2023.06.25
最終更新日
2023.08.13
リノベーションのヒント

【家具選び方】家具は“リフォーム・リノベーションプラン前”から考えておくとバッチリ!

リノベーション家具選びのヒント

こんにちは!クジラ株式会社デザイナーの菅原です。

Writer
菅原沙絵
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2017年に新卒入社以来、住宅だけではなく店舗や宿泊施設のデザインも担当してきた。
お客様の理想を正確に捉え、ヒアリングを中心にデザインしていくことを得意としているデザイナー。

一目で“オシャレな住まい”とわかるコーディネートとは、開放感・色合い・使いやすさなどいろんな要素が複合的に考えられています。

しかし、リフォーム・リノベーションのプランを考えるタイミングから家具選びについてしっかり考えられているお客様は意外と少ないようです。

この記事では、どの家具を選ぶかの前に、「いつから家具を考えるのか?」に注目して解説します。

まずはゾーニング

「どこでくつろぐ」「どこで食事する」などのおおまかな場所と用途を決めていくのがゾーニングです。ポイントは、

①使いづらさ(過ごしづらさ)を感じない最低限の広さ・寸法=機能性

②居心地の良さを感じる最低限の広さ・寸法=情緒性

の2つから検討することです。リノベーション家具選びのヒント

上記①は、使用人数から考え、身長なども考慮するといいでしょう。

例えばダイニングテーブルは「何人座るか?」も大切ですが、机の高さや、「食事を運ぶ人が座っている人の後ろを通る時に、通れる幅があるか」も大切です。

リノベーション家具選びのヒント

これは家具そのものの大きさというより、壁面からダイニングテーブルまでの距離を計算する必要があります。
「家具のそのものだけで使いやすさが決まるわけではない」ということですね。

上記②はほぼ「開放感」と考えてもいいかもしれません。現在の住まいなどと比べてどのくらいの広さや余裕があれば狭く感じないのかを検討する必要があります。

例えば、テレビを置く壁面など人の視線が集まる部分は、壁面寸法が横幅3〜3.5mくらいから「狭くない」と感じる人が増える傾向があります。

リノベーション家具選びのヒント

壁面の広さは簡単に変えられるものではないので、リフォーム・リノベーションプランを考える段階から「どこにソファを置くだろう?(どの壁面を使うだろう)」と考えておくと、実際に住んだ時の開放感についても想像できるかもしれません。

天井を解体し、躯体現しにする人も増えてきていますよね。天井は2.3〜2.5m以上から「少し天井高いかも?」と思う人が多いようです。

リノベーション家具選びのヒント

空間の天井高が2.3m未満であっても、足が無いソファを使うなど“目線を下げる”ような家具選びで開放感の感じ方を調整できます。

動線に関わる寸法

次は動線です。先述した「①使いづらさ(過ごしづらさ)を感じない最低限の広さ・寸法=機能性」をより詳しく検討していきます。

人が通るところの通路幅

扉(建具)の開閉

を気をつけるといいでしょう。

「人が通るところの通路幅」は家具を置いた際に人が通りづらくないか?です。

「家具同士の間」「片側は壁面・もう片側は家具」など状況にもよりますが、70cm未満になると「通れるけど、少し窮屈になる」寸法だと覚えておきましょう。

買い物袋など荷物を持って通る箇所については75~80cm以上は確保が必要です。

リノベーション家具選びのヒント

「扉(建具)の開閉」は建具の開閉時に周辺の寸法がしっかり足りているか?ということです。

狭い通路で収納を開けた時に出し入れしづらいという経験はありませんか?

廊下の収納などは、通路幅を容易に変えられるものではありませんが「周囲の家具に扉が当たらないか?」「扉の開閉時に物の出し入れがしづらくないか?」はあらかじめイメージしておきましょう。

実際に家具の寸法を検証

先述の内容を踏まえて、おおまかに家具の寸法を決めていくのですが、ここである程度の検証が必要です。

「ダイニングテーブルとソファの距離は近すぎないか」「ソファ→テレビの適正な距離は?」など家具本体の寸法を見ながら、「居心地が悪くないか?」を考える作業です。

先述した「②居心地の良さを感じる最低限の広さ・寸法=情緒性」の詳しい検証となります。

家具同士、家具と壁面の距離について家具寸法から確認するということです。

では、具体的に住まいの箇所ごとに見ていきましょう。

リビングはソファ・ダイニングテーブル・テレビ

リビングはソファ・ダイニングテーブル・テレビの位置で居心地の良さが機能性・情緒性ともに全く変わります。

リノベーション家具選びのヒント

こちらのリビングではダイニングテーブルとソファの間(図①)を750mm(75cm)確保していますね。

図②の1600mm(160cm)は座った位置(座った人の目)からテレビボードまでの距離、1215mm(121.5cm)はソファとテレビボードの間の寸法です。

しかし、テレビの位置がテレビボードの左端にきているのが気になる人もいるのではないでしょうか?

これは、ソファ・ダイニングテーブル・テレビの3つの最適な位置を検討した場合に「テレビの位置をこだわったことで、良い位置関係になった」という事例です。

一番良い位置を探すのに、この事例の場合は③→②→①の順番で検証したことになります。

▼ソファの選び方を詳しく知りたい方はコチラ!

▼ダイニングテーブルの選び方を詳しく知りたい方はコチラ!

テレビまでの最適な距離

液晶テレビが当たり前となって長らく経ちましたが、各社テレビメーカーが推奨する「テレビまでの最適な距離」というのがあります。

フルハイビジョン(HD)テレビの場合、ソファとの最適距離は「テレビの高さ×3倍」と覚えておくといいでしょう。つまり、50インチのテレビであれば、画面の高さ620mm×3倍=1860mmとなり、180~190cm程度離れると見やすい距離と言えます。

リノベーション家具選びのヒント

「見やすい距離」というのは人によって違うのは当然ですが、大切なのはストレスを感じない距離(位置)ということです。

この「ストレスを感じない」という視点での検証が、空間の情緒性を高めます。

4Kテレビの場合は距離が変わるので注意が必要です。

▼テレビの選び方を詳しく知りたい方はコチラ!

子供部屋

子供部屋の面積を大きく占める家具はベッドと机です。

この2つの配置やサイズについても、先述の通りゾーニング→動線→家具寸法という順番で検証していきましょう。

机のサイズには大まかに種類があることを把握するのもおすすめです。

子供部屋リノベーションのヒント

横幅だけでも把握していると、子供部屋のレイアウトが想像しやすくなります。

子供部屋リノベーションのヒント

子供の頃、ベッドや机の横を通るときに「狭いな」「通りづらいな」と思ったことはありませんか?

いくら狭い子供部屋だとしても、人が通るところは最低でも60cmは確保しましょう。

家の廊下を設計するときなどは80〜90cm以上の幅を目安としますが、子供部屋の中であれば片方は壁、もう片方は家具(背が高くない)なので60cmあれば大丈夫でしょう。

家具の背が高い場合は80cm以上を検討してください。

▼子供部屋の家具選びについてもっと詳しく知りたい方はコチラ!

書斎はもっとこだわって家具選び

書斎を持つメリットいえば「ひとりで独占できる」ことと「自分専用にカスタマイズされた空間」の2つでしょう。

ここでも機能性・情緒性の両面から家具を検証していきます。

趣味部屋と違い、在宅ワーク用の書斎などであれば机の使いやすさは外せません。

机本体のサイズ(置きたいものが置けるか)

配線経路や位置

机周辺の収納(動かず手に取れるか)

をしっかり検証することで、書斎の機能性はグッと上がります。

特に②配線経路や位置はかなり重要です。コンセントから配線が部屋を横断しているのは見栄えも良くないので、せっかくの自分だけの空間が台無しです。

マンションリノベーション

コンセントの位置を起点に机の位置を決め、他の家具を決めていくのが機能性を担保してくれそうです。

そして、「自分だけの部屋(書斎)」ということで居心地の良さ(情緒性)も重視したいですよね。

どんなデザインテイストの書斎が自分にとって居心地が良いのかは、とにかく自分自身との対話になります。

リノベーションのデザインテイスト

「あの飲食店は居心地が良かった」「友人の家のデザインを見てテンションが上がった」など、自分にとっての“居心地の良さ”をしっかり知るのも大切です。

「落ち着く」「テンションが上がる」「飽きない」など “居心地の良さ”の感情は人によって性質が全く違います。

▼さまざまなデザインテイストを知りたい方はコチラ!

リフォーム・リノベーションプランと同時に家具プランも

リフォーム・リノベーションする際に、「キッチンの大きさはどうしよう」「子供部屋はいくつ作ろう」などを考えますが、これはつまり「家具までの距離」を決めていることと同義です。

つまり、リフォーム・リノベーションのプラン検討の段階から家具の大きさくらいは考えておくべきということですね。

いろんな寸法が複雑に絡み合う住まいの寸法検証とは、馴染みがない人にとってハードルが高いかもしれませんが、リフォーム・リノベーション業者に「家具の寸法も図面に入れて欲しい」とお願いするだけです。

▼クジラのデザイナーがオススメする家具や選び方についてはコチラ!

インテリアコーディネーターに依頼するような方も、任せきりにするのではなくある程度自分達でも検証する必要があります。

とても大変な作業ではありますが、一度決めた後は長期間暮らす住まいのことです。ぜひ根気良くチャレンジしてみてください。

WRITERこの記事を書いた人

デザイナー

菅原 沙絵SAE SUGAHARA

設計 / 大阪府大阪市出身 / 普段からデザインを意識的に見て、自分ならどうするのか考えるようにしてます / インテリア雑貨が好きでナチュラル・シンプルなものを集めることにはまっています

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