかなり費用がかかるうえに、すでに破損している部分からの水漏れによって住宅へのダメージ(カビや腐敗など)も大きい場合があります。
こういった場合、白アリ被害や躯体の腐食などの可能性も高く、追加費用が必要になることも。
しかし不動産を安く購入し、十分な予算をリノベーションにかける場合は大丈夫です。まずはそのようなダメージを調査する「住宅診断(ホームインスペクション)」を実施してから購入に進みましょう。
メンテナンス履歴が確認できない
長年物件の外壁や屋根のメンテナンスがされていない物件もリフォーム・リノベーションには不向きです。
一般的に外壁の塗装や防水工事は10~15年間隔で行うのがいいとされています。
適切なメンテナンスがされていない場合、建物の外壁が劣化していることもあります。
外壁の劣化がひどいと塗装などではカバーできず、外壁材を取り替えるなどの大規模な修繕が必要になります。
また、こういった外壁や屋根の老朽化が長期間放置されている場合、外からでは見えない部分への雨漏りが存在する可能性があります。
外壁や屋根に限らず、不動産を購入する場合は、購入前に修繕履歴や修繕記録といった「今までその不動産を所有していた人がどういったメンテナンスを実施してきたかの記録」を不動産仲介業者に頼んで確認しましょう。
もしくは、リフォーム・リノベーション会社による事前調査や見積の段階で、「全てのメンテナンスを実施した場合の見積金額」を把握しておくのも一つの選択肢です。
よくある質問
築年数は何年くらいの物件が狙い目?
中古物件の狙い目は築25年〜30年の物件です。築年数が25年を過ぎると新築からの価格の下落がある程度終わった後なので、お得に物件を購入できる可能性が高くなります。また、築30年ほどの物件であれば新耐震基準で建てられているため、購入してから耐震補強工事が多額にならない点でも狙い目と言えます。さらに、住宅ローンを利用する場合でも、新耐震基準であれば審査が通りやすい利点もあります。
築50年の中古マンションは購入しても大丈夫?
立地・価格から気に入った中古マンションを見つけても、築50年を超える場合、不安に思う方も多いのではないでしょうか?
内装はフルリノベーションで自分の好みに変えられますが、建物の躯体には自ら改修ができないので耐用年数については悩まれる方も多くいます。
税法上のRC造(鉄筋コンクリート造)の耐用年数は47年となっています。しかし、これはあくまでも税法上の建物の価値についても年数であり、実際に47年で住めなくなるということではありません。
コンクリートの物理的な寿命は117年ほどと言われています。外壁塗装や配管の確認など、修繕計画がが正しくされているかを確認して検討しましょう。
リフォーム・リノベーションには事前確認が大切!
今回はリフォーム・リノベーションに向いてない物件の特徴や物件購入前に気を付けたいポイントを紹介してきました。
どの項目も物件についての知識がないと確認できないことや、分からないことが多いかもしれません。
これからリフォーム・リノベーションを視野に入れ、物件を購入される方は購入前にリフォーム・リノベーション会社に内覧や住宅情報を確認してもらうと物件購入~リフォーム・リノベーション打ち合わせがよりスムーズに進められます。
この記事を参考に最適な物件を見つけてくださいね。